あらすじ 8年前、苛められっ子だった真壁政宗は自分に「豚足」というあだ名を付けて振った令嬢安達垣愛姫に復讐すべく、過酷なダイエットと筋力トレーニングにより激痩せしてイケメンへと生まれ変わり、苗字まで祖父のものに変えて故郷へと帰ってくる。
引用 – Wikipedia
デブとカラオケの無駄遣い
監督は湊未來、制作はSILVER LINK.
見出して感じるのはベタベタな感じのキャラクターだろう。
いかにもな妹キャラ、42歳という設定なのに声優が「小倉唯」で、
見た目は子供にしか見えない母親など、
過去のアニメ作品で使い古されたキャラ設定をいきなり見せられる。
ただ主人公の設定は珍しい、容姿端麗成績優秀、モテモテでナルシスト。
ここまで自信満々でナルシストな主人公はあまり居ない。
そんな主人公に対してヒロインはツンツンMAX。
モテモテな女子では有るものの告白してきた人を振る際に
「ひどいあだ名」をつけて振るというおまけつきであり、
正直、性格は悪い。
この作品は基本的に「性格の悪い」キャラクターが多い。
主人公はヒロインに対して過去の出来事がきっかけに
表面上はヒロインに好かれようとしているが
「リベンジ」を計画している。
モブキャラでさえも性格が悪く、
モブキャラがメインヒロインの「髪」を掴んで
斬りかかろうとするラブコメなど、ある意味この作品くらいだろう。
同時に主人公はヒロインをその状況から助け出すことで、
ヒロインへの好感度を高めようとするゲスさもある(笑)
基本的にこの作品はキャラクターの「性格の悪さ」が際立つシーンが多く、
その性格の悪さという点を際立って描くことで
表面上は普通のラブコメに見えるが、
ややドロッとした人間関係を描いている。
簡単に言えば実は皆、腹に一物抱えている状態になっている。
ヒロインに裏切られ暴言を吐かれた主人公が、
ヒロインを自分に惚れさせ徹底的に振るために
ヒロインを自分へ惚れさせようとする。
こう書くと鬼畜系なアダルトゲームにありそうな内容でも有る(苦笑)
根本に有るストーリーは面白いのだが、
そのストーリーを綴るキャラクターの性格の悪さを
どの程度、受け入れられるかで好みが分かれる所だろう。
メインヒロインの暴言はやや度を越しており、
そんな性格の悪いヒロインに復讐しようとしているからこその面白さはあるが、
ストーリーのテンポが悪いため、その性格の悪さが際立ってしまっている。
普通の性格の良くて可愛いサブヒロインも居るから問題だ。
特にクラスの委員長でもある「双葉 妙」は普通にかわいくて性格もいいキャラだ、
主人公に対してもまっすぐに好感を持っており、
デートにまで誘ってくるという積極性もある。
しかし、そんなサブヒロインの思いもリベンジのために主人公は断ってしまう。
なぜ性格の悪いメインヒロインを選んで、性格のいいサブヒロインを選ばないのか。
こう感じてしまうとこの作品を楽しみづらくなってしまうが、
逆にメインヒロインに対して物凄い一途と捉えれば楽しめる。
見る人の「感覚」というか「価値観」のようなもので、
この作品の面白さもかなり変わってくる。
キャラクターが増えてくると面白さも薄まってくる。
いわゆるヒロインのライバルキャラ的なものが出てくるのだが、
こうなってくると話がややこしくなっていき、
根本に有るストーリーの面白さが薄まり、
更に主人公の昔の姿にそっくりなキャラが出ると余計に話が薄まる。
根本に有る「ヒロインに対するリベンジ」という設定と、
序盤の段階のキャラクターだけで「起承転結」の話が作れるのに、
余計なキャラクターを追加して話を引き伸ばしている感じが強い。
週間連載漫画の引き伸ばしのような要素が5話くらいから垣間見えてくる。
原作が月刊漫画というのがにわかに信じがたい。
終盤の展開は酷いものがある。
主人公の過去の姿にそっくりなキャラがライバルとして登場するのはいいが、
思わせぶりな行動や言動をしまくって、結局最終話になっても何も解決しない。
いっそ出さないほうが物語がスムーズに進んだのでは?と思うほど、
1クールという作品のストーリーにおいて必要のないキャラだ。
結局、最終話ではありとあらゆる事を投げっぱなしで、
キャラクターがカラオケをする。
カラオケなんてシている状況ではないのだ、
ライバルキャラとの話など描くべき部分や、
1クールを締めるための展開などヤることはたくさんある。
終盤はわりと視聴者に対してストレスを与える展開を見せておきながら、
キャラクターたちの和気あいあいとしたカラオケを見せられても、
心底どうでもいい感じが強く、そんなどうでもいいカラオケから
「俺たちの恋愛はこれからだ」みたいに投げられては堪ったものではない。
何の区切りもつけず、モヤモヤとする要素だけを残して終わってしまう。
全体的に見て話の作りが甘い。
序盤の段階で描かれた作品の設定や世界観、キャラクターなど
好みの問題は有るだろうが、決して悪くはない。
だが、話が進めば進むほどその根本にある部分を引き伸ばすための話、
引き伸ばすためのキャラクターが明らかに増えてしまい、
作品全体がとっちらかってしまっている。
1つ1つの話もいまいち「盛り上がりきらない」感じが強い。
各エピソードの起承転結の起承の部分は悪くないのに、
転結の部分が甘いためどうにも各話の印象が薄くなってしう。
それに拍車をかけているのがテンポだ。
原作のストックがあまりなかったため仕方ないのは分かるが、
1話1話のテンポが悪い。
グダグダとしたストーリー進行のせいで、
この作品の欠点が余計に目立ってしまっている。
分割2クールなのか?と思ったのだが、
原作は現在8巻出ており、アニメでは6巻までアニメ化されており、
原作の連載は月刊、すぐに2期をやろうにもストックが足りない。
原作の内容をアニメ化するにあたって1クールのストーリーとして構成する。
それが出来ておらず、話が進めば進むほど、そのストーリー構成の甘さが響き、
最終的に強いストレスの残る作品になってしまった。
個人的にはメインヒロインの「安達垣 愛姫」がどうにも可愛いと思えず、
他の魅力的なヒロインに一切なびかない主人公に何の感情移入も出来ず、
それでも9話くらいまではそこそこ楽しめていたのだが、
10話からの展開は目も当てられなかった。
原作が完結してから2クールくらいでじっくりとアニメ化すれば、
色々と違った作品だったかもしれない。
早すぎたアニメ化だった。
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