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無責任艦長タイラー

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評価/★★★★☆(78点)

無責任艦長タイラー 評価

全26話
監督/真下耕一
声優/辻谷耕史,天野由梨,速水奨,三石琴乃,成田剣ほか

あらすじ
時は未来、地球と惑星ラアルゴンとの戦争のさなか、主人公の放浪者ジャスティー・ウエキ・タイラーは楽な仕事がしたい!と、地球軍に入隊してしまい、あれよあれよという間にオンボロ駆逐艦「そよかぜ」の艦長にまで出世してしまう。 けれども持ち前の強運で数々の難事件を乗り切り、気づけばラアルゴン帝国の大艦隊を「そよかぜ」1隻で撃退するまでになる。そして、ラアルゴン帝国の皇帝ゴザ16世のアザリンはタイラーに興味を持ち始める。

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無責任でご都合主義全開な主人公、彼がもたらしたのは「両軍の勝利」という結末。

原作はライトノベルな本作品。
当時としては珍しくメデイァミックスが盛んな作品だ

基本的なストーリーはSF.
特は未来、惑星連合宇宙軍と聖ラアルゴン帝国が戦争していた。
しかし、互いの戦力を読み合い膠着状態になっていた
そんな中で放浪者である主人公「タイラー」は楽がしたいために地球軍に入隊する。
不埒な理由で入隊した彼だが、あれよあれよというまに艦長になってしまう
というところからストーリーは始まる。

見だして感じるのは主人公のゆるさだろう。
着ている服、目尻の下がった顔、しゃべり方、
その全てが「放浪者」という肩書にふさわしいほどゆるく、本当にコレが主人公か?と思うほど緩い。
しかし彼は口がうまい(笑)
楽がしたいと入隊希望の理由に正直に述べる彼だが、面接官を言葉巧みに調子づかせる。
更には女好きというおまけつき、1話から主人公と言うにはあまりにも軽すぎるのだ

序盤ははっきり言ってテンポが悪い。
惑星連合宇宙軍と聖ラアルゴン帝国の事情や上層部や戦闘が描かれるのだが
当のタイラーは「年金課」に配属される始末。
コレもこの作品の味ではあるのだが、序盤は淡々としている・・・というよりも
ギャグアニメに近い(笑)

とにかく主人公のタイラーの行動や言動が一切読めない。
彼のセリフの全ては軽く、そこに本位はない。
さっき吐いたセリフと真逆の事をその5分後には言っている
そのセリフが「いい結果につながる」わけでもない(笑)
むしろ悪い事につながることのほうが多く、だが、そんな悪い事をさらりと乗り切ってしまう
彼の飄々とした態度は独特な主人公の魅力を生んでいる。

私は900作品近いアニメを見たが、この「タイラー」という主人公にそっくりな主人公は存在しない。
本来ならお調子者の脇役、本来なら主人公の悪友、本来ならすぐに死んでしまう。
そんなキャラクターが平然と主人公をやっているのがこの作品の魅力だ
彼がすったもんだの末「駆逐艦の艦長」になってしまうところからストーリーは徐々に動き出す

彼の艦長ぶりはまさに「無責任」だ、何も考えていない(笑)
何も考えていない上に、すべての行動がむちゃくちゃだ。
しかし・・・彼の行動は驚くべき悪運、いや、驚くべきご都合主義展開で乗り越えてしまうw
敵軍に囲まれてようが、彼は全く自覚なしに神に愛されてるがごとく、
結果良ければ全て良しの状況になってしまう。
本来なら「ご都合主義」は悪い批評をする場合に使う言葉だが、
この作品においては「ご都合主義」こそが魅力になっている、本当に不思議な作品だ。

ご都合主義を起こしてくれ、もっと無責任であってくれ。
そんな普通の主人公に期待してはいけないことを彼には期待してしまう。
それはこの作品の登場人物も同じだ。

味方の目からは彼は悪運だけで生き残ってると思われているが、
敵であるはずの「ラールゴン帝国」からは優秀な艦長と思われている。
戦争の中で彼の存在は物語が進めば進むほど重要なキーパーソンになっていく
無責任な彼に良くも悪くも大きな期待が寄せられていく。

だが、大きな期待をかけられても彼は無責任に、悪運に、飄々と
物語をまるで笑いながら綱渡りするがごとく乗り越えていく。
それは時に彼の命をも脅かすが、同時に彼自体が「戦争の終結」へとつながっていく

そんな主人公のお陰で「戦争」も「人間関係」もドロドロしない。
敵も味方も様々な思惑や野望を抱えているのだが、その全てが彼のおかげで台無しだ(笑)
彼が居るこの世界ではそんな企みは全て無駄になる。
それがもっとも現れるのは終盤、23話だろう。

主人公であるタイラーは年金課に所属している一兵卒から、
「地球軍の全指揮権を持つ艦長」となっている、この時点で何とも笑うしか無いのだが
そんな彼が全軍を率いて敵軍と相まみえる。
だが・・・彼は前進しか命令しない、一切の攻撃命令を出さずにひたすら敵に向かって前進するのみ。

敵の艦長もまたタイラーに影響された人物だ。
彼もまたタイラーの出方を伺いひたすら前進する。
大群の艦隊を率いた戦争中域で一切の攻撃命令を出さずに
互いの艦隊はひたすらに、ひたすらに前進をし続ける。
こんな光景はどんなSF作品にもない、この作品だから、この作品にしかできないシーンだ。

敵と味方の大量の艦隊が攻撃もせずにすれ違う光景。はっきりいってシュールだ(笑)
タイラー以外の登場人物すべて、タイラーの命令の意味がわからずにイラつき、
流れる曲は更にその光景にシュールさ後押ししており、もはや笑うしか無い。
しかし、「この先どうなるのか」一切読めない。
読めないからこそ素晴らしいまでの緊張感を産んでおり、タイラーの行動に目が離せなくなる。
そして・・・戦争は終わる。

何がどうなってそうなったのか、私はネタバレしない。
無責任で何の期待感もなかった彼が話が進めば進むほど「主人公」になり、
そして戦争の行く末を彼なりのやり方で着陸させる
確かにご都合主義だ、だが「無責任な彼」だからこそ「両軍の勝利」という結末に
タイラーがタイラーとして生きたからこそ辿り着いた。
物語に違和感やご都合主義!と言いたくなるところはない、自然だ。
無責任な男、タイラーだからこそ許せる結末といえるだろう

更に24話、25話、そして最終話
この3話に限って言えば「シリアス」だ。
それまで無責任に飄々としていたタイラーが落ち込み、
彼はそれまで抱えていた「重圧」を解き放つように悩む。
彼がいなくなって初めて「タイラー」としての人物の魅力を周りもしみじみと実感する
それまで描かれなかった葛藤が描かれることでよりこの作品の深みがましたといえるだろう。

全体的に見て独特な作品だ。
とてもじゃないが序盤は「面白い」と感じにくい作品だ
無責任で悪運だけの主人公も人によっては好き嫌いが別れるキャラクターだ
しかし、しばらく我慢して見てほしい。
見れば見るほど、話が進めば進むほど、この「タイラー」という男にどんどんと魅せられる
そして同時に彼が次になにをやってくれるのか、彼がどういった行動をするのか気になり
あっという間に2クールが過ぎてしまう。

この作品の魅力をはっきりと自覚できるのは「23話」だ。
この話を見て初めて「あぁ、この作品面白い」としみじみと実感できる
「23話」に至るまでに面白いと思う箇所はある、だが、「23話」になって初めて実感するのだ
あぁ、この作品は面白い、タイラーという主人公はとても魅力的だと。
そして24話、25話、26話の終盤でタイラーという艦長を失うクルーと同じような気持ちに
見ているこっち側もなってしまう。
気づいたらこの作品にハマっていた、気づいたらこの作品のキャラを好きになっていた。
本当に最初から最後まで化かされたように不思議な作品だ

欠点を言えば主人公の悪運とご都合主義が鼻につく人は序盤でつまづいてしまうかもしれない。
更にOVAにストーリーが続く展開になっているため若干スッキリしない感じが残ってしまっているが
それをのぞけ除けば無責任な主人公とサブキャラクターの魅力で突き進んだ素晴らしい作品だ。

古い作品なためキャラクターデザインや作画の古さは感じるものの
古いからこその独特の雰囲気、ゆっくりとした2クールのストーリー展開、
他の作品にはない強い魅力を感じる作品だ。
気軽に楽しめるSF作品としておすすめしたい。

個人的にはあの軽快なリズムの銀河無責任音頭は一度聞いたら絶対に忘れられない(笑)
ある意味での名曲だと私は思っている。
不思議と、何年かたつとまた見たくなる作品の1つだ。

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