サスペンス

ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 The Animation

サスペンス
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評価/★★★☆☆(59点)

絶望した!1クールという尺に押し込めてしまったことに絶望した!

原作はPSPで発売されたアドベンチャーゲーム
アニメの監督はペルソナ4、デビルサバイバー2などの
ゲームのアニメ化作品を多く務めている岸誠二さん。
ちなみに私は原作が人気でやりたかったのだがアニメ化まで待った(笑)

基本的なストーリーはサスペンス。
ありとあらゆる才能を持つ、超一流の高校生ばかりを集めた希望ヶ峰学園、
主人公は「超高校級の幸運」により希望ヶ峰学園に入学することに。
しかし門を一歩くぐると・・・いつのまにか閉鎖された学校の中に居た
というところからストーリーが始まる

見だして感じるのは「ゲーム的演出」だろう。
キャラクターが出る度にゲームのキャラクター紹介的な画面が出たり、
ゲームのOPのようなOPだったり、ゲームのマップ画面のようなものが出たり、
事件の操作の際に「証拠品」を見つけた時にゲームのヒントを手に入れるような演出があったりと
ゲームの演出をアニメの中に組み込むことで独特の面白さが出ている

そして次に感じるのは「声優の豪華さ」だろう。
異例・・・と言いたくなるほど豪華過ぎる声優陣が1話の段階から大量に起用されており、少し紹介すると
緒方恵美、大本眞基子、櫻井孝宏、日笠陽子、石田彰、斎藤千和、大本眞基子、鳥海浩輔、
沢城みゆき、中井和哉、くじら、山口勝平、椎名へきる、豊口めぐみ、宮田幸季etc…
どうだろうか、この豪華過ぎる声優陣(笑)
ベテラン声優ばかりを集めており、個性的なキャラクターを更に個性的なキャラに仕上げる演技をしている。

そしてその中でも極めつけは「大山のぶ代」さんだろう(笑)
言わずもがな26年間ドラえもんを演じてこられた「大山のぶ代」さんが深夜アニメに出ているのは
いろいろな意味で衝撃的であり、2005年以来のアニメ出演だ、
約8年ぶりにテレビから大山のぶ代さんの声が聞こえ、その変わらない声は不思議な懐かしさすら感じる。
そして、「大山のぶ代」さんが演じているモノクマは「狂言回し」的な存在だ
モノクマの口から衝撃的な台詞が発せられる

「誰か殺した生徒だけがここから出られる」

殺す、圧殺、脳汁など「ドラえもん」の時には絶対に聞けない台詞を大山のぶ代さんが喋りまくるギャップは
私達が何年も見てきたドラえもんを演じた大山のぶ代さんだからこそ
キャラクターの強烈的な魅力に繋がっている。
長い間、大山のぶ代さんの声を聞いてきた私達だからこそこの魅力は伝わる
最近の子供じゃ、このギャップの魅力は伝わりにくいだろう。

そして「閉鎖された空間」での緊張感。
癖のある高校生たちが閉鎖された空間の中で「無制限に共同生活」を強いられている
唯一「誰かを殺せば出れる」という答えだけモノクマから聞かされている
脱出する術はない、信頼できる仲間ではない、助けは来ない、見えるところに凶器がある
日にちが経てば立つほど彼らの心は削られていく。

そんな精神状態の中で「誰かを殺す動機」までモノクマから見せつけられる
早く出ないと家族が、早く出ないとアイドルとしての自分が、早く出ないと・・・
モノクマは登場人物の絶望をどんどんと大きくさせる
そして・・・殺人が行われる。

素晴らしい緊張感だ、閉鎖された空間でのキャラクター同士の疑心暗鬼
その中で当然のごとく行われる殺人、そして犯人当て。
モノクマは「誰か殺した生徒だけがここから出られる」と説明したが、
後付で「自分が犯人とわかってしまってはいけない」というルールを付け足す。
犯人当てに失敗しても「処刑」されてしまうというルールも更に付け足し、
それまでの緊張感をより高め、物語の展開が気になって仕方なくなる。

ただ、その反面で犯人当ての「学級裁判」のシーンは淡々としている。
犯人を見ている側が解き明かす感じではなく、犯行内容やトリックなどはあまり意外性はない物が多い
最後の最後であっさりと「ダイニングメッセージ」が出てきたり、あっさりとキャラクターが失言したりと
本来ならゲームでは「プレイヤーが選ぶ」という面白さがあるが、
アニメでは選ぶということはできないため、ストーリーの筋書きを追うしかない。
証拠品集めのシーンもかなりテンポよく描かれてしまい、
裁判中に他のキャラクターから新しい証拠品も出るため、犯人当ての楽しみは薄い。

この作品はテンポが良い、いや良すぎるくらいだ。
序盤の1話~3話くらいまでは「世界観」や「設定」の解説もあるため
トントン拍子に進んでいく楽しさがあり、一気にこの作品の世界観に入り込める。
だが、序盤のトントン拍子を序盤以降も続けてしまいストーリー展開が異常に早い。
殺人事件の被害者、加害者、両者とも掘り下げ不足になってしまうことが多く
犯人の動機も弱い。

キャラクター付けは非常に濃ゆいのだ、キャラクターデザインの面でも過剰といえるデザインになっており
そして分かりやすいキャラクターの性格に極端なキャラクターの言動を追加することで
見た目のインパクト、いわゆるファーストインプレッションは強烈だ。
ベテラン声優による演技もよりキャラクターのキャラ付けを強烈にしている
しかし、それ以上のキャラクター描写が弱い。
物凄い油っこく、物凄い濃ゆいドロドロのラーメンのようなキャラクターたちなのだが、肝心の味が微妙。
食べた瞬間は濃ゆくて旨い!と思うのだが、結局はそれ以上の印象がない感じだ。

1クールという尺でキャラクターの人数は16人いる。
序盤で死ぬキャラクターのキャラ描写は極端に浅い場合が多く、
物語が進んでも最初の印象以上にキャラ描写が深まるようなキャラクターは少ない。
本来ならじっくりとキャラクターを描き、そんなキャラクター同士が極限の状況下で
「殺人」が起こってしまい、死んでしまうキャラと殺してしまうキャラクターの魅力が出てくると思うが
魅力が出る前に「お仕置」されるか殺されて物語から退場してしまう。
1クールという尺の都合上仕方ないと思うが、テンポの良さは同時にキャラの描写不足につながった

しかし、ストーリー自体は面白い。
序盤の「極限状態の中での殺人」というクローズドサークルでのストーリーだけではなく、
「学園の秘密」や、「初めて出会ったずのキャラクターたち」の隠された過去など
単純にクローズドサークルでのサスペンスだけではないストーリー展開を見せていき、
謎が深まっていく中で登場人物がどんどん減ってくる。
登場人物が減ったからこそ、余計にキャラクター同士の「疑心暗鬼」は強まり、
真相に迫るほど危機的状況になる、だが危機的状況に陥ったからこそ
すべての真相が明らかになる。

全体的に見て「原作の面白さ」は十二分に伝わる作品だ。
クローズドサークルでの殺し合い、キャラクター同士の疑心暗鬼、緊張感。
そして「殺し合い」が行われることになった謎。
テンポよく気持よく流れていくストーリーは最後まで楽しむことができ、
深まっていく謎とそれが明かされた時の開放感は
サスペンスミステリーものらしい完成度の高い心地よさを味わうことが出来る。
テンポがいいからこそ一切のダレがなく、全13話あっというまに見終わることがでくきる作品だ

しかし、その一方で1クールという尺で収めるためにキャラクター描写が削られてしまったことだ。
序盤から中盤までに死んでしまうキャラクターは掘り下げ不足に感じる点も多く、
キャラクター描写を削ってしまったからこそ犯行動機が弱く感じてしまい、
表面的なキャラクターの魅力しか感じることが出来なかったのは残念だ。
緊張感の中での殺し合いの描写よりも「ストーリーをなぞる」ことに必至になっている感じは否めない

証拠集めのシーンがほぼダイジェストで視聴者的には後出し的な犯人当てになってしまい
推理モノとしての面白みが弱く、本来はゲームでもその部分が面白いはずなのに
その部分の面白さが「声優の演技」に頼っている部分が多い。
しかし、ベテラン声優ばかりなので推理モノとしての面白さはないが面白くないはわけではない。

そしてアニメだからこその面白み。
特に演出面での「ゲーム演出」をアニメに取り入れることによる面白さはこの作品ならではだ。
前述した証拠集めのシーンもゲーム演出でダイジェストにしていることを上手くごまかしており、
犯人当てのシーンもゲーム画面そのままのような演出とカメラワークが独特の面白さを生んでいる。
更に「お仕置」シーンも3DCGだけで構成することで残虐さを薄め、
絵としての個性的な描写や、モノクマのキャラとしてのユニークさが際立つ演出だった。

演出が際立っていたからこそ「サクサク進むストーリー」を一切ダレることなく楽しむ事ができ、
キャラクター描写が少し弱くとも、ベテラン声優の演技が光る。
欠点はあるがそれを補う部分があり「1クール」という限られた尺の中で
この作品の面白さを最大限に仕上げていた。
ただ、その一方で「原作の面白さ」を表現するあまり、原作に引っ張られてしまった感じはある。

1クールで足りなかった印象もある、特に最終話。
ゲームでも描写していない部分があるらしいのだが、
それまでのキャラクター描写の浅さが最終話で尾を引いてしまった感じがあり、
どうも「色々投げた」感じが強く残ってしまった。
おそらくゲームで同じエンディングだったとしてもそこまでのキャラクター描写の積み重ねが
「絶望からの希望」という展開にいい余韻が残ったはずだ。

本来は1クールでは出来ない作品を何とか1クールに収めた結果、
ゲームをやらないと色々すっきりしない感じになってしまったのは残念だ。
2クールでじっくりと見たかったなという感触が残ってしまう
最終話で「2期やりたい」感じの見えるシーンも有り、
そういった意味では続編である「ダンガンロンパ2」のアニメ化を期待したいところだが
次やる時は2クールでじっくりと見てみたいと感じる作品だ

原作も面白そうなので後日プレイしたいと思います

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  1. kuru より:

    ゲームはダンガンロンパ→ダンガンロンパゼロ(小説)→スーパーダンガンロンパ2の流れでやるといいですよ。
    ただし、ゲームやった後だとアニメは全く楽しめなくなりますけどね。