ロボット

ガンダムビルドファイターズ

ロボット
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評価/★★★★★(99点)

集え!ガンダムファン!これぞガンダムフェスティバル!これぞロボットアニメ!ガンプラバトル・レディィィィゴォォォォォォォ!

本作品はガンダムシリーズののテレビアニメとしては通算15作目の作品。
しかし過去の作品と違い「ガンプラ」をテーマにしたガンダムアニメだ。
機動戦士ガンダム00制作陣が多く参加しており、
大張正己などの有名なアニメーターも参加している。

基本的なストーリーはロボット。
ガンプラを作ることが得意な少年「イオリ・セイ」、彼は完璧なプラモデルを作ることが出来た
しかし、ガンプラを使って行う「ガンプラバトル」は弱かった
ガンプラバトル選手権が近づく中、彼は不思議な少年と出会う・・・
というところからストーリーが始まる。

1話冒頭のたった1秒ほどのシーンで見惚れる。
そんなアニメがいくつあるだろうか。
この作品は冒頭の1シーンで見事に「あ、このアニメ面白い」と実感させてくれる。
私はレビュー中に作品の画像を掲載することはほとんどない。
しかし、私は敢えてココに掲載しよう。


どうだろうか(笑)
おそらく多くのロボットアニメ好きの方はこの1話冒頭0秒のシーンでやられるはずだ。
ロボットアニメとはある意味「破壊の美学」でもある。
戦闘中にどのように壊れるか、壊れ方によって兵器の威力やロボットの強さを実感できる。
このジムの、たった一瞬のシーンの破壊ぶりに何かを感じるロボットアニメ好きは多いはずだ。

この世界に出てくる「機体」は全て「プラモデル」だ。
現実の世界と同じようにこの世界でもガンダムのアニメは放映されており、
現実の世界と同じようにプラモデルも発売されている。
だからこそ、過去のガンダムアニメで出てきた様々な機体が普通に出る。
1話の時点でウィングガンダム、ターンA、Zガンダムetc…が何気ないシーンの中でさりげなく描写される
これまでのガンダム作品を見てきた人なら機体が出る度に不思議なワクワク感と
懐かしさがこみ上げてくるのを感じるはずだ。

それだけではない、この世界では「ガンプラバトル」と呼ばれるものが存在する。
作ったガンプラを「仮想空間」の中で戦わせることが出来るのだ
だからこそ実際のガンダムアニメでは実現できない、ガンプラがテーマのアニメだからこそ出来る
作品の枠を超えた「夢のバトル」が実現する。

ウィングガンダムVSギャン、ジェガンVSデビルガンダム、
アストレイVSトールギス、ベアッガイVS騎士ガンダム、エクシアVSF91
作品の枠を超えたバトルは本来の機体性能とは違い、
プラモの出来栄えと操縦者の腕によるところが大きく、予想外のバトル結果を生み出す。
この世界観だからこそ出来る夢の対決はガンダムファンの心を鷲掴みにする。
組み合わせも「ガンダムファン」なら興奮してしまうほど素晴らしい組み合わせの数々だ。

そして「プラモデル」だからこその自由性。
ストライクガンダムをベースにしたビルドストライク、
ウイングガンダムをベースしたウイングガンダムフェニーチェなどの
オリジナルガンプラがバトルを更に予想外かつ独特な面白さを生んでいる
ステルスを搭載したファンネル、月がなくても打てるサテライトキャノン、
ビームを切り裂くアストレイの刀、足のあるジオング、
プラモデルだからこその自由な改造が戦闘シーンの魅力を更に広げている

その予想外なバトルシーンは「手描き」にこだわって描かれている。
最近のロボットアニメ、ガンダムもそうだが「CG」を多用しすぎていて早いだけの戦闘シーンが多い
確かに早い戦闘シーンはそれだけで見せかけの「迫力」が出る。
だが、手描きで描写されたロボットアニメはきちんとした動き、きちんとした流れによる
「早いだけ」の戦闘シーンとは違う、「見応え」のある戦闘シーンになる。
動きの繊細さ、機体の重量感、破壊の迫力、1枚絵としてのポージングの数々、
流れるような素晴らしいバトル構成を手描きで描き、
魅了される戦闘シーンを一切の妥協のない作画で描いている。

見ているだけで楽しい、見ているだけでニヤニヤしてしまう。
高いレベルで描かれた手描きロボットの戦闘シーンは心躍るものがある。
作品の枠を超えた機体同士のバトル、改造が施されたガンプラ同士の予想外なバトル、
過去のガンダムシリーズを見たことのある人は「懐かしさ」と「夢」を感じ、
もしガンダムアニメを見たことがない人でも手描きロボットアニメだからこその魅力を感じる
「少年心」をくすぐられる戦闘シーンの数々だ。

まさに「ガンプラ」を魅せる芸術的戦闘シーンといっても過言ではない。
登場人物たちがしっかりと細かい部分まで高い完成度で作った「ガンプラ」を見せ、
そのガンプラが迫力満載に画面狭しと操縦者の操縦によってダイナミックに動きまわり、
ガンプラの操縦者の腕を見せつけるような操縦技術の数々を技として見せつける。
早いだけではない、ただ迫力があるだけじゃない。
そこにある「意味のある」戦闘シーンの数々はアニメーションの面白みを最大限に感じることが出来る。

思わず一時停止したくなるほど1シーン1シーンのクォリティを追求しており、
戦闘の締めに各機体の「ポージング」をきちんと魅せることで、迫力のある描写と結末に繋がり
1シーン1シーンのクォリティが高いからこそ、バトルの結末の1シーンまで繋げる
アニメーションが面白い。

更に戦闘シーンも「ガンプラ」だからこその面白さがある。
戦闘前に傷を付けられあっさりとハズレてしまう脚や腕、
戦闘中に殴られ撃たれ切り裂かれ破壊されるパーツ、剥がれ落ちる塗装、
操縦者が実際に載っていないからこそ機体にビームサーベルが突き刺されても動ける
命を懸けていないからこそ機体の損害を顧みない攻撃をすることが出来る
スポーツとして遊びとしての「ガンプラバトル」だからこその大胆な破壊描写で
ガンプラ同士の本気のぶつかり合いが味わえる。

本来のガンダムアニメならばパイロットの命に関わるような破壊描写は
ストーリーのポイントポイントでしか描写できない。
だが、この作品は操縦者が乗っていないからこそめちゃくちゃに壊れても問題がない。
命を顧みない攻撃とそこから生まれる大胆な破壊描写は
この作品の魅力の1つと言っても過言ではない。

しかし、遊びとはいえ、スポーツとはいえ実際にプラモデルは破壊されてしまう。
大会のために何日もの時間をかけて作り上げたガンプラが破壊される様を見ると
作った登場人物たちの気持ちが見ている此方側にひしひしと「喪失感」として伝わる
死力を尽くした戦闘のあとの何とも言えない感傷は
過去のガンダムアニメの最終話を見終わった後のような寂しさと悲しさを味わえる。

更にそんな戦闘シーンが「何話かに1度」などではない。
ほぼ毎話、激しい戦闘シーンやユニークな戦闘シーン、
過去のガンダム作品のプラモ同士によるバトルが描かれる。
毎話のクォリティが高過ぎるのに更に何話かに1度、
画面に釘付けになってしまうほどの戦闘シーンが描かれる。
それはキャラクターとキャラクターの魂がぶつかるような戦闘シーンだ。

そして、そんな戦闘シーンを盛り上げるストレートなストーリー。
基本的にガンダムという作品は「戦争」をテーマにした作品だ。
シリアスなストーリーや重苦しい展開が多く、それが2クール以上の尺で描かれる
そこが魅力でもあるが、逆にそこが欠点でもある。
シリアスな内容と長い尺はとっつきにくさが生まれていると言ってもいい。
しかし、この作品での戦闘はあくまで「遊び&スポーツ」のようなものだ。

主人公であるセイとレイジがコンビを組み、ガンプラバトルの大会を勝ち進んでいく。
これが芯にあり基本だ、故に誰かが死ぬような展開や重苦しい展開はほとんどない
明るい雰囲気の中でガンプラバトルを描き、その中で「大会」というシュチエーションを活かした
個性的な対戦相手とライバルのキャラクター性が光る。

アイドルとして目立つためにガンプラバトルに参加するもの、
女性を口説くときにガンプラを使うもの(笑)、
主人公が好きだからガンプラバトルを始めたもの、
ガンプラを動かす粒子の研究のためにガンプラバトルに参加するもの。
様々な理由や、純粋に「ガンプラバトル」が好きだからこそ参加しているものまで
ユニークに飛んだキャラクターたちだ。

キャラクター数はサブキャラクターを含めると結構多いのだが、
一人ひとりのキャラクターがきちんと立っており、ガンプラが好きなキャラクターだからこそ
キャラクターたちのガンプラに対する愛を感じるストーリーを展開している。
それはそれぞれの戦闘方法や作ったガンプラに特徴として現れ、
より戦闘シーンを盛り上げる要素にもなっている。

大会に進む中でそれぞれのキャラクターを掘り下げるサブストーリーも展開する。
そのキャラクターと作ったガンプラの過去が回想としてさり気なく描写され
主人公と戦っている「敵」のはずなのに、負けてほしくないと思ってしまう。
主人公たちだけでなくライバルやサブキャラクターをきっちりと描き、
それぞれのドラマを主人公とぶつける中で自然に描いている
そのお蔭で表面的、記号的なキャラクターの魅力ではない、深い魅力を感じることが出来る。

最初はクールなライバル女性キャラかと思えば、その数話後には食いしん坊キャラになっていたり、
真面目な生徒会長かと思えばガンプラバトルになると性格が豹変したり、
初登場の印象と何話か後に再登場した時の印象がだいぶ違うキャラクターも多い(笑)

ストーリーははっきりいってしまえば「王道」だ。
夕方アニメに相応しい子供にも分かりやすいシンプルなストーリーといえる
だが、シンプルだからこそ面白い。

世界大会が始まってからは各試合もユニークな内容になっている。
バトルロワイヤル形式で多数の機体が入り乱れたり、
抽選で決まった装備のみで試合が行われたり、チーム戦だったり、レースだったり、
玉入れだったり、的当てだったり(笑)
ユニークな試合の中でキャラクターとガンプラがきっちりと描かれ、
王道でシンプルなストーリーではあるが「燃える」展開を繰り広げる。

更にストーリーの中でのガンダム作品の小ネタ、オマージュ、パロディ要素の数々がはいっている。
過去ガンダム作品のセリフのパロディをキャラクターたちが自然に言ったり
次回予告で有名セリフをネタのようにつぶやいたりと
過去のガンダム作品を見ていれば思わず「あの作品のあのセリフかw」と笑ってしまうほど
さらっとパロディのセリフを織り込んでいる。
自然にセリフの中に入れてるからこそ「ガンダム」を知らない人にとっては普通のセリフに聞こえる
。 この自然なパロディ要素はいろいろな人に受け入れやすいうまいパロディといえるだろう
やりすぎではない適度なセルフパロディだ。

序盤から中盤までは文句の付け所がないのだが、
終盤は若干詰め込み過ぎた感が出てしまったのは否めない。
バトルシーンが少し短くなったり展開が早かったりと、
2クールという尺故にカットされてしまう戦闘シーンも多く、
じっくりと見たかった!と感じる戦闘シーンがいくつかあるのは残念だ。

設定的にも「ガンプラを動かす粒子」の謎と主人公の一人でもある
異世界から来たレイジの秘密やその異世界の事など、
2クールという尺故に描ききれなかった部分も多い。
もちろん「気になり」はするのだが、描写しなくてもすっきりとストーリーは楽しめる。
だが要素の1つとして異世界が出ているのであれば異世界のことも
もっと描写して欲しかったと感じてしまう部分もある。

更にスタービルドストライクガンダムがワンパターンになってしまったことだ。
序盤から中盤までは戦闘シーンのマンネリ感じなかったのだが、
終盤になると主人公機である「スタービルドストライクガンダム」は
必ずビルドナックルという技で勝つパターンが出来上がってしまっており、
戦闘シーンの流れやアクションシーンは素晴らしいのに締めが必ず
ビルドナックルになってしまったのは残念でならない。
主人公たちの戦いよりもその他のキャラ同士の戦いのほうが終盤は面白く感じてしまった。

機動武闘伝Gガンダムが「マスター戦」で少し燃え尽きてしまったように、
この作品も最終戦を前にして息切れしてしまった感は否めない。
6話のザクアメイジング戦,8話のアストレイ戦、15話のファニーチェ戦、、
17話のガンダムX魔王戦、18話のジムスナイパー戦。
どれもこれも素晴らしかった、何度も見たいともわせる戦闘シーンだ。
しかしながら20話以降の戦闘シーンは前述した戦闘シーンに比べてしまうと
魅力にかけてしまっていた、一言で言えば終盤になって息切れしてしまった感じがある、

もちろん息切れしてはいても高いクォリティを誇る戦闘シーンだ。
しかし、それまでの戦闘シーンがあまりにも素晴らしかったため少しの息切れが目立ってしまう
この作品の「平均的なクォリティ」が上がってしまったことで終盤の戦闘シーンが
あと一歩足りないと感じる戦闘シーンになってしまっており、
ストーリー的にも邪魔が入ってしまうことで「燃えきらない」戦闘シーンになってしまったのは
本当に・・・本当に残念だ。

しかしながら最終話でその残念さ加減を吹き飛ばしてくれた。
多くのガンダムが具現化した「ア・バオア・クー」に挑む最終決戦、
それまでのガンプラバトルと違った総力戦の戦闘シーンと満を持して登場した機体の数々、
それぞれのキャラクターの結末を魅せることで物語スッキリと終わらせてくれたといえるだろう。

全体的に見て素晴らしい作品だった。
ガンダムのプラモデル「ガンプラ」を題材にしたセルフパロディのような作品だが
プラモデル同士のプラモデルだからこその熱い戦いの数々は
ガンダムを好きならば、ガンダム作品を見続けた方ならば確実に楽しめる戦闘シーンの数々だ
プラモデルだからこその作品の枠を超えた戦い、プラモデルだからこその改造が施されたプラモデル、
「ガンダムファン」の夢をかなえるような戦闘シーンの数々を
最後まで手描きにこだわり迫力抜群の戦闘を見せつけてくれた。

そんな戦闘シーンを王道でストレートなストーリーが支える。
ガンプラが好きなキャラクター同士のドラマは熱い戦闘シーンをより盛り上げ
最後の最後まですっきりと王道のストーリーを貫き通していた。
そして魅力あふれるキャラクターたち。
ストレートな主人公たちを筆頭に、ユニークで愛着のわくライバルたち、可愛らしいヒロインたち
癖のないキャラクターだからこそストレートなストーリーを熱く盛り上げ、
魅力あふれるキャラクターが動かすガンプラだからこそ心躍る戦闘シーンを魅せてくれる。

欠点を言うならば2クールという尺故に終盤で少し詰め込みすぎてしまった印象のある部分だろう。
異世界の設定や描写不足な部分や、異世界という要素を入れてしまったがゆえに
茶々が入ってしまった名人との戦いなど2クールという尺に収めるために
無理が出てしまった部分があったのは残念だ。

しかしながら、最終話で物語を綺麗に締め、それぞれのキャラクターが幸せに終わり
そして綺麗にハッピーエンドを迎えた。
欠点はもちろんあるが、その欠点を覆い尽くすほどの素晴らしさと
制作スタッフの「ガンダムに対する愛」がこの作品には詰まっていた。

1話から最終話まで「ガンプラ」というテーマできっちりと作品を描き、
1話の最初のシーンから最終話の最後のシーンまで楽しめる、
「ガンダム」を好きでよかったと見ている最中に感じ、見終わった後に
「ビルドファイターズ」は面白い!と声高らかに叫べる作品だ。

今後、この作品の続編が作られるかはまだわからない。
だが、ぜひ見たい。
綺麗にストーリーは締めてくれたが「伸ばす」ことはできるはずだ。
まだまだ登場していない機体も多くある、まだまだ見たい戦いがある。

私はあえて「2期」ではなく「映画」を望みたい。
3部作で3部目には新規ストーリー付きでこの作品を「スクリーン」で見たい。
1作目2作目は総集編でも私は確実に見に行くだろう。
サンライズさん、劇場版の制作、お願い致します。いつまでも待ち望んでいます。

個人的になってしまうが終盤でこの作品を「100点」にするかどうか悩んでいた。
最終話直前の話が少し燃えきれない内容になっていたため90点くらいかな感じていた
しかし、最終話で「クロスボーン」と「エクシアリペア」、
そして「マスターガンダム」が出ることでもう私の中で点数がどんどん上がっていき、
99点という結果になった(苦笑)
私が好きな機体をピンポイントで出すなんて卑怯過ぎる。
特にマスターガンダムは反則だ(笑)

劇場盤か続編、心の底から待ってます。

「」は面白い?つまらない?

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