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これぞ日本流プリズンブレイク?w「監獄学園」レビュー

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評価★★★★★(86点)全12話
1301

あらすじ 2011年4月、東京都郊外にある私立八光学園。首都圏でも有数の進学実績と厳格な規律で知られる全寮制の高校は、本年からきわめて大きな転機を迎えることとなった。生徒総数1021名、うち女子生徒1016名、差し引き男子生徒5名。(キヨシ、ガクト、シンゴ、ジョー、アンドレ)この年から女子高より共学高へと転換したため、このような歪な男女比が実現してしまった。引用 – Wikipedia


これぞ日本流プリズンブレイク?w

原作は週刊ヤングマガジンで連載中の漫画作品。
監督は水島努、制作は J.C.STAFF。
実写ドラマ化などもされた。

見だして感じるのは「影の濃さ」だろう。
キャラクターの顔の陰影や、服の濃淡など、
非常に濃ゆい劇画調のキャラクターデザインだ。
女性のキャラクターの場合は唇が「ぷるっ」っとしており、独特の癖がある。

クセのある濃ゆいキャラクターデザインのキャラクターが
非常に表情豊かに顔を変化させながらリアクションをする。
ある意味で顔芸と言ってもいいくらいの顔の変化を、
ギャグとしてではなくさり気なく描写することで、
思わず笑ってしまう笑いに変わっており、一瞬の表情が見逃せない。

そしてエロス。
ある意味、この作品の中核をなすと言っても過言ではないセクシー描写だが、
残念ながら地上波では「光規制」が入る。
最近、こういった規制が入るアニメも少なくなったが、
この作品はわかりやすくパンチラなどの描写に光規制が入る。

しかし、見せるところはきっちり見せる。
光規制の要らない「胸」の描写など、
光規制でストレスを感じさせるのではなく、
修正されているシーンでもきっちりと楽しめるように工夫がされており、
ストーリーのテンポが良いため規制シーンが長引かないからこそ、
光規制が気にならない。

もっとはっきり言ってしまうと
思わず「光規制の下が見たいっ!」と感じさせるほど
絶妙な光の入り方をしており、光の周辺の描写が気合い入りまくりで、
光が差し込んでいてもかなりエロい(笑)
思わず、その下が見たくなる光規制の仕方は逆に好感が持てる

そして、その濃ゆいキャラデザと顔芸、エロスを
「バカバカしいストーリー」の中で描写する。
はっきり言ってくだらない、はっきり言って荒唐無稽だ。
なにせ女風呂をのぞこうとして、学園内の監獄に入れられるという
ストーリーの始まり方だ(笑)

監獄という言葉だと「シリアス」な雰囲気を想像してしまうかもしれない。
しかし、この作品は基本的にふざけている。
監獄に入れられた5名の男子生徒のうち、ほとんどマゾである。
何を言っているかわからないと思うがそのとおりなので仕方ない(笑)

監獄に入れられ、強制労働の数々を強いられる中で、
さぼったりすれば裏生徒会の女性メンバーから「お仕置き」を受ける。
ムチで打たれたり、踏まれたり、つばを吐きかけられたり、跨がられたり。
もはやご褒美でしかない仕打ちの数々を甘んじで受け入れる。
特殊な性癖の持ち主が見れば「うらやましい」と思える内容だ(笑)

ただ、「血液」「糞尿」などのネタは人によっては受け入れられないだろう、
セクシー要素も「女性が男性の顔面にまたがったり」する表現もあるので、
光規制があるにせよ過激なことは間違いない。
この過激さは好きな人にとっては笑いになるが、嫌悪感を抱く人もいる表現だ。

そんな濃ゆく、馬鹿げて、エロい内容がテンポよく描かれる。
はっきり言って早すぎる感じもするテンポなのだが、
つめ込まれたストーリー展開のおかげで「濃ゆさ」とバカバカしさが際立っており、
これでテンポが悪ければ間延びして笑えなかったかもしれないだけに、
この詰め込みまくりなテンポはこの作品にはふさわしい。

ストーリー的にはプリズンブレイク的なことを想像してもらっても良い。
監獄に入れられてしまった男子生徒が脱獄を計画する。
しかし、プリズンブレイクのように「真面目」な理由はない、
頭脳戦のような戦略もない、全てがくだらない(笑)
欲望に従った理由で脱獄を計画し、裏生徒会のメンバーの裏をかき、
脱獄をしようと奮闘する。

真面目な理由でもなく、頭脳的な戦略で脱獄しようとするわけではないため、
逆にストーリーの予想が全くつかない。
予想外すぎるハプニングははっきりって「下品」にも感じるハプニングなのだが、
その下品さが強烈な笑いにつながっており、
こんなハプニングをストーリーの流れの中でよく自然に描けるものだと
若干関心すらしてしまう(笑)

決して唐突なストーリーではない、きちんとした伏線とストーリーの積み重ねが、
下品なハプニングと荒唐無稽な展開を生んでおり、
あの伏線をここで活かしてくるのか!あの伏線をこのシーンに活かすのか!と
きちんと伏線と積み重ねによるシーン描写になっており、
唐突に感じないストーリーにつながっている。

芯にあるストーリーがしっかりあり、突拍子もない展開ではなく、
きちんと「考えられた」ストーリー展開だからこそ、
荒唐無稽かつ下品なストーリーが純粋な見応えのある面白さになっている。
特に終盤の「バカバカしさ」と「エロス」と「緊迫感」のあるストーリーは
この作品の面白さが凝縮されており、最後まできっちりと楽しめた。

キャラクターも憎めないキャラばかりだ、
特にほとんどの女性キャラクターは主人公たちにとって敵であり、
本来は理不尽な暴力を行う嫌悪感抱いてもおかしくないキャラクターなのに、
その理不尽な暴力に対し、きっちりと男性キャラが「罪」を犯しているからこそ、
その理不尽な暴力を慣用でき、嫌悪感も生まれない。

男性キャラたちも馬鹿ばかりだ(笑)
欲望に忠実であるがゆえにまっすぐで、
欲望に忠実であるがゆえにミスを犯し、
欲望に忠実であるがゆえに憎めない。
愛すべきバカはこの作品には欠かせない要素だろう。


全体的に見て素晴らしい作品だ。
癖はあるが劇画調で濃ゆいキャラクターデザインからは想像もできない、
下品さとバカバカしいまでのストーリーとギャグ的なセクシーシーンの数々が相まって、
素晴らしい面白さを醸しだしており、そこにハイテンポなストーリーが
一切のダレを生まずに最初から最後まで楽しめる作品に仕上げている。

非常にピーキーな作品だ。
1つ1つの要素がとんがっており、
少しでもその要素が薄まってしまえば面白さが生まれないのだが、
絶妙なバランスで組み合わさっているからこそ、強烈な面白さになっている。

バカバカしさの極みをしっかりとしたストーリーと
愛すべきキャラクターで見せてくれる。
ストーリーをきっちり積み重ねたからこそ、伏線を活かしたからこその、
最終話の「キスシーン」はある種の感動と同時に爆笑だ(笑)

ストーリー的に主人公たちのプリズンブレイクは終わっており、
1つの作品を見終わった充実感もきっちりと感じることができるのだが、
2期に繋がるストーリー要素はもちろんある。
この要素は排除して1つの作品として区切りをつけて欲しかったという
部分もあるのだが、完成度が高かっただけに2期への期待感も大きい。

制作スタッフのこの作品に対する愛と
「面白くしよう」という強い意気込みを
最初から最後まできっちりと味わうことができた。
同じスタッフで2期を見たいと強く感じる作品だ。

欠点といえば下品すぎるセクシーシーンだろう。
単純な胸やおしり、下着だけではなく、
人によっては嫌悪感をいだきかねない要素もあり、
エロ要素だけでなく色々ろな要素が「濃ゆい」ため、
その濃ゆさがくどく感じてしまう人もいるだろう。

好みが別れる部分はあるのだが、
「誰にでも好まれる作品」という逃げの描写に走らず、
ひたすらこの作品の面白さを200%引き出して描写しており、
1話を気に入れば右肩にならず最後まできっちりと楽しめる作品だ。

個人的に全く関係のない話なのだが、
なぜか「魁!クロマティ高校」を思い出した。
あの作品は純粋なギャグでありエロスはないのだが、
劇画キャラクターデザインでギャグをヤるという内容に
類似性を感じたのかもしれない。

売り上げ的には1巻あたり4000枚前後とやや微妙な売上だ。
正直、セクシーな要素が多く内容も良かっただけに
もう少し売れると思ったのだが、残念だ。
ただ、決して2期を望めない数字ではなく原作の売上が伸びれば、
2期もやれないことはないだろう。

このバカバカしさと清々しさをもう1度味わいたいだけに、
まだ見ていない人は是非見てほしい作品だ。

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