AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜

評価/★★☆☆☆(35点)

AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜 評価

83分
監督/岸誠二
声優/島崎信長,花澤香菜,水島大宙,金元寿子,木村良平ほか

あらすじ
高校1年生になったばかりの佐藤一郎は、ある日忘れ物をとりに夜の校舎に忍び込んだところ、青いローブを身にまとい、金属製の杖を持った美少女と出くわした。彼の望んでいた平穏な学生生活は彼女に振り回されることで次第に遠ざかり、絶望の淵に落とされるが…

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屋上がグラウンドくらいあるアニメ。

原作は「人類は衰退しました」でお馴染みの田中ロミオ氏によるラノベ。
厨二病を題材にした作品なため「中二病でも恋がしたい」と比較され
パクリだとパクられただのネット上でちょっとだけ論争になっていた。

冒頭から「Fate」もびっくりな剣と魔法による戦闘シーンが始まる。
劇場版という事を考慮しても迫力抜群な作画で描かれる戦闘シーンと
その結末が「首をはねる」という以外なグロ描写があることで作品への期待感を高める。
そんな高まった直後に小説の「中二病世界説明」のような文章が
画面いっぱいを覆い尽くす(笑)

OPがおわると、そんなファンタジー戦闘とは一切関係ない学生生活が描かれる。
この作品の主人公は元厨二病の「普通の高校生」だ。
そんな彼が放課後に忘れ物をとりに学校へ行くと、
暗がりで「杖を持った少女」がおり、しゃべる杖をかざし何かと戦っていた
というところからストーリーが始まる。

杖を持った少女はリアルに設定を彼に話す。
少女の格好や杖があまりにもリアルで元厨二病の彼はその状況をどこかで楽しむ。
それは普通の日常を送っていた彼にとっての憧れに近い「非日常」が目の前にあったからだろう
元中二病なだけに自分もラノベの主人公に慣れるのかもしれないという憧れがあったのかもしれない。
始まりだけなら、どこぞのファンタジーラノベ小説とは変わらない内容だ。

しかし、この作品の題材は「厨二病」であって「ファンタジー」ではない。
この作品の世界で「魔法」なんか実在しない、故に彼が憧れた非日常は存在しない。
少女と出会った翌日に主人公のクラスに「杖を持った少女」が入ってくる
更には大音量で「子ども向け魔法少女のおもちゃ」の音が流れてしまう
まわりは普通のクラスメイトだ、彼を蔑んだ目線で見つめる。

彼には「厨二病でいじめられていた」という過去がある。
そんな彼の目の前にばりばりの中二病の少女が現れてしまう
彼女は一切の妥協がない、学校にも行かずにつねに魔法使いのような恰好と
中二設定の中で生きており、出てくる言葉はファンタジーラノベのような言葉ばかり。
街中でも平気で魔法使いコスプレ&杖で歩くようない少女だ
彼女の中で「自分は普通の人には見えない」という設定があるためだ
そこに恥じらいや迷いなど一切ない、2次元に生きていると言ってもいい。

更に中二病は大量に現れる。
彼のクラスの半数が「妄想に生きている厨二病」というちょっとありえない設定だが、
そのことによりクラスが綺麗に「半分」に別れる。厨二病と普通の高校生。
それは結果として「対立」がはじまり「いじめ」が起こる

陰鬱ないじめだ。
ボールをぶつけたり、教科書を盗んだり、靴を盗んだり、机に落書きされたり、トイレに閉じこめたり
誰が犯人かは分からないが主人公や他の厨二病に対し陰鬱ないじめで阻害しようとする。
生々しいまでのいじめはかなり重く。少女は傷つく。
いじめはどんどんとエスカレートしていく
かばっていた主人公でさえ、過去が露見し、かばえなくなっていく。

その結果、少女は「妄想の世界」へと旅たとうとする。
それは現実逃避していた状況でいじめられ精神的に追い込まれたがゆえの
現実を否定したからこその行動だ。
現実に生きている主人公はその行動を止めようとする
それは彼の最後の戦いだ。

全体的にストーリーとしてやりたいことは分かるのだ。
しかし、決定的なまでに「キャラ描写」がたりない
特に決定的なのはヒロインが何故そこまで「厨二病」をやめないのかがわからない。
異常なまでに陰鬱な「いじめ」もエスカレートし過ぎな感じも強く、
担任なども状況を理解しているはずなのに放任主義過ぎて頼りにならない。

生徒が自殺しようとしているのに警察も呼ばずに生徒一人に任せてしまう始末だ。
いじめグループに関してもどんどんといじめがエスカレートしてしまうのはありがちなのは分かるが
最初のきっかけがあまりにも唐突な感じが否めない。

いじめのきっかけや厨二病のきかけ、クラスに半分も「厨二病」がいる、神殿など
生々しい話をしている割には「ラノベ的」な要素が混じってしまい
本筋にある面白いストーリーを素直に楽しみづらいものになってしまっている。

簡単にいえば生々しい描写が多いのに甘い。
ヒロインがあそこまでこだわる理由や主人公の衣装の唐突さ、
更には学校の屋上に机で作った「神殿」が終盤に出てくるのだが、
これがまた唐突かつ巨大(苦笑)
たかが学校の屋上に少女1人で机で巨大な神殿を作り上げる作業が
なぜ完成してからじゃないと見つからなかったのかなど疑問に思う点も多い。
突っ込んではいけない部分なのだが、思わず突っ込んでしまう。

良いところと悪いところ、その両方が目立ってしまっていると言ってもいいだろう。
1時間20分という尺に収めるために原作でカットした部分があることも分かるのだが、
それ故に物語全体として「荒削り」な印象がついてしまい唐突な展開が目立つ。
しかし、唐突であるがゆえに「予想できない面白さ」と
ここまで厨二病という設定を貫き通したヒロインの最後の反則な笑顔とセリフにやられてしまうのは
もはやオタクの性ともいえるかもしれない(笑)

決して駄作ではない。
ストーリー自体は面白く起承転結もすっきりしており、物語もきちんと締めている。
だが、作画の面や尺が1時間20分で限られてしまったことで
色々と欠点が目立ってしまったとも言える。

映画ではなく1クールのアニメで見たかったなと感じる点も多い。
1クールのアニメならばもっと深いキャラ描写や欠点も目立たなくなり、
ストレートにストーリーを楽しめただろう。
それだけに1時間20分という枠に押し込められてしまったのは残念でならない。

原作ファンの評価はそこそこ高いようなので、
原作を読めばもう少し素直に楽しめるかもしれない
1巻で完結しているようなので機会があれば読んだ後にもう1度見てみたいと思います。