「名探偵コナン 業火の向日葵」レビュー

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映画

評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全112分

あらすじ ニューヨーク・マンハッタンのオークションで、かつてゴッホが2番目に描き、第二次世界大戦時の芦屋空襲で焼失したとされる『ひまわり』の模写が出品された引用- Wikipedia

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名探偵Google

本作品は名探偵コナンの映画作品。
劇場版『名探偵コナン』シリーズとしては19作品目となる
監督は静野孔文、脚本家は絶海の探偵も担当した櫻井武晴。

地味

コナン映画の冒頭は高確率で爆破で始まる。
いわゆる「お約束」であり、爆破がなくとも激しいアクションで始まる。
しかし、この作品の冒頭は恐ろしく地味だ。
消失したと言われるゴッホの「ひまわり」のオークションから始まる。

コナン映画のお約束を敢えて外している。
爆破、スケボー、とんでもアクションはコナン映画に欠かせない要素だが、
そのどれも冒頭から見せてはくれない。
冒頭から「今回のコナン映画、大丈夫か?」という不安が募る。

日本で鈴木財閥による「7枚のひまわり」を集めた展覧会を開くことになり、
ひまわりの運搬管理のプロである7人も集めらる。
そこにいつものように怪盗キッドが現れるところからストーリーが始まる

気取ったアクション

コナン映画といえばアクションシーンだ、
とても人間の身体能力とは思えないほどのアクションで
大いに笑わせてくれる。
コナン映画といえばとんでもアクションシーンといっても過言ではない。

しかし、今作のアクションシーンは気取ってる。
やたらめったら怪盗キッドを動かしてはいるのだが、
どちらかというと「怪盗キッド」をかっこよく見せるためのアクションであり、
そこにコナン映画特有の荒唐無稽感や無茶苦茶感がない。
よく動いてはいるが動いてるだけで、そこに面白さがない。

しかも例によってまーた「怪盗キッドが工藤新一」の姿で現れる。
もはや、それ以外のパターンで怪盗キッドを出すことは出来ないのか?と
思うほどに使い古された要素をぶち込んでくる。
何の意外性もなく、面白さもない。

ただ願うのみ

今作は本当に違和感しかない。
序盤で「ひまわり」を積んだ飛行機が墜落しそうになる事件が起こる。
その間に怪盗キッドは大活躍だ。
空に投げ出された「ひまわり」を回収したりする。
確かに超絶アクションではあるのだが特にそこに面白みはない。

問題なのは「コナン」だ。この作品は名探偵コナンだ。
当たり前だが彼が主人公であり、彼が活躍することに意味がある。
今までのコナンならばとんでもない状況なら彼がなんとかしてくれた。
ダムの水が決壊しても雪崩を起こして止めるほどだ。

しかし、今作のコナンは使えない。
飛行機が墜落仕掛けてる状況でコナンはこれ見よがしに焦って走りだしたから
何かするのか?と思ったのだがコナンは「頼む、止まったくれ」と願うのみだ。
焦って走り出したのに何もしないコナンはコナンらしくない

飛行機の墜落は過去の劇場作品でもやってるシーンだが、
伸縮ベルトで止めるくらいの荒技の一つでも披露して
初めてコナン映画と言えるだろう。

違和感の原因

この作品は本当にコナン映画らしくない、
その違和感の正体はWikipediaを見れば分かる。
Wikipediaによると脚本家の櫻井武晴が当初書いた
脚本では3時間近い尺になってしまったらしい。

そのせいで当初の脚本から1時間以上の「カット」をしているうえに 、
監督などが構成した際に色々としてしまったようで、
櫻井武晴の脚本は「原案」のような感じになってしまっているようだ
つまり、本来の脚本から3割も要素が抜けている。

削られた1時間の尺の中に「殺人事件丸々1つ」と原作者が考えたトリックが
あったらしく、それがないせいで「探偵」である「コナン」の活躍が薄い。
名探偵コナンなのにコナンの活躍を削ってしまうのは
ちょっと意味がわからない。

確かに怪盗キッドは魅力的なキャラクターだ、
だが、あくまで「名探偵コナン」の主役は「コナン」だ。
そんな主人公がメインで活躍する話が削られてしまったせいで
作品全体の「芯」がなくなってしまっている。

そのせいで今回の作品は主人公が完璧に「キッド」になってしまっている。

暗号

怪盗キッドの予告はいつもどおり暗号になってるが、
これは「ゴッホ」の知識がなければとけない。
この謎解きに関してもコナンがやるならば流石名探偵コナンだ!となるが、
どこの誰とも知らんやつが説いてしまうためミステリーとしての面白みもない

だらだらとストーリーを進めるが、本当にテンポが悪い。
3時間の尺から1時間削ったとは思えないほどのグダグダ感だ。
削るべき部分を間違えたのではないか?と思うほどに
ストーリーが浅く、つまらない。

怪盗キッドが色々なことをしてはいるのだが、
序盤の飛行機墜落から1時間位地味なシーンが続く

榮倉奈々

今作のゲスト声優である榮倉奈々さんだが、ガッツリと出てる。
これで演技力があるならばいいが、
もう「演技してます」感ばりばりの演技であり、
他の声優さんに比べて明らかに浮いている。

今作のヒロイン的立場だったりするならば気にならなかったかもしれない。
だが、もうネタバレしてしまうが彼女が犯人だ(苦笑)
ゲスト声優がそのまま犯人で、
しかも見てる間に明らかに怪しい行動をしている。
犯人らしいやつが犯人というアホみたいな見せ方になってしまっている。

今までのゲスト声優はゲストキャラ的な立場で、
決して犯人という立場にはならなかった。
当たり前だ、ゲスト声優が犯人という構図になってしまえば、
見る前にバレバレになってしまう。

しかし、前作あたりからどうにもバレバレなことをやってる。

無駄なキャラクター数

今回、7人の侍にかけて7人の人物が「ひまわり」を守る役目として出てる。
だが、そのうち5人は全く印象に残らない。
削られた1時間の中では掘り下げられている部分もあったかもしれないが、
それでも7人というキャラクターは多すぎる。

既存のコナンのキャラクターと映画オリジナルキャラクターで
作品の中でキャラクターが溢れかえってしまっている。
別にいてもいなくてもどうでもいい人物が多く、
作品の脚本が洗練されていないことをひしひしと感じてしまう。

しかも更に馬鹿げているのは、この7人の身辺調査をろくにしていない。
キッドから「裏切り者がいる」という助言を受けて身辺調査をすると、
7人の中に裏切り者が居ることが分かる。
なぜ雇う前にもっと7人をきちんと調べておかなかったのだろうか。

これで裏切り者をコナンの推理で見つけるなら納得できるが、
警察がGoogleさんで検索したらあっさりと誰が裏切り者かがわかる。
検索しだして10分もしないうちに誰が裏切り者か分かる
あまりにもアホな展開はため息しか出ない。

しかし、その裏切り者が分かっても、それまでほとんど喋ってない人物で
見てる側としては「誰だこいつ」というくらい地味な裏切り者だ。

真犯人

怪盗キッドがなぜ暗躍していたのか、
更にキッドを凶悪犯のように仕立てたのは誰なのかが終盤分かる。
しかし、これもコナンが推理する前に怪盗キッドには
誰が真犯人か分かってしまっている。証拠すら怪盗キッドが握っている。

コナンのすることは怪盗キッドが先に見つけた犯人に、
怪盗キッドが持ってた証拠を突きつけるだけだ。
どこが名探偵なのだろうか。
ここまでコナンが探偵として活躍しない作品は初めてだ。

これはコナン映画のお約束でもあるのだが、犯人の動機も酷い。
これで過去作品のようにぶっ飛んでいて笑えるような動機ならいいが、

「偽物の絵と一緒にゴッホの向日葵が並ぶのは我慢できない、燃やす」

という、もはや意味不明な動機だ。
しかも偽物は偽物ではない。真犯人は鑑定士という職業なのに
「好きすぎたあまり偽物と勘違い」している。
ちょっと意味不明すぎて何も理解できない。

探偵が犯人を断定する証拠も
「ひまわりを燃やすための計画書のデータがあったぞ!」というのも
あまりにも馬鹿げている。
この辺りは本作の小説版ではきちんと説明されているようだが、
少なくとも映画では理解できない作品だった。

総評:コナン映画史上NO1の駄作

全体的に見て清々しいほどの駄作だ。
3時間あった脚本を脚本家ではない人物が2時間にしてしまったせいで
作品の「芯」となる部分を失ってしまい、
結果的に名探偵コナンが一切活躍しないストーリー展開になっており、
コナン映画らしい「アクションシーン」も薄い。

グダグダなストーリー展開で多すぎるキャラクターをさばききれず、
「ゴッホ」の知識前提の暗号も多く、
過去作品で見たような要素やシーンも多いのに、
その過去作品以下のシーンにしか仕上がっていない。

本当にシンプルにつまらない作品だ。
脚本の出来栄えが本当にひどく、小説版とやらを見なければ
完全には理解できないストーリー展開だ。
「偽物と本物の絵が一緒に並ぶのは嫌だった」という動機もぶっとんでるが、
その偽物の絵が偽物ではなかったというのは本当に意味不明でしかない。

「爆発」自体は何度かあったものの、過去作品に比べれば印象が薄く、
コナン映画のお約束であるスケボーアクションもない。
コナン映画としての面白さが本当に薄い作品だった

個人的な感想:4年ぶりに

4年ぶりにこの作品を見たが、4年ぶりに見ても印象の薄い作品だ。
紺碧の棺もかなりの駄作だったが、この作品はやはり紺碧の棺よりも駄作だ。
4年ぶりに見ても榮倉奈々さんの演技はひどく、
あんなバレバレの犯人描写をしてるのも本当にがっかりだ。

ゴッホの知識が必要な部分も多く、子供が見てもつまらないだろう。
子供だましにすらなっていない作品だ。
未だにコナンの映画は毎年恒例になっているが、
この作品以下の作品が生まれないことを願いたい。

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