耳で見ろ。この作品は名作の音が響いてる「オシリスの天秤」レビュー

評価★★★☆☆(55点)全97分

あらすじ 史上最弱の暗殺者・・・しかしその能力は無敵。彼の孤独な戦いの物語。
引用 – Wikipedia


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耳で見ろ。この作品は名作の音が響いてる

本作品はフジテレビ制作によるオリジナルアニメ。
放送当時はフジテレビオンデマンドのみでの配信であり、
のちにフジテレビでの地上波放送、Dアニメで一期のみ配信されている。
監督は冨士川祐輔。

見出して感じるのはかなり癖のある作画だ。
フル3DCGで描かれているのだが、
それよりもキャラクターデザインがかなり独特だ。
個人的な主観でノベルなら「BL好き」な女子が書いた感じの絵っぽく、
プロのキャラクターデザインというよりも同人臭さが有る。

ストーリー的にも「地上波」で放送しないのが分かる感じの淡々さだ。
主人公は超能力を持っている暗殺者、
身体能力は無いものの超能力による暗殺を行うことができる。
ターゲットに近づき会話をし相手を「脳死」に陥らせる。

それゆえに淡々とした会話劇だ。
演じている声優が主人公を梶裕貴、
ターゲットを細谷佳正、宮野真守、沢城みゆき、浪川大輔など
ベテラン勢が演じているからこそ「雰囲気」が出ている

1話5分という尺だからこそ、余計にその淡々さが際立っており、
1話1話の起承転結がすっきりしているが、
声優だよりのキャラ付けによる暗殺者とターゲットの会話劇は、
ドラマCDのように耳だけで聞く分には面白い。

しかしCGの質が本当に悪すぎる。
主人公の髪の毛がシャギシャギでPS1のポリゴンのようなレベルで、
動きも硬すぎる。
超能力で殺す暗殺者とターゲットの会話劇というのは
1話5分という尺の中では面白いのだが、
その面白さを質の低いCGが素直にストーリーを楽しまさせてくれない。

だが、それでもストーリーは非常に良く出来ている。
1話5分という尺を本当にうまく利用しており1話1話の「余韻」も素晴らしく、
会話劇では有るのだが、変に間延びせず淡々な会話だからこそ
「生命のやり取り」を言葉でキャラクターが行っているのを感じる。

それゆえに、この作品にはもともと「絵」が不要だ。
この作品を純粋に楽しむのは耳だけでいい。
声優達による声の演技、息遣い、抑揚の付け方、食べた時の咀嚼音etc…
耳で「感じて」頭のなかに絵が浮かんでくるほど洗練された演技は、
言い方に違和感は有るがこの作品の「見所」だ。

序盤の段階だとこのキャラデザと作画の質のせいで
見るのを止めてしまう人もいるだろう。
だが、そう感じてしまったらあえて画面を見ないで耳で見てほしい。
暗殺者とターゲットの言葉と声の魅力に、虜になるはずだ。

全体的に見て本当にもったいない作品だ。
1話5分ということを活かした短編アニメだからこその起承転結の
すっきりとしたストーリー、
暗殺者とターゲットの殺し合いにもにた緊迫感のある会話劇、
それを盛りたてる声優の演技力が光りまくっている。

特に2クール目のラストの展開は素晴らしかった。
超能力による殺しを行ってきた主人公の過去や秘密が明らかになり、
彼が自らの手で犯す殺人で物語が締めくくられる。
衝撃的かつ凄まじい余韻を残すラストはゾクゾクっとしたものを感じられるはずだ。

しかし、癖のあるキャラデザと質の低いCGが、
この作品に対して駄目な先入観をつけてしまい、
せっかくの面白い内容を「目」で楽しめなくしてしまっている。

例えるなら今、PS4などで最新の凄いグラフィックのゲームが
いっぱい発売されているのに、初代バーチャファイターのような
グラフィックレベルのゲームを今更出したような感じだ。
あそこまでカクカクなポリゴンでは流石にないがそれくらいのレベルだ(苦笑)

この作画とキャラデザを「味」と捉えられなくもないのだが、
やはり素晴らしいストーリーを楽しむ上で余計な先入観が生まれてしまい、
最後まで見ていない人もいるだろう。

さらに言えば視聴がかなり限られすぎていた。
最初はフジテレビオンデマンドオンリー、
現在は1クール目はDアニメで見ることができるが2クール目は有料配信のみ。

TVアニメとして放映されていれば
もっと話題になったかもしれないだけに色々と惜しいな作品だ。

オシリスの天秤(上)
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