犬とハサミは使いよう

☆☆☆☆☆(5点)

犬とハサミは使いよう 評価

全12話
監督/高橋幸雄
声優/櫻井孝宏,井上麻里奈,大川透,内田真礼,阿澄佳奈ほか

あらすじ
ある日突然、強盗に殺された春海和人は、「死んだら本読めないじゃん!!」という本バカの執念で奇跡的に現世に生還を果たす。しかし、その姿はミニチュアダックスフントと化していた。犬じゃ本はめくれない買えないので苦悶する和人の前に現れたのは、常時ハサミを得物として持ち歩くキョウキの美女・夏野霧姫。その正体は和人が大ファンな作家・秋山忍だった。

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ダックスフンド可愛いなー・・・それだけのアニメ。

原作はライトノベルな本作品。
第12回エンターブレインえんため大賞小説部門優秀賞を受賞した作品のアニメ化

基本的なストーリーはラブコメ
本が好きな主人公がある日喫茶店で本を読んでいると強盗が現れた
何かを描くことに夢中な少女をかばい主人公は強盗に殺されてしまう
走馬灯が見える最中、主人公は読みたくて仕方ない小説の続編を思わず走馬灯の中で手に取ると・・・
ダックスフンドへと転生していたというところからストーリーが始まる

一応、ラブコメといったが1話の段階から笑えない。
ドSなヒロインと犬に転生してしまった主人公の掛け合いが冒頭で流れるのだが、
本来なら「つかみ」である冒頭の駆けあいが滑ってしまって
一切ストーリーが気にならない始まり方だ

ギャグ自体もパロディネタや主人公が「犬」ということを利用したネタ、
更には、はさみを使った脅しネタなどあるのだが、滑りに滑りまくっており
無表情で画面を見つめている時間が長い。
一応この作品では戦闘シーンもあるのだが、
コレもギャグでやっているのか真面目にやっているのかの判断がつきかねる。

ヒロインは有名な小説家でいろいろな小説を書いているのだが、
最初の戦闘シーンでは彼女の本の読者が相手で
その相手が彼女が書いた本の中で使っていた格闘方法を用いて攻撃してくる。
この攻撃方法が架空の拳法でふざけた感じの格闘術だ
犬である主人公が解説しつつ突っ込むのだが、ギャグでやっているのかシリアスでやっているのか
どっちつかずな状況で描かれているため、どういう視線で見ればいいのかがわからない。

ストーリー的にもそんなギャグなのか真面目にやっているのかわからない状況で描かれるため
盛り上がりに欠ける上に、キャラの心情についていけない。
ヒロインは簡単に「犬」に惚れるわ、犬になった主人公は犬になったことをすぐに受け入れてるわと
唐突なストーリー展開が多くキャラクターについていけない。

ついていけない中で話が進めば進むほどキャラクターが増える。
何の説明もなく登場して、ヒロインが無視したままキャラクターの掘り下げが行われないキャラもおり
そのキャラが登場する度に同じネタを使うので流石に飽きる。
1話1話のストーリーのテンポも異常に悪く、長い説明セリフや余計なシーンが多く
1つのネタやギャグを引っ張っていて結果笑えなくなるパターンも多い。
同じようなネタを繰り返し利用し、同じようにツッコミ終わらせる。
話が進めば進むほど飽きてくる

そしてツッコミ。コレが本当にくどすぎる。
解説付きのツッコミも多く、長い上にくどく、ただでさえ笑えないネタが余計に笑えない。
このアニメならではの設定やアイテムの説明が文字で流れることもあるのだが
その文字は速すぎて読めない。演出も笑えなさを後押ししている要因の1つだ。

そもそも本筋がない。
主人公は犬になったことを受け入れており、人間に戻るというような展開もない。
その上で犬になった主人公とドSな小説家のヒロインの生活が描かれる中で、
なぜか「彼女が書いた小説」が絡む事件が起こる。

この「なぜか」の部分がわかればもっとストーリーを楽しめるのかもしれないが、
「なぜか」の部分が解説されずに事件が起こって解決したり、
新しい登場人物が増えてストーリーが展開するだけだ。

「本筋」がないためストーリーが進んでいるのか進んでいないのかがわからず、
唐突な展開で唐突な結末をつなぎあわせているだけだ
何がしたいのかが全然見えてこない。
犬である主人公の言葉を理解できる人とできない人の違いもよくわからず、
勝手にストーリーが進み勝手にキャラクターが増えていく。

増えたキャラクターの行動や言動に感情移入するのは不可能だ。
極端な行動や唐突な展開でストーリーをなんとか紡いでいるだけで
ネタが切れたらちょっとしか出ていないサブキャラのストーリーでつなぐ
同じような展開が繰り返されているだけの錯覚を覚えるほど似たような展開ばかりだ

全体的に見て何がしたいのか最後までわからない作品だった。
ラブコメがしたいのか、ギャグがしたいのか、サスペンスがしたいのか、
ファンタジーがしたいのか、バトルがしたいのか、
どれもこれも中途半端に掘り下げずに思いついたように取り入れて
本筋のストーリーがいつまでたっても見えてこない。

ごちゃまぜラブコメといえば聞こえがいいが、混ぜすぎてブレにぶれまくっている。
B級アニメや駄作アニメにも最低限の楽しみ方があるが
この作品はそんな「B級アニメ」や「駄作アニメ」ですらない。
作品としての要素をただ詰め込んだだけでそれが生きていない。

主人公が犬になってもなぜ犬なったかは追求しない、犬になった設定もほとんど活かされず、
一番活かせそうなトイレや散歩、犬の習性などのシーンはほぼ描かれない
せっかく「人間の記憶を持ったまま犬になった」という根幹の設定を活かさない。

ヒロインもドSな有名小説家でハサミ持ちという設定だけで
なぜハサミを持っているのかという設定や小説家という設定が活かされることも少ない
サブキャラもヤンデレ、アイドル、メイドと上辺だけの設定で掘り下げないため
キャラクターが全く生きてこない。
キャラクターを掘り下げないため同じような一発ギャグを繰り返すだけだ。

要素が作品の中で宙ぶらりんのまま全話終わってしまった印象だ。
あと一歩練りこめば面白くなりそうなのに放置、
あと一歩踏み込めば魅力的なキャラになりそうなのに踏み込まない。

ただ、ここまで要素は用意されているのだからアニメ制作の力量次第では
いくらでも生かせそうな気はするのだが・・・
素材は十二分に揃っており、後は料理するだけなのに素材のまま出してしまっている。

唯一評価出来る点はダックスフンドである主人公の描写くらいだろう。
リアルな犬の描写や表情は少し可愛い。
それだけにこの「ダックスフンド」である主人公をもっと活かしたシーンが欲しかった。
全体的に何も活かしていないのでここだけ言及しても仕方ないが・・・

逆にここまで酷いと原作がどうなっているのだろうと気になる作品だ。
ある意味で宣伝効果があったかもしれない(笑)