「ぼくらの7日間戦争」レビュー

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映画
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評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全88分

あらすじ 2020年、北海道の旧炭鉱町に住む鈴原守は、本好きだが周囲の生徒とは没交渉な高校2年生だった。引用- Wikipedia

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全員犯罪者

本作品は2019年に公開された劇場アニメ作品。
同タイトルの小説、ならびに映画があるが、
この作品はそんな原作から約30年後の2020年を舞台にしており、
アニメ化というよりは設定だけ借りたという感じのほうが近い作品だ。
監督は村野佑太、製作は亜細亜堂

誰も僕には興味がない


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

原作は80年代の作品であり、教師による体罰は当たり前の時代だった。
抑圧した時代であり、若者はみなどこか鬱屈としたものを抱え、
その鬱屈したものを解き放つような曲や作品が多く好まれた時代だ。
音楽で言えば尾崎豊さんなんかがわかりやすい。

この支配からの卒業、校舎の窓ガラスを割る。
そんな今どきの若者にはピンとこないような歌詞は当時の若者の
心に突き刺さった時代だ。原作もまたそんな時代に生まれた作品だ。
校則をつきつけてくる先生、勉強を強要する親。
そんな大人たちに対する子どもたちの戦争を描いた作品でもある。

しかし、そんな抑圧や大人の支配というのはやや時代錯誤になりつつある。
先生が体罰をくわえれば生徒は親に言いつけ先生は首になる。
先生よりもむしろ生徒のほうが強い時代だ。
原作通りの内容をアニメとしてリメイクしても古い感じが強く、
だからこそ2020年を舞台にして違った形で「ぼくらの七日間戦争」を
この作品は描こうとしている。

ただ、原作の根本的な部分が現代では通用しないから変えるというのは
ほとんど原作からの内容を変えるということと同じだ。

大人の都合=引っ越し


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

高校生な主人公には片思いの相手がいる、隣の幼馴染であり告白すら出来ていない。
幼馴染は引っ越すのが嫌で議員である父親に反抗するものの、
大人の都合に子供は抗うことは出来ない。
しかし、主人公は幼馴染に「逃げよう、大人の見つからない場所に」と言い放つ。
ようは家出だ(苦笑)

原作の時代背景を鑑みた子どもたちの戦争は素晴らしいものがあったが、
この作品は家出でしかない、引っ越すのが嫌だから家出をする。
原作が大人たちからの支配や強制に対する戦争だったが、
この作品はただのワガママである。

これで彼らが小学生や中学生ならまだわかる。しかし彼らは高校生だ。
今どきの高校生が親の都合で引っ越したくないからと家出をするという
驚くほど浅い理由にこの作品は大丈夫か?とはじまって5分足らずで
不安がいっぱいだ。

そこの君、君の名はみたいな作品を作ってくれ


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

そんな不安を抱えた後に呆れる。
主題歌が流れる中でダイジェストで家出のメンバーが集っていく。

ようは「新海誠」監督の手法のパクリだ。
もう浅すぎる新海誠監督作品のパクリに呆れるしか無く、
これで新海誠監督作品のような背景や作画のクォリティがアレばまだ
見ていられるか、特にこの作品の作画はすごくない。

ただただ偉い人から製作に「君の名は」みたいな作品を作ってくれと
頼まれたんじゃないか?と思うほどに浅すぎる序盤のダイジェストシーンは
全くもって面白みのかけらもない。

しかも本来は7日間をともにするメインキャラが集うシーンだ。
そんな大事なメインキャラの登場がダイジェストで描かれるのは意味がわからない。
キャラの名前もよくわからず、どんなキャラなのかまるで印象がつかず、
うるさいだけの曲を聞かされてメンバーがあっという間に集まる。

彼らがなぜ家出に参加したのか。そういった大事な部分もまるで描かれないため、
なんで彼らが集まったのかという部分があまりにもふわっとしている。
新海誠監督作品のようにダイジェストを使うのは1万歩譲っていいとして、
ダイジェストで描いてはいけない部分をダイジェストで描くのは
制作側のセンスを疑う。

恐らく偉い人に言われたのだろう「君の名はみたいにしてくれ」と、
そんな大人の都合が透けて見えて現実に引き戻される。

ダイジェストで家出のメンバーが集まり、
ようやく家出が始まったかと思えばまたダイジェストだ。
そんなにダイジェストが好きならば一生ダイジェストしてればいいと想うほど
ダイジェストにまみれた序盤はキャラの掘り下げにもつながらず、
何の面白みもない。

結局、主人公とヒロイン以外はキャンプ気分だ。
浅い理由での家出に更に浅い理由で参加している。

不法滞在


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

序盤をすぎると唐突に「不法滞在」の子供が出てくる。
彼らが家出をしたのは廃坑であり、そんな廃坑には不法滞在の子供が居た。
不法滞在の子である「マレット」は入局管理局に追われており、
はぐれた両親を探している。そんなマレットを大人から守ろうとする。

この時点で話がよく見えなくなってくる。
明らかにマレットは不法滞在という罪を犯している子供であり、
大人たちがそんなマレットを捕まえに来るのは当たり前だ。
しかし、そんなのお構いなしに彼らは大人たちに廃坑に残った道具で攻撃する。
もう彼らもこの時点で立派な犯罪者だ。家出どころではない。

マレットに同情し、感情移入をし、身勝手な善意で大暴走している。
これでマレットが彼らの同級生で、マレットが不法滞在で連れて行かれようとして
大人から守るというストーリーならわかるが、
出会って数分でマレットに同情して、
マレットのために彼らが戦う流れは意味不明だ。

何度も言うが、コレで彼らが小学生ならこの無鉄砲さもわかる。
しかし、もうすぐ17際の誕生日を迎えようとするヒロインを筆頭に高校生だ。
彼らはありとあらゆる犯罪を犯している。
不法滞在者をかくまい、公務執行妨害をおかし、不法占拠し、器物破損、
一歩間違えば死者も出かねない状況だ。暴行、殺人未遂がついてもおかしくない。

少年法ではかばいきれないレベルの犯罪を犯しまくっている。

SNS


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

中盤で彼らはこの騒動をネットに動画でアップする。
注目を集めることで強引な手法を取らせないようにするという方法は
現代的であり、30年前の原作では出来なかった方法だ。

この点は面白いものの、彼らがやってる事は不法滞在者を守ってることだ。
動画自体はバズるものの、少し前に流行ったバカッターと変わらない。
ネットを利用してしまったがゆえに彼らはネットからの反逆を受ける。
個人情報の流出だ。議員に秘書が唐突に彼らの「顔写真」を晒してしまう。
どこの誰か、どんな顔でどんな名前なのかが大勢の人に知らされる。

もう後戻りはできないどころか、取り返しがつかないレベルだ。
一生晒され、何らかの対処をしなければ、
名前を検索すれば顔写真も出てくるようになってしまう。
この情報時代に彼らはとりかえしのつかないデジタルタトゥーを背負う。

メインキャラたちの裏垢や中学時代のいじめを受けていた事実なども
唐突に明らかになり、話自体は面白くなってくるものの、
彼らはこんなデジタルタトゥーまで背負ってどうするのだろうか、
取り返しがつくのだろうか?と心配になってしまう。
バカッターと同じだ。

メインキャラたちの関係性が崩壊するような書き込みや
裏垢のツイートまで出てしまう。
犯罪者になり、デジタルタトゥーを背負い、関係性が崩壊する。
映画も残り30分、ここからどうするかがこの作品の見所だ。

暴露大会


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

裏垢を晒され、過去を書き込まれて彼らは本音でぶつかり合う。
どうしようもない状況で主人公がなんか語りだすが
見ている側には何も響かない薄っぺらい台詞だ。
「本当の俺を知ってもらいたい、大人になんかならなくても良い」
となんか言った挙げ句、ヒロインに告白する。

そして見事玉砕する、この映画で唯一爽快感のあるシーンだ。
これでヒロインと主人公が結ばれてたらこの作品に見どころはない。
特に好感がもてない主人公が見事玉砕するシーンはこの作品の見所であり、
告白したヒロインはヒロインで実は同性愛者だったことが明らかになる。
主人公は見事、ヒロインを別の女に寝取られる。

何なのだろうかこの作品だ(笑)
不法滞在、SNS、家出、いじめ、LGBTなど色々な問題を扱ってるが
どれこれも本当に浅い。色々な要素を詰め込んでどれもきちんと掘り下げていない。
居ても居なくても良いキャラも多く、
メガネやメガネの幼馴染の必要性はまるで感じない。

メインキャラが全員泣き出してる状況で、見てるこっちは大爆笑だ。
自分たちが隠していたこと、言えなかったことを暴露するというなかで
議員はかつらであることまで暴露されてしまう。
それは議員が暴露スべきところであり、娘が暴露する事ではない。

は?


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

犯罪を犯しまくりデジタルタトゥーを背負った彼らがどう行き着くのか。
もう、終盤のこの作品にはそれしか期待していなかったが
それすら投げる。

唐突に宮沢りえ演じるキャラが出てくる過去作ファンサービスも、
ようは「ぼくらの七日間戦争」にまた宮沢りえさんが出るという
宣伝文句を使いたいがための大人の事情しかみえず、
彼女が出る意味もまるで感じない。
ラストの数分しか出ないキャラに何の感情も浮かばない。

逃げていた不法滞在者の両親もマレットと終盤で再会するが、
彼らが不法滞在であることは一切変わりがない。いずれは強制送還だろう。
家出も終わり、無事ヒロインは引っ越す。

彼らが警察に捕まるシーンや親に説明するシーン、
彼らのこの後は何も描かれない。濁して終わりだ。
エンディングが流れる中で「その後」のシーンがダイジェスト的に
流れるならまだ取り返しがついたかもしれないが、そんなことはしない。
本編のシーンももう1度流す(苦笑)

何なんだろうかこの作品は。
結局主人公たちは自分たちの秘密の暴露大会をし、
犯罪を犯しまくってデジタルタトゥーを背負って終わりだ。

まるで取り返しがついていない。ヒロインの父親が議員であり、
議員の弱みを握ったり説得して、なんとかもみ消さたりすることもしない。
彼らに残ったのは犯罪歴とデジタルタトゥーだ。

彼らの将来に何の希望も抱かせないまま映画が終わる。
この作品はバッドエンドではないだろうか?(苦笑)

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総評:バッドエンド


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

全体的に見てひどすぎる作品だ。
とってつけたような要素とキャラクターをまるで活かしきれず、
中途半端な新海誠監督作品のパクリシーンを盛り込み、
キャラクターたちに犯罪をおかさせまくってデジタルタトゥーを背負わせて、
そんな重い状況なのに、それに対するフォローがなく全て放り投げて終わる。

何がしたいのかわからない作品だ。
大人の事情に振り回される子供の反抗を描きたいのはわかるが、
そこに不法滞在者を絡ませたことで話がブレにブレ、
ろくにメインキャラを掘り下げきれず居なくても良いようなキャラも居る。
LGBTなどの要素も出したはいいものの、そこを深く掘り下げるようなことはしない。

いろいろな要素を出すだけ出して、掘り下げない。
大人の都合、事情に反抗する子供立ちを描きながら、
この作品は「大人の都合」にまみれている。

新海誠風の要素、不法滞在やLGBTなどの地域格差などの昨今の社会情勢、
ラストに取ってつけたかのように出る宮沢りえ演ずるキャラ。
制作側が上から言われてねじ込んだ要素が非常に多く、
結果としてまとまりがなく全てを放り投げただけの作品になってしまっている。

ハッピーエンドみたいになっているが、ラストのシーンではヒロインしか居ない。
つまりは他のキャラは全員豚箱ということだろうか?(笑)
そういう解釈ができてしまうほど放り投げすぎている作品だ。

個人的な感想:見に行かなくてよかった


画像引用元:ぼくらの7日間戦争 予告編より
(C)2019 宗田理・KADOKAWA/ぼくらの7日間戦争製作委員会

去年は割と映画館に足を運んでいたが、この作品はタイミングが合わず
BD待ちをしていた作品だったが、心底劇場で見なくてよかったと思う作品だ。
シンプルにストーリーが酷い。

やりたいことはわかるものの、やりたいことというだけで
表面上しかなぞっておらず踏み込んでいない。
だからこそ主人公たちの犯罪や不法滞在者の後処理は描かなかったのだろう。
現実的ではないというのは創作物に対してはご法度な言葉ではあるものの、
流石に色々と放り投げすぎてしまっている。

あの時代に作られたからこそ良かったものを、令和になってリメイクする。
企画段階でそもそも無理があった作品かもしれない。

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