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推定赤字額2億5千万!?平成最大の大赤字アニメ映画 「ポッピンQ」レビュー

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評価 ★☆☆☆☆(9点) 全94分

映画 『ポッピンQ』ダンスアニメーションPV①

あらすじ 通過点でしかないと思っていた卒業式を目前に控え、中学3年生の伊純は前に進めずにいた。そんな時、登校中に乗った電車で訪れた「星ヶ浜駅」の近くの海の砂浜で美しく輝く「時のカケラ」を拾った伊純は引用- Wikipedia

推定赤字額2億5千万!?平成最大の大赤字アニメ映画

本作品は東映 アニメーション60周年記念のプロジェクトとして
制作されたオリジナル劇場アニメ。
監督は宮原直樹、制作は東映アニメーション。

岡田麿里か?

映画冒頭から「岡田麿里脚本か?」と思うような雰囲気だ。
彼女の手がけた作品はよく
「女の子が走る」「女の子が叫ぶ」「生々しい女性描写」などで
青春感を演出するのがお決まりのワンパターンであるが、
この作品は別に岡田麿里脚本でもないのにその雰囲気がビンビンに出ている。

脚本家の方は荒井修子さんという方だが調べた所、本来はドラマの脚本家のようだ。
最近の作品だと「水族館ガール」「ヒガンバナ警視庁捜査七課」という作品を
手がけているようだが、私個人としては全く知らないドラマばかりだ。

この作品に出てくるメインの女の子は5人いる。
彼女たちは中学三年生であり、それぞれが色々な事情と悩みを抱えている。
特に主人公でもある「小湊 伊純」は反抗期MAXであり、
親の仕事の関係で引っ越しを目前な状況だが、
引っ越ししたくないと親に反抗している。

そんな主人公はやきもきとした気持ちを抱えたまま
走り、海に向かって叫ぶ。
もうどこの岡田麿里だと言いたくなるような冒頭だ。

そして、そんなウジウジ状態から唐突にOPが流れる。
「え?今、OP!?」と思うほどの違和感MAXでストーリーをぶつ切りにして
OPが始まり、何の説明もなく、踊りまくっているメインキャラと、
登校の様子が交互に描かれる。

この冒頭の時点で彼女たちが踊っている意味がわかるはずもなく、
印象に一切残らないOPをいきなり入れる意味も分からなければ、
OPを入れるならばもっと早い段階で入れておけよと思わずイラッとしてしまう。
ストーリー構成がダメだということが冒頭の10分位で分かってしまう。

異世界

そんな岡田麿里脚本風な青春模様が描かれたかと思ったら、
いきなり異世界へと女の子が飛ばされる。
あまりにも唐突な展開はなろう系作品もびっくりだ。
何の脈絡もなく唐突に異世界に飛び、そこにはプリキュアなどの
「東映アニメーション」らしいマスコットキャラが出てくる。

岡田麿里脚本のような青春アニメが始まるかと思ったら
まるで女児向けアニメのような展開になる。
はっきりいって「ちぐはぐ」だ。

主人公たちの本来いるべき作品は「岡田麿里脚本」の青春作品なのに、
なぜかプリキュア的なファンタジーが始まる。
あまりにも展開が唐突過ぎて単純に話についていけず、
少し前まで描かれていたウジウジな雰囲気と
プリキュアもびっくりな雰囲気とのギャップに戸惑うことしか出来ない。

主人公は異世界に順応するのが早い。
さっきまでのウジウジはどこへやら、異世界にいった途端に
女児アニメの主人公のように明るく異世界を探索し始める。

ついでみたいに他のメインキャラも同じ場所に召喚されている。
彼女たちも異常に順応が早く、すぐに唐突に現れた
雑魚敵キャラを戦ったりもしている。
もう少し異世界ということに戸惑ったり、
しっかりとしたキャラ描写をしてほしいのに
そういうことをセず「本題」にどんどん話が進む。

異世界ではポッピン族という何の捻りもないネーミングの種族が住んでおり、
そんなホッピン族が世界の危機を救うために5人の女の子、
メインキャラクターたちを呼んでいる。
異世界を救う方法はダンスだ。

異世界の時の谷から時のかけらが飛び散り、
それを拾った5人は時をまもるためにも、
それを1つにするための祈り、ダンスを捧げないといけない。

ダンス

自然なストーリー展開というのがまるで出来ていない。
この作品のターゲット層がよくわからないのだが、
オタク向けと考えれば子供だましすぎる感じが強く、
女児向けと考えるとキャラクター描写がやや重い。

可愛らしいキャラクターデザインのマスコットキャラが踊る様子も
結構ガッツリ見せられるが、女児向けなら「可愛い!」と楽しめるが、
大人が見ても全く楽しくない。
むしろマスコットキャラが踊る様子を見て「私感動しちゃいました」と
涙ぐむメインキャラクターの反応にドン引きだ。

涙ぐむポイントなど1つもない。
ダンス要素も制作によれば当時、
中学校の授業にダンスが導入されたからこそ
この作品にも取り込んだらしいのだが、
今だったらtiktokなどのダンス文化もあり流行った要素かもしれない。

実際、この作品のダンス動画も「yahooキッズ」に
掲載した所、大人気だったらしく、
それを受けて上映館の拡大や上映の前倒しも決定している。
今で言えば「バズった」部分もあったのだろう。

しかし、最近で言えば「しかのこのこのここしたんたん」しかり、
ダンス動画がバズったからといって本編がバズるわけでもない。
青春ファンタジー映画にしたいのか、女児向けアニメ映画にしたいのか、
この作品は常にどっちつかずで、
その2つを反復横とびしているような印象だ。

ウジウジ

異世界に来て女児向けアニメのような雰囲気になったかと思えば。
女性キャラクターの性格の悪さが唐突に顔を出し、また雰囲気が暗くなる。
唐突な展開と唐突な展開を繋いで目まぐるしくストーリーが切り替わり、
そのたびに雰囲気が女児向けアニメと青春アニメで切り替わる。

それなのに一部のキャラクター描写が極端に浅い。
メインキャラは確かに5人なのだが、
きっちりと描かれるのは主人公ともう一人くらいで
他のキャラの問題などは回想で描かれたりする適当さで、
ダンスシーンを派手にするための数合わせでしか無い。

異世界で主人公は自分自身の過去と向き合うことになる。
このあたりはありがちな展開だ。

唐突

中盤になると「都久井沙紀」というキャラが途中参加してくる。
途中参加したキャラとともに5人でダンスをしないと世界が救われない。
それなのに都久井沙紀はダンスの経験があるのに
積極性がなく協調性がない。クールなキャラだ。

彼女にどんな過去があるのか、そういったことを
丁寧に描かないと稲井あのに、唐突に挟まれる挿入歌。
「作品の雰囲気」というのを無視した感じMAXの曲だ。

調べた所、この作品の主題歌と挿入歌を歌わせるために
オーディションをして、わざわざユニットとして結成した
「7人」らしいが、特にそこに意味を一切感じない上に、
そこまでしたのなら、もっと作品の雰囲気にあった
曲があるだろうと心底思ってしまう。

ダンス練習シーンも何回見せられるんだよと思うほどだ。
同じようなダンスが徐々に上達してますよと言いたいのは分かるが、
違和感MAXな挿入歌をそのたびに聞かせられて、
がっつりとダンスを見せられる。

そんなダンスシーンよりも5人のメインキャラを
掘り下げ、それぞれの悩みや過去を描き、
それを異世界で乗り越えるという展開を描かないといけないはずなのに、
ダンスシーンの描写に気合が入っている。

しかもダンスが上達すると戦闘力まで身につくようなのだが、
この戦闘シーンも心底どうでもいいほどつまらない。
青春、ダンスときて異世界要素に、バトル要素まで詰め込んで、
90分という尺に収めきれるはずもない。

どことなく「総集編映画」でもみているかのような気分だ。
すべての展開が唐突ですべてのセリフが説明口調だ。
きちんと1本の映画としての物語を描けていない。

主人公以外のメインキャラの悩みも
「私はこういう悩みがあります」と順番に自分自身で説明しており、
それぞれがそんな悩みを吐露するほど、いつのまにか仲良くなっている。
出会ってダンスの練習をしてたくらいなのに、
仲良くなっているのは意味不明でしか無い。

メインストーリーが進んだかと思うと、
またダンスの練習シーンを入れてくる。
いちいちダンスが話の腰を折ってくる。

中盤から参加した「都久井沙紀」もマスコットキャラが
全部事情を説明してしまう。圧倒的に尺語りていない。
それなのにダンスの練習シーンはガッツリ入れてくる。

唐突part2

ダンスを練習し、勇気のダンスを身につけた彼女たちは
戦闘能力が向上している。
プリキュアもびっくりな変身シーンで戦うシーンの
アニメーションのクォリティは非常に高く、キャラクターデザインの
優秀さもあいまって、このバトルシーンだけ見ると悪くないと感じる。

終盤で時の欠片があつまって、あとはダンスを捧げるだけ!となったら、
時の欠片がきえて、「都久井沙紀」もどこかへいってしまう。
ポッピン族の長老いわく「城にある!」といわれて城に行くことになる。
もう唐突、過ぎて笑うしか無い(苦笑)

5人のメインキャラたちも異世界にいる時間に時間制限があり、
ポッピン族に「もう戻ったほうが良い!卒業式があるんだろう!」と
言われるものの、そもそも彼女たちがダンスをささげないと
人間の世界を含む全ての世界の時間軸に狂いが生じて
崩壊してしまう可能性があるのに卒業式もなにもないだろう。

そんな城に向かう途中で「陸上部」だった主人公が
トラウマを乗り越えるために走るシーンがあるものの、
取ってつけたようなシーンでしか無い。
ちなみに他のキャラが自分の悩みなどに向き合うことはほとんどない。

城にたどり着くと「都久井沙紀」が現れる。
あまりにも唐突すぎて笑うしか無い(苦笑)
それまで暗躍していた「レノ」という敵キャラが途中退場したかと思えば、
唐突に未来のメインキャラの一人がでてきてラスボスとして
メインキャラたちと戦い出す。

「都久井沙紀」は仲間に裏切られており、
そんな裏切られたまま大人になった彼女がラスボスなのはわかるが、
そもそも普通の女の子だった彼女はどうやって
この異世界に来たのかなど謎は募るばかりだ。

あっさりと「都久井沙紀」はメインキャラが苦しむ姿に感化され、
もう1度ダンスをやりたい!と言い出すものの、
掘り下げ不足すぎて唐突で浅いストーリーがずっと展開している。
だからこそ、話についていけない。

ずっと頭に「つまりどういうこと?」という疑問が浮かんでしまっている。
戦闘シーンのアニメーションや、
ダンスシーンのフルCGのクォリティは非常に高く、
8年ぶりに見返しても遜色がないクォリティだ。
曲があっていないことを除けば(苦笑)

ラスト

この作品の問題はラストだ。
無事ダンスをやりとげて世界を救い、なんやかんやで
5人のメインキャラは悩みを克服してすっきりして元の世界に戻る。
色々と描写不足やツッコミどころや説明不足な部分はあるものの、
この作品で描きたかったことはまだ理解できる。

だが問題はラストだ。エンドロールが流れたあとに追加のシーンが有る。
追加シーンでは高校生になったメインキャラたちが、
なぜか同じ高校に入学しており、
更に異世界で暗躍して、途中で退散した「レノ」が
生徒会長として彼女たちの前に現れるところで終わる。

意味不明だ(苦笑)
続編を匂わしまくりな展開で終わっており、
「こうしてわたしたちの高校生活は始まった!」と
映画が終わったはずなのに続編が始まるようなシーンを見せられて
映画の幕が閉じる。

もう最初から最後まで意味不明な作品になってしまっている。
映画のラストではレノが「さぁ?どうする?」と問いかけてくるのだが、
それを、聞きたいのはこっちだ。

総評:平成アニメ映画史上、最大の赤字映画

全体的に見てセンスのない監督と脚本家がセンスのない作品を作ったと言う感じだ。
脚本家は初アニメなので岡田麿里脚本を参考にした女性キャラ描写と、
東映 アニメーションらしい女児向け作品をあわせた脚本で、
大人も子供も楽しめる脚本にしようと思ったのは分かるが
力量不足で中途半端になってしまい90分という尺では
何も描ききれていない。

青春、ダンス、異世界、バトルとこの4つの要素が全く持って絡み合っておらず、
90分という尺にそれを無理矢理押し込めたせいで
ダイジェストのような唐突な展開と展開をつないだだけの
ストーリーになってしまっている。

せめてキャラクター描写がもっとしっかりしていれば違っただろう。
だが描く要素が多すぎてきっちりとキャラを掘り下げる前に
話を進めてしまっている感じが強く、常に慌ただしく、
そのくせ、どうでもいい要素やいらないシーンが多すぎる。

表面上の浅すぎるキャラ描写ではキャラクターの性格の悪さだけが際立ち、
結局印象に残るキャラはほとんど居ない。
5人のメインキャラのうち3人くらい別にいらないキャラになっており、
キャラクターの悩みもなんかいつの間にか解決してるどうでもよさだ。
ダンスの盛り上げ要員お疲れ様で終わっているキャラが半数以上だ。

ラストのシーン、続編を匂わせるシーンも意味不明でしかなく、
シリーズ展開をしたいという制作側の気持ちは分かるものの、
それならばはじめからTVアニメでじっくりとやればよかったのでは…?
と思ってしまう作品だった。

個人的な感想:8年ぶりに見返した

アニメコラムを書いたことをきっかけに
久しぶりに見返してみようと、8年ぶりにこの作品を見返したわけだが、
当時とほとんど感想は変わら赤った。

唯一評価できるのはダンスの際の
CGの質と可愛らしいキャラクターデザインくらいだろうか?
ダンスシーンだけ切り取ればそれなりに見れるが、
曲が合っていないのでダンスシーンも台無しだ。
聖地を狙った要素も微妙に有り、主人公の方言などもあるが、
びっくりするくらい滑ってる。高知県出身にした意味を一切感じない。

ある意味、強烈に印象に残る作品ではある。
8年たった今でも色々な人がタイトルを出すほど
内容的にも興行収入的にも衝撃的な作品だ。

興行収入自体は5000万円ほどであり、
制作費はおそらく少なく見積もっても2億、
宣伝費などをあわせれば3億ほどはかかっているだろう。
それを考えれば2億5千万以上の赤字だ。

のちのクラウドファンディングでは2500万も集まったらしく、
あのラストのシーンからの続きも「小説」という媒体でなら
今は読むこともできるようだ。
8年前に私と同じように「なんだこれ?」と思った人たちは
小説を読めばその気持が解消される…のかもしれない

「ポッピンQ」に似てるアニメレビュー

監督:宮原直樹, プロデュース:金丸裕, Writer:荒井修子, 出演:瀬戸麻沙美, 出演:井澤詩織, 出演:種﨑敦美, 出演:小澤亜李, 出演:黒沢ともよ
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