名探偵コナン 銀翼の奇術師

2015年12月29日

☆☆☆☆☆(7点)

名探偵コナン 銀翼の奇術師 評価

107分
監督/山本泰一郎
声優/高山みなみ,山崎和佳奈,神谷明,山口勝平,松井菜桜子ほか

あらすじ
舞台女優・牧樹里の元に、怪盗キッドから「Romeo Juliet Victor Bravo! 26の文字が飛び交う中 “運命の宝石”をいただきに参上する」という予告状が送り付けられた。彼女は狙われたスター・サファイア「運命の宝石」をキッドから守るよう小五郎に依頼。予告状の暗号から、小五郎は彼女が主演している舞台「ジョゼフィーヌ」の公演中にキッドは宝石を奪うと推理。一方のコナンは小五郎の推理に引っかかるところがあり、独自に捜査を開始する。そして公演当日、キッド専任の中森警部も捜査に参加する中、キッドは大胆にも新一に変装しコナンを動揺させる。そしてキッドを追跡するも、寸前のところで取り逃がしてしまう。

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飛行機を墜落させたかっただけの映画

本作品は名探偵コナンの映画作品、コナンとしては8作品目の作品となる。
また怪盗キッドが出る作品としては2作品目。

基本的なストーリーはサスペンス。
舞台女優の持っている宝石を盗むという予告を出した「怪盗キッド」、
毛利小五郎とコナンはそんな舞台女優をキッドから守るために依頼を受けた。
しかし、舞台当日、そこに現れたのは「工藤新一」だった・・・
というところからストーリーが始まる

序盤からコナンの前に「工藤新一」が現れるという展開というのは面白い。
もちろん怪盗キッドの変装ではあるものの、工藤新一として
蘭や他のキャラクターと会話する様子はコナンと同じ目線で見る視聴者的にも
何をしでかすのだろうかというハラハラ感が生まれており、
「ダジャレ」を連発する怪盗キッドにはなんともいえないギャグ要素が含まれている

しかし、序盤の怪盗キッドとコナンの戦いが終わってしまうと微妙になる。
飛行機の中での殺人事件というシュチエーションは面白く、トリックも名探偵コナンらしいものなのだが
非常に淡々としており「映画」としての犯罪というより、TVアニメの中のような事件だ
この作品がTVスペシャルなら納得のできる事件ではあるのだが、
これまでのコナン映画に比べると犯行自体は地味だ。

更に有り得ないアクションシーンがお決まりのコナンだが、
今作ではあり得なさすぎて現実味の欠片もないアクションシーンになってしまっている。
コナンとキッドの逃走劇は飛び降りたり、空飛んだり、飛んだりと
飛んでばっかりであまり迫力がなく、面白いとは言い難い。

そして終盤の飛行機。
飛行機の中で殺人事件が起こったのをいいことにこの作品では飛行機が墜落するかもしれないという
まるでハリウッド映画のようなストーリー展開になってしまっている。
パイロット二人がうっかり毒にやられ、操縦する人が居ないという状況づくりは悪くないが
その状況を打開するための方法が微妙だ。

なにせ運転を任せるのは怪盗キッド扮する人物とコナン。
コナンだ(苦笑)
もちろんアニメの中でツッコミがはいっているものの
コナンが操縦席に座るというシュールさは何ともいえない強引な展開だ。
そこまでならギリギリ飲み込めただろう、怪盗キッドとコナンが協力して飛行機を操縦し着陸させる
これならばコナン映画として何とか納得できた。

しかしながら、途中で操縦士が変わる。
蘭との園子だ(苦笑)
ただの女子高生二人がコナンや怪盗キッドの指示を聞きながらとはいえ、
ただの女子高生二人が飛行機を着陸させるというのはあまりにもリアリティに欠け
緊迫感というよりも乾いた笑いしか生まれない。

全体的に見て「飛行機を着陸」させるシーンをやりたかっただけの映画だ。
そのために申し訳ない程度に事件を起こし、強引にパイロットに毒を含ませ
強引に怪盗キッドとコナンが操縦し、強引に蘭と園子が着陸させる
やりたいシーンを描くのは制作者の好みなので何も言わないが、
そのやりたいシーンに至るまでの展開の面白さ、やりたいシーンに至るまでの展開の説得力がなければ
「やりたいシーン」をやりたかっただけの映画にしか見えなくなってしまう。

コナン映画としての面白さは殆ど無いといっていい。
ミステリー者としては事件は地味で、やりたいシーンと繋がっていない。
前半、中盤、後半のストーリーがバラバラで1つのストーリーとしてきちんとつながっておらず
状況が切り替わるごとにこちらの気持ちがリセットされてしまうようだった。
特に前半の手抜き加減は凄く、描写に力の入っていない舞台のシーンや
中盤の怪盗キッドとコナンの逃走劇など終盤以外の見所が本当に薄い。

コナンファンならば怪盗キッドやお決まりのシーンなどもあるのでぎりぎり楽しめるかもしれないが
コナンファンであってもこの作品は微妙だろう・・・。