Wake Up, Girls! 七人のアイドル

2016年6月29日

評価/★☆☆☆☆(14点)

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あ、ヤマカンの作品だ・・・・

本作品は山本寛監督による映画作品。
この作品の後にTVシリーズのWake Up, Girls!が始まっており
いわゆる前日談的な話。

見だして感じるのは「陰鬱さ」だろう。
山本寛監督オリジナル作品の特徴でもあるといっても過言ではない独特の空気感、
言葉で表現するならば「陰鬱さ」という言葉が最適なのだが、それは欠点ではない。
音で表現するなら「ドロッ」っとした感覚で映画がスタートする。

アイドルものの場合、1話冒頭は明るい描写が多い場合が多い。
1話冒頭でいきなりライブシーンをぶち込んでくる作品も少なくはない
しかし、この作品の場合、メインヒロインたちとは違うアイドルたちの
ライブが始まる前のシーンだけを描き、
直後に「女社長」の怒号と口汚いセリフの数々から本編が始まる(苦笑)
お世辞にも明るいとは言いがたい。

そしてキャラクターデザイン。
「のっぺり」と奥行きを感じないキャラクターデザインは
最近のアニメというよりは90年代のアニメを彷彿とさせるようなデザインだ
更にはモブキャラとメインキャラの区別もないようなデザインで、
メインキャラ達のキャラデザも非常に似ており区別がつきにくい

その割には背景の描写はこだわっている。
街並みや背景、教室の机など妙にしっかりと描かれてえおり
背景のデジタル感とキャラクターの手描き感で妙な違和感がうまれており
背景からキャラクターが浮いてしまっているシーンが多い

ストーリー的には弱小芸能事務所にアイドルグループを作るところから始まる。
主人公は適当にアイドルたちをスカウトする中でとある女の子を公園で見つけた。
彼女は一人ブランコにまたがり、歌を口ずさんでいた・・・
というところからストーリーが始まる

だが、その肝心の「歌を口ずさむ」シーンの演出がとにかくつまらない。
キャラクターの作画の質の問題もあるが、
もう少し主人公が「アイドルグループの中心に立つのは彼女だ!」と感じるのと
同じように視聴者にも感じさせるような演出がほしいのに淡々粛々と描写してしまう
映画が始まって20分、30分たっても「これ!」というシーンがなく、
いつまでたっても地味なシーンばかりが続いてしまう。

キャラクターの作画も常に不安定だ。
はっきりいって「劇場版」のクォリティは一切ない手抜きな作画の数々は
アイドルアニメとしては失格だ。
かわいいアイドル、魅力的なアイドルは描けなくても少なくとも
「原石」を感じるような描写がなければアニメの中のアイドルに魅力を感じることは難しい

7人のキャラクターにそれぞれが魅力があり、
その誰かに魅力を感じればアイドルアニメとしては成功なのだろうが
7人のキャラクターがそれぞれ立っておらず見ても見てもひとりひとりのキャラクターの
名前と顔が一致しない。

新人声優さんを起用しているため「声優さんによる味付け」もないため余計に
キャラクターの印象がいつまでたっても頭の中に残らない。
声優さん達の演技は「新人」ではあるものの、そこまで悪くはない。
いわゆる棒演技的な演技もする子はいるものの、
ある意味で「のっぺり」としたキャラクターデザインと合ってしまっており、違和感はない。
新人だな~という感じはあるが、そこまでは気にならない感じだ。

ただキャラクター一人ひとりの「見せ場」というものが本当に少なく、
「元人気アイドルグループ」のキャラにだけ焦点があたってしまう。
彼女がアイドルとして復活するのか、
何故やめたのかというのを探りつつストーリーが展開していくのだが、
その「何故やめたのか」は劇中では明かされない。

劇中で明かさないストーリーだからこそ、
いつまでも淡々と引き伸ばして描写している印象が強く残ってしまう。
1つの「劇場版」としての起承転結の流れがだらーっと引き伸ばしぎみになっており、
展開が切り替わってストーリーが進んでも「ようやく進んだか」というような
わずか1時間の作品なのに疲れさえ感じてしまう。

その疲れが振りきれるのが最後のライブシーンだけだ。
そこまで見ている側をぐーっと押さえつけるように淡々とストーリーを描写し、
ライブシーンでそのウップンを晴らす流れは悪くはない・・・悪くはないのだが、
「キャラクターデザイン」がそのライブシーンの足を引っ張る。

手描きで描かれたというライブシーンの作画は確かに良く動き、
話題にもなった「パンツを見せる」のダンスは気になる人はいるかもしれないが
ダンスの中で自然に見えるパンチラはそこまで悪くないなと思う人もいるはずだ。
だが、つまらない。

確かにキャラクターはきちんと踊っており髪が乱れる動きはある
しかし、動いているだけだ。
作画枚数をかければ動きのあるライブシーンになるのは「アニメ」なのだから当たり前だ
問題はそこで「どういう動き」を「どういう演出」で「どういう意図」で見せるかだ。
よく動いてはいるものの、よくあるダンスの動きは動いてるな~くらいの感想しか浮かばず、
演出はひたすら単調でそれぞれの「キャラクターを可愛く見せる」という
アイドルアニメとしての本質が無い。

その原因は酷いカメラワークにある。
一人ひとりのキャラクターを平等に映すようなカメラワークになってしまっているため
どうにもキャラクターが見ている側から「遠く」に感じてしまううえに
一人ひとりを平等に描写しようとしてカメラの切り替わりが異常に早くあわただしい

主人公が携帯のカメラで撮っている演出なのか?とも最初は思ったのだが
その割には「パンツ」を見せるための明らかなローアングルすぎるな描写もあり、
そういった演出意図と捉えるには不自然なカメラワークだ
尺自体も非常に短く、それまでに溜め込んだフラストレーションが気持ちよく
開放できるほどの爆発力が不足してしまっていた。

全体的に見て劇場版と題するにはかなり厳しい。
1時間の尺のなかでグダグダっとしているシーンが非常に多く、
ライブシーンをのぞけば劇場スクリーンに耐えられるような作画ではない
王道なストーリーは悪くはないが、その王道のストーリーの中でキャラクターが立っておらず
むしろ事務所の社長のほうが悪目立ちしてしまいアイドルたちを食ってしまっている。

これがTVの1時間スペシャルで前日談を描くというならば
ここまで酷評しなかったかもしれない。
あくまでも前日談、あくまでもTVスペシャルなんだと飲み込めた部分もあったはずだ
だが「劇場版」というにはあまりにも全体のクォリティが低すぎる作品だった

TVシリーズでどういう展開になるかわからないが
少なくともこの作品を見てテレビアニメ見ようという気持ちにはならなかった