自転車はじめましたっ!「ろんぐらいだぁす!」レビュー

評価★★★☆☆(53点)全12話

あらすじ 倉田亜美は、特にこれといった取り柄もない大学1年生。ある日街中で見かけた折り畳み自転車に一目惚れしてしまい、貯金を全額おろして折り畳み自転車を購入し、幼馴染みの新垣葵と早速境川サイクリングロードにサイクリングに出かけるが、途中でハンガーノックになって動けなくなってしまう。引用 – Wikipedia


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自転車はじめましたっ!

原作は月刊ComicREXで連載中の漫画作品。
監督は吉原達矢、制作はアクタス。

見出して感じるのはやや癖のあるキャラクターデザインだろう。
ややふるさを感じる顔のバランスや目の大きさは、
2016年のアニメでは有るが、少し古い2000年代前半くらいのキャラデザだ。
一言で言ってしまうと素直に女の子を可愛いと言いづらいデザインである。

そして年齢。
ひらがなタイトルで女の子だらけである事はすぐに分かるのだが、
この手の作品だと普通は高校生か中学生くらいが基本だが、
この作品は珍しく「大学生」だ。
そのおかげかキャラクター同士の会話にあまり幼稚さは感じず、
萌えアニメのように見えてしまう外見とは裏腹に意外にも萌え要素は薄い。

そんな中で描かれるのは「自転車」だ。
正しく言うならばロードバイクではあるが、
大学で見かけた自転車を見て自分も自転車が欲しくなった女の子が、
自転車の魅力に轢かれていく・・・と言う感じだ。

1話から非常に丁寧なストーリーの進み方だ。
自転車を買って自転車でサイクリングに出かける。
その中で自転車の値段や漕ぐことの大変さなどを丁寧に描写しており、
「自転車」の知識がない人にもわかりやすく説明しているのが分かる。

だが、その丁寧さと裏腹にふわーっとした
ストーリーになってしまっている。
強いギャグ要素や露骨なセクシーシーンなども少なく刺激の薄い作品なだけに、
このゆるふわ感が作品独特の空気感につながってはいるものの、
人によってはつまらないと感じやすい点になってしまっている。

しかし、このゆったりした雰囲気がこの作品には合っている。
極端なキャラ付けのキャラや強いギャグ要素やセクシー要素がないからこそ、
じっくりと「自転車に乗ることの楽しさ」を作品を通じて伝えており、
アニメや創作物特有の「非現実的」部分が少なくリアルだ。

初心者が漕げば筋肉痛になり、坂道の登り方を知らなければ登りきれない。
その都度、主人公以外の自転車乗りが丁寧に解説する。
すでに自転車に対して知識のある人が見てしまうと知っている知識を
改めて説明しているだけになってしまっているかもしれないが、
自転車の知識が「0」でも楽しめるように仕上がっている。

彼女たちが走る道は実際の町並みをかなり参考にしており、
聖地巡礼にも最適な内容になっている。しかも、それをあまり押し出さない
多くの聖地化を狙った作品は、押し出しすぎて聖地にならないパターンが多いが、
この作品は調べれば彼女達と同じように自転車で走れるようになっており、
この作品で自転車に興味を持った人がとっつきやすいようにしている。

簡単に言えばこの作品は「初心者入門!アニメで分かるロードバイク」
というような感じの入門書的な要素の多い作品だ。
玄人の方が見れば入門書レベルの内容では有るが、
原作者やアニメ制作陣が自転車人口を増やすための
きっかけづくりとして丁寧に作っているのが伝わる。

初心者である主人公がきっちりと失敗しやすい点を失敗し、改善していく。
最初から周りのキャラクターが教えておけよと思ってしまう部分はあるものの、
入門書的意味合いのある作品だからこそ、
失敗を事前に防ぐのではなく「対策しないとこうなりますよw」というのを
きっちりと描くのは個人的には好感が持てた。

しかしながら作画に関しては不安定だ。
なぜか3DCGを使った走行シーンが有るのだが、
軽快な感じや爽快な感じを出すための演出なのかもしれないが、
唐突に3DCGに切り替わるせいでやや不自然さが強く出てしまっている。

今から見る人は修正されたものを見る可能性も高いと思うが、
放送当時の場合作画崩壊を起こしていたり、
主人公の家の中の構造が変わりまくったりと色々とあれだ(苦笑)
海外に発注した作画を作画監督が修正しきれていなかったからかもしれないが、
当初から制作スケジュールがきつかったのだろう。

結果的に万策が尽きてしまい、3話の時点で1話の再放送が挟まれ、
更に5話で特別編が挟まれている。
2度もスケジュールを落としたかと思えば10話まで放送した後に
残りの2話が更に延期(苦笑)
2016年秋の1クールアニメだったが最終話が放送されたのが2017年2月だ。

流石に落としすぎだ。原因としては製作会社であるアクタス制作の
「レガリア」という作品が元々2016年の夏アニメだったのだが、
監督の無駄な自己満足のせいで4話放送した後に1話から作り直し、
2016年の秋アニメになってしまった。
そのせいでアクタスが同時期に2作品を抱えることになり、
この作品の制作スケジュールが犠牲になってしまったのだろう。

全体的に見て作画やスケジュール面での残念さはあるものの、
「自転車」というものの欠点や難点をきちんと伝えつつ、
走ることの楽しさをストレートに描いており、
やや展開に盛り上がりが欠ける部分があるものの、
刺激的要素が薄いからこそすんなりと日常アニメとして楽しめる作品だ。

ほのぼのと彼女たちの日常を楽しみつつ、
描かれる景色をゆったりを眺め、漕いだ後に食べる料理を食べたくなる。
これで作画が安定していれば、もっとこの雰囲気を素直に楽しめただけに、
時折起こる作画崩壊が残念でしかなかった。

個人的にはあくまでも大学生同士のサイクリングを中心に描いており、
他の自転車アニメのように「大会に出て1位をとる!」というような
内容ではないのが良かった。

高校生ぐらいから自転車に乗っておらず知識は殆どなかったからか、
素直にロードバイクに関する知識などは面白く、
主人公の成長も早いため「ゆるふわ」な雰囲気では有るものの
ダレずに楽しめる作品だった。

レガリアの監督である登坂晋さんは自分の自己満足のために、
自分の作品だけではなく原作を借り受けて制作している作品や、
アクタスのスタッフに多大な迷惑をかけ、
せっかくの地味だが名作にもなりえた作品の可能性を潰してしまったことを
自覚していただきたい。

売上的には1000枚前後とかなり厳し目。
刺激的要素が薄い作品であり地味な部分もあるがゆえに
もともと売れるタイプの作品ではないが、2期の可能性が低そうなのが残念だ。

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