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TIGER & BUNNY

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評価/★★★★☆(69点)

GONEXT!

本作品はアニメオリジナル作品。
最大の特徴は各ヒーローの体に実際のスポンサーのロゴが入っているところだろう
とあるヒーローにはBANDAI、とあるヒーローには牛角、とあるヒーローにはソフトバンク
とあるヒーローにはペプシ、とあるヒーローにはDMMと多彩なスポンサー陣が揃っており、
ヒーロースーツに刻み込まれた企業ロゴがマッチしている。
今までのアニメのスポンサー携帯とは違った新たな広告形態のアニメといえるだろう

基本的なストーリーはヒーロー物。
「NEXT」と呼ばれる特殊能力者が誕生した世界で犯罪が多発していた
そんな中で犯罪に対応するためヒーローが各企業につとめており、
そんなヒーローたちは「HERO TV」と言われる生放送番組にて、
ヒーローが事件を解決するさまを放送している。
そんな中、人気も落ち目の虎徹とルーキーのバーナビーがコンビを組むことから物語は始まる。

この物語の主人公は近年稀に見るおっさんだ(笑)
ヒゲも生えており、娘がおり・・・と、最近のアニメではあまりお見かけしない
おっさん成分たっぷりな主人公はなんとも言えない魅力を秘めており、
哀愁ただよう雰囲気は好きな方にはたまらない魅力だろう。
彼はヒーローであり、能力を持っているが
「5分間だけ通常の100倍のパワーが出せる」という時間制限付きだ

そんな主人公「虎徹」の前に、もう一人の主人公「バーナビー」が現れる
彼は虎徹と同じ能力を持っているがイケメンかつ若い。
二人が不釣り合いなコンビを組むところからストーリーが始まる

序盤のストーリーはいい意味でも悪い意味でも王道といえるだろう。
ヒーローとしてバディを組んだ二人が仲が悪いところから始まり、
年を食っており実力はあまりないが「ヒーロー」として活躍しようとする虎徹と
若く実欲もあるがプライドが高いバーナビーの凸凹コンビが喧嘩をしつつも事件を解決する
ヒーロー物や特撮物としては王道かつ、アメコミチックな話は王道すぎるが「安定」しており、
安心してみることが出来る。

ヒーローの活躍は「生放送」されている。
ノリノリのナレーターが実況をしつつヒーローの活躍が描写される模様は現実的だ
いくらヒーローでも物を壊せば「賠償金」がつきまとい、務めている企業には逆らえない。
敢えて活躍せず「スポンサーロゴ」を映すことだけに集中するヒーローも居る。
特別な力を持つヒーローたちだが、ヒーローたちも人間だ。

年をとってしまっていたり、辛い過去があったり、歌手になるためだったり、
会社の社長だったり、ブログが炎上したり(笑)
特別な力を持ち、犯罪者を倒し、市民を倒すヒーローたちの活躍が描写される一方で
魅力あふれるキャラクターたちを愛くるしく描写する
王道のストーリーの中にしっかりとしたキャラクター描写があるからこそ面白い。

「虎徹」と「バーナビー」が反発しながらも徐々にコンビとして成長していき、信頼関係を築く。
王道なストーリーを基盤に、強いキャラ性とキャラ同士の会話。
このキャラ性に関しては声優さんの演技とキャラクターデザインが絡み合い、
そこに練りこまれた絶妙な会話劇は王道ストーリーを更に面白くさせる。
中盤で1度ストーリーをきちんと締めるところも個人的には気に入っている。

肝心のヒーローは3DCGで描かれてはいるが、クォリティが高く背景の作画と浮くことがなく
ヌルヌル動き、カクカクッとアクションするシーンは見ていて心地良い
しかしながら魅力的な「アクションシーン」はあまりなく
戦闘シーンは確かにきっちりときれいに描かれてはいるのだが、
息を飲むようなアクションや、きちんと煉られた戦闘は少なかった。

れだけのクォリティでヒーローを描いているのに、
もっと派手なアクションシーンが見たかった!と思ってしまう点もあり、
止め絵での3DCGが悪くないだけに動くCGを最大限に活かした
戦闘シーンの描写があればもう少し高い評価が出来ただけに残念だ
また全体的にキャラの顔が不安定なのは、
ちょくちょくネットでも話題に出てたが確かにかなり不安定だ。
せっかく桂正和氏がキャラクターデザインを担当したのにもったいないと感じてしまう点だ

更に後半以降のストーリーが好みが分かれるという点だろう、
前半のストーリーはいい意味でも悪い意味でも王道で重いシリアスな展開はなく
1話か2話完結でスッキリとしたストーリーを進めつつ
バーナビーの両親を殺した犯人を突き止めるという内容は見やすく痛快だ。
13話目までの1クールのアニメとしてだけ見れば起承転結のスッキリしたストーリーだ

しかし、後半からは、ストレートだったストーリーが重いものになる。
主人公の能力が5分という限定だったのが、4分半、3分半とどんどんと衰退していき、
娘のことを思い、「ヒーロー」を辞める決意をする。
おじさんの哀愁ただよう彼の不思議な魅力は哀愁ただようストーリーになったからこそ中盤から増していく
その魅力にヒロインがしっかりと惚れ込んでいくあたりの展開は自然かつ
それぞれのキャラクターの魅力を十二分に引き出していた

ヒーローの悲哀とも言えるストーリー展開は、前半での王道展開からシリアスで重めな方向へと変わっていく
辞める決意をした彼の決意は相棒である「バーナビー」にも強い影響を与え、
その結果、「敵」が本格的に動く。
虎徹とバーナビーのキャラクター描写をしっかりしたからこそ、
終盤に向けてのストーリー展開が盛り上がりを見せていた。

味方同士の戦いや熱い展開、作画も戦闘シーンも最終話に向け熱が入り
序盤の「クソスーツ」や虎徹の娘の「能力」を上手く見せていたストーリー展開は
王道かつ分かりやいのだが、王道で分かりやすいからこそ「燃える」展開だ。
伏線や設定の使い方が非常に上手く、「バニー」という序盤のあだ名まで上手く利用していた

2クールを熱く終わらせてくれたと感じる一方で、ストーリー的に未解決なことが多く
終盤では強引な展開も多く、脚本的にも雑な部分が目立ってしまった。
ストーリー構成的にも、それまで1話完結の中で本筋のストーリーを進める展開が多かったが
終盤はシリアスな展開が続くような感じになってしまい、テンポが悪くなってしまった

簡単にいえば前半はシリアスな展開までの見せ方がうまかったのだが、
後半はシリアスだらけになってしまいストーリーだけを追うような形になってしまい
前半のキャラクター描写を深めつつのストーリー展開に比べ
もう一歩足りない感じになってしまった。
しかしながら、魅力的なキャラクターや声優さんたちの熱演が
王道ヒーロー物をしっかりと創り上げておりあらを探さなければ素直に楽しめる

声優さんたちの演技も素晴らしかった。
けいおん!でメインを演じた寿美菜子さんはツンデレヒロインを可愛らしく演じており
ブルーローズという魅力的なキャラを作り上げていた。
更には主人公を演じた平田広明さんの素晴らしいおじさん演技は素晴らしかった。
魅力的かつ哀愁ただようおじさんと「平田広明」さんの演技が見事にあっており、
単純に駄目なおじさんではなく、魅力あふれるおじさんになっていた

また企業のロゴについてだが、ブルーローズのペプシネクスだけはCMもあり
しっかりと宣伝して、アニメとスポンサーの見事な融合!という感じだが、
他のスポンサーは「ロゴ」がはってあるだけ。
もっとスポンサーとアニメキャラの融合したCMなどがあれば、
この広告形態に意味があると思うが、ペプシネクス以外はロゴシールというだけと言うのは残念だ
2期があればぜひ、毎話各キャラによるCMが見てみたいところだ

全体的に王道アメコミヒーローのもののような面白さのある作品だ。
前半はストレートにヒーローとしての活躍やキャラクターを描写し、
前半の締めできっちりと敵を気持ちよく倒し、高い完成度を保っていた。
しかしながら後半ではストーリーのテンポが落ちてしまい、
結果として作画の不安定さや、サブキャラクターの掘り下げ不足、戦闘シーンの迫力不足が目立ち
設定や世界観、キャラクターは完璧なのに、面白いのに燃え切れない、面白いのに消化しきれない。
もっと面白く出来るはずだ!と煮え切られない気持ちが最後までつきまとってしまった。

ストーリー的に「俺達の戦いはこれからだ!」+伏線残りまくりで
人気を考えても2期やる気マンマンという感じのストーリー構成になってしまっているのは本当に残念だ
もう少しすっきりと物語を終わらせて欲しかった感じは否めない。

逆に言えばもし2期があるならばぜひ見たいが、
2期をやるならばもっとサブキャラクターにも目を向けていただきたい。
本作品では主人公である二人に焦点を絞りすぎており、
せっかく魅力的なサブキャラが掘り下げ不足で消化不良になってしまった。

しかしながら、一度見る分には申し分ない出来栄えだ。
「ヒーローとの活躍を生放送」「ヒーローにスポンサーロゴ」という斬新な部分に
王道なヒーローストーリーを載せ、そこにしっかりとしたキャラキターを置き
中年男の哀愁すら匂わせ、それぞれのヒーローとのあり方を描写する。
伏線や2期を前提としたストーリーになってしまったことは残念だが、
それでも、きっちりと楽しめる作品だ。

現在2本の映画が制作されたが、TVアニメでの2期はあるのだろうか・・・?
それこそやりようによってはアメリカのドラマのように
何シーズンもストーリーを作れることの出来そうな作品なだけに
今後の展開に期待したい。

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