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荒唐無稽なカンニングバトル、1話10分なのがもったいない「チーティングクラフト」レビュー

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評価★★★☆☆(41点)全12話

あらすじ 大陸では「国家特級学士試験」に合格する事こそエリートへの道。そんな学歴社会がエスカレートしていった結果、試験はカンニングも含めてバトルと化し、試験会場は戦場そのものとなっていた。そんな中、臨仙学園に諸葛睦明とその従妹の黄巧衣が入学する。
引用 – Wikipedia


荒唐無稽なカンニングバトル、1話10分なのがもったいない

原作は中国で連載していた小説作品、ちなみに完結している。
監督は元永慶太郎、制作はBLADE。
1話あたり10分ほどの短編アニメであり、
日中合作の作品となっている。

見出す前に・・・、粗筋を読んでもらえば分かるが、
この作品は「カンニング」を扱った作品だ。
個人的にだが昔、コロコロコミックで連載していた
「カンニンGOOD」という作品をふと思い返し懐かしい気持ちになった(笑)

見出して感じるのは濃いキャラデザだろう。
アニメというよりはPCゲームのようなやや原色がきついタイプの色合いで、
ギャルゲーのようなヒロインのキャラデザは、
2000年代前半の深夜アニメのような雰囲気を感じさせる。

そしてナレーション。
白虎、青龍、玄武、朱雀が描写されたあとに
滅茶苦茶硬い感じのナーレションで世界観が説明される。
簡単に言えば学歴こそ全てな社会が構築されており、
「国家特級学士試験」に受かればエリート、落ちれば貧民になる。

これはある意味、お国柄なのだろう。
中国では日本以上に、いわゆるお受験戦争が過酷なようで、
一人っ子政策が進んでいるからこその学歴社会を、
ある意味、反映したような作品だ。

そういう設定なのは分かるのだが、
全てナレーションベースで解説されてしまう。
学歴こそ全てな世の中で試験がものすごく大事で、
カンニングしててでも試験に受かろうとする生徒がいるのは分かるが、
話の流れの中で自然に見たい設定を全てナレーションで片付けてしまう。

しかし、悔しいかなこの「世界観」が面白い。
ナレーションベースでのまじめな解説ですらもはやシュールに聞こえてしまう。
試験管を眠らせるのもあり、眠らせた後に他の受験生をジャマをするのも有り、
何でもありな試験バトルは荒唐無稽な部分はあるが、
その荒唐無稽さが素晴らしいギャグになっている。

いわゆる物語の起承転結の起の部分は弱い、
唐突にメインキャラが出てきて唐突に試験は始まっている。
メインキャラがどんな名前なのかもいまいちわからないまま、
ありとあらゆるカンニング道具を使った試験が描かれる。

カンニング道具を使う生徒同士のカンニングバトルは、
予想外な道具が多いからこそ全く持って予想できない。
なにせ道具ではなくいろいろな技も大量に出てくる(笑)

主人公は流派諸葛千術というカンニングの技の使い手であり、
試験中なのにしっかりとポーズを取って必殺技を使う(笑)。
技などの説明の際に「三石琴乃」さんによる解説が入ることによって、
余計にギャグシーンの面白さが際立っており、
試験会場のはずなのに外で戦っている風に描かれたりと、
滅茶苦茶な内容では有るが、その滅茶苦茶さが面白い。

試験管も常に眠らされるわけではなく、
ありとあらゆつ技を持ってカンニングをさせないようにする(笑)
声優にもこだわっており、フリーザーなあの方や、ドクターマシリトなあの方など
実力派か有名な声優ばかりで、喋った途端に笑えてしまう。

カンニング行為自体を見つけて生徒を追い出せというツッコミはしてはいけない。
試験管に攻撃した生徒を妨害などの理由で
追い出せなどのツッコミもしてはいけない。
試験官の目の前で別の人の解答を丸写ししているのにも突っ込んではいけない(笑)
いわゆるツッコミ役が全く居ない作品なため視聴者が突っ込むしかないのだが、
突っ込む暇さえも与えてくれない怒涛の展開ばかりだ。

ただ物語の流れというのがかなり唐突で、
どちらかというと「総集編」を見ているような感じだ。
1話10分で1クールしかないのだから仕方ないのは分かるが、
せっかく原作も完結している作品なのだから、
きちんとした30分枠でしっかりとアニメ化すれば、
もっと面白くなったかもしれない。

全体的に見て、非常に面白い作品なのに1話10分という尺のせいで、
総集編のような出来栄えになってしまっている作品だ。
カンニングという要素をバカバカしくは有るが勢いとアクションで
ギャグに仕立て上げており、荒唐無稽さが癖になる面白さを秘めており、
そこに濃いキャラクターが居ることで作品の魅力をより感じさせる。

しかし、1話10分しかないからこそ展開が物凄く早く、
テンポが良いのは悪くはないのだが良すぎて物語が端折られているような、
この作品の本来の面白さを6割くらいしか味わえていないような、
もどかしさを常に感じてしまう。

本当に惜しい。
内容的にはジャンプで連載していてもおかしくはない、
「食戟のソーマ」や「ベン・トー」のような勢いと面白さを感じる作品なだけに、
もっとじっくりと見たかった。

しかし、少なくとも今までの中国アニメに比べれば
普通に見れる作品であり、日本できちんと夕方くらいの30分のアニメ枠で
2クールや4クールくらいガッツリ見たい作品だ。
そうなればBPOあたりに「子供にカンニングを助長する作品」と
苦情が来るような作品になったはずだ(笑)

個人的には序盤のインパクトと最終話の謎の展開はものすごい好きだ。
ただ、中盤はややダラけてしまった感じはある。
もし2期があるならばみたいが、
中国アニメで2期があったのは霊剣山くらいなのでやや望み薄だ。

高い評価はしにくいものの、
中国が関わっているからと見ないでいるのはもったいない。
今後の中国アニメの「可能性」を感じる作品だ。

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