極黒のブリュンヒルデ

☆☆☆☆☆(0点)

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視聴者をバカにしないで欲しい

原作はエルフェンリートでお馴染みの岡本倫による漫画作品、
監督は『家庭教師ヒットマンREBORN!』や『生徒会の一存 Lv.2』の今泉賢一、
シリーズ構成は『ハマトラ』でプロジェクト構成を担当した北島行徳と
スタッフからは期待感が生まれない。

見出して感じるのは「キャラクターデザイン」の古さだろう。
古さというと若干欠点に聞こえてしまうかもしれないので言い換えるが、
「2000年代前半」の深夜アニメのような最近のアニメっぽくないキャラクデザと
OPで流れる主人公が涙を流すシーンが大げさに涙が流れすぎていて
ちょっとギャグに見えるような印象を受ける

更に解説。
主人公の過去が主人公の口から自分語りで冒頭5分延々と語られる
主人公の子供の頃の事故と幼なじみの関係などもうベラベラベラと1~10まで喋ってくれる。
自然なストーリーの流れの中でキャラクターの過去が描写されるわけではなく、
主人公が全部喋った後に死んだと思っていたはずの幼なじみが目の前に現れる。

ストーリーの見せ方や展開が雑な部分が多い。
やや早足なテンポのせいで余計に説明口調が説明台詞にしかなっておらず、
主人公の台詞もいちいちわざとらしいうえに常に説明台詞だ
そのせいで真面目にストーリーを展開しているはずなのに
まるでギャグ・・・というよりコントのような展開だ。

「幼なじみは死んだ」→「え?死んでなかったの?証拠のわき見せろ!」
「私達は薬飲まないと35時間で死ぬ」→「ボヤで燃えちゃった!」
など、何かが起こる前に「ネタ振り」がされてオチがつくコントのような展開が多く、
見ていると「むず痒く」なるような内容だ
視聴者に対して説明せずに「察する」事を強いられるアニメも多いが、
この作品の場合はあまりにも視聴者に説明すぎて「バカ」にされている感覚にもなる。

ただストーリーが進んでくるとその「バカ」にされている感覚とわざとらしいセリフが、
日常ギャグの中に取り込まれることでギャグ要素が強まり、
更にちょっとズレた会話のおかげでキャラクターの可愛さが引き立つ。
そして、そんなギャグ要素があるからこそ
本筋の「シリアス」なストーリー展開や「グロ」シーンの描写とのギャップが際立つ
1分前まで明るいギャグをやっていたのに、
次のシーンでは「ドロドロ」に女の子が溶ける描写があるなど、1シーンごとのギャップが強い

はっきりいって極端すぎると言ってもいい。
唐辛子と角砂糖を交互に舐めているような感覚になるほど「中間」がなく
ギャグかグロいか、戦闘をしているか日常を送っているかと
ストーリーの流れのなかで自然に状況や雰囲気が移り変わるのではなく、
「はい!日常!」「はい!戦闘!」「はい!ギャグ!」「はい!グロ!」というように
ある意味でメリハリがしっかりしているとも言えるのだが、
この極端すぎる描写のお陰で両方が極端なまでに際立っている。

ただ、そんな所々面白い部分を「アニメーション」として表現しきれていない
例えば戦闘シーン。
主人公は魔法は使えないものの、その分「頭脳戦」でヒロインをカバーしているのだが、
中途半端な「グロ表現」の規制や動かない戦闘シーン、使用する魔法の演出が悪いせいで
本来はもっと盛り上がるはずの戦闘シーンがいまいち盛り上がらない上に短い
戦闘シーンのキャラクターの「動かし方」という基本的な部分が欠落しており、
原作の「戦闘シーンのストーリー内容」の面白さだけに頼りきってしまっている

致命的にアニメーションとしての「見せ方」が出来ておらず、
明らかに「あ~原作見たほうが面白いんだろうな」と感じるポイントが多く、
作画に関しても1話~3話くらいまでは安定していたのだが
4話以降はかなりの手抜きが目立つ上に、作画崩壊こそしないが正直いってギリギリだ

本来は前述した「わざとらしさ」も原作ではもう少し緩和されているの違いない。
だが、ストーリー構成やテンポ、会話のリズム、話の展開の溜めなど
「アニメーション」を作る上で構成されている要所の1つ1つがズレてしまっているせいで
アニメとしての面白みが少ない。

私は原作を読んでおらず、Wikipediaの情報でしか無いが
「原作にある戦闘シーン」をカットしていたり、細かい部分での原作改変をかなりしているようだ
だからこそ話が進めば進むほど展開の「雑」さも極まっていき、
同時に展開の強引さとご都合主義も目立ってくる

その極めつけは10話以降のつめ込み展開だ。
1話の中にエピソードを限界にまで詰め込んだような強引すぎる展開、
ストーリーの「溜め」なんてものを無視した強制的ストーリー進行、
ダイジェストのようでダイジェストじゃない、
だがダイジェスト並みに早過ぎるストーリー展開でストーリーを進める。

作画も崩壊こそしないが、もう明らかに「うわー」と言いたくなるほどレベルが下がっており
キャラクターの動きも極力削りまくっている
序盤から中盤に丁寧過ぎるまでにストーリーを描写していたのにもかかわらず
10話以降は「丁寧」という言葉は放棄し、もはや「雑」だ
やっつけ仕事のような作画、やっつけ仕事のようなストーリー展開で
原作の面白さをアニメで表現しようという意思を一切感じない。
なんとか決められたストーリーの終着地点まで強引に進めてるだけだ

見ている側にここまで「大人の事情」を感じさせるアニメも珍しい。
明らかに10話以降は制作側に「何か」があったのが明確に見ている側に伝わり、
10話以降の制作が「惰性」で作られているのが伝わる。
その何かが「予算」なのか「尺」なのかは分からないが、何かが削られたのが分かる
もはや見ていられない出来栄えだ。

少し調べると10話までは1巻あたり3話ほどの尺が使われていたが
10話以降は5巻~10巻の内容を一気に詰め込んでいるようだ(苦笑)
そりゃあダイジェストにもなるうえ雑な展開にもなる。
10話以降のあまりにも強引かつ雑すぎる展開の数々はそれまで「面白い」と思ったポイントを
吹き飛ばすようなあまりにも酷すぎる出来栄えだ

この作品は1クールのアニメでは異例とも言えるのだが
「10話」でOPが変わっている、本来、1クールのアニメでOPが変わることはない。
明らかに「2クール」のアニメの予定だったのだろう
作画の崩壊具合を考慮すれば2クールの予算がなくなったのかもしれない
だが、それは見ている側には関係ないことだ

全体的に見て視聴者をコケにしたような作品だ。
序盤から中盤まではたしかに好みの問題や雑な部分、主人公の説明口調、
戦闘シーンのつまらなさなどの問題点はあった
だが、設定やシリアスとギャグのギャップの激しさの面白さなど評価すべきポイントは多かった
序盤を過ぎると「薬を飲まないと36時間で死ぬ」という緊張感が
キャラクターに対する愛着をもたせるポイントにもなっていた

しかしながら終盤、10話以降はその面白さを全て投げ捨てるような展開だ
原作を読んでいないと確実についていけない強引すぎるストーリー展開、
1~10まで全て目的を説明してくれる敵、唐突に話が壮大になり
そんな壮大でシリアスな雰囲気なのに「作画は崩壊寸前」でギリギリ、
最終話を終えた後に結局キャラクターが「死んでいる」のか「生きているのか」も分からない
記憶が戻ったり失ったりと、もう展開が忙しすぎてついていくのが精一杯で
ぽかーんとした顔で見終わってしまう。

ストーリーにおける「流れ」というものを一切無視して、結果だけ描写しているような展開だ。
相当原作をカットして強引に進めたのだろう、だが、その結果、
1話~9話まで見た時間を返してくれと言いたくなるほど何がしたかったのかがわからない。
いきなり予算がなくなったのかもしれない、いきなり尺が減ってしまったのかもしれない
だが、それは見ている側には関係ないことだ。

純粋にこの作品を1話から見ていた視聴者を、この作品を好きになった人を
コケにしたような展開にしてしまった
1つの作品として、原作のある作品として、期待させたファンに対して
この作品は本当に失礼な作品だ。

もっと上手くまとめることも出来たんじゃないだろうか?
個人的な考えかも知れないが作品において「締め」というのは重用だ
それまで気に入らない部分や気になるところはあっても
作品を見終わった後に「面白かった」と感じさせることは重用だ

欠点はあっても最終的に「面白かった」という印象にさえ残れば
DVDの売上や2期にもつながるだろう。
結果が良ければ全て良しとは言わないが、
見終わった後に思わず「何だったんだ、この最終話は・・・」と嘆いてしまうような
酷すぎる締め方は最悪としか言いようがない。

私は今泉賢一監督の作品が正直好きではない。
序盤から中盤までもアニメーションとして面白くない部分が多く、
別監督なら序盤から中盤ももっと面白かったのだろうと感じる部分が非常に多い
そして終盤のこの展開を見た後、私は本当に今泉賢一監督が嫌いになってしまった

作品自体は嫌いではない。
キャラクターの魅力や設定、緊迫感と緩和の激しいストーリー展開など
恐らく原作を読めば私はこの作品を大好きになれるはずだ。
だからこそ、こんなアニメに仕上げてしまったことを嘆かざる得ない。

いつかきちんとした形でこの作品がリメイクされることを願いたい。
原作の力が、原作の面白さが所々で伝わるだけに
それを100%アニメで表現しきれていないのは残念で仕方がない
間違っても同じスタッフで2期が作られることが無いことも同時に願いたい

余談だが、魔法戦争が「マシ」に感じる作品が現れるとは思わなかった(笑)

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