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これぞアニメ映画だ!今すぐ映画館へパンツァー・フォー!「ガールズ&パンツァー 劇場版」レビュー

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評価/★★★★★(98点)

これぞアニメ映画だ!今すぐ映画館へパンツァー・フォー!

本作品はガールズ&パンツァーの劇場版。
よくある総集編ではなく、完璧なオリジナルストーリーであり
テレビアニメ版の続編となっている。
監督は水島努、製作はアクタス
なお、レビューにはネタバレを含みます。

見だして感じるのは「音の圧」だろう。
TVアニメを見る時では絶対に味わえない映画の「音響」だからこそできる
ド迫力な戦車の「音」は冒頭から体に直接叩き込まれるような刺激があるほどの
「砲撃音」を劇場いっぱいに鳴り響かせており、
恐らく多くの人が「あ、見に来てよかった」と思わせる音の演出になっている

更にスクリーンを意識した戦車の動かし方。
TVアニメではTVサイズを意識した画面作りになっていたが、
本作品はきちんと「スクリーン」を意識した画面作りになっており、
ガールズ&パンツァーの魅力の1つでもある「戦車同士」の戦いが
画面が広くなったことで、より大きく、より多く1つのシーンの中に描写しており
映画だからこそ、スクリーンだからこその密度は流石、水島努監督と言わざる得ない

そしてストーリー。
多くの方が「一体どんなストーリーなんだ」と何も調べていないと気になる所だろう
TVアニメでは廃校を阻止するために戦車道を復活させ
優勝することで配向を間逃れたというシンプルなストーリーとなっており、
「世界大会」を匂わせるようなストーリーで終わっていた。

本作の冒頭から、思わずTVアニメを見た人ならば
「そうきたか!やってくれるぜ!」と思わず叫びたくなるようなほどの
素晴らしい「ファンサービス」的な試合を見せてくれる。

TVアニメで主人公たちと最初に戦ったダージリン率いる聖グロリアーナ女学院、
雪上での素晴らしい戦いをしたカチューシャ率いるプラウダ高校、
そんなTVアニメを見ていたならば間違いなく記憶に残っている対戦相手が
なんと「タッグ」を組み、大洗女子学園とのエキシビションマッチを開催している

強敵だった2校がタッグを組み主人公と再戦する。
もちろんエキシビションマッチであるため負けたらどうこうというわけではない
だが、こんな「燃える展開」があるだろうか?(笑)
あれだけ苦戦した2校、1校だけでも強かったのにまさかのタッグ、
しかもこちらの味方はTVアニメでは描かれなかった敗戦校の知波単学園、
どんな戦いを見せてくれるのか、見ていない人は気になって仕方ないはずだ。

しかも、それが「がっつり」描かれている。
ただのファンサービスというよりも本編の一部、
前半の盛り上がりとして見どころの1つとなっており、
10分や15分ところではないがっつり描かれるエキシビションマッチであり、
お馴染みの大洗町を舞台に映画だからこそ「壊しまくり」な
戦闘シーンの迫力は思わず手に汗握ってしまう。

この作品は一言で言えば「分かってる」作品だ。
TVアニメのガールズアンドパンツァーを見た人が望む試合、
こんな戦いが見たかった、こんな展開も見たかった、
彼女たちの姿を、彼女たちの戦車道を「もう1度」見たい。
そんなファンの希望がそのまま実現したかのような
ファンサービス溢れる内容になっている。

この作品は非常に「キャラクター」が多い作品だ。
主人公の学校だけでも多くのキャラクターがいる中で
敵戦校にもメインキャラクターとサブキャラクターで最低2名以上いる。
敵戦校も黒森峰、聖グロリアーナ、サンダース、アンツィオ、プラウダと
5校もあることで必然的に大量のキャラクターが存在する。

TVアニメを見た方ならば「好きなキャラクター」が必ず存在するはずだ
一人一人のキャラクターが非常に個性豊かで魅力が溢れており、
あのキャラクターが「映画」に出ているのか気になっている人もいるはずだろう
断言しよう、間違いなく出ている(笑)

本来TVアニメの映画化となると映画という2時間前後の尺にまとめるために
キャラクター描写がおざなりになったり、
主人公たち以外のキャラクターの描写がほとんど無かったりする場合が多く
不満に思ったことがある方も居るはずだ

しかし、この作品は違う。
ただ「画面」に出すのではない、きちんと「もう1度」活躍させる
一人一人のキャラクターがしっかりと描かれ、
それぞれの「見せ場」をきちんと作る事で
TVアニメを見た人の「キャラクターに対する愛情」にきっちり応える形となっており、
それが2時間という尺にぎゅっぅぅ!っとこれでもか!これでもか!と
言わんばかりに詰め込まれている。

ストーリー的には今回もシンプルだ。
廃校を阻止したはずが、実は「口約束」だけしかしておらず
その約束が守られず廃校の危機に再び陥る。
しかし、そんな事で諦める彼女たちではなく
「大学選抜チーム」に勝つことで今度こそ廃校を撤回してもらうことになる。

このシンプルなストーリーがあるからこそキャラクターが引き立つ。
TVアニメも目的が「優勝」というわかりやすい道筋を作ったあと
その道筋をシンプルにだがまっすぐに走り抜けていた作品だったが、
映画でもその「突き抜けるような」真っ直ぐさは変わらず、
わかりやすいストーリーだからこそ、その中での「戦車」と「キャラ」描写が凄い

ある意味、反則的なストーリー展開とも言える。
というよりも制作側がまさか「そんな展開」にしてしまっていいのか?と
思わず笑ってしまうような、そんな予想もしたことはあるが、
まさか本当に予想通りになるとは思わなかったと言うようなストーリー展開だ。

ぶっちゃけていってしまおう。ネタバレだ。
いや、逆に見ていない人でもこのネタバレを見てしまえば
思わず「まじか!!明日見に行こう!」と思うはずだ

この作品の最大の山場は「大学選抜チーム」との戦いだ。
相手の戦車の数は30、こちらの戦車の数は8。
試合の前から圧倒的な戦車の数、実力差がある中で絶望的とも言える状況だ
しかし、そんな彼女たちの前に彼女たちが現れる(笑)

あ、黒森峰女学園だ!
あ、聖グロリアーナ女学院だ!
あ、サンダース大学付属高校だ!
あ、プラウダ高校だ!
あ、アンツィオ高校だ!
え? 知波単学園まで!?

反則だ(笑)
彼女たちは「一時的な転校」という反則技を使う事で
一時的に大洗女子学園とタッグチームを組み、「大学選抜チーム」に挑む。
TVアニメでさんざん戦った彼女たち全員と「仲間」となって強敵に挑む。
荒唐無稽で突飛で若干無理のある強引なストーリー展開とも言えるのだが、
何故か許せてしまうほどの反則技だ
そんな反則的ストーリーだからこそ「試合」が熱さがが半端ない。

今回の試合の舞台は「遊園地」だ。
ガールズ&パンツァーは市街地戦など面白い場所で戦う事もあったが、
今回の試合の舞台である「遊園地」は格別だ。

時には「ジェットーコースター」を利用し、
時には「迷路」を利用し、時には「観覧車」を利用し、めまぐるしい戦いを描く。
はっきりいって「ふざけている」ような戦い方とも言えなくはない(笑)
だが「遊園地」という場所で戦車がサバイバルゲームをしたら?という
シンプルな構想をここまで面白くできるのかと思わず笑ってしまうほどの
ユニークな戦い方の数々は本当に手に汗を握りながらニヤけてしまうほどだ。

反則的なストーリー展開、反則的な「遊園地」という舞台。
この2つが組み合わさることで大量のキャラクターたち一人一人、
大量の戦車1台1台にきちんと「見せ場」を作っており、
単純な戦車と戦車のぶつかり合いではない、
「状況」を利用した頭脳戦、キャラクターたちの個性が現れる
戦いの数々は本当に素直に面白い。

そして最後。
頭脳戦をやったからこその最後のストレートなぶつかり合いと決着の付け方は
最後の一瞬まで「瞬き」を忘れるほどの本当に素晴らしい戦闘シーンだった
圧倒的な「大学選抜チーム」の力量もきちんと描けており、
だからこそ本当に最期まで結末がわからない「ギリギリ」の戦いが
最後の一瞬まで描けていた作品だった。

全体的に見てこれぞアニメ映画と言わんばかりの作品だった。
劇場の音響を最大限の利用した「戦車の音」、
スクリーンを意識した画面を大きく使ったシーン描写、
これが見たかった!を超える「まさかそんな展開まで!?」と言いたくなるような
強引で反則的だが素晴らしいストーリー展開の中、キャラ一人一人にスポットを当て、
ストレートなストーリーを素晴らしいキャラと熱い戦闘シーンで盛り上げ、
1つの映画を最初から最後まで存分に味わせてくれる作品だった

本当に見終わった後にお腹いっぱいになるような感覚だ(笑)
見る前の期待感を冒頭の30分で満たしたかと思えば、
もう食べられませんと言ってるのに強引に流し込まれるような感覚になるほど
「これでもか!これでもか!」と言わんばかりの戦闘シーンの数々。
正確にはかったわけではないが、恐らく尺の7割は戦闘シーンだ。
サクサクとストーリーが進むため2時間の尺が濃厚だがあっという間だ

大量の戦闘シーンを描くのは予算も時間もかかる。
だが、大量の戦闘シーンがあるからこそ大量のキャラクターをさばくことができ、
その大量の戦闘シーンの1つ1つが凝りまくっているからこそ、
キャラクターが活き活きと動き、ストーリーがより盛り上がり
戦闘シーンが熱くなる相乗効果を生んでいる
ガールズ&パンツァーという作品が嫌いでないかぎり、間違いなく楽しめるだろう。

欠点を言うならばTVアニメを見ていないと若干ついていけない部分と
敵の描写が若干浅いことだろうか。
飛び級した少女というキャラクターではあったが、
もう少し掘り下げあっても良かったのでは?という感じもあり、
新しいサブキャラの掘り下げもほとんどない。
だが、逆に映画での追加キャラクターにばかり尺を割くような作品に比べれば
気にならないとも言える。

本当にぜひ「劇場」で味わってほしい作品だ。
あの「音」の圧、スクリーンの迫力、
「映画館」だからこそ味わえる作品の面白さがきっちりと出ており、
ガールズ&パンツァーを楽しんだ全てのファンの期待に200%答え、
むしろ「いや、そこまで望んでなかったんだけどw」と言ってしまうほどの作品だ

続編というのはあるのだろうか?
世界大会やプロリーグなど今回も続編ができる要素を匂わせているだけに
本当に強く「2期」を期待したい、いっそ2クールでもいい。
いや劇場三部作でもいい。
もっと、この「ガールズ&パンツァー」という作品を味わいたい
より強くそう感じさせる素晴らしい作品だった。

個人的に「カチューシャ」が物凄い可愛かった
大洗女子の制服を着た彼女の萌袖っぷりが本当に愛くるしく、
カチューシャファンの方は必見だ。
ついでにいうならば「風紀委員」のやさぐれ&きゅうりの食べっぷりは
今思い出しても爆笑してしまう(笑)

まだ見ていない方、ぜひ「劇場」で御覧ください。

「」は面白い?つまらない?

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