「Back Street Girls -ゴクドルズ-」レビュー

評価 ★★★★★(81点) 全10話

あらすじ 暴力団・犬金組の若手組員である、角刈りの「健太郎」、オールバックの「リョウ」、パンチパーマに髭面の「カズ」引用- Wikipedia

不動明王なアイドルアニメ

原作はヤングマガジンで連載中の漫画作品。
監督は今千秋、制作はJ.C.STAFF。
全10話のアニメとして制作された。

ヤクザなのにアイドル


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

この作品の設定はある意味、出落ちに近い設定だ。
大きなヘマをやらかしてしまったヤクザの3人が、
組長に言われタイで性転換をし「アイドル」になるという、
この2行ほどの文章だけで「あ、出落ちだ」と思うほどに
作品の基本設定のインパクトが強すぎる。

しかも、1話5分ほどで彼女たちは売れてしまう。
見た目は可愛く人気のアイドルなのに中身はヤクザ。
このギャップだけでこの作品は1クール全10話の話を、
勢いだけで作ってる感じもあるが、その勢いがすごい。

徹底して動かない作画


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

アイドルアニメといえばライブシーンでのライブの動きがあったり、
ギャグアニメといえば激しいツッコミや普通のアニメには無い動きで
ギャグにすることもあるが、この作品はそのどちらもない。
徹底して1枚絵、徹底して表情くらいしか動かない。

原作漫画に色を付けて声をつけて口と目を動かしてるだけな
「モーションコミック」レベルの作画であり、
集中線や効果音を過剰なほどに盛り込むことで場面を盛り上げている。

ただ逆にこのアニメで動いても面白さに変わらないかもしれない。
基本的には「中身はヤクザ、外見はアイドル」なギャップから生まれる
キャラクターたちの葛藤がギャグになっており、
ある意味、キャラの「心理描写」こそが笑いになっている。

アイドルアニメのようなライブシーンの動きの可愛さや、
ギャグアニメのような顔芸やアクションによる動きの面白さは
この作品にはない。
彼女たちはヤクザの心を持ったアイドルであり、
アイドルになりたいわけでもお笑い芸人になりたいわけでもない。

メインキャラクターたちの「葛藤」が動かない作画につながっており、
その葛藤こそがギャグになってる本作品では、
逆に「動かないこと」が正解なのではないか?と感じるほどだ。
おそらくは予算がないだけだが(笑)

見た目はアイドル、中身はヤクザ


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

アイドルとして日々を暮らしてるものの、彼女たちの中身はヤクザである。
握手会に対立していたヤクザがファンとして現れたり、
舎弟がスタッフになって自分の熱烈ファンであることが露呈したり、
ヤクザである自分と同時にアイドルである自分との葛藤があったりと(笑)

ヤクザが性転換してアイドルになったらという芯の部分は決してブレず、
その芯から様々なストーリーが展開する。
そのストーリーを見てる側が笑いながらも
こういうストーリー展開もあるのかと逆に関心させられてしまうほどであり、
話が進めば進むほど「その手があったのか」と思うほどだ。

この手の出落ちなネタは出落ちと言われるだけに、
最初こそ面白いが話が進むとネタ切れしたり本筋の設定からずれる事も多い。
だが、この作品は出落ちでしかないのにネタ切れしない。
話の広げ方が豊富で1つの引き出しから押し込められまくったネタが
飛び出てくるように、ネタ切れや飽き、ダレを感じさせない。

起承転結の素晴らしさ


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

1話の中に5エピソードという複数話構成になっているため、
話を引き伸ばしすぎずない。
そして、そのエピソードがきちんと「起承転結」を考えられて作られており、
きちんと話しごとにフリがありオチがある。

ギャグアニメ特有の投げっぱなしなオチなどはこの作品にはほとんどなく、
1エピソードがきちんと考えられて作られており、
起承転結の良さを味わいながら、あの手この手で描かれるヤクザなアイドルの
日々の面白さがテンポよく笑いに変わり、
1話1話をしっかりと楽しめる。

ヤクザな歌詞


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

彼女たちが歌うアイドルソングの歌詞はすべて組長が手がけている。
恋のサカズキ、仁義なき恋、恋の潰し屋、夢のシマへなど
ヤクザがらみの歌であり、その歌がその話にきちんと絡んでおり、
新曲が出てくるたびに笑える。

完全に組長の私的な歌詞の歌まで後半は作られる始末であり、
見事なアイドルとヤクザの融合を果たしており、
アイドルアニメなのにダンスや可愛さよりも、
曲の歌詞が気になってしまうという、この作品ならではの魅力がある。
1度聞いたら忘れられないアイドルソングばかりだ(笑)

単発では終わらないストーリーの積み重ね


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

彼女たちはアイドルであるものの同時にヤクザだ。
部下やスタッフはほとんどヤクザであり、事務所の社長は組長だ。
それゆえに1度恨みを買えば因縁が生まれ、
復讐しようと企む奴らまで出てくる。

ギャグアニメにおいてサブキャラは使い捨てになることが多い。
しかし、この作品は使い捨てに終わるキャラが少なく、
「ゴクドルズ」というアイドルと絡んだことによる人生の変化が、
後のストーリーへと影響し、最終話へのストーリーへとつながっていく。

ギャグアニメなのに「ストーリーがどうなるか気になる」部分も
きちんとあり、最初から最後までヤクザなアイドルの日常を
思う存分楽しむことができる作品だ。

総評:出落ちで終わらない面白さ


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

ヤクザが性転換をしてアイドル活動をする。
この基本的な設定から派生するありとあらゆるストーリー展開は
予想外な面白さがあり、見た目は可愛い女の子でありながら
仁義にあふれる彼女たちの行動や言動が自然にギャグになっており、
そこに「組長」の無茶振りや彼女達の被害者たちがストーリーを生んでいる。

声優も非常に豪華であり、組長に藤原啓治さんを起用したことで
組長の「凄味」が生まれると同時に後半の組長の愛らしさも生まれており、
彼女たちがヤクザであることを知らないマネージャーには
諏訪部順一さんを起用したりとベテラン声優の演技も光っている。
脇役やサブキャラにも茅野愛衣さんや小山力也さんなどが起用されており、
作画の予算をすべて声優につぎ込んだと言われても納得できるほどだ(笑)

全話ほとんど徹底して動かない作画ではあるものの、
集中線や文字による演出を適度に入れることで動かないことが気にならず、
低予算で動かせない作画だからこそ演出で盛り上げており、
動かないことがこの作品の魅力にすら感じるほどに仕上げている。

欠点を言うならばヤクザであるがゆえに「シモネタ」も多い、
外見や声が女の子が下品な言葉を使っていることには変わらず、
そこが面白さになっている部分もあるのだが、
「痔」の話や「陰茎」の話なども多いため、
こういったシモネタが嫌いな人は楽しめないかもしれない。

ただ、1話を見て「笑った」なら最終話まで笑い続けられる作品だ。
決して出落ちで終わらないヤクザアイドルアニメを
ぜひご覧いただきたい。

個人的な感想:予想以上に面白かった


引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

原作の漫画はなにかの広告か何かでちらっと見かけたぐらいだが、
ここまで面白い作品とは思わなかった。
出落ちにしか過ぎない設定をここまで広げて、ここまで飽きさせない
ストーリーに仕上がっているのは予想外でしかなかった。

キャラクターも魅力的なキャラが多く、
特にゴクドルズのファンの濃さは妙な生々しさすら感じさせる
アイドルオタクばかりであり、オタクのキャラが濃いほどに
ドン引きするゴクドルズの反応が面白かった。

個人的に最終話のマネージャーの話は心の底から爆笑してしまった(笑)
キャラの使い捨てで終わらないギャグアニメだからこその、
組長の魅力の深さや出所してきた若頭の反応など、
おそらくもう1度見てもこの作品を笑って楽しめる魅力があった。

高い評価をしづらいジャンルの作品ではあるものの、
思わず高い評価をしてしまう勢いの良さもある作品だった。
2期があるかどうかはわからないが、2期があることを期待したい。