月刊少女野崎くん

評価/★★★★★(100点)

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余計な言葉は要らない、素直に面白かった・・・

原作はガンガンONLINEで連載中の4コマ漫画作品。
アニメ制作はゆるゆり、未確認で進行形で有名な「動画工房」。

見出して感じるのは「あ、ヒロイン可愛い」という素直な感情だろう。
1話早々、冒頭1分で告白するヒロインというのは
昨今の周りくどい作品事情の中では非常に珍しいヒロインだ
だが、そのヒロインの告白はちょっと台詞が違ったが故に、
緊張と恥ずかしいがゆえに少しズレた台詞になってしまったが故に
彼の「サイン」によって流されてしまう。

見ていない人にとっては何を言ってるかわからないだろう。
だが、この見事なまでの最初の「すれ違い」はこの作品の面白さの根底にあるものだ
そして1話開始5分でヒロインは意中の「野崎くん」の部屋に上がり込む、
アニメ史上、最速の告白と最速の部屋訪問だろう(笑)

彼女は告白するまで野崎くんのもう1つの顔をしらない。
彼が「漫画家」でしかも「少女漫画家」であり
しかも「少女の繊細な描写」が特徴の漫画家であることを。
素直に告白したはずなのに、少し「告白台詞」が彼に勘違いされてしまう台詞だっただけに
彼女の告白は明後日の方向に流されてしまい
ヒロインは野崎くんのマンガの手伝いをする(笑)

そして、ヒロインの「恋心」に一切気づかないまま野崎くんは彼女を利用する。
いや、言い方が悪い。利用しているわけではない、あくまで彼はマンガのために
「少女漫画的シュチエーション」をヒロインと一緒に検証したり、
自分の漫画のアシスタントとして採用しているに過ぎない。
だが、その検証や漫画に対する態度が真面目すぎるのだ(笑)

ここで1話の例を出そう。
ヒロインが野崎くんのマンガに対し「自転車で二人乗りして下校」シュチエーションを
期待するがマンガとはいえ2人乗りは道路交通法違反になるため描写できない。
そこで野崎くんは・・・「二人乗り自転車」での下校をヒロインと検証する(苦笑)
もはや少女の乙女心を瓦礫のごとく変化させる野崎くんの現実味のある
二人乗り自転車を2人でこぐ絵はシュールすぎて強い笑いにつながり、
その時の「ヒロインの反応」が素直で可愛らしすぎるのだ。

乙女心を瓦礫にされようともヒロインは健気にまじめに付き合う。
周囲の冷ややかな目線を受けつつも彼の漫画に対する真剣さに対し
ヒロインの表情の変化はコミカルでコロコロと変わり、
ぶっとんだ少女漫画的シュチエーションや彼の漫画に対する少し方向性に違う真面目さに対し
冷静に突っ込むヒロインが本当に可愛い(笑)
過剰に反応するわけではない、冷静に反応するわけでもない、
あくまでも「佐倉 千代」というヒロインらしく反応し
たまに見ている側の予想外のボケまでかましてくる。

この「佐倉 千代」というヒロインの描写が素晴らしい。
特に表情に関しては本当に1シーン1シーンでどんどんと変わっていき、
恐らく台詞がなくても「表情」だけ見るだけでヒロインの感情が読み取れるような
ストレートな感情表現の描写と切り替わりの早さのお陰で
1話から「強烈」にヒロインの印象が植え付けられる。

特にキャラクターとしての強烈さはない。
胸が大きいわけでも、極端に髪が長いわけでもない。
唯一特徴を上げるとすれば「大きめのリボン」がついているぐらいだ
そんな本来はキャラ付けとしては外見的に弱いはずのキャラクターなのに
「ヒロインの内面の描写」が丁寧であるがゆえに
きちんと見ている側に「ヒロイン」としての印象が強く残る。

それに負けていないのが「野崎くん」だ。
ヒロインのストレートな恋心に全く気づかないという
冷徹さすら感じさせるような「釣り目」と「長身」なキャラクターだ
彼も外見的な印象はそこまで強くはない。
だが、少女漫画に対する真面目さ・・・というよりもぶっ飛んだ発想の数々や取込みが
ヒロインの乙女心を平然と瓦礫にしてしまう
ある意味でのストレートさや、「少女漫画家なのに初恋すらまだ」という設定のお陰で
純粋でストレートなヒロインを受け止める所か毎度毎度跳ね除けている強さがある(笑)

更に話を追うごとに登場してくるキャラクターもまた素晴らしい。
2話で登場する「みこりん」に関しては私は初めて
「男子キャラクターでイケメンなのに可愛い」と素直に思ってしまうほど
乙女心を所有している男子だ。
彼は非常にイケメンだ、女の子にひゅーひゅー言われるようなイケメンであり、
キザなセリフを吐きまくる。

しかし、その5秒後には自分が言った台詞で恥ずかしがる(笑)
ヒロインに対してもツンツンな典型的態度をとったかと思えば、
自分で突き放したくせにヒロインが気になって仕方ない。
ヒロインのアシスタント作業を遠くからジーっと見つめたり、
突き放したくせに頼ってくれないヒロインにドギマギしたりと
もう、めんどくさすぎるキャラクターなのだが本当に可愛いw
いわゆるギャップ萌えとも言えるのだが、それがギャグにもなっており
キャラクターの魅力にもつながっている素晴らしいキャラクター描写だ

そして、この「みこりん」に対するヒロインの反応も素晴らしい。
彼のイケメンぶりにときめくような描写は一切なく、
彼の面倒くさい部分に呆れながらも付き合ったり、彼のキザなセリフに「ドン引き」したりと
野崎くんの時には見せない反応と表情をコミカルに見せてくれる。

彼だけではない。この作品に出てくる全てのキャラクター達は素晴らしいまでのキャラ描写だ
最初に感じる印象を次のシーンで一瞬に覆すことで
強すぎるキャラ印象を見ている側に植え付け、
最初の印象とのギャップが「ギャグ」になり「キャラの魅力」にもなる

更に新しいキャラクターが増えることでヒロインの表情描写が増え、
新しいキャラクターが増える度に「野崎くん」の漫画への取込み具合の凄まじさを感じさせる
野崎くんは周りの人間を「観察」し、全て漫画に取り込んでいる。
みこりんは「ヒロイン」として(笑)、王子様的女性キャラクターはKYなキャラとして
出るキャラ出るキャラを取り込んでいく。

本来、こういった作品の場合、キャラが増えると一人一人のキャラの印象が弱くなりがちだ
だが、この作品の場合、キャラクター一人一人が無駄になっておらず
キャラクター一人一人が作品を作り上げる要素、ストーリーを作り上げる要素になっているため
新しいキャラクターが出ると既存のキャラクターの魅力が深まる。
それだけではない、新しいキャラクターが出ると
既存のキャラクターの「新しい魅力」まで描写され既存のキャラクターの印象も深まる
素晴らしく完成された「キャラクター描写」と言えるだろう

そして完成されたキャラクター描写があるからこそ「ギャグ」が冴える。
キャラクター同士が「夫婦漫才」のごとくツッコミとボケをかましてくる(笑)
その夫婦漫才だけではなく、違うキャラクターの組み合わせによるボケとツッコミも入ることで
ワンパターンにならず、安定した笑いと唐突な笑いを繰り返す。
そこに新たなキャラ同士の「すれ違い」が生まれることで更に笑いが生まれる
そして、その「夫婦漫才」と「すれ違い」が見事に野崎くんの漫画の中に取り込まれる。

全体的に見て、この作品は見事に色々な要素が1つの作品を作り上げるピースになっている。
キャラクターのギャップをギャグにつなげ、ギャグがキャラクターの魅力にも変わり
そのキャラクターの魅力がストーリー全体を盛り上げる
そして盛り上げつつもヒロインの恋心の描写も忘れずに丁寧にストーリーを進めながら
キャラクターを増やしていく。

余計な要素、余計な展開などが無く計算尽くされたストーリー展開だ
簡単に言うと「起承転結」がハッキリしている作品だ。
1話1話の起承転結を積み重ねることで、最初から最後まで飽きること無く楽しむことができ
最初と最後で少し笑いが変化していることも気づくはずだ

これはアニメでの描写のテンポのうまさもあるのだろう。
少し間延びしたり、少しテンポを早めただけでこの「完成された展開」が壊れてしまう
きちんと計算された間と話を進めるテンポが絶妙で
だからこそキャラクター達の台詞の掛け合いが気持ちよく見ている側に伝わり、
自然とキャラクターの印象が強くなっていく。

ストーリーの序盤はキャラクターの強いギャップによる強い笑いを楽しむことができ、
中盤以降はキャラクター描写が深まったからこその安定した笑いに変化する。
そして終盤は「ラブコメ」だ。
キャラクター描写を極め尽くしたからこその
「ニヤニヤ」しっぱなしのラブコメ要素の破壊力は凄まじい。

1話以降スルーされ続けたヒロインの恋心、
最終話の段階でも「すれ違い」は全開ではあるのだが
野崎くんの「無意識」のヒロインに対する行動の数々とその反応が純粋に可愛い。
1話以降の2人の関係性が「微妙」に進展したからこその絶妙な関係性と距離感の描写が
ニヤニヤしてしまうシーンを最終話にして視聴者にドンドンとぶつけてくる。
そして最終話にして「佐倉ちよ」が「野崎くん」を好きになった理由とシーンが描写され
この作品らしい「オチ」で物語が締めくくられる。

最期のシーン、ちょっとネタバレになってしまうが
野崎くんが耳元に顔を寄せるシーンは
オチは想像できてしまい予想できるのだが不覚にも「ドキッ」っとさせられる
あの時の表情の描写と、その後の表情の変化と反応が
この作品らしい魅力を存分に詰め込まれていた。
あのシーンは不思議な感動すら感じさせる感情の高まりを感じさせた

作画に関しても妥協のない安定さだ。
恐らく少しでも崩れてしまったら、この「完成された作品の空気」を壊してしまう
一瞬一瞬のシーンの描写、コロコロ変わる表情の変化、
女性キャラも男性キャラも「可愛い」と感じさせる細かい動きや反応の描写の数々が
見ていて楽しい、見ていて面白いと感じるアニメーションになっている

そして「声優」さん。
この作品はいわゆる「脇役」のキャラクターが豪華だ
一瞬だけ出る「若本」さんや、野崎くんの漫画内のヒーローを演じる「宮野真守」さんなど
メイン以外のキャラクターにも豪華すぎる声優陣が演じておりだからこそ強い印象が残る。
更にサブキャラクターにも純粋な女性漫画家には「川澄綾子」さん、
野崎くんの前のうざい担当を演じる「小野大輔」さん、
無愛想な現担当を演じる「三宅健太」さんなど
登場数が少ないサブキャラクターにもベテラン声優が演じている。
登場シーンの少ないキャラクターだからこそ声優さんの一瞬の演技が光る。

逆に1番登場シーンの多いヒロインである佐倉千代を演じているのは
「小澤亜李」さんという新人さんだ。何とこの作品が初めてのメインヒロインだ
メインヒロイン以外を「ベテラン声優」で囲んでいるという状況の中で
「小澤亜李」さんの演技が一際光る。
演技力がなかったり、声に特徴がなかったら一瞬で埋もれてしまうようなベテランばかりの中、
新人でありながら「強い魅力」を感じさせる「小澤亜李」さんの演技は素晴らしい。

この「佐倉千代」というヒロインはストレートなキャラクターだ。
野崎くんに対しては一途であり、その他の男子には特に興味が無い
野崎くんの冷徹とも言える漫画に対する態度に一喜一憂し、
男性陣のボケに対して「やや呆れ気味」に突っ込む。
ストレートなキャラクターゆえに難しい、声優さん本来の味付けが強く出てしまうキャラだ

あざとい演技だったら「可愛い」と思えないかもしれない
正統派すぎる演技だったら「魅力」を感じないヒロインかもしれない
正統派でストレートで純粋なヒロイン、
言葉にすれば単純ではあるものの物凄く演じることは難しいヒロインだ、
養成所に通った声優さんならなおのこと「一辺倒」の演技になりやすそうだ

更に表情の変化もコミカルにコロコロと変わるため、
それに合わせて演技するのも難しいだろう
しっかりした演技力と同時に新人さん特有の「初々しさ」が
「佐倉千代」という正統派でありながら正統派でないヒロインを完璧に演じ上げてくれていた
若干くせのある声ではあるものの小澤亜李」さんの今後のご活躍に期待したい

本当に完成度の高い作品だ。
欠点らしい欠点がほぼなく、ここまで来ると後は個人の好みの問題だ
しかし「男性」でも「女性」でも見やすく性別も問わず
セクシーなシーンが無いため年齢も問わずに楽しめる。
作画、声優、ストーリー、ギャグ、音楽、どこにも欠点らしい欠点がない。

ワンパターンに陥りそうになったら、新キャラが出てきて飽きさせず
そうかと思えばお約束の展開も見せてくれるため飽きない。
基本的に1話完結で間延びする展開もなくダレることもない。
欠点らしい欠点が見つからない。ここまでレビュー泣かせな作品は中々ない。

唯一・・・唯一、言うとすれば「ストーリー的には決着がついていない」というところだ。
メインの2人の恋愛もサブキャラの恋愛?も決着はついていない
だが、1期の締め方としては素晴らしい締め方であり、
ストーリー的に続くという形になっていても気持ちのいい終わり方だった
これで「恋愛に決着ついてないから欠点!」とはいえない。
むしろ、早く2期が見たい。早く続きが見たいとすら感じさせる終わり方だ

気になる部分としては原作が5巻まで出ているが4巻辺りの内容までアニメ化されたらしい。
原作が4コマ漫画、しかも月2回の連載ということを考えると
2期が制作されるとしても相当先ということだろう・・・
それだけが気になるが、もう原作買ったので後はひたすら待つのみだ(笑)

ここまで非の打ち所ない作品は本当に珍しい。
個人的に完璧過ぎて「無理矢理、欠点を探したくなる」ような天邪鬼が出てきてしまい
2回目は物凄い厳しい目線見たのだが、欠点を見つけることは出来なかった(苦笑)
むしろ1回目見た時よりも細かい部分で笑ってしまっている自分が居た
だからこそあえて素直にこう言いたい。

面白かった。

2期への強い期待を込めて、
2期でこれ以上のものを作り上げてくれるようなプレッシャーも込めて
文句なしの「100点」の作品とし色々な人に薦めたい作品です。
原作ストックがたまり次第、2期を強く希望したい作品です。

超個人的に「みこりん」が好きすぎるキャラクターだ。
男子キャラクターでここまで可愛いと思ったのは本当に初めてだった(笑)
彼にだけ相方がいないのも個人的にはツボすぎたw