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POWER PLANT No.33

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評価/★★★★★(85点)

怪獣だ!ロボットだ!さぁ、戦いだ!5分で味わう劇場アニメ、ここにあり。

本作品は日本アニメーター見本市という企画の中の一本。
監督は吉浦康裕、アニメーション制作はTRIGGER

見出して感じるのは「これが短編アニメのスケールなのか!?」と思うほどの世界観の描写だ
スチームパンクを思わせる廃鉱した町並み、キャラクターたちは同じ服を身にまとい、
そこに一体の「ロボット」が飛来する。
短編アニメの作画レベルではない、これは劇場アニメレベルの作画だ
それほどまで描き込まれすぎた「絵力」と「作品の世界観」に圧倒される。

そして、この作品の世界に存在する「エレキマグマ」が飛来したロボットと戦う。
「エレキマグマ」のデザインは無骨だ、怪獣らしい怪獣といえなくもないが
特徴があるようで無い、派手なようで地味、
だが見た人に強烈な「インパクト」を残すエレキマグマの「巨大さ」の演出が
モニター越しで見るのはもったいないほどの素晴らしい動きを味わせてくれる。

これがアニメにおける「アニメーション」の面白さだ!というの制作の気持ちが伝わるようだ
早いだけではない、細かく動かせばいいというものではない、
無骨でもいい、大胆でもいい、ゆっくりでもいい、
そこにしっかりと「迫力」と動きの「面白さ」があればいい。
ただ速い動きだけで見せかけの迫力を出している最近のアニメの風潮に訴えかけるような
刺激的な作品だ。

この作品の人々は何もしない、眠っているエレキマグマから電気を貰って生活をしていただけだ
エレキマグマも眠り続けるだけで何もせず、彼らの生活は成り立っていた。
だが、そこに唐突に飛来する「ふざけたデザインの巨大ロボット」が街に現れたことで
エレキマグマが眠りから覚める。エレキマグマも眠りを邪魔されたから戦ったに過ぎない。
そこにもしかしたら深い訳があるかもしれない。
だが、2体の巨大な物体がぶつかりあうのにはソレ以上の理由を感じさせる必要はない。

戦闘シーンも物凄く短い。
だが、その物凄く短い戦闘シーンで怪獣による「右ストレート」というシンプルな技を
大胆かつ迫力いっぱいに描写することで「エレキマグマ」という怪獣の
かっこよさをシンプルに、だがストレートに感じさせてくれる。

たった5分という短い尺の中でシンプルなストーリーではありながら
色々と細かい部分まで細かい設定まで知りたくなるような世界観を作り、
そこにシンプルではあるものの、ほとんどセリフがないのにストーリーが分かる構成と
「アニメーション」における動きで視聴者にストーリーをきちんと伝えている。
きっちりと伝わるからこそ「2体」のぶつかり合いを素直に楽しむことができ、
5分という作品なのにまるで2時間の特撮映画をみたような充実感を味わうことができる

全体的に見て素晴らしい作品だ。このクォリティでぜひ2時間のアニメ映画が見たい。
そう強く感じさせるほど「アニメでの特撮怪獣モノ」の描写が素晴らしく、
エレキマグマの無骨で怪獣らしいデザイン、襲ってくるロボットの何ともふざけたデザイン、
街に住む住人たちのスーツ、描かれる1つ1つの要素がきちんと考えられており、
だからこそ短い尺から感じる世界観の深さを5分という尺の中でしっかりと感じることができる。

だが、だからこそもっと見たい。
エレキマグマはどこへ行ったのか、唐突に襲ってきたロボットの目的は?
エレキマグマを失い電気を失った人々はどうするのか?
この5分という尺でもしっかりと満足できるのだが、
もっと見たい、もっとこの作品の先を見せてくれ!と強く思うような
オタク心を強く奮い立たせてくれる作品だ。

最後の人間のキャラクターに寄る一言がまた憎い。
スーツを脱ぎ、蒸気した顔で「あつかった」の一言だ
それは巨大な物同士の戦いを見終わった後の熱い戦いだったという感想なのか、
それとも逃げるさなかで走り回り「熱かった」という感想なのか、
どちらとも捉えられる描写が見終わった後に思わずニヤケしてしまうような感覚だ

この作品は実に「厚く」実に「熱い」作品だ。
ぜひとも続編、劇場アニメ化を期待したい。
いつまでも待ってます。

「」は面白い?つまらない?

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