実写映画

全員馬鹿「今際の国のアリス シーズン3」実写化レビュー

0.0
今際の国のアリスSeason3 実写映画
スポンサーリンク

評価 ★☆☆☆☆(10点) 全12話

「今際の国のアリス」シーズン3|予告編|Netflix

あらすじ 今際の国についての記憶を一切失ったまま現実世界に戻ったアリスとウサギ。2人は臨死体験の研究に傾倒する大学の助教授リュウジと出会う 引用- Wikipedia

全員馬鹿

原作は漫画な本作品。
監督は佐藤信介 、制作は株式会社 ロボット

Season1 、Season2

本レビューはSeason3のレビューだ。
この作品のSeason1とSeason2の完成度は高く、
いわゆるデスゲームものの実写化としてNetflixでかなりの人気の作品になった。

若干ネタバレになるが、登場人物たちは「今際の際」にいる。
生死をさまよっている段階で、彼らが迷い込んだのが「今際の国」だ。
現実での自分たちがどうなっているかもわからず、
彼らは理不尽なデスゲームに強制参加させられ、
生き残る力を最後まで示したものだけが生き返ることができる。

俳優陣の演技、悪の強いキャラクター、ゲームの面白さもあって
Season1とSeason2には特に文句はなく、
「面白かったなー」という感想で終わる作品だった。
基本的にSeason2までは原作通りの流れでやっており、
一部原作改変やカットなどはありつつも、気にならない程度の改変だった。

そしてSeason3の製作が発表された。
原作には続編ともいえる作品も存在するのだが、
この作品は「完全オリジナル」のSeason3になっている。
期待半分、不安半分で見た結果、
とんでもない作品に仕上がっていたので思わず、普段はドラマをレビューしない私も
キーボードをたたき散らかすことになった。

導入

導入の時点でうんこだ。
Season1の導入、登場人物たちが今際の国に訪れたのは「災害」がきっかけだ。
街に隕石が落ち、その結果、多くの人物が生死をさまようことになり、
今際の国に訪れている。

そんな今際の国から帰ってきた主人公とヒロインは結婚しており、
ヒロインのおなかの中には子供がいる。
ちなみに主人公は「アリス」でヒロインは「ウサギ」だ。
二人はSeason2までと同じように今際の国での記憶は失いつつも、
仲睦まじい夫婦になっている。

なお「アリス」も「ウサギ」も苗字である(苦笑)
今時はやりの夫婦別姓主義な二人なのかもしれないが違和感はすさまじい。
そんな彼らが事故や災害に巻き込まれて、
再び今際の国へ…という流れならまだ理解できるのだが、
今作は違う。

「ウサギ」の父はすでになくなっており、そんな父に対する思いやトラウマが
残っており、それはSeason2まででいろいろと描かれていた。
そういうのを乗り越えたからこその今のはずなのだが、
Season3でも父のことを引きずっており、旦那である主人公にもそれを言えず、
死後の世界の研究をしてるイケメンに相談をし、
そんなイケメンとともに死後の世界に旅立ってしまう。

意味不明である(苦笑)
おなかの中に子供までいるのに、旦那には一言も言わずに、
自殺未遂的なことをするのは本当に意味が分からない。
今際の国では旦那そっちのけでイケメンとイチャイチャしており、
軽いNTRみたいな感情を抱かせてくれる。

このイケメンも死後の世界に興味津々で、
死んだ妹に会いたいのか、ウサギとイチャイチャしたいのか
最後までよくわからず、車いすでデスゲームに最後まで参加するという
フィジカルの高さはすごいものの、意味不明なキャラだ。

当然、主人公もうさぎを追って今際の国にいくことになる。

運任せのデスゲーム

ゲームの内容自体も明らかにクオリティが下がっている、
基本的にSeason3では原作のゲームを改変したものか、
オリジナルのものしかない。

序盤で8両の電車の先頭車両に行くというゲームがある。
その8両のうち4両は毒ガスがまかれる。
毒ガスを防ぐためにはマスクをかぶりボンベをつけなければならないが、
このボンベの数が5本しかない。ミスがミスが許されるのは1回だけだ。

しかし、途中で2回ミスしたがゆえにボンベの数が足りなくなる。
ここでどうするのか。
安全な隣に走る電車に移ることである(苦笑)
ゲームのルール的にそれはどうなんだ?という力技で
解決することが非常に多く、運任せなうえに力技で解決する展開は
意味不明でしかない。

序盤ではゲームのフィールド外に出ると死ぬシーンがあったのに
別の車両に移ってもペナルティにならないのはちょっと理解不能だ。
序盤でもリズムゲームのごとくレーザー光線をよけるゲームがあるが、
これもただただフィジカルだ、パワーでデスゲームをクリアし続けている。

馬鹿が考えたデスゲーム

序盤以外はほとんど頭脳戦というものがない。
中盤でゾンビ狩りというゲームが描かれる。
多くの参加者の中に数名ゾンビが潜んでいる。
参加者たちはトランプでバトルするのだが、
ゾンビと戦うと自分もゾンビに感染してしまう。

ゾンビに対しては「撃ち殺す」カードを出すか、
「ワクチン」カードを出すことで対処できる。
前者はゾンビになった人の命を奪うが、後者は奪わない。
これで「ゾンビ」になったままゲームが終わったら
ゾンビは敗者というならばまだ理解できる。

だが、このゲームは違う。
最終的に人間かゾンビ、どちらかが多いほうが勝利になる。
この時点で多くの人が思うだろう

「あれ?みんながゾンビになればいいんじゃない?」

まさにそれである(苦笑)
しかし、作中の人物たちは誰もそれに気づかず
「誰がゾンビかな…ゾンビは撃ち殺さないと!
ゾンビになっちゃったぁああ!殺されるぅぅぅ!」と
騒ぎ散らかす。

馬鹿が考えたゲームを馬鹿がやっている。
ちなみにワクチンカードは1度も使われない。
別チームでこういう作戦をとりづらい部分もあったかもしれないが、
話が進めば進むほどゲームががばがばになっていく

未来すごろく

最後のゲームである未来すごろくは本当に意味不明でしかない。
5×5の部屋があり、それらの部屋のどこかがゴールにつながっている。
部屋同士を移動するためには扉をくぐる必要があるが、
くぐる際にポイントを使用しなければならない。
一人あたり15ポイントの中でゴールにたどり着けるかが肝だ。

ちなみに参加者同士は無線で連絡も取れる。イージーなゲームだ。
部屋によってはマイナス8ポイントのペナルティがある部屋などもあるが、
協力すればみんなでゴールにたどり着ける。
しかし、それができない。

部屋の四方の壁には「未来の映像」が流れている。
本来、登場人物たちが行かなければならない方向には
「不幸な未来」を迎えている自分の映像が流れ、
違う方向には思わずそっちに進みたくなる幸せな未来の映像が流れている。

選んだ方向の未来になってしまうかも?みたいなことは
示唆されているものの、確証はない。
でも、馬鹿なキャラクターたちは
「幸せな未来が描かれてる方向に行きたい!
主人公に指示された方向は不幸な未来が描かれてていや!
ぼくこっちにいく!」となる。

バカしかいない。
そんなバカが選択したはずの幸せな未来の扉の先で
普通に死んでしまう人物もいる。
選んだ方向によって未来が決まるなら死ぬ未来を映していなければならないはずだが、
そういう風にはなっていない。

しかも、最後に主人公だけがゴールの扉をくぐれずに終わるのだが、
実はゴールの部屋に残っていたほうが勝者です!と
意味の分からない後付けルールを主催者がしてくる。

最後の最後まで「はぁ?」と言いたくなるようなシーズン3だった。

総評:馬鹿による馬鹿のためのデスゲーム

全体的に見てひどい作品だ。
役者の演技は素晴らしく、映像のクオリティも高い。
だが、脚本の突っ込みどころがあまりにも多くデスゲームものとして素直に楽しめない。

導入時点から意味不明な導入であり、ラストも意味不明だ。
意味深に渡辺謙がでてきていろいろと御託を並べるが、
おそらく「海外展開」を狙っているのだろう。
それを示唆する要素もラストで見せており、
そのつなぎのために蛇足なシーズン3を作った感がある。

本作品の監督はいろいろな実写映画を手掛けており、
原作の実写化という意味では優秀な監督だ。
しかし、オリジナル要素を入れすぎて
「デスノート Light up the NEW world 」のような作品も生まれている。

今作も似たような感じだ。原作の続編もあるのに
それを無視してオリジナル全開の続編を仕上げた結果、
キャラクターの行動理由も意味不明、掘り下げも甘いうえに、
意味不明なNTR要素もあり、なんだったの?というようなキャラばかりだ。

肝心のゲームもフィジカルだより、運だより、
穴だらけでガバガバなゲームばかりで、後付けのルールも多い。
終盤で描かれる缶蹴りなどは、ただただ缶を奪い合うだけの
暴力もありなゲームだ、頭脳戦もくそもないうえに面白味もない。

色々な部分ががばがばで、せっかくSeason1とSeason2が
面白かったのに台無しにされた様な気分になる作品だった。

個人的な感想:フィジカル

フィジカルですべてを解決しようとしているのは
デスゲームものとしては斬新だったかもしれない。
缶蹴りしかり、東京タワービンゴしかり、電車しかり、
筋力がものをいうデスゲームは角度を変えれば楽しめなくはないが、
終盤の未来すごろくは擁護不可避だ。

Season2までの時点なら気になるところはありつつも
「面白かった」作品だっただけに、
完全に蛇足なSeason3だったと言わざる得ない作品だった。

果たして海外版今際の国のアリスは制作されるのだろうか…

「今際の国のアリスSeason3」に似てるアニメレビュー