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荻窪を舞台に描かれるSF初恋物語?「宇宙パトロールルル子」レビュー

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評価★★★☆☆(59点)全13話
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あらすじ 銀河指定宇宙移民地区・OGIKUBOに住むルル子は、同居する父親が宇宙パトロールの刑事であるということ以外はごく普通の女子中学生だった。
引用 – Wikipedia


荻窪を舞台に描かれるSF初恋物語?

本作品はTIGGERによるアニメオリジナル作品。
TRIGGER設立5周年記念作品となっており、
監督は今石洋之、制作はTRIGGER

見だして感じるのはカオス感だろう。
今石監督らしい「カートゥーンアニメ」的なド派手なキャラの反応、
若干のグロさを含んだやりすぎと勢い混じりの
荒唐無稽なストーリー展開は掴みどころが一切ない。

舞台は荻窪だが宇宙人が移民してきており、
そんな荻窪に住む主人公が冷凍状態の父を助ける資金を稼ぐために
「宇宙パトロール」としてバイトを始める。

予想ということが一切できない。
この作品の脚本を描いた人はどんな思考でこのストーリーを作り上げているのか、
はっきりいってしまえば滅茶苦茶ともいえるストーリー展開が、
見る側の予想を全て裏切り、見る側に「思考」というものをさせない。

考えるだけ無駄なのだ(笑)
ハイテンションかつカオスかつハイスピードで描かれる内容を
頭にひたすら叩きこまれ、それが面白いのかどうかの判断をする思考を鈍らせ、
1話1話があっという間に終わっている。

1話あたり10分という尺だからこそ、このカオス感が余計にましており、
それがきちんと面白さになっている。
これが30分だったらグダグダだっただろう、
5分だったらカオスすぎて面白さになっていなかっただろう。
「10分」という枠の中での限界ギリギリのカオスを溢れる寸前まで描いている。

ただ人によってはごちゃごちゃし過ぎな感じが強いだろう。
「今石監督」、特に「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」を
好きな人にとってはこのごちゃごちゃ感じはたまらないが、
逆にごちゃごちゃした感じが苦手な人にとっては面白さは感じにくいだろう。

さらに言えばTRIGGER作品を見ていないとわからないネタもある。
ゲスト主演的に他作品のキャラクターも出ており、
TRIGGER設立5周年記念作品だからこそのサービスであり、
TRIGGER制作の作品を見ていれば楽しめるだろう。

そして、意外と芯にあるストーリーはしっかりしている。
展開や描写は荒唐無稽ではあるものの、
きちんと宇宙パトロールになったルル子のストーリーと恋愛模様を描いており、
芯のストーリーがめちゃくちゃな展開を支えている。

特に終盤のストーリーの意外性は凄い。
主人公の恋の正体、主人公が恋をした相手の正体とボスの目的、
詰め込みまくって入るが最後の最後で
どストレートに描かれるSFラブストーリーは何故か不思議と
ほっこりと見終わることのできる作品だ。

全体的に見て1話のノリが面白いと感じられれば
最後まですっきりと見ることのできる作品だ。
カオス、荒唐無稽、滅茶苦茶、そんな言葉がふさわしい作品なのに
描かれるストーリーは「甘酸っぱいラブストーリー」であり、
ごちゃごちゃした中にきちんと伏線を入れており、
それが最後の「ほっこり」と未追われる気持ちにつながっている。

考えてみればベタな感じのストーリーなのに、
そこに「今石ism」ともいうべき熱さと、
「TRIGGER」らしさを1クールの尺の中にぎゅう!っと
これでもかと押し込み、混ぜ込み、1つの作品にしあげている。

高い評価をしにくい部分もある。
良くも悪くも好みが別れる作品であり、だが、
制作側のやりたいこと、監督の好きなことがつめ込まれた
アニメに対する「愛」を感じる作品だ。

最後の最後でTRIGGER設立5周年記念作品だからこその
「TRIGGER」という言葉が出てきた時は唐突な感じはあるのだが、
ついつい「うまいっ!」と思ってしまった(笑)

ぜひ騙されたと思って1話から最後まで見てほしい。
TRIGGERという製作会社、今石洋之という監督、
その両者が200%やりたいことを詰め込みまくっている。
好みは別れる部分はあるが少なくとも「つまらない」とは感じないはずだ。

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「」は面白い?つまらない?

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