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ONE PIECE “3D2Y” エースの死を越えて! ルフィ仲間との誓い

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☆☆☆☆☆(5点)

そこが見たいんじゃない。

本作品はアニメ『ONE PIECE』放送15周年記念特別作品。
アニメオリジナル作品であり、原作では描かれなかったマリンフォード頂上戦争から
シャンボンディ諸島再集結の2年間を描いたストーリーが展開されているということで
放送前からファンの期待度が高かった作品だ

見だして感じるのは作画の安定感だろう。
ワンピースのアニメは基本的に作画が不安定な場合が多く、
毎年放映されている「エピソードオブ」シリーズのTVSPでも作画が崩壊している事も多かった。
そんなこともあり見る前から作画には一切の期待はしていなかったのだが、
今回は非常に安定している。
だからこそ内容にも期待してしまったのだが、それが大きな間違いだった

冒頭からやけにダイジェストチックに名シーンを紹介する。
仲間が成長するきっかけになったシーンやいわゆる「泣き」のシーンの数々を
仲間の紹介がてらにどんどん入れていくのだが、
ワンピースのファンならば何度も見たであろうシーンを
今更ダイジェストちっくに見せられても微妙だ。

視聴者はそこを見たいんじゃない、早く2年間の修行シーンが見たいんだという欲求を
開始10分でへし折り、見れば見るほどフラストレーションをためていく。
しかしながら見る前からの期待感、冒頭の激しい戦闘の作画からくる期待感がまだある。
その残った期待感にようやく答えるように「ルフィ」の修行シーンが描かれる
だが短い(苦笑)ほんの5分ほど描いたら修行シーンを終えて
アニメオリジナルのキャラクターによるストーリーが展開しだす。

おそらく多くの視聴者がこう思うはずだ「そこが見たいんじゃない」と。
メインの修行ストーリーではなく、オリジナルキャラクターやサブキャラクターによる
サブストーリーだけどんどんと描写し、修行シーンは思い出したかのようにしか描写しない
そのサブストーリー自体も「原作者が関わっていないオリジナルストーリー」であることが
言われなくともわかるくらいに淡々としたストーリー展開だ

CM抜きで1時間40分の尺を埋めるために「淡々」「ぐだぐだ」なストーリー展開は
ストーリーの爽快感のようなものが一切なく、
冒頭では見所だった「戦闘シーン」も作画自体は崩れこそしないものの
オリジナルストーリーになった瞬間、つまらない戦闘シーンばかりだ。
極力、作画の手間を惜しむようなシーンづくりになっているのがわかりやすいほど
枚数が少なく迫力のあるシーンをカットする戦闘シーンの数々は
シンプルに「つまらない」戦闘シーンだ。

更にオリジナルストーリーを動かしやすく扱いやすい「ハンコック」をメインに
据えてしまったことでルフィがサブキャラのような扱いだ
ルフィ以外の麦わらの一味はほとんどでないため余計にルフィの存在感も薄く、
アニメオリジナルの敵キャラの目的もルフィではなく「ハンコック」のため、
完璧に「ハンコックスペシャル」状態だ。

しかもルフィは修行中の身、覚える予定の「覇気」もまだ完ぺきに使えないため
敵にあっさりと何回もやられてしまう。
代わりに戦うのはもちろん「ハンコック」だ(苦笑)
敵のボスと戦うためにはいわゆる四天王システムを持ちだし、ストーリーの尺稼ぎに必至だ
間間に人気のサブキャラを登場させることで更に尺稼ぎをしており、
ストーリーのテンポがどんどんどんどん落ちて行く。

そのサブキャラがストーリーにがっつり絡んでくるわけでもない
ファンサービス的な意味合いで出しているのはわかるのだが、
ファンサービスというよりも尺稼ぎにしかなっていない

更にハンコックスペシャル状態で本来は盛り上がらなければならない
「ハンコック」とライバル的な立ち位置のキャラクターとの戦いが本当につまらない。
ここ数年で見たアニメの中でこれほどまでつまらない戦闘シーンはあったか?と
自問自答したくなるほどグダグダで寒いだけの戦闘シーンだ。
ある意味、本当にある意味でだが、これだけ寒い戦闘シーンは見所だ(苦笑)

全体的に見てびっくりするほどグダグダな『ONE PIECE』放送15周年記念特別作品だ。
視聴者が期待した部分と全然関係ないサブストーリーばかりを描写し、
主人公であるルフィそっちのけでストーリーが展開し、
ルフィそっちのけで戦闘シーンが展開する。
終盤で思い出しかのように「ルフィが新しい能力を覚えて敵を倒しました」的な
投げやりなストーリーで終わらせてしまい、尽く期待はずれで終わった作品だ

これが45分ほどでまとまっていたらまだ見れたかもしれない。
だが、明らかな尺稼ぎが目立ちまくるストーリー構成は
「話題性で視聴率」を稼ぎたいTV局の思惑が見え隠れしてしまった
(放送日の放送時間、日テレでは24時間テレビをやっていました)

製作側の
「ほら空白の2年間の話だよ?みたいでしょ?」
「あのサブキャラクターが出たよ!ファンサービス!」
「ほら、最後にあのキャラも出たよ。凄いでしょ!」
というような気持ちがビンビンに伝わってくる作品だ。

びっくりする事にBD・DVD化も決定している(苦笑)
これで売れてしまうのがワンピースという作品のファンの愛情なのだろうが、
来年もTVスペシャルをやるのだとしたら、
その愛情に相応しい作品を作り上げてほしいと感じる所だ

「」は面白い?つまらない?

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