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「古見さんは、コミュ症です。 コミュ01「喋りたいんです。」レビュー

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評価 ★★★★☆(60点)

ただものではない只野という男「古見さんは、コミュ症です。 コミュ01 喋りたいんです。」アニメレビュー

あらすじ 私立伊旦高校1年生の古見硝子は容姿端麗だが、人と話すことを極度に苦手としている。入引用- Wikipedia

不器用な女の子はお好き?

原作は少年サンデーで連載中の漫画作品。
監督は渡辺歩、制作はOLM TEAM KOJIMA
なお、本レビューは「1話」のみを見たレビューとなります。

コミュ障と小心者

一話冒頭からこの作品は独特の雰囲気を醸し出している。
ピアノの旋律、そんな旋律にふさわしいほどの見目麗しい美少女、
そんな美少女、古見さんは「強烈なコミュ障」だ
ある種の出落ちに近い部分はある。
タイトルから想像できる内容であり、そんな想像通りな古見さん。

だが、そんな出落ちに近い内容を
この作品は「演出」でこの作品の味にしている。
ピアノの旋律は美人な古見さんにふさわしい一方で、
もうひとりの主人公である只野が彼女と絡む際に
そのピアノの旋律を一時的に止めることで、メリハリが生まれている。

印象的なBGMを上手いタイミングで止めることで、
それが空気感やキャラクターの信条にも繋がっている。
どこかマンガ的でわざとらしくもあるような文字の演出、
そんな漫画である原作からそのまま持ってきたような演出を
画面の中にとりこむことによって静と動やカット割りで、
ギャグにおける「間」が生まれている。

やや過剰とも言える演出だ。
だが、コミュ障な主人公で言葉をあまり発さない一話だからこそ、
その過剰とも言える演出が笑いにつながっている。
声にならない声を文字演出にし、体の震えやBGMで
この作品らしい空気感を醸し出している。

何をしても絵になる美少女、だが、そんな彼女からは
声の一つも漏れない。
只野くんはそんな彼女の横の席で周囲に嫉妬されつつ、
とある出来事をきっかけに彼女をの囁く声を聞いてしまう。

筆談

初めてのコミュニケーションは筆談だ。
重度ともいえるコミュ障な彼女は文字になら自分の思いを書き起こせる。
静かな教室で彼女の思いがチョークの音とともに、
黒板に書き記される。

美人であるがゆえに、誰もが彼女を思わず見てしまうがゆえに
そんな視線が彼女を勘違いさせていまい、
声によるコミュニケーションがとれなくなってしまった。

削れるチョークは彼女の心、折れるチョークも彼女の心。
自分とようやくコミュニケーションを取れる相手を得たからこそ、
彼女は溢れ出る思いを黒板に書き記す。

不器用すぎる古見さんと、ただの普通の人である只野。
二人の近いようで遠い距離感のなかで描かれる
「コミュニケーション」。

そんな思いすらも彼女はあっさりと黒板消しで消し去ってしまう。
一方的な筆談。彼女は不器用だ。
コミュニケーションとは相互理解だ、なにかを伝えたい相手の
思いも聞かなければ成立しない。

只野

だからこそ「只野」という男は書き記す。
彼は別に極度のコミュ障ではない。
普通に喋れるし、自己紹介だってできる。
黒板に自分の思いを書き記す古見さんに対して彼は
「声」を出して返事をしていた。

だが、一方的に思いを綴り立ち去ろうとする彼女に対し、
彼はあえて自らの思いを「黒板」に書き記す。
彼はコミュニケーションを、相互理解をしようとしている。
彼女の立場に立って、彼女の思いに応えるために、
あえて彼女と同じ手段で彼はコミュニケーションを取る。

「今日は、いい天気で良かったですね」

二人の初めての会話、コミュニケーションだ。
天気は誰しも共通の話題だ、無難であり、
誰しもが応えることのできる話題。
そんな話題から二人の「コミュニケーション」は始まる。

静かな教室で、聞こえてくるのは黒板をチョークが走る音だけ。
だが、そんな二人の会話、
二人のコミュニケーションが微笑ましい。

溢れ出る言葉は声よりも、何よりも伝わる。
声はコミュニケーションの1つでしかない。
伝わればいい。ただの普通の人であるはずの只野は
それを分かっていたのか分かっていなかったのか、成し遂げた。
無自覚に、だが、誰よりも「古見」さんの心によりそった。

古見さんにできた一人目の友達は普通の人だ。
だが、何よりも大切でかけがえないものだ。

総評:すばらしい一話

本当にすばらしい一話だ。
過剰とも言える演出が最初は気になったものの、
コミュ症な主人公であり、台詞が少なく言葉も少ないからこそ、
その演出で彼女の心情を表現しており、
それがギャグとしても効果的に働いている。

そしてもうひとりの主人公である只野。
普通の人は彼が、彼女の立場に立ってコミュニケーションを
取ろうとする姿はまちがいなく主人公であり、
普通の人ではあるかもしれないが物語の主人公だ。

主人公が主人公らしく、魅力的だ。
この二人の主人公の「コミュニケーション」という名の
相互理解がどうなるのか、千の言葉をかわしても、
まだ朝の挨拶すらままらない二人の関係性。

友達100人を目指す「古見」さんと、残り99人の友達作りを
手伝う「只野」、二人の不器用な物語の始まりが
印象的に描かれている一話だった。

個人的な感想:ナレーション

地味に「日髙のり子」さんによるナレーションがいい味を出しており、
一話は人によっては好みが別れる部分はあるかもしれないが、
演出やカット割りにかなり気合を入れて描いている印象だ。
平々凡々な見せ方ではここまで一話が印象的にはならない。

二人の主人公を際立たせる演出、
そしてナレーションがいい味を出しており、
考えられたカット割りがより、シーンを印象づけている。

二話以降もこの演出が続くとやや疲れそうではあるものの、
この二人がどうなるのか、どう変わっていくのか。
気になるところだ。

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  1. たまたま視聴した者 より:

    まるで劇場版のような仕上がりの一話だった。アニメを見終わって満足感に浸ったのは久しぶり。大勢の人に見てもらいたいと思う。