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「名探偵コナン 紺碧の棺」レビュー

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評価 ☆☆☆☆☆(9点) 全107分

あらすじ 佐藤刑事と高木刑事は、都内で強盗犯とカーチェイスを繰り広げていた。佐藤は巧みなドライビングテクニックで強盗犯の車を追い詰め、横転させる引用- Wikipedia

コナン映画史上、最もつまらない作品

本作品は名探偵コナンの映画作品。
コナンとしては11作品目の映画作品。
監督は山本泰一郎、製作はトムスエンタテイメント。
本作品はファンの間からも「コナン映画史上もっとも最悪な作品」と
呼び声が高いほど完成度が低すぎる作品だ。

逃走劇


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

始まってそうそう、高木刑事たちが逃走する犯人を追いかけている。
犯人はなぜかルパンと不二子の覆面をつけている。
なぜルパンと不二子の覆面とつけていたのかは謎だ。
のちにルパンとコナンはコラボしたものの、
この時点で何かの企画があったのだろうか?

コミカルな始まりと「映画」だからこそのカーアクションシーンは
見ごたえがあり、主役たるはずのコナンそっちのけで繰り広げられる
逃走劇は面白い。

捕まえた犯人たちは「神海島」と「ジョリー・ロジャー」という
言葉を残し意識を失う。
そんな「神海島」に「コナンたち」がバカンスに訪れるところから
物語が始まる。

神海島


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

コナンたちが訪れた島は「海中の古代遺跡」が発見された島であり、
多くのトレジャーハンターが訪れ宝探しをしている。
お宝というのはこの作品の要素の1つだ。
コナンと、「少年探偵団」たちは当然、そんなお宝に興味を示し、
「宝探しマップ」を頼りにお宝探しをする。

「少年探偵団」がコナンの映画でメインになることは少なく、
「子供向け」の作品であるコナンだからこそ、同世代の子どもたちが見たら
少年探偵団と同じように「お宝探し」にワクワクできるかもしれない。

TVシリーズでも少年探偵団がお宝探しをするという話は何度か描かれており、
それを「映画」としてスケールアップしてきっちりと描けば、
この作品はもっと面白いものになったかもしれない。

ジョリー・ロジャー


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

この作品に出てくるもう1つの要素がジョリー・ロジャーだ。
伝説の二人の女海賊であり、そんな女海賊たちのお宝が隠されている。
彼女たちは互いを信頼し、背中を預けて戦ったという逸話がある。
正直言って、この要素のせいでこの作品はおかしくなった。

お宝探しの役目を「少年探偵団」に任せつつ、
ジョリー・ロジャーの要素を「蘭と園子」という二人のコンビに担わせることで
この作品の2つの要素をストーリーの中で消化しようとしているものの、
その消化がまったくもってうまく言っていないのがこの作品だ。

どちらもうまく使いこなせず、拍子抜けするような展開ばかりだ。

お宝探し


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

少年探偵団たちによるお宝探しは何の盛り上がりもなく淡々としている。
島の役場は用意したスタンプラリー形式の謎解きをやっているだけであり、
コミカルなシーンなどはあるものの、
少年探偵団の活躍によってお宝が見つかるわけでもない。

彼らは必死に最初から子供ながらにお宝探しを真剣にやっていたのに、
最終的には彼らはそんなお宝を見ることすら叶わず、蚊帳の外だ。
せっかく少年探偵団たちの活躍が見れるかも?という期待をさせておいて、
期待はずれにする展開になってしまっている。

彼らがお遊びとは言えお宝探しをする中で本当にお宝を見つけてしまう。
そんな流れなら盛り上がるのに、この作品はそんな流れにはせずに、
ひたすらに「淡々」とストーリーを描いてしまう。

事件


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

そんなお宝探しが淡々と描かれる中で事件が起こる。
3人組のトレジャーハンターのうちの一人がサメに襲われて死亡する。
人為的に仕組まれた事件であり、誰がトレジャーハンターを殺したのか、
何のために彼を殺したのかというのがこの作品におけるミステリーの部分だ。

だが、あまりにもスケールが小さい。
この作品で起こる殺人事件はこの一件だけだ。
コナン映画は基本的に連続殺人か大量爆破のことが多い。
しかし、この作品はただサメに襲わせて殺しただけの事件だ。

驚くほどにスケール感が小さく「映画」だからこそのスケール感がない。
これが通常のテレビでやる話だったり、TVスペシャルならば
問題ないものの「映画」だからこその特別感が一切なく、
ひたすらに地味だ。

犯人


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

今回の犯人はアホじゃないかと言うほど証拠を残しており、中盤くらいから
「こいつ犯人じゃね?」臭を醸し出しており、予想通りの展開に終わる(苦笑)
誰が見ても犯人らしい奴が証拠を残しまくりで
探偵である「コナン」が推理をしなくても見れば分かると言いたくなるほどに、
「私が犯人です!」と言わんばかりの怪しさを醸し出しすぎだ。

もはやコナンである必要性すら感じないほど低レベルのミステリー要素だ。
トリックと呼べないトリック、推理しなくても分かる犯人など陳腐過ぎる、
推理やトリック以前に、普通の刑事でも捕まえられるくらいだ。

警察を敢えて無能にすることでわかりやすすぎる犯人や
危険なトレジャーハンターを放置し、ピンチな状況を無理矢理に作り出している。
この作品の犯人は観光客に宝の地図の暗号を提供して解かせようとしてたりするが、
「なんで解けないの?」と思うほどに、物凄い簡単な暗号だ。

そんな宝の地図の謎を犯人は解けないほどアホだ。
コナンに自分のアホさ加減を指摘されるとあっさり諦めて、
「小学生の分かるミスだ…」と嘆く。
犯人としての魅力というものがまるでない。モブキャラレベルの犯人だ。

蘭と園子


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

この作品で最もだめな部分が「蘭と園子」の友情ストーリーだ。
女海賊であるジョリー・ロジャーの逸話と蘭との園子を重ね合わせるような
ストーリー展開になるものの、そのストーリー展開は
「互いに背中を預けて戦う」というだけのものだ。

コナンという作品をご存じの方ならば当然、
「毛利蘭」というキャラクターの強さは百も承知のはずだ。
しかし逆に「鈴木園子」という彼女の友人は一切の戦闘能力がない。
それだけならまだいいが、鈴木園子はトレジャーハンターに
人質になっており、園子がいなければそもそも蘭は捕まることがなかった。

「背中を預けて戦う」までの「園子」が頼りなさすぎるせいで、
いざ背中を預けて戦ってもちゃんちゃらおかしく、
薄ら寒いものになってしまっている。
逸話になぞって無理やり背中合わせで戦わせただけで、
そこに二人の友情を感じる部分や面白さのようなものはない。

友情ストーリーを描くなら描くできちんと描くべきなのだが、
そういうことをこの作品はしない。
背中をあわせて戦って二人で勝利するならまだ理解できるが、
結局はコナンが助けに入る。何がしたいのかまるでわからない。

宝探しをする少年探偵団も中途半端、
蘭と園子の友情ストーリーも中途半端、犯人も中途半端。
作品を構成する要素が全て中途半端だ。

爆破


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

この作品で唯一褒められるとしたら海中からの脱出劇だろう。
メタンハイグレードの伏線を活かし、それを爆発させて脱出する。
コナン映画らしい「爆破」とありえないアクションは素晴らしく、
この部分だけはきちんと「映画」としての盛り上がりどころを作れている。

コナン映画のお約束としての爆破、新一と蘭のシーンを
制作者側がやろうとしてるのは分かるものの、
この映画には肝心の「スケボー」が一切出てこない。

コナン映画の醍醐味とも言えるスケボーもなく、
様々な要素が中途半端でTVSPレベルの作品になってしまってるのが
残念な作品だ。

総評:TVSPレベル


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

全体的に映画でやるほどの内容ではなくストーリーもあっさりしすぎており、
TVスペシャルなら何も思わないのだろうが映画としては残念な出来栄えだ。
何の捻りもない犯人、何の捻りもないトリック、簡単に解ける宝の謎、
そんな中で進むストーリーは盛り上がりなんてものはなく、
蘭との園子の友情ストーリーも寒いだけだ。

せっかく離島まで着た警察も無能そのものであり、何の役にも立たない。
警察を活躍させると、この作品の犯人はあっさりと捕まりそうなほど
間抜けなため仕方ない部分はあるものの、色々な要素の掘り下げと
練り込みがあまりにも足りない作品だ。

やりように酔っては面白くなりそうな部分はある。
「少年探偵団のお宝探し」というTVシリーズでも人気の要素を
映画としてスケールアップしてそこをきちんと掘り下げて描けば、
冒険活劇的なコナン映画として完成度の高いものなったかもしれない。

しかし、中途半端に「蘭と園子」の友情ストーリーをいれることで、
作品全体が変にブレてしまった感じが否めず、
結局が何がしたいのかよくわからない作品になってしまっている。

個人的な感想:スケボーを出せ


引用元:画像引用元:劇場版 名探偵コナン 紺碧の棺 予告編より
© 2007 青山剛昌/小学館・読売テレビ・
日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

やはりスケボーがないと物足りない。
再レビューの辺り7年ぶりのこの作品を見たが、
7年ぶりに見ても心底つまらないコナン映画だ。

コナン映画としては最低の出来栄えであり、1つの映画としてみても最悪。
結局、冒頭の犯人がルパンと不二子のお面をかぶっていたのは
なんだったんだろうか?謎でしか無い。

結局、終始盛り上がりに欠ける地味すぎるコナン映画になってしまっていた。

「」は面白い?つまらない?

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