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抹消された黒歴史作品「D.Gray-man HALLOW」レビュー

1.0
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評価 ★☆☆☆☆(15点) 全13話

TVアニメ新シリーズ「D.Gray-man HALLOW」第2弾PV/2016年7月放送開始!!

あらすじ 悲劇を嘆く弱い心によって呼び出された魂を、魔導式ボディに閉じ込めることで作られるAKUMAは、殺戮を繰り返すだけの殺人兵器となり、
さらなる恐怖と悲劇を生み続けることで進化していく 引用- Wikipedia

抹消された黒歴史作品

本作品はD.Gray-manの2期。
監督は芦野芳晴、製作はTMS/8PAN。
なお本レビューは後述する問題の都合上、
当時のレビューおよび記憶をもとに再レビューしたものとなっています。

1期

D.Gray-manという作品は大人気なジャンプ漫画の1つだった。
当時は「ぬらりひょんの孫」や「魔人探偵脳噛ネウロ」、
などの大人気漫画たちとともに連載しており、
いわゆる能力バトル系のマンガとして絶大な人気を誇っていた。

当然、アニメ化もされて2006年から放送を開始している。
今と違って当時はアニオリ展開なども加えられつつ
通年アニメとしてやるのが当たり前の時代であり、
この作品も2008年に到るまで全103話放送された作品だった。

2008年に終わってしまった要因は色々とあるものの、
原作の休載が続き、原作に完全に追いついてしまったのも原因だろう。
原作はそのあと休載や連載雑誌の移籍を繰り返し、
今現在はジャンプスクエアRISEにて連載が続いている。

そんな原作、アニメの2期が2016年に放送された。
約10年越しの2期だ。
最近で言えば同時期にアニメや漫画を連載していた
「BLEACH」のアニメの続きが制作されたが、
それと似たようなことをしている作品だ。

ただ、BLEACHと違って1つ大きな問題があった。
声優問題だ。

声優変更

これはBLEACHのほうが異様ともいえるのだが、
時間がたってしまうと、リメイク然り続編然りで声優が変更されることは多い。
この作品もがっつりと1期から声優が変更されており、
その時点で批判の声も大きかった作品だ。

103話やったアニメでついたキャラの声の印象、
それを覆すのは非常に難しい。
主人公を演じていた小林沙苗さんは村瀬歩さんになり、
ヒロインは伊藤静さんから加隈亜衣さんに。

1期の段階では若手だった人たちも10年経てば中堅だ。
ギャラの問題などもあったのかもしれないが、
引退しているわけでもないのにがっつりと声優陣を変えてしまうのは
厳しいところがある。

20年くらい前の作品ならばともかく、1期から10年、
正確に言えば8年だ。
リメイクという形で1話から新声優で描くならまだしも、
「続編」という立ち位置で
声優がガラッと変わってしまうのは印象的にも厳しいところがある。

途中

ストーリー的に1期からの続きだ。
完璧な続編であり、1期を見ていない人、
原作を読んでいない人は完全に無視だ。
1期を見たけどあまり内容を覚えていないという人も無理だ。

これまでのお話的なダイジェストを1分程度
申し訳程度に入れているが、明らかに足りておらず、
1分位ならば逆にやらないほうがマシなくらいの意味のないダイジェストだ。

個人的には一期も見ており、原作もそこそこ読んでいたくらいだが
1話の時点では「これ誰だっけ?」「これはどういう状況なんだっけ?」という
記憶の呼び起こし作業に必死になってしまう感じだった。
キャラデザも一期から変更されており、声優も変更されているため、
余計にキャラの名前が頭に浮かんでこない。

これで一期から1年や2年くらいしか経っていないなら別だが、約10年だ。
原作も休載しまくりで、当時の最新刊が出たのはアニメに合わせて2016年だが、
その前の巻は2013年、その前の巻は2011年と
相当なファンでない限りは原作もついていきづらいものになっている。

あまりにも「視聴ターゲット」を絞りすぎている。
この作品を楽しむためには、1期の1話から103話まで
約35時間かけて見た後に見るか、
原作の19巻くらいまでを見るしかない。

2期は、1期の最終話から若干原作のエピソードをすっとばしているため、
声優の変更を考えれば原作の19巻まで読んだあとに
2期を見るのがベストだろうが、
この作品を知らない人にとってはハードルが高すぎるだろう。

この作品を楽しめるのは
「原作の物凄いファンでアニメの1期と声優が違っても全然OK!」という
物凄く寛容なファンだけだ。

おそらくファンの方の多くは声優変更を受け入れがたかっただろう。
当時見ている人の声も少なく、2025年現在、Dgraymanの話題があがったが
「2期」を見ていなかったファンも多くでてきている。

たとえ声優が変わり、アニメ化されただけでも
2期を作ってくれただけでも映像化されるだけで嬉しい、
そんな「信者」とも言える人だけが楽しめる。
選ばれしものしか楽しめない作品だ。

作画

しかも、そんな選ばれし信者すらも拒否感を示すクオリティだ。
特に作画に関してはあまり良くない。
特に「アレン」はシーンに酔ってはまるでピノキオのように鼻が伸びており、
違和感が凄まじくなっている。
EDも止め絵まみれで、作品全体の作画はあまり良くなかった。

作画崩壊とまではいわないものの、約10年越しの2期にもかかわらず、
明らかに予算の少なさを作品全体として感じさせる部分が多く、
いろいろな部分で見劣りする印象が否めない。

特に原作は美麗な作画も売りな作品だ。
だからこそピノキオ状態のアレンだったり、
もう1歩足りない作画を見続けていると不満も募っていく。

俺達の戦いはこれからだ!

基本的にストーリーは原作通りだ。
しかし、当時も今も完結していない作品であり、
そんな状態の作品をわざわざ持ち出して2期をやるのに、
尺は「1クール」しかない(苦笑)

1期は8クールほど放送したのに、
約10年越しの2期はたった1クールだ。ふざけてるとしか思えない。
これで1クールで完結まで描けるならまだしも、
完結してないのに描けるはずもなく、
結局「俺達の戦いはこれからだ!」で何の問題も解決せずに終わる。

本当に何もかもが中途半端だ。
声優も1期と違う、作画も良くない、ストーリーも1クールで中途半端。
一体何が目的で2期を制作したのかと問いただしたくなるような作品だ。

黒歴史

しかも、厄介なことが起きている。
この作品は2025年現在に至るまで「BD・DVD」、
いわゆる円盤として発売されていない。

今でこそ配信全盛期で円盤を発売しないアニメも増えてきたが、
2016年当時は円盤全盛期であり、
TVアニメで円盤が発売されないなんてありえない話だ。
ちなみに1期は普通に配信されている。

円盤の1巻の表紙イラストも公開されており、
この2期を楽しんでいた人たちが心待ちにする中で
「諸般の事情により発売を中止させていただく事となりました。」
という発表があり、中止になった。

それだけならまだしも、2025年現在、
このD.Gray-man HALLOWは各種配信サイトで見ることはできない。
当時、地上波の放送を録画していた人しか見ることができないものになっている。
これもありえない話だ。

多くのジャンプアニメが配信されている、
ジャンプアニメに限らず配信されてないアニメを探すのが難しいほど、
当たり前のようにどのアニメも、どこかしらの配信サイトで
配信されている現状だ。そんな時代にも関わらず、この作品だけは配信されていない。

9年越しの真相?

あくまでも予測だが、これは「原作者」が
著作者人格権を使い、このアニメ自体を封印した可能性が高い。
著作権者である原作者がこのアニメを発売すること、
使用すること、公表することを認めなかった結果だ。

私はずっとそう思っていたのだが、2025年10月に
とあるツイートがバズった。

「元アニメ会社社員ですが、監督が無理やりアニメ独特の
表現を入れたいがために原作者に情報共有せず、
そのまま放送してのちに原作者から鬼クレームが発生。
会社単位で絶縁され全部署が製作関係の確認を原作者に
一切できなくなるというクソ環境が構築された。
題名は言いませんがジャンプ系列です。 」

まさにD.Gray-man HALLOWのことだ(苦笑)
その関係者曰く、2話ででてきたキャラクターが最大の問題だったようだ。
原作では白を基調とした服を着たキャラクターなのに、
なぜかアニメでは「メロンパンナ」ちゃんにされている。

意味がわからない、それは怒って当然だ。
アニメの雑誌イラストなどでも露骨にBL臭を漂わせるものを使用しており、
そのイラストに関しては作者さんも当時、SNSで言及していたことを覚えている。
そういった事情や、当時、体調も優れなかったご様子で、
精神的なものも積み重なっていたのだろう。

こんなことが2度と起きないことを願いたい。

総評:ジャンプアニメ史上最大のやらかし

全体的に見てなんでこんな形での2期だったのかよくわからない作品だ。
1期からは10年もたっており、原作も休載気味にもかかわらず、
1分ほどのダイジェストで新規視聴者や記憶が薄い人を無視した作りになっており、
それだけならまだしも、声優も一期から変更され違和感が非常に強く、
原作ファンですら拒否感が生まれる人もいるだろう。

よっぽどこの作品を好きじゃないと素直に楽しめない。
D.Gray-manという作品は今も熱狂的なファンのいる作品だ。
確かにある程度の「売上」は見込める、
声優の変更は仕方ないとして、それならばファン向けのOVAという形での2期や、
1期の内容を三部作で映画化してリメイクしたのちの2期など
やり方はいくらでもあったはずだ。

だが、そういった方法ではなく1クールで2期をやるという
意味不明なことをしており、結局は俺達の戦いはこれからだで終わる。
これだけならば意味不明だったで終わるものの、
この2期自体が原作者を激怒させ、黒歴史のように封印されてしまったのは
アニメ製作側のやらかしとしかいいようがない。

件のツイートも真実かどうかはわからない、だが信憑性は高いだろう。
せっかくの大人気作品のアニメ化がこんなことになってしまったのは
本当に残念だった。

個人的な感想:リメイク

きちんと原作が完結してから、2期以降のストーリーをアニメで、
もしくは1期からリメイクした形では見てみたい作品だ。
私は定期的に、D.Gray-Manが完結したかどうか調べるクセがついており、
2025年には最新刊も発売されている。

まだ完結とまではいかないものの、終わりは若干見えてきているだけに、
いつかD.Gray-Manがアニメという形でも報われる日が来ることを願いたい。

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