ラブコメ

密です。「どうせ、恋してしまうんだ。」レビュー

2.0
どうせ、恋してしまうんだ ラブコメ
画像引用元:©満井春香・講談社/アニメ「どうせ、恋してしまうんだ。」製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(24点) 全12話

TVアニメ「どうせ、恋してしまうんだ。」Season2制作決定PV

あらすじ 西野水帆は水泳部に所属する先輩の斉藤に憧れを抱いていた。斉藤が水泳を辞めると知った水帆は告白するものの振られてしまい、落ち込む。そんな時に幼なじみの羽沢輝月が水帆に彼氏候補宣言をし、告白をしてくる。 引用- Wikipedia

密です。

原作は「なかよし」で連載中の漫画作品。
監督は山元隼一、制作は颱風グラフィックス

漫画家

本作品の主人公は「漫画編集可」だ。
そんな彼女が担当している漫画家の連載の中止が決まり、
ふと自らの青春模様を思い出す。
あのときは気づかなかった眩しい青春模様を思い返す。

未来から始まるというのは非常に面白く、
主人公に対して複数の男性キャラが好意を寄せる、
いわゆる逆ハーレム的な作品なのだが、未来の主人公のそばには
男の影はない。なぜそうなったのか、なぜ当時は眩しい青春模様だったことを
気づかなかったのかが語られる作品だ。

当時の彼女にはイケメンな幼なじみが4人もいる。
高校2年生になっても幼なじみという関係性は変わらず、
恋愛関係に進展するわけでもない。二人きりで一夜を過ごしても何も起きない。
あくまで友達、あくまで幼なじみだ。

しかも彼女には「憧れ」の先輩がいる。
ベタではあるもののわかりやすい逆ハーレムな状況だ。
そして本作品の最大の特徴は物語の舞台、時系列が
「コロナ禍」の日本であるということだ。

感染症

作品の中ではさらっと語られているが、「感染症」という言葉がでてくる。
コロナという言葉が使いづらいからこそ
感染症という言葉を使っているのはわかる。

主人公が憧れる先輩も水泳部で頑張っていたのだが、
感染症が流行ったせいで休校になり、花火大会も、修学旅行も、
引退試合すらもなくなった。
2020年あたりの学生たちはこういったイベントをやることができなかった。
当時学生だった人たちには刺さる描写だろう。

しかし、そうなってくると違和感が非常に強くでてきてしまう。
あえて感染症、コロナ禍の日本を舞台にした青春模様という
設定にしたがゆえにリアリティラインが上がってしまい、
登場人物たちがもれなく「マスク」をしていないのも、
密すぎる描写も気になってしまう。

マスクをしてしまえば顔がわかりにくくアニメ的に難しいのはわかるのだが、
言葉としての「感染症」があるだけで、それが効果的に作用している感じがない。
あの頃のコロナのせいでいろいろなことができなくなってしまった
高校生の姿を描いているとはいいづらい。

主人公にしても特に魅力があるわけでもないのに、
幼馴染たちに好意を抱かれており、
1話の時点でそのうちの一人に好意を告げられる。
それどころかキスまでされてしまう(笑)

この展開の速さは男性向けのラブコメ漫画原作のアニメでは
中にお目にかかれない、少女漫画だからこその展開の速さともいえる。

未来では漫画家になるという夢も叶えることができず、
恋愛とは無縁だと思っていた自分にも綺羅びやかな青春模様があることを
思い返している主人公、そんな彼女になにがあったのか。
4人の幼馴染イケメンと結局何もなく終わってしまったのか。

子供だと思っていた幼馴染たち。男女という性を意識せずに接していた
幼馴染が「男」を出し始めることで主人公も徐々に彼らを
異性として意識するものの、序盤の主人公的には
どちらかといえばいわゆる「ぬいペニ」現象に近い。

まるで、子供の頃から一緒で大事だった「ぬいぐるみ」に
唐突に男性器が生えたような感覚を受ける、
そんな「ぬいペニ」現象をこの作品の主人公は体感している(笑)

自分が恋愛的な感情を抱いているわけでもなく、
ただの友達、ただの幼馴染たちが唐突に男を出し始め、
それにときめくわけでもなく「戸惑い」のほうが勝ってしまっている。
主人公にとって4人はあくまで家族に近い存在だ。

1話では4人のうちの一人が男を出し始めるのだが、
3話になると、もうひとりの幼なじみも男を出し始める。
一方で主人公は無自覚ではあるものの
4人の幼なじみを囲っている
逆ハーレム状況が崩れることを恐れている。

彼女にとって見れば4人の幼馴染は別にイケメンでもなんでもないのだが、
本来は周囲が羨むほどのイケメンだ。
誰か一人と付き合うことになれば、この逆ハーレムは終わってしまう。
それを主人公は憂いている。

だからこそ自らの「好き」という感情をどこかで
封じようとしている。
だが、徐々に彼女は恋心を自覚しようしながら、
誰が本当に好きなのかを考えるものの、
ベタな展開でしかなく新鮮味はかなり薄い。

コロナ禍というのも本作の特徴のはずなのだが、
普通にみんなでノーマスクで水族館にも行く。
コロナ禍という舞台設定を都合よく忘れることが多く、
わざわざあの頃の時代設定にしたのに活かしきれてない。

未来の時系列である程度、主人公の姿や状況も描かれるのだが、
それも効果的に作用していないどころか、
未来でもあまり変わっていないところが明らかになってしまい、
そのせいで高校時代の彼女たちの物語の足を引っ張ってしまっている。

主人公

四人の幼なじみのうち、 輝月は自分の気持ちに素直であり、
自分の思いを序盤でまっすぐに告げてグイグイだ。
一方で深 はツンデレ、他の二人は序盤は主人公に対する好意を感じられない。

この二人の真っ直ぐな恋愛模様は素晴らしく、
輝月 は主人公が好きだった男に勝負を挑み、
深は思いを隠しながらも主人公の母がなくなったことをきっかけに
医者を目指しているほどのまっすぐさだ。、

そんな二人にふさわしくないのが本作品の主人公である。
輝月に対して明らかに恋愛感情をいだきつつ、
輝月のほうは猛烈にアピールしているのに
それに答えるわけでもなく、仲の良い4人の幼馴染との日々に甘えている。

もし付き合うことになったら3人の幼馴染との関係も変わってしまう。
それを彼女はおそれ、立ち止まっている。
中盤では3人目の幼なじみである「周吾」も
彼女に好意を向けていることが明らかになる。

そこまでモテる理由がこの作品の主人公には見当たらない。
中学の時に4人目の幼馴染である 「 藍 」も主人公に
告白してたことも明らかになる。

ドロドロだ。

作画

「ぬいぐるみペニス現象」を乗り越えようとする
主人公というのは非常に面白いのだが、肝心の4人のイケメンたちが
「旋風グラフィックス」の作画ではイケメンが台無しであり、
バストアップが基本で、アニメーションの魅力は一切なく、
ときおり怪しいシーンや謎の構図も多い。

せっかくイケメンに押し倒される主人公という
決めシーンですら決めきれておらず、台無しだ。
作画が良ければもう少し楽しめる部分もあるかもしれないが、
作画が悪いせいで作品の世界観に浸ることもできない。

背景のモブに「水玉ドット」をかぶせて色塗りしないという
非常にわかりやすい手抜きもしている。しかも、この作品は2期が決まっている。
予算的やスケジュール的に2クールというアニメを制作するために、
旋風グラフィックスに依頼したのかもしれないが、
流石に観ていて厳しい。

作画崩壊するならばまだネタとしてネットで
盛り上がることもあるが、
この作品の場合は作画崩壊するわけでもなく、
シンプルに作画が悪い。

それだけでなく、妙な間があくこともあり、
1期と2期、2クール描くうえでのストーリー構成も甘く
そのせいで若干、会話劇のテンポも落ち、
間延びしているシーンが多い。

学園祭

ときおり感染症が流行っているという設定を
この作品は思い出すのか、中盤をすぎると「学園祭」の中止が決定するものの、
主人公を含めた生徒たちの直談判で1日だけ開催になる。
非常に安易な展開だ。

感染症、コロナ禍の日本という舞台を活かしきれておらず、
中途半端にこういうときに使うのが厄介だ。
文化祭や花火大会、遊園地、こういったラブコメでありがちな
イベントを行えないはずの舞台設定なのに、それを感じさせてくれない。

海にも行くし、花火大会も行われるし、文化祭も行われるし、
キャンプも行く。普通だ。
その設定の活かされなさ欠点ではあるものの、
終盤で「深」が大胆に動き出すことで恋愛模様がより複雑になる。

藍もなにか隠していることがあるようで、
未来の輝月も彼女のそばにはいない。
結局1期ではなにか大きく進展するわけでもなく、
未来の状況もよくわからないまま終わってしまう。

続きが気になると言えば気になるが、
色々と突っ込みどころの多い作品だった。

総評:アニメで分かる!ぬいペニ現象

全体的に見て感染症、コロナ禍の日本を舞台にした
青春恋愛ものという期待感はあっさりと打ち砕かれ、
思い出したかのようにしかその舞台設定を活かしきれておらず、
マスクの描写は仕方ないにしろ、もう少し感染症対策を
しっかりしてくれ…と懐かしい気持ちになってしまう作品だ(苦笑)

いわゆる逆ハーレム状態な少女漫画原作のアニメであり、
イケメンな4人の幼馴染を「男性」として見ていない主人公が、
1話でそのうちの一人に告白されたことで戸惑い、驚き、
今の5人の関係性を崩したくないという思いと自身の恋愛感情が
ぶつかりあうストーリーとなっている。

いわゆる「ぬいペニ」現象とはこういうことだと言わんばかりの、
主人公の無自覚っぷりは凄まじく、
高校生にもなって男性4人と女性ひとりがつるんでいるという
状況もややツッコミどころになっている。

4人のイケメンに関しては応援したくなる部分があるのだが、
そんなイケメン4人に対し主人公に魅力がない。
いつまでも答えを出さず、5人でいることの関係性に甘え、
無自覚な態度にややイラッとしてしまう部分もある。

未来と過去の交差するストーリーも効果的に作用してるとは言えず、
1期では話もあまり進んでいない。
2期ではもう少し話が進むのかもしれない.

アニメでは原作の6巻までアニメ化されているが、
原作は現在11巻まででている。
それを考えれば原作の最終話や最終巻にあわせての2期なのかもしれない。
2期で完結するならアニメで完結を見たいという気持ちはあるものの、
せめてもう少し作画のクォリティが上がってほしいところだ。

個人的な感想:少女漫画

ここ最近、妙に少女漫画原作のアニメが多く制作されているが、
どれもなんともいえない出来栄えになっている。
少女漫画はアニメよりも実写でやることが多く、
この作品もアニメと同時期に舞台化されている。

もしかしたら実写化を想定した作品なのか、
それとも舞台にあわせたアニメ化なのかはわからないが、
もう少し作画のクォリティにこだわってほしかったが、
アニメ化自体がようやくこぎつけたような感じなのかもしれない。

少女漫画もアニメ化されていない名作も多いだけに、
このアニメ化の波が途絶えないことを願いたい。

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