ファンタジー

七つの大罪」

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評価/★★★☆☆(49点)

良くも悪しくも王道

原作は漫画な本作品。
ライジングインパクトの作者といえばピンとくる人も多いだろう
監督は「世界征服 謀略のズヴィズダー」の岡村天斎、製作はA-1 Pictures

見だして感じるのは「王道感」だろう
剣と魔法の世界、酒場から始まるストーリーと典型的なボーイミーツガール、
非常にわかりやすい「世界観」とストーリーの流れと設定のおかげで
「王道」という言葉が頭によぎる。
変に凝った設定もない、変に属性の多いキャラクターもいない。

まるでスポンジに水が吸い込まれるごとく「自然」に作品を受け入れられる
少なくとも序盤の段階でこの作品を「嫌い」という人はまずいないだろう
それほどまでに「ファンタジー」の王道だ
ダイの大冒険のような、ドラゴンボールのような、聖闘士星矢のような
まるで王道作品が連載されていた当時に連載されていてもおかしくない
そういった「ジャンプ黄金期」の匂いと雰囲気を醸し出している

特にキャラクター設定はものすごいわかりやすさだ
「王女」のヒロイン、「豚」のマスコットキャラ、そして「剣」を持つ強い主人公と
はっきりいってしまえばベタな感じの強いキャラクターではあるのだが
奇をてらった昨今のアニメ・漫画作品のキャラクターとは違い
ベタだからこそ「わかりやすい」面白さが生まれており、
「予測」できるストーリー展開ではあるものの、しっくり来る面白さがある。

その中で郡を抜いているのは主人公だ。
ドラゴンボールのようにヒロインの「胸」を揉みしだくが
変なシモネタ感は一切なく、外見は子供だ
いざ戦闘シーンになれば異常とも言えるほどの戦闘力を見せつける
「これぞ主人公」と言いたくなるほどストレートな主人公像であり、
物語の主軸の主人公が余計な味付けがされていないからこそ
王道の面白さを王道に楽しむことが出来る

その王道の面白さは魅力的な1シーンがあるからこそ維持できている。
「敵が遠くから投げた槍を、主人公が投げ返す」
文章にすれば1行でしかないシーンを豪快に迫力満載に描くことで
王道の面白さより強固なものに仕上げている。
淡々とした王道ストーリーではあるものの、
淡々とした中にそういった「魅力的な1シーン」があるおかげでダレたりはしない

更に適度なお色気とギャグ。
お色気に関しては前述した「胸もみ」の他にパンチラなどもあるのだが、
いわゆる「少年漫画」の中のお色気シーンとして描かれており
最近のアニメでにあるような「セクシーシーン」ではない。
あくまで思春期の少年が思春期なりに楽しむことの出来るお色気だ。

ギャグに関しても適度なギャグであり爆笑こそしないものの
キャラクター同士の掛け合いから生まれるギャグ要素は
キャラクターの印象を強めるシーンにもなっており、
淡々としたストーリーのいい刺激になっている

そして、きちんと「芯」のストーリーがあることだろう。
10年前までは王国に仕え最強の騎士団を従えていた主人公、
だが何者かの策略により大罪を押し付けられ10年前の記憶も失っている
かつての仲間「7つの大罪」と呼ばれている自分以外の6人を探し、
10年前の真相とクーデーターが起きた王国を救うという
主軸のストーリーが序盤で分かる。

淡々としたストーリー展開ではあるが
「芯」のストーリーが進んでいる事がわかるため、ダレない。
簡単にいえば「ドラゴンボール集め」の如く
罪をかぶせられ隠れている仲間を探す旅であり、一定話数ごとに
新しい仲間が見つかるためストーリーが進んでいることを実感しやすい。

この部分は原作から改変や省いたエピソードがあるらしく、
原作を読んでる人にとっては不満に感じる部分もあるかもしれないが
「2クール」という尺が決まってる中でダレさせず
王道をストレートなストーリー構成に落とし込んだ事は素直に評価したい

ただ、そのせいで終盤詰め込み過ぎた感じが強く出てしまった。
キャラクターも増えたことで「ごちゃごちゃ」した感じが出てしまい
大量のキャラクターがいろいろな所で戦っていて場面が切り替わる。
「バトル漫画」でよくあるシーン構成ではあるものの
バトル展開の「悪い部分」でもあり、
ある意味、王道のこの作品だからこそ王道の悪い部分も垣間見えてしまった

さらに言えばこれもバトル漫画の宿命ではあるのだが
中盤以降から敵のインフレが酷い。
強さのバランスや強さの描写がいまいちわかりづらく、
主人公はかなり強いはずだったのに、どんどん敵が強くなっていって
瀕死の怪我を主人公たちが負いまくっても
死なないパターンがあまりにも多く(というか100%)
敵も死んだと思わせて生きてましたパターンがあまりにも多い。

キャラクターは増えるのに物語から退場するキャラがおらず
最強の回復魔法的なものに目覚めるキャラクターもでる始末で
キャラクターがピンチになっても
「結局死なないんだろう?」と緊迫感が薄れてしまう。

ストーリー的にも2クールでは終わらず
7つの大罪の6つまでしか揃っておらず、
キャラクターたちの本来の武器も揃っていない。
原作はまだまだ続いているため仕方なくはあるのだが、
中途半端な感じに終わってしまったのは残念だ

全体的に見て良くも悪くも「王道」のジャンプ漫画のような作品だ
わかりやすく馴染みやすい世界観、愛着のモテるキャラクターたち、
そんな世界観とキャラクターたちがまっすぐとストーリーを綴ることで
王道の面白さを「ひしひし」と実感できると同時に、
王道であるがゆえの欠点も実感できてしまう作品だ。

良くも悪くも連載バトル漫画の面白さと欠点を内包しており、
逆に言えば面白さと欠点がわかりやすいため楽しみやすい作品ではある。
ただ、尖った面白さがあるとは言いがたく、それゆえに大きな欠点もない
王道の面白さと同時に「テンプレート」的な要素も非常に多いため、
この作品だからこその面白みがあるとは言いがたい。

ただ、ここ最近変に複雑な設定や奇をてらったキャラクターの作品が多い中で
こういった昔ながらの王道作品は見ていて不思議な心地よさを感じるものがある
出来れば2クールではなく、もう少し原作ストックが溜まってから
4クールくらいでがっつりとアニメ化して欲しかった所だ

原作は現在15巻まで出ているが調べた所12巻くらいまでをアニメ化したようだ
あらすじやストーリーの流れを見る限りだが、
4クール尺貯まるまで待てば原作も完結したかもしれない。
DVDの売り上げ的にも爆死ではないがあまり芳しくなく、
2期は原作の売上伸び次第という感じだろうか。
原作の売上を伸ばすことがアニメ化の目的の1つかもしれないが、
個人的にはアニメ化が少し早かった印象は拭えない。

2期があるならば期待したいが、
原作ストック的に3~4年位掛かりそうなのが気になる所だ(苦笑)

「」は面白い?つまらない?

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