ファンタジー

進撃の巨人

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評価/★★★★☆(79点)

進撃の巨人 評価

全25話
監督/荒木哲郎
声優/梶裕貴,石川由依,井上麻里奈,細谷佳正,橋詰知久ほか

あらすじ
繁栄を築き上げた人類は突如出現した“天敵”「巨人」により滅亡の淵に立たされた。生き残った人類は、三重に築かれた「ウォール・マリア」、「ウォール・ローゼ」、「ウォール・シーナ」という巨大な城壁の内側に生活圏を確保することで、辛うじてその命脈を保っていた。城壁による平和を得てから約100年後。いつしか人類は巨人の脅威を忘れ、平和な日々の生活に埋没していた。

この残酷過ぎる世界で、絶望的でも立ち向かう兵士たち。

原作は別冊少年マガジンで連載中の漫画作品。
2013年、もっとも話題になりもっとも売れた作品はこの作品だろう。

基本的なストーリーはファンタジー・アクション。
人類は天敵「巨人」に怯えていた
そんな人類は巨大な城壁を築き、城壁の内部で100年平和に暮らしていた。
平和に暮らす最中で壁の外を調査する「調査兵団」というものが作られたが
巨人に穴がうことは出来ず、調査兵団は失敗を繰り返していた。
そんなある日、城壁を越える超大型巨人」が襲来した
主人公は襲来事件により「両親」をなくし、巨人と戦う道を選んだ・・・
というところからストーリーが始まる。

1話からかなり衝撃的だ。
グロ描写ともいうべき登場人物の心をえぐるような残酷なシーンが描写され、
1話から「巨人の恐ろしさ」「絶望的な状況」「この先のストーリーの期待感」を一気に煽る。
それと同時にキャラ描写も光る。

1話~2話は主人公の子供時代を描く。
そんな最中で両親を巨人に食われる姿を目の当たりにしたことで、
巨人に対するいかりや復讐の念を強く持ち、力を求める。
1話から主人公が強いわけではない、1話から主人公が戦うわけではない。
最近のアニメなら物語の中盤で描かれるような「主人公の過去」を
1話からきちんと時系列にそって描くため物語の主人公に強く感情移入することができる

序盤でインパクトの有る「捕食」シーンを描くことで、
3話以降の主人公の訓練や強くなっていく様が淡々としていても
1話のインパクトの余韻やキャラクターの感情移入がきっちりとされていることで
淡々としたキャラ描写の積み重ねが「面白い」と感じる。非常にうまいストーリー構成だ。

更にギャグ要素(笑)
緊迫した状況、緊張感のあるキャラ描写なのにふいにギャグが入る、
これがシリアスなストーリーの中でいい清涼剤になっており、
普段がシリアスだからこそギャグが思わず笑ってしまう。

そしてそんな中でふたたび巨人が現れる。この再度巨人が現れるシーンは思わず震えた
絶望的な状況から少しずつ人間らしい暮らしができるまで復興し、
主人公も「兵士」として成長し、未来への希望を感じた瞬間に、
背後から唐突にどこからともなく巨人が現れる。
登場人物が反応する前に始まる攻撃とともに兵士たちが動き出す。

動き溜めの手段は立体駆動だ。
巨人に対する人類の武器ともいうべきそれは簡単にいえば「ワイヤーアクション」だ。
腰につけた2本のワイヤーを任意の場所に差し、
高速移動や空中移動、まさに立体的な動きを可能にするというものだ。
この描写がアニメーションならではの面白みを生んでいる

普通の人間には出来ない3次元的な激しい動きを
大胆なカメラアングルと妥協のない作画枚数による滑らかかな動き、
圧倒的な大きさを誇る巨人に対し、立体駆動を駆使しながら回りこむように腕を駆け上り、
一筋の太刀を食らわせる、正直、動きすぎだろうと思うほど動いている(笑)
クォリティ的には「劇場版」のようなクォリティだ。

しかし、必死に人類が抗ってもあっさりと巨人は捕食してしまう。
主人公慕をう仲間も本当にあっさりと食われる、
何年も訓練しても彼らの圧倒的な存在と力の前では捕食の対象でしか無い。
そして、それは主人公も同じだ、絶望的な状況で主人公もまた巨人に捕食される
TV版では「ぼかし」が入るほどグロ描写を交えつつ絶望的な状況を人類は何とか生き抜く。

その絶望的な状況で主人公には秘密がある。
彼はなぜ「巨人」になれるのか、彼はなぜ「記憶」を一部失っているのか、彼は人間なのか?
物語の主人公の謎を主軸に置くことで絶望的な状況の打破というストーリーだけではなく、
主人公の謎を解き明かすというストーリーの面白みを同時にいる。

緊迫した中での人類関でのいざこざ、主人公が力を得ても圧倒的な巨人、
更に主人公と同じ力を持つ巨人まで現れ、
ストーリー前半よりも主人公たちの力は上がっているはずなのに後半のほうが緊迫感が出ている。
ストーリーも先が読めない展開が多く、圧倒的な状況下からあっさりと絶望的な状況になるような
抑揚が激しさもあり、状況の変化もめまぐるしい。

主人公を助けるためにあっさりと、本当にあっさりと味方が死んでいく。
あまりにも死にすぎる展開は「絶望的な状況」の演出の後押しにはなっているが、
人によっては残酷過ぎる状況の描写は目を伏せてしまうかもしれない。
だが、濁さずに残酷な描写をストレートに描写しているからこそ
作品としての「圧」が生まれている。

その圧が激しい作画で動き回る。
特に後半の「巨人」と「巨人」の戦いは特撮映画を最新のVFXで見るような
ゴジラやウルトラマンのあのワクワク感をアニメで味わっているような感覚だ。
巨大なものと巨大なものの「生々しい」ぶつかり合い、
本能と本能がぶつかり合うような「乱暴」な戦闘は圧倒的な描写だ。

全体的に見て久しぶりに作品としての「圧」を感じる作品だった。
映画並みのクォリティで動きまくる戦闘シーンは
人間VS巨人の圧倒的不利な状況での戦闘と、巨人対巨人という特撮映画のような戦闘、
その2種類の戦闘をうまく使い分け作品としてもアニメーションとしても
「動き」という部分でのアニメの評価は満点に等しい。

ただ残酷過ぎるストーリーや2クールでは結局のところ何も解決しておらず
物語として「俺たちの戦いはこれからだ」という展開で終わってしまっており、
2期がなければ中途半端な感じで終わってしまっているのは残念だ。

しかし、それでも毎話気になる展開で終わらせ緊迫感をつねに保ったままの
残酷なストーリー展開は純粋に「次はどうなるんだろう」というストーリーの面白みも生まれており
ほとんど解決されていない謎がこれから解決されていく楽しみもある。
キャラクターもそれぞれしっかりと丁寧に描写されており魅力的だ、
だからこそ、あっさりと死んでしまう残酷な演出もこの作品の魅力の1つだろうが
その反面でキャラの名前を覚える前に死んだキャラも少なくない(苦笑)

いろいろな意味で2期に期待したい所だ。
売り上げ的に考えれば2期の可能性は非常に高いが、
原作のストックはまだあまりないようなので再来年か3年後くらいになりそうなのがかなり残念だ。
その前に原作を読んでみたいとも思うのだが・・・
原作を読んでしまうとアニメで見る楽しみが減ってしまいそうというジレンマを今現在抱えている(笑)

個人的には戦闘描写ですっかりやられてしまった。
総集編詐欺と言われてしまうかもしれないが戦闘シーンの部分だけは
「劇場スクリーン」で見たいと思うほど大胆かつ練られた動きをしており、本当に目が離せなかった。
グロ描写の規制が薄いからこそ、あっさりと食われ、あっさりと千切れる体の描写など
アニメーションとして動きの面白さを伝えてくれる作品だった。
総集編でも映画化されれば私はぜひ見たい(笑)

2期もこのクォリティも保ったままま作られることを期待したい。

「」は面白い?つまらない?

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