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圧倒的な世界観とストーリーの歯がゆさ「龍の歯医者 天狗虫編 殺戮虫編」レビュー

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      2017/03/02

評価★★★★☆(62点)全2話

あらすじ 舞台は「龍の国」。国の守護神の龍を虫歯菌から守る新米歯医者の岸井野ノ子は、龍の歯の上で気絶した敵国の少年兵のベルナール・オクタビアス(ベル)を見つける。引用 – Wikipedia


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圧倒的な世界観とストーリーの歯がゆさ

本作品はTVアニメオリジナル作品。
元々は日本アニメ(ーター)見本市という短編アニメ企画のうちの1本であり、
1時間半の作品にリメイクしたような形の作品だ。
日本アニメ(ーター)見本市版のレビューはこちらから
監督は鶴巻和哉、制作はスタジオカラー。

なお、この作品の主人公に今話題の「清水富美加」さんが起用された。
放送前に「出家」されたことで、
この作品の放送自体が一瞬危ぶまれたが無事放送された。

見出して感じるのは音の素晴らしさだろう。
庵野秀明監督が今回は制作統括と音響監督を努めていることもあり、
はっきり言ってしまえば曲やSEなどが物凄く「ジブリ」っぽい(笑)
作画自体にジブリのような雰囲気はないが、
「音」の面ではかなりのジブリ=宮﨑駿っぽさを感じる。

更に鶴巻和哉監督らしい機械の描写。・
エヴァンゲリオンで描かれた戦艦を彷彿とさせる戦艦の浮遊感と描写、
戦艦同士の戦闘シーンは「さすが」といいたくなる重厚感であり、
爆破された戦艦の演出、砲撃の重厚感、海に沈む戦艦のパーツの描写など、
「息を呑む」迫力だ。

そして場面が切り替わると主人公が描かれる。
これが非常に可愛い(笑)
起きて早々にお風呂に入り、おにぎりを咥えて龍の歯へと赴く。
たったこれだけのシーンなのだが、主人公のキャラの魅力や、
「龍の歯」という場所の淡い色合いが不思議な世界感の魅力を同時に感じさせる。

この作品の「歯」はただの歯ではない。
龍という巨大な生物の歯であり、そんな龍の歯からは、
龍の災いに巻き込まれた人が時折、黄泉帰る。
歯医者は龍にくくりつけた戦艦の上に住んでおり、
歯医者な主人公と、歯から現れた少年のボーイミーツガールでストーリーが始まる。

そして歯医者としての仕事が始まる。
歯医者の仕事は当然「虫歯」相手だ。
龍自身ではどうしようもない虫歯菌を歯医者が掃除する。
龍の歯につく虫歯菌は普通の虫歯菌のサイズではなく、
時折「人以上のサイズ」のものが出現する。

大きな虫歯菌は人を食い。そんな虫歯菌に対し歯医者は治療具を武器に変え戦う。
大きな虫歯菌はまるで「エヴァンゲリオンの使徒」であり、
龍の歯と歯を移動し、はては体中を這いずり回り、歯医者を貪る。

はっきりいってストーリーは暗い。
「龍の歯医者」というタイトルから想像し、序盤で描かれる雰囲気や
ストーリーとは違い、話が進めば進むほどストーリーは重くなっていく。

龍の歯医者は「自らの死の瞬間」を知って初めて歯医者になることができる。
自分がいつどんな状況で死ぬのかというのが分かっており、
その運命を抗うこと無く受け入れて初めて歯医者になれる。
このあたりのストーリーはアニメーター見本市版のストーリーと
うまくつながっているのだが、重い。

重いだけならまだいいのだが、後編から話が複雑になる。
唐突に後編の冒頭で「飛行機」が出て現代のような描写になるが、龍も存在している。
唐突に謎のキャラが現れるので「戸惑う」人も多いだろう。
結末まで見れば理解できるような描写では有るのだが、飲み込み難い。

結末まで見て謎のキャラの造形をよく見れば分かるキャラなのだが、
結末まで見た後に冒頭に描かれたキャラのことをわざわざ思い出す人は少ないだろう。
もう1度見て初めて気づくことができる要素では有るが、
いきなり時系列が現代に変わってしまって混乱してしまう人も多いはずだ。

後編の内容は特に重く、
このどっしりと重いストーリーを消化しきれない人もいるだろう。
後編になると「?」と感じてしまう部分が多く、
自分の中で考察し、解釈することでようやく理解することできる内容も多い。

理解しても、それを面白いと感じるかどうかは難しいところであり、
素直にハッピーエンドと言い切れない何とも言えないラストは、
やや歯がゆい感じが残ってしまうものだった。

全体的に見て非常に宗教じみた、特に死生観の強い作品だった。
一度死に龍の歯医者として転生しつつも自らの生の行方は知っており、
死という終わりをしっていながらも生きる龍の歯医者。
運命を素直に受け入れるものと、受け入れないもの、
それぞれの「死」と「生」の価値観がしっかりと描かれている。

アニメーター見本市のあの短い尺の話を
1時間半の話に膨らませるというのは純粋に凄い。
特に前編での設定の面白さ、世界観の魅力、キャラクターの魅力など、
前編だけ見ると非常に完成度と満足度の高い作品だ。

しかし、後編である程度の話のオチを用意するために、
やや強引にストーリーを進めたたために、
飲み込み難い部分や理解しにくい部分が生まれてしまい、
好みが分かれる作品になってしまった。

今から見る人は後編の最後を見た後に、後編の冒頭を見てほしい。
そうすることでこの作品がきっちりと終わり、
謎のキャラクターの「特徴」こそが輪廻転生を匂わせる描写に成っており、
この作品がそういった宗教じみた作品と感じてしまうのが分かるはずだ。

ある意味で皮肉めいた作品だ。、
幸福の科学という宗教に出家した人がヒロインを演じる、
皮肉といえば良いのか因縁めいたといえばいいのか、
これもまた運命だったのか(苦笑)
清水富美加さんの声の演技は自然だっただけに、出家なされたのは残念だ。

ただ、もっとシンプルに龍の歯医者の日常が見たかったなと感じてしまう部分もある。
1時間半という尺だから龍の歯医者の日常は
ダイジェストチックになってしまっているのは仕方なくは有るのだが、
TVアニメだったらもっと掘り下げられた部分や描かれた部分、
魅力あふれるキャラが多かっただけに、
1時間半ではなく2クールくらいの尺でガッツリ見たくなる作品だった。

実に「スタジオカラー」、
エヴァンゲリオンの鶴巻和哉,庵野秀明監督らしい作品だ、
考察しがいのあるストーリー、設定の複雑さ、何とも言えない余韻。
監督と製作会社の「らしさ」というものを強く実感できる。

個人的には林原めぐみさん演じるキャラの
「べろちゅう」の妙な艶めかしさがいつまでも記憶に残ってしまいそうだ。
セクシーな描写は所々あったが、あの「べろちゅう」だけ
何であそこまで生々しい描写だったのだろうか(苦笑)

今後、アニメーター見本市の作品がこのような形で
リメイクされることは有るのだろうか?
好きな作品が多かっただけに期待したいところだ。

なお、NHKBSプレミアムを見逃した方はAmazonプライムビデオや
Dアニメで配信されていますので、そちらで見ることが出来ます。
(後編は後日配信?)

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