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直球表題ロボットアニメ

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評価/★★★★☆(75点)

直球表題ロボットアニメ  評価

全13話
監督/石舘光太郎
声優/西明日香,荒川美穂,大久保瑠美,平田広明ほか

あらすじ
機動世紀8013年。人類の滅亡から既に70世紀以上経過しており、その世界はかつて人類が残した軍事用ロボットが独自の進化を遂げていた。ロボット達はヨーロッパを制圧した「リベリオン連邦」とアジアを拠点にする「シン公国」の二手に別れ、いつ終わるともわからない戦いを繰り広げていた。そんな中、3体の非戦闘用ロボットはかつて人間が持っていたといわれる感情、「笑い」こそが戦いを終わらせ、世界を平和に導くと考え、これについての調査を開始した。

このアニメは「笑い」を探求する熱きロボット達の物語である。

本作品は「gdgd妖精s」でお馴染みの石舘光太郎による作品。
「gdgd妖精s」と同じ3DCGソフトウエアで制作されており、
ストーリー構成もgdgd妖精sに似ている(苦笑)

始まって早々流れるOPはまるでPS2の「スーパロボット大戦」のようなOPだ。
3DCGで描かれたスーパーロボットによる戦闘シーンが描かれ、
そういうアニメなのか?という誤解を一瞬生む。
しかし、そんな誤解は開始5分で裏切られる。

Aパートは長い間続いた戦争、そんな戦争のすえ人間が滅びた世界の3体のロボットだ
そんな世界でロボットにはない「笑い」という感情を研究すれば
戦争が終わるのではないかという結論に行き着く。
結果として3体のロボットは「笑い」について探求していくという内容になっている。

このテーマは非常に面白い。
彼女たちはロボットであるがゆえに「笑い」という感情がわからず、
故に1話の段階では見ている此方側が「笑う」という事はない。
笑わそうとしている彼女たちが笑いについてわからないのだから、シュールなギャグでしかなく
見ている側は笑わなくて当たり前だ。

話が進めば笑いに関する考察、ボケとはなにかというのを考察し突き詰めていく
上手にボケるためにはどうすればいいのか、どうすればそれが笑いになるのか
実際の一発ギャグなども彼女たちは取り入れつつやる様は徐々に笑いにつながっていく。

それこそ一発ギャグの回など実際の一発ギャグを取り入れているだけに笑ってしまう。
やすし・きよし、ビートたけし、原西、ダチョウ倶楽部などのお馴染みの芸人さんの
お馴染みのギャグを「真面目」にロボットが考察する様子はシュールすぎるがゆえに思わず笑う。
人間とは違うロボットの彼女たちだからこそ、人間の一発ギャグを独自に解釈し
独自のボケに変換しまじめに展開していく(笑)
芸人さんたちのためにも真面目に考察しないでほしいと思うほど
おふざけ抜きに「ギャグを真面目に考察する」という内容がこれほど面白いとは思わなかった。

更に話が進めば進むほど資料映像で「実際の芸人さん」が出まくる(笑)
彼らの笑いの要素を彼女たちはまじめに考察する
しかし、彼女たちはロボットがゆえに人間の芸人さんのような笑いにはならないw
そのうまくいかない笑いがこの作品ならではの笑いになっている、
他の作品では味わえない魅力と言ってもいい

Bパートは笑いによる戦争の終焉はあるのかというのをシュミレートする。
ロボット同士の戦闘にもし「ローション相撲」の要素があったらどうなるのか、
ロボット同士の戦闘にもし「ぐるぐるバット」の要素があったらどうなるのかなど
3DCGによるロボット道の戦闘にそんな笑いの要素が入ることで映像的な笑いを生んでいる

Cパートはシュールだ(笑)
ロボットしかいない世界で笑いを探求しているはずなのに、声優さん達のアドリブモノボケパートだw
AパートやBパートでさんざんシュールなネタをやったあとで
声優さんのアドリブボケだらけの内容にいきなりなり、声優さんたちの笑い声が普通に聞こえる。
AパートとBパートが「笑いの考察」だけにCパートのアドリブは
ボケをわかった上でロボットがボケまくるため、そのギャップが思わず笑ってしまう内容になっており、
更にこの作品全体のマンネリ化を防いでいたとも言える。

全体的に見て爆笑できるネタは少ない。
しかし「笑いを探求するロボットによるギャグアニメ」という設定が前提にあるため
爆笑できないが、爆笑できないからこそ面白い。
彼女たちがまじめに機械的な思考で笑いを考え、実際の芸人のギャグやネタを
紐解いていく様は「笑い」にもなっている場合もあるが、
それとは違い単純に笑いの考察が「面白い」と感じる部分も多い。

そして、マンネリにならないように映像で楽しむパートや、
声優さんによるアドリブアフレコで笑いの探求部分とは違った面白みが生まれており、
3つのパートが15分の中でリズムよく展開していくさまが純粋に楽しいアニメになっている。

それは同時に滑ること、寒い空気が流れることが前提の「笑い」であるため、
この空気感やスベリ芸を楽しめる人でないと楽しみきれないという問題はあるものの
見れば見るほど味の出て行く作品だったといえるだろう。
決して1話で見ることをやめるのではなく、1話15分の短編アニメということをいかし
本来の1クールアニメで言う3話=6話あたりまで見ていただきたい。

すると不思議とこのスベリ芸的な内容や3体のロボットに愛着が湧いてくる。
特にフジイは外見的な可愛さもあり、
更にCパートでの西明日香さんのアドリブギャグが余計にその可愛さを加速させていた。

そして最終話だ。
笑いの探求の中、彼女たちは「オチ」ということを探求していく
そんな中で彼女たちの目の前に「答え」を持つロボットが現れる
彼女たちは「笑い」プログラムを手に入れるが・・・

このオチはある意味秀逸だ。
賛否両論の生まれやすいオチであり、笑い要素はないSFなシリアス展開だ
無難なギャグ展開で終わらせることも出来た。
だが、「笑えばいいと思うよ」という彼女のセリフのため、
そして彼女たちの「最後」は作品の印象を強烈に植え付けられた。
まさか、この作品でウルッとさせられるとは1話の段階からは想像もつかなかった

ただ・・・これはテレビ放送番の話だ(笑)
この作品の最終話はテレビ放送番とネット放送版でオチが違い、
テレビ放送番はシリアスなママ、しかしネット放送版ではずっこけるようなオチが付いている(笑)
2期があってもなくても、きちんと最終話で物語を占めているオチと
2期に少し期待できるようなオチ、2つのパターンが有るのは好感が持てた
1つの作品として完成しているとも言える

今から見る人、もしくはgdgd妖精sと同じ感じだから見ていないという人もいるだろうが
そんな人も6話あたりまでは様子を見てほしい。
この作品の半分見てしまえば最終話まであっという間に見終わってしまい、
最終話で思わず涙腺をくすぐられるはずだ。

gdgd妖精sで私は「この作品をアニメとして評価していいか迷うが」というような文を書いているが
この作品は間違いなくアニメだったと私は強く感じる
笑いの探求という芯のストーリーがきちんとあり、Bパートでアニメーションの面白さを感じさせ、
Cパートでキャラクターの可愛さや声優さんの演技を光らせる。
1話の中の3つの要素をうまく使い、作品としてのメリハリをきっちりつけ
そして最終話できちんと話をまとめる。
1話15分、3時間ほどで見終わる作品なのに内容は非常に濃ゆい。

2期あるならば強く期待したい作品だ。
売上が微妙なのが気になるところだが・・・・(苦笑)

「」は面白い?つまらない?

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