ラブコメ

「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」アニメレビュー

ラブコメ
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評価 ★★★★☆(65点) 全12話

あらすじ 将来を期待されたエリートたちが集う名門校・秀知院学園(しゅうちいんがくえん)。引用- Wikipedia

まさにラブ&コメディ

原作は週刊ヤングジャンプで連載中の漫画作品。
監督は畠山守、製作はA-1Picutre

好きになったほうが負けだ


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 1話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

1話早々にこの作品のある種の根底になる価値観が提示される。
「恋愛において惚れたほうが負け」
相手に惚れてしまったがゆえに、相手より先に好きになってしまったがゆえに、
相手に自分から「告白」してしまったがゆえに立場が弱くなる。

「惚れた弱み」というやつだ。
この作品はそんな「惚れた弱み」というのを主軸にしている。
エリートが集う名門校に通う主人公たち。
二人は生徒会長と生徒副会長であり、エリートの中のエリートだ。
しかし、そんなエリートだからこそ二人にはプライドがある。

周囲の生徒たちは噂する。
「二人は付き合ってるんじゃないか」と。
そんなのはくだらない噂、色恋なんてくだらないと思いつつも、
二人は明らかに相思相愛だ(笑)

「相手がどうしてもと言うなら付き合ってやらないでもない」

お互い相手が自分に好意を持っている事をは気づいてる。
だが、お互いにプライドが高いが故に自分からは告白できない。
いつか相手が自分に告白するはずだ、自分のことを好きなんだから。
そんな事を思いつつ半年が経過する。

限界である(笑)
半年経過してしまったがゆえに「相手にどう告白させるか」という状況だ。
自ら告白することなどあってはならない、ゆえに相手の誘導には気づきつつも
そんな誘導に乗らない。恋愛頭脳戦である。

まるでデスノートにおける月とLのような会話劇、
互いの正体(恋)に気づきながらも相手の言葉尻を掴み、
時には自ら状況を作り出し、恋心という名の本性を以下に引き出すか。
この作品は高度な会話劇の繰り広げられるラブ&コメディだ。

しつこいまでの演出


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 1話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

自らの中にある恋心、乙女として男として。
恋とプライドと自らの性からくる本能、複雑な感情が
会話によるラブコメを生んでいる。
そこにまるでプロレスの実況解説のごとく、
彼らの思考を解説するようなナレーションが入る。

やや、このナレーションは好みのある部分はあるものの、
このナレーションがあるからこそ彼らの恋愛頭脳戦がより盛り上がり、
しつこいくらいのナレーションがあるからそ笑いが際立つ。

更に曲。相手の言葉にときめくいた瞬間に
「ラブ・ストーリーは突然に」みたいな曲が流れることがある(笑)
もはや20代後半じゃないと通じない可能性も高い小田和正の曲のパロディを
あえて入れることで「ときめき」という
ヒロインの感情をより際立たせている。

この演出はやや過剰とも言える。
だが、この作品が「ラブコメ」における「コメディ」の要素が強いからこそ、
そのしつこいく過剰な演出を取り入れることで、強い笑いにしているような感じだ。
カメラワーク、キャラの表情、動き、曲、声優の演技。
様々な部分の演出が強烈だ。

この強烈さやはやや押し付けがましさのようなものも生んでいる部分はあり、
やや好みの分かれるアクの強さが在る。

藤原書記


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 7話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

彼女は二人の気持ちには気づいていない。
彼女が二人の恋愛頭脳戦の場にさりげなく存在し、ときおり、
二人の会話に一言混ざることで状況が一変する。
気持ちに気づいていないからこそ気軽に二人に接し、
間接キスも全くもって気にせずにやってしまう。

能天気で良い意味で空気を読まない彼女の存在がこの作品の
頭脳戦という激しい会話劇の中で清涼剤となっている。
彼女の素直さ、二人と違ってプライドを感じさせない性格の良さ、
意外と鋭いツッコミと可愛らしさがこの作品には欠かせない。

彼女がいるせいで二人の恋愛頭脳戦にケリがつかないともいえるのだが、
それもまた一興だ。3人のメインキャラクターのバランスが素晴らしく、
3人の何気ない、本当に何気ない日常会話をずっと聞いていたくなる。
連絡先の交換、映画に行くか行かないか、山に行くか海に行くか。

話題自体はたいしたことがないのだが、その大したことのない話題を
これでもかと誇張し広げることでギャグにしている。
いつも3人でいる状況だからこそ、彼女が居ない時、
たった二人だけの場面では妙な緊張感すら感じさせる。

そして3話の特殊EDは強烈だ。
藤原書記が踊りながら歌うあの曲は1度見たら強烈な印象と
彼女自身の可愛さにやられてしまう。
また見ていない方はこの作品にかける制作側の意気込みを強く感じる
3話EDだけでも是非見ていただきたい。

彼女と生徒副会長の関係性も素晴らしく、
長年の友達だからこそ「下ネタ」で笑い合う仲は微笑ましく、
くだらないのに笑ってしまう。

もうひとりの生徒会メンバーである「石上」も非常にいいキャラであり、
オタク陰キャであるがゆえの青春&陽キャに対する恨みつらみ、
つい気持ち悪い発言をしてしまう彼はちょっと同情してしまうような
笑いを生むキャラクターだ。

漏れ出る本心


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 5話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

二人は頭脳戦を繰り広げている。
しかし、ふたりとも思春期の男女だ。男であり女だ。
だからこそ時折本音が漏れ出てしまい、
それが二人の可愛らしさにもつながっている。

ふたりともプライドがある、プライドがあるがゆえ上に素直になれない。
だが、そんな素直になれない二人なのにふとした瞬間に
「恋」する乙女になったり、思春期男子になったりする(笑)

単純に頭脳戦だけならば疲れてしまう。
だが、頭脳戦の最中に本音が思わず出そうにるからこそ、
それがギャグにもなりつつ、ラブコメにおけるラブの部分にもなっており、
キャラクターの魅力にもつながっている。

完璧に用意周到に仕組んだはずの頭脳戦なのだが、
ちょっとしたきっかけでそのプランは破滅する。
結局、恋愛とは理屈ではない。感情だからこそ考えないほうがうまくいく。

この作品は徹底的に練られた会話劇という名の理屈をみせ、
最後には感情というオチで落とし込んでいる。
いつもは理屈っぽい二人が、
感情に任せた行動やセリフを言う瞬間があまりにも可愛い。

この理屈と感情の使い分けが非常にうまく、
話としては1クールに似たようなことばかりしている部分はあるものの、
このなんと事ない日々の中の恋愛頭脳戦と本心が漏れ出てしまう二人を
ずっと見ていたく鳴る微笑ましさがしっかりとある作品だ。

青春


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 12話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

終盤になると、もはや「なにを見せられてるんだろう?」と思うほどの
いちゃつきっぷりを見せつけてくれる(笑)
見た目的には明らかに口喧嘩をしているのだが、
それと同時にケーキを食べさせあおうとしている。
喧嘩するほど仲がいいとは言うが、仲が良すぎるくらい仲が良すぎる。

なんで進展しないんだと思うほどの状況も多い。
だが、そのなんで進展しないんだと思うほど互いを理解し、
仲が良い状況だからこその恋愛頭脳戦の面白さだ。

素直ではないからこそ、今までの辛い家庭環境があったからこそ
「四宮 かぐや」という少女は素直になれない。
格式高い家で育ち、父の愛をまっすぐに受けなかった彼女だからこそ、
自らの気持ち、自らの愛に素直になれない。
そういう環境で育ってしまったがゆえに「家」に縛られる。

本心では行きたいと想っていた、家の命令ならば彼女は外出することもできない。
「生徒会」は彼と彼女が会う「理由」だ。だが、それが無くなってしまうと
二人は会うことすら素直にできない。会いたくてたまらず、思いは募る。
理屈で二人は会うことができなかった。だが、それが限界を迎える。
理屈よりも「感情」という名の恋心を優先する。

家から飛び出し、人目も気にせず、自然と手をつないでいる。
だが二人はそんなことにすら気づかない。彼に会いたい、彼女に会いたい。
そんな思いが二人を出会わせ、自分を見つけ出してくれてた「彼」に
もう彼女は目が離せない。

頭脳戦なんてかけらもない。理屈のかけらもない
「感情の爆発」を最後の最後で見せに見せつけてくれる。
甘酸っぱすぎる青春模様。

黒歴史


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 12話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

しかし、そんな甘酸っぱい青春は「黒歴史」になる(笑)
最後の最後までこの作品はラブ&コメディだ。
甘酸っぱい恋愛と青春、そして最大限の笑いをこの作品は
1クール見せつけてくれる。

1話からある意味進展はしている。より二人は互いを好きになっている。
しかし、好きな気持ちが強まりすぎてるがゆえに同時に
自らのプライドも最大限に強まっている。もはや普通に話すことすら出来ない。

ありとあらゆる状況で頭脳戦という会話劇を繰り広げてきた二人が
最後にはただの「会話」を求める。告白ですらない。素直な言葉が勘違いを生み
いつもどおりの日常に戻る。気持ちのいい最終話だ。

総評:会話劇の面白さ


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 10話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

全体的に見て、これぞ「ラブコメ」だ!と言わんばかりのラブコメ作品だ。
互いの気持ちには気づきつつも自分の気持ちには素直になれない二人、
だからこそ繰り広げられる「恋愛頭脳戦」という会話劇を
しつこいまでの演出で過剰に盛り上げることで笑いを生み、
そんな理屈ったらしい会話劇から感情的な恋してるからこそのオチにつながる。

ある意味で1話から話の構成自体はパターン化している。
しかし、優秀なお笑い芸人のネタがある種のパターン化しているように
この作品も「流れ」自体は同じだが、ネタというシチュエーションが変わることで
違った面白さを醸し出し、パターン化はしているが決してワンパターンにならず、
話が進めば進むほどこの作品のキャラクターに愛着を持ってしまう。

一人一人のキャラクターも本当に可愛らしく、
素直になれない二人もさることながら、「藤原書記」の天真爛漫な
可愛さは破壊的であり、「会計」の陰キャオタクっぷりは
違った角度のギャグやキャラの一面を引き出すキャラクターになっている。

キャラクター自体は少ないのだが、そんな少ないキャラクターで
見事な会話劇をく広げており、そんな会話劇をコメディとして見せつつ
「恋愛」描写もしっかりと描くことでニヤニヤとした面白さと
「ラブコメ」としてのバランスを保っている作品だ。

会話劇であるがゆえにそれをもり立てようと、
やや演出が過剰になってしまっている部分があり、
そのあたりでやや好みが分かれる部分はある。
言い方は悪いが「押し付けがましさ」をやや感じる演出だ。

しかし、そんな演出過剰な部分も含めてこの作品を
制作側がラブコメとして盛り上げよう、
面白い作品に仕上げようとしているのを感じる作品だった。

個人的な感想:おかわいいこと


画像引用元:かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 10話より
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

一言で言えば凄く濃ゆい作品だった。
ありとあらゆる演出の味付けが非常に濃ゆく、声優さんたちも
かなりハイテンション気味に演じている。
その部分の好みは良くも悪くも分かれそうだなと感じつつも、
1クールしっかり笑ってニヤニヤしてしまうラブコメらしいラブコメだった。

メインキャラは基本的には3人、中盤からは4人になることもあったが
こんな少ないキャラクターでギャグを繰り広げているのがシンプルに凄い。
ギャグアニメと言う側面もあるこの作品で、
このキャラ数の少なさは驚くほどだ。

今から2期を見るのが楽しみな作品だ。

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