のうりん

評価/★★★★☆(60点)

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濃厚とんこつラーメンのようなアニメ、貴方は完食できるかな?

原作はライトノベルな本作品。
舞台となった「岐阜県美濃加茂市」の市長が応援メッセージをおくったり、
同士で上映会が行われたりした。

始まって早々「気合い入りまくりのライブシーン」が描写される(笑)
この作品がどんな作品なのか、歌っているのは誰なのか
そんな説明が一切なく素晴らしい演出で「田村ゆかり」さんのライブのようなライブシーンだ
ファンの声援で「地鳴り」がする演出は斬新だ。

そう、この作品は演出が斬新かつ面白い。
文章にしてしまうと「統一感がない」と感じてしまうかもしれないが、
「牛が逃げ出して畑を荒らす」というシーンでは、
普通のキャラクターの作画からリアルで迫力のある牛の作画になったかと思えば、
次のシーンでぶっ飛ばされる人間はドット絵で描写され、
そうかと思えば、いきなり女性キャラクターのセクシーなシーンが描写される。

わずか1分間のシーンの間にここまで目まぐるしく作画が変化する演出を
取り入れているアニメを私は見たことがない。
一歩間違えば「統一感」がなく、画面が忙しいだけのシーンになってしまう。
だが、ぎりぎりのラインで激しく作画を変化させ、たった1分だけのシーンに対しての
製作陣の強いこだわりを感じることの出来る内容になっている。

この作品はいわゆる「日常ラブコメ」だ。
ギャグが多く、日常描写もあるので演出やテンポが悪ければ間延びしてしまうジャンルだ。
しかし、この作品は「流れるようなテンポ」でストーリーを小気味よく描写し、
その中で画面が止まりがちになってしまう日常やギャグのシーンを
斬新かつ目まぐるしく変化する作画と演出で見せることで
1シーン1シーンのインパクトが強く、インパクトが強いからこそ笑いにつながっている。

そして声優陣。
浅沼晋太郎、花澤香菜、田村ゆかり、井上麻里奈、羽多野渉、斎藤千和、加藤英美里など
いわゆる「新人声優」と呼ばれる人が殆ど出ていない。
最近のアニメでは予算の都合かメインの声優陣は新人が目立つアニメが多かったが、
この作品はメインのキャラクターにしっかりとした声優さんを配役し、
サブキャラクター陣に数名の新人さんとベテラン声優人で固めている。

声優陣がしっかりし、テンポよく描写しているからこそ
キャラクターの魅力が「1話」から最大限に感じられる。
各キャラクターが登場する度に声優陣による適度な味付けと、
この作品ならではの「若干テンションの高いキャラクター」たちのセリフが見事にマッチする。、
これが新人声優さんなら演技力不足や声量不足で「インパクト」が弱くなってしまっただろう。

特にアラフォーの先生「ベッキー」を演じている斎藤千和さんの演技は流石といわんばかりだ。
初登場シーンだけで強烈なインパクトと笑いを残すw
色々なアニメでも「彼氏が居ない」独身な先生は多く登場するが、
この「ベッキー」というキャラクターの濃ゆさはある意味この作品の象徴だ
パロディ、下ネタなど他のキャラクターと比較すると彼女だけ濃ゆすぎる(苦笑)

更にパロディ要素。
色々なアニメ、漫画、ゲーム、演じられている声優さんのお馴染みのネタなど
かなり大量かつ頻繁に話の合間合間にぶち込んでくる。
コレに関しては元ネタがわからなくても「演出とテンポ」のおかげでスルーすることもできるが
人によっては「しつこい」と感じてしまうかもしれない。

個人的には確かにパロネタは多いと感じたが、テンポがよく元ネタもわかりやすいため
そこまで気にならなかったが、逆にパロネタが多くテンポが良すぎるため
慌ただしくストーリーが展開している印象も残しているように感じている。
簡単に言ってしまえば1話1話が「くどくて濃厚」だ
例えは悪いが「二郎ラーメン」のような好みが分かれるラーメンのような味わいだ

そのせいでストーリーの内容は1話1話で薄い(苦笑)
小ネタやパロディ、下ネタを優先するあまり本筋のストーリーの進みが非常にゆっくりで
1話に至っては「元アイドルが農業高校に転校してきたよ」というだけ、
2話に至っては「元アイドルが寮で一緒に暮らすことになったよ」というだけで
本来の日常ラブコメなら1話分で描写するような内容を小ネタとパロディを入れることで
2話分になっているうような印象だ。

ストーリーのテンポ自体はいいのに、ストーリーの進行は遅い。
日常ラブコメではあるものの感覚としては「ギャグアニメ」に近い
これで演出やテンポが悪ければグダグダになってしまっているだろう
ある意味でギリギリのバランスだ。
ギリギリなだけに好き嫌いが分かれやすい作品でもあり、
クドいまでにネタを入れつつゆっくりとラブコメを展開するため、
このクドさを受け付けない方は多くいるだろう。

見ていると1話1話に様々な要素が詰め込まれており、
1話30分なのに45分アニメのような感覚だ。
非常に濃ゆく、ネタを多く取り入れて入れているため、
簡単に言ってしまえばいい意味でも悪い意味でも「疲れる」アニメだ。
確かに面白い、確かに笑える、だが1話見終わることには強い満腹感と疲労感が襲う。

この作品の舞台は「農業高校」が舞台になっており、
登場キャラクター達はそこに通う生徒だ。
ストーリーの中で田畑の世話も描写され、農作業の知識も盛り込まれている
ただ、みんなで田畑作業をしようという展開になっても、
一人は変態水着、一人はスク水、一人はブルマ、一人はウェディングドレスと
捉え方によっては農作業を侮辱しているとも言えるような格好で行う(笑)

ただ、小ネタやギャグも盛り込まれているものの「農業」に関する描写や解説は真面目であり
明るくテンポよく、農業あるあるや農業ネタも楽しむことが出来る。
同じ農業高校が舞台の「銀の匙」と比べると若干薄い感じはあるものの、
ギャグやネタの中でさりげなく描写しているのは好感が持てた。
話によっては「農業と萌え」の融合の萌え商品についてや、
地方の農村問題などを扱った話もあり
「銀の匙」とは少し違う方向性の農業に関する小ネタは純粋に面白い。

物語序盤は農業ネタは少ないが、後半になると農業ネタが増え
パロディと農業高校生の日常ストーリーのバランスがちょうどよくなる。
シリアスなストーリーも展開するが、キャラクターの魅力をより深める展開も多く、
中盤になるに連れてしっかりと「のうりん(農林)」というタイトルに相応しい内容に
徐々に変わっていくストーリー構成は、序盤の激しいネタの詰め込みからは予想ができない。
それまで「めちゃくちゃ」とも言えるネタを展開していたからこそ、
シリアスな展開に入っても受け入れやすく、ストーリーがストレートに見ている側に伝わりやすい。

いわゆる「誰得シリアス」という感じではなく、きちんとしたストーリーの流れの中で
重すぎないシリアス展開だ。
ただシリアスなストーリーを展開しても次のシーンではすぐに「ネタ」に走るのも
この作品らしいストーリー展開いえるだろう(笑)

1話の段階でこの作品を少し苦手と思った方も7話くらいまでは見てほしい。
この作品に対する印象は大きくは変わらないかもしれないが、
少なくとも7話まで見てよかったと思えるはずだ
1話の段階で7話の内容を予想できる人は原作を見ていない限り無理だ、
予想外すぎる内容はラノベというジャンルではある意味「衝撃」な展開といえるだろう(笑)
ただ、もう少しあの展開を引き伸ばしても良かったのではと感じる部分はある。

全体的に見て好き嫌いのはっきり別れる作品だ。
味付けの濃ゆいキャラクターとその味付けをいい塩梅にするベテラン声優陣による演技で
テンポよくラブコメストーリーを展開し、詰め込みすぎなくらいのパロディと
胸焼けしそうなほどの小ネタの数々を盛り込み、斬新な演出で仕上げていた。
しかしながら全体的に色々な要素を「詰め込み」すぎな感じが強く、
いい意味でも悪い意味でも「くどい」作品だ。

更にセクシー要素。
1話ではかなりギリギリなセクシー要素もあり、
それ以降もお約束のごとくセクシー要素が盛り込まれている。
作画のレベルが高くエロさも出ているのだが、過剰なほどセクシーになっているため
人によっては嫌悪感を抱くかもしれない。

更に百合やBL要素。
主人公と男キャラクターがキスするような場面も普通にあり、腐女子や百合要素もある。
あくまで「ネタ」としての要素ではあるが嫌いな人も居るだろう。

確かにこの作品は面白い。
味付けの濃ゆいキャラクターのパロディネタは当たり外れはあるものの
詰め込みまくることで「パロディ元」がわからなくても勢いで笑える感じが強く
テンションの高いキャラクターのボケとツッコミもしっかりしている。
キャラクターの立ち位置もしっかりしており、好感の持てるキャラクターが多い。
しかし、濃すぎる(苦笑)

特に私のように全12話一気に見る場合は余計にそう感じると思うが、
5話辺りでかなり「疲労感」と「満腹感」が襲い、
面白く続きが見たいとも思うのだが珍しく一旦休憩を入れるほど、
この作品の「圧」というか「勢い」に負けてしまいそうになる。

極端な話だが、1話1話のストーリーの進行度を考えれば
「1話30分」よりも「1話15分」のほうがもっとすっきりと楽しめたかもしれない。
作品全体が濃ゆいため少し薄めてほしいと感じてしまう。
他作品になるが「よんでますよ、アザゼルさん。」がもし30分アニメになったら、
あの作品特有のどぎつい下ネタがくどく感じてしまうのと同じだ。

「1話30分」という尺がこの作品の濃ゆさを顕著にしてしまっており、
その濃ゆさ、くどさが余計に人を選ぶ作品になってしまった。
更に言えばこの作品のいわゆる「どんでん返し」なオチともいえる7話は
できればもう少し早い段階で描写するべきだったろう。
この作品を序盤で苦手と思って見るのをやめてしまった人も
7話のあの展開とストーリーを見ればもう少し視聴継続した可能性も高かっただろう。
そういった意味でも1話15分でストーリーの進行度を早めて欲しかったとも感じる

逆に言えば気に入ればハマる作品だ。
味付けの濃ゆいキャラクターとやり過ぎなくらいのパロディ要素は
見れば見るほどハマっていく深い魅力があり、
キャラクターの可愛さも中途半端なラノベアニメ作品に比べると強烈だ
一回見れば確実に印象の残るキャラクターで、ストーリーが進むとより深い可愛さが描写される
ラブコメとしてはどんでん返しと言える7話の展開もこの作品の特徴といえる。

7話を超えると「農業高校に通う高校生の日常」と「ラブコメ」と「ネタ」など
この作品を構成する要素のバランスがちょうどよくなる。
人によっては前半に比べてパワーダウンしたと感じるかもしれないが、
前半のハイテンションアニメ、中盤のどんでん返しハチャメチャ展開、
終盤のしっとりラブコメ展開と見ている最中に味わいが色々と変わる面白い作品だ。

ただ、最終話は原作が終わっていないため「俺達の農業はこれからだ」的に終わってしまっており、
恋愛関係も決着がついていない。まさかの俺達の翼ENDだが(笑)
一応、1期できちんと物語を一区切りしており、もし2期がなくてもこれはこれで記憶に残る作品だ。
完結したとはいえないが投げっぱなしではなく、ある程度物語を締めているのは好感が持てる反面で
売上があまり芳しくないのが残念な所だ。
2期があれば期待したいが・・・流石に枚数的に厳しいかもしれない。

個人的には「ベッキー」のキャラクターがものすごい気に入ってしまったw
1話の衝撃的なセクシーシーン、8話でのもののけ姫パロディ「ひとり神」や、
最終話のアンチエイジングなど、
この作品のくどさの象徴とも言うべきキャラクターは愛すべきアラフォーだ(笑)