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おたくのビデオ

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      2016/06/29

評価/★★★☆☆(50点)

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貴方はいつオタクになりましたか?

本作品は1991年にガイナックスが制作したOVA作品。
当時「おたく」という言葉が一気に広まり、
オタク同士のオタク嫌悪などもある中で制作されたオタクによるオタクの作品だ
企画脚本は「オタキング」こと岡田斗司夫、監督はもりたけし

見出して感じるのは懐かしの90年代キャラクターデザインだ。
絵柄だけ見て「この作品は何年代の作品ですか?」と問われれば
間違いなく90年代と言いたくなるような味のあるセル画による作画、
ややひょろっとして情けない感じのする主人公やさりげないパンチラ描写などが
懐かしさを感じると同時に面白い。

そして雰囲気、これぞ80年代という雰囲気を序盤から全開に出している。
大学生の主人公はテニスをし、居酒屋でサークルの打ち上げを行う。
いわゆる「80年代」の絵に描いたような大学生だ。
おたくのビデオというタイトルでありながら、主人公は最初はオタクではない。

そんな彼が高校時代の同級生とたまたま再会する。
これまたこの同級生が「絵に描いたようなオタク」だ(笑)
小太り、メガネ、やや長髪。
わかりやすいまでのオタク的外見が「このキャラはこの後主人公とどう絡むのだろうか」
という期待感を産む。

「あなたにはオタクになったキッカケはありますか?」と
見ているオタクに問われているようだ。
漫画がすきな友人にふと進められた作品をキッカケにオタクになった人もいるはずだ
この主人公はまさに、そのタイプだ。

ただ何となく回りがやっていることをやり、ただ普通に暮らしている主人公だ
「テニス」にも熱が入らず、どこか空虚感を感じている
そんな彼にはアニメや漫画の知識はなく、
コスプレやオタク文化のようなものに触れたこともない

きっかけは些細な事だ。オタクな友人に出会い、強烈な「オタク」に刺激され
オタクへの道を踏み入れる。
夜中までアニメや特撮を楽しみ、目はうつろになり、恋人からは飽きられる。
彼が失ったものは恐らく大きいだろう。
だが、手にしたものも大きい。

オタクである我々が見るからこそ、主人公がオタクになっていく過程が面白く
オタクになっていく過程が「共感」できる
踏み込んだ底なし沼の深さと抜け出せない感覚、
そこに「浸っている」楽しさを生々しく味わうことができる

空虚感のあった主人公の心に「オタク」が入り込むことで満たされると同時に
普通の人からは壁を作られる感覚。
オタクならば強く、強く共感できるはずだ
オタクになったがゆえに恋人と別れてしまう展開など
思わず感情移入してしまう方も居るだろう(笑)

そして唐突に挟まれる実写パート(苦笑)
今やったら色々な批判が生まれること間違い無しの、
予算削減のための「実写パート」はガイナックス社員の悪ふざけという名のオタク話だ
ある種、共感するオタクらしい生々しいエピソードを披露してくれるのだが、
腰を折るようにはさまれるため邪魔だ。

ある種、新鮮ではある。
アニメ本編を描きながら間に「オタクドキュメンタリー」的実写映像を挟むことで
「早く本編を見せろ」という思いが高まっていき、
実写パートから切り替わる瞬間に妙にアニメパートの期待感が高まる
いわゆる「じらし」効果のようなものを産んでいる

ソレと同時に実写パートを見れば見るほど妙に癖になってくる。
もう、本当にどうでもいい話であり、本当にどうでもいい悪ふざけだ(苦笑)
だが、これと同じ悪ふざけをやるようなアニメ制作会社は今はないだろう
批判確実でしかない実写パートをここまでがっつりと
アニメ本編に組み込むOVAを私は今までに見たことがない。
強烈に記憶に残る作品だ。

ただ、ソレと同時にアニメ本編をぶつ切りされる感じは邪魔くさくもあり
その邪魔される感じがこの作品の味ではあるのだが、
普通の作品としてみるとストレスのたまりやすい構成になってしまっている

しかしアニメ本編は物凄く面白い。
これが、たった2話2時間・・・しかし実写パートが半分ほどあるので
実質1時間の尺しか無いがゆえに展開がイベントとイベントをつないだ展開で
もっとゆっくりと、もっと丁寧に、もっとがっつりと
「彼」が普通の人からオタクになり、「オタキング」になる過程を味わいたかった
それこそ4クールないし5クール、全50話ほどでがっつりと
「彼」のオタク道が描かれていればこの作品はもっと名作になり得たはずだ。

実写悪ふざけパートを入れて2時間しかないがゆえに、
もう一歩人物描写が足りずストーリー的にも唐突な展開が目立ち、早足だ
ストーリーがストーリーというか「プロット」のまま作られている感じが強く、
前半のリアルな青春ドラマから後半急に「ヲタクが考えた妄想ストーリー」のような
トントン拍子のサクセスストーリーにあまり面白みを感じない。
荒唐無稽さが面白いといえば面白いのだが・・・

前半で感じた共感できるまでのオタク描写の期待感から生まれるストーリーとはいえず
実写パートの悪ふざけがアニメパートまで食い込んできてしまったような感覚だ
これが2クールや4クールのアニメならば
後半のサクセスストーリーが生きてくるのだろうが
全2話のOVAではあまりにも展開が唐突でついていけず、
序盤から中盤まではこの作品に強い愛着すら湧いていたのに
後半からついていけない感覚のまま終ってしまっている。
ある種、オタクを題材にした作品らしいとも言えるが(苦笑)

全体的に見て個性が物凄く強い作品だ。
90年台の作品でありながら「80年代のオタク」を題材にするという
素晴らしい目の付け所と生々しいオタク描写、
普通の人がオタクになるまでの道のりは共感と同時に強い面白さを感じる。

だが、同時に後半からはトントン拍子のサクセスストーリーになってしまい
それだけでもツイていけないのに、
サクセスストーリーのオチも含めてついていけない感じが強くなってしまい
前半に感じた面白さを後半には感じない作品になってしまっていた

個人的には嫌いじゃない作品だ。
実写パートはあるもののアニメパートの作画は素晴らしく、
細部まで描き込まれた「80年台のオタク描写」は一見の価値がある。
アニメパートの内容ももっと尺があれば、もっと面白い内容になっただろう
それだけの「ポテンシャル」をこの作品から物凄く感じる。

そして実写パートも、ある種、オタクが見れば「同族嫌悪」のようなものが
生まれるときもある。
それが実写パートの狙いだとすれば大成功なのだが、
逆に実写パートがあるがゆえに何度も楽しみにくい作品になってしまっている。

この作品がもし、
実写パートがなく全4話で作られていれば評価は違ったかもしれない。
前半2話で主人公がオタクになるまでの道のり、
後半2話でサクセスストーリーと挫折を描けば、
この作品の欠点がもう少し薄まったかもしれない。
本当に色々と残念な作品だ。

だが、同時にオタクならばこの作品を見てもらいたい。
荒唐無稽さ、荒削りさは感じるもののオタクなら「面白い」と思えるはずだ
私はこの作品を何年後かにまた「見たい」と確実に思うだろう。
良い所も悪い所も含め、この作品は愛すべきオタクアニメといえるだろう

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