神のみぞ知るセカイ 女神篇

評価/★★★★☆(63点)

神のみぞ知るセカイ 女神篇 評価

全12話
監督/大脊戸聡
声優/下野紘,伊藤かな恵,早見沙織,名塚佳織,阿澄佳奈ほか

あらすじ
地獄の復活を目論むヴィンテージによって刺されたかのんを救うべく、桂木桂馬はハクアをバディーとして女神探しの攻略を始める。

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神様は鬼になり、落とされ神になり、ただのゲーマーになり、そして人になった

本作品は神のみぞ知るセカイの3期。
2期と3期の間にOADが発売されたのちに3期が放映された

始まって早々ダイジェストが始まる。
2期~3期の間のストーリーで攻略したヒロインたちの攻略模様をダイジェストで一気に見せる。
これはある意味正解だ。

はっきりいって1期と2期はストーリー展開がマンネリだった
ヒロインに駆け魂が居る→主人公が攻略する→キスして次のヒロインという展開が
2クールも続いており、これが3期でも続いてしまえばマンネリすぎてつまらなかっただろう。
確かに魅力あるヒロインがダイジェストにされてしまった惜しさはあるものの
気になる方は原作でというのはこの作品の内容だからこそ許される内容だ
本筋のストーリーが動き出す女神編から3期がスタートするのは正解だった

ただ天理編をOVAにしてしまったことで、OVAか原作を読んでいない人にとっては
いきなり3期の1話から知らないキャラが絡んでくるストーリー構成になってしまっている
最低限、彼女についてもカットされたヒロインと同じようにダイジェストで説明があるものの
説明が若干不足しており、この点については納得しかねる部分だ

更に3期になって監督が変わったせいか、作画のレベルが一気に落ちた。
1期や2期は高いレベルの作画でヒロインの可愛さの後押しをしていたのだが
今期では作画のレベルが下がりすぎており、崩壊寸前なキャラまで居る
レベルの高い作画で可愛いヒロインを魅せるのがこの作品の魅力の1つでもあった、
こうもあからさまに作画のレベルが下がってしまったのは残念なならない。
1期や2期では恒例だった各話ごとのエンドカードも無くなってしまい
明らかに予算が削られたんだなと感じてしまう

ストーリー的にはかなり物語の核心に迫る内容だ。
かつて駆け魂を封印した女神たち、そんな女神たちも駆け魂と同じく人間界に来ており
そんな女神たちは「主人公が攻略したヒロインの中に居る」ことが判明する
更に本来は攻略したヒロインは桂馬との記憶を失うが、
女神がいるヒロインの場合は記憶が残っている、それを手がかりに桂馬は女神を探すことになる
というところからストーリーが始まる

序盤からかなり衝撃的だ。
2期までのストーリーの説明やカットされたヒロインをダイジェストでお送りしつつ
かのんの中の女神の存在がわかると同時にかのんが何者かに刺される
これまでの神のみぞ知るセカイでは考えられないほどシリアスな内容は
マンネリ気味だった内容を一気に打破した。

そして攻略に制限が付けられた。
刺されたかのんを救う方法として「他の女神を1週間以内に探す」という条件が付けられた
更に今まで攻略したヒロインの中に女神がいるという条件もあり、
同じヒロインを再度攻略するという今までと同じ攻略ストーリーにも変化ができた
更に5人同時攻略という偉業までなしている(笑)
時間制限のある中でのヒロインの再攻略とヒロインの5人同時攻略、
これが独特の緊張感と新しい面白みを生んでいる

ただ同時攻略であるがゆえに主人公のゲスさが際立ってしまっている(苦笑)
1期や2期では一人ひとりのヒロインのことをおもい一人ひとりのヒロインに攻略のためとはいえ
一人ひとりのヒロインの悩みや問題を真剣に考え、その末に恋愛という結末になり、
ラブコメとして「ヒロインが主人公を好きになる理由」が理解できた

しかしながら同時攻略になってしまうと、主人公の行動がヒロインのことを思うといよりも
「カノンを救うため」に仕方なく、作業的にやってしまっている感じがある。
しかし、同時攻略だからこその面白さがある。

他のヒロインを攻略している様子を他のヒロインが目撃してしまって話がややこしくなってしまったり
他のヒロインと仲良くしている様子を嫉妬しながら見つめていたりと
複数のヒロインが居るという状況だからこそ生まれるヒロインの心理描写、
これは他のラブコメだったら当たり前なのだが、この作品がコレまでしてきた展開があるからこそ面白い

しかし、3期は遊びの回がない。
1期や2期は主人公である桂馬がゲームについて語る回があったりして
ヒロインが攻略するさなかで閑話休題的なストーリーがあり、ストーリーのいい箸休めになっていた。
ただ3期はずっと攻略している状況で遊びの回がなく、ずっと攻略している状況になってしまっていて
息が休まる回がないのは残念だ。

だが、息が休まるかいがないからこそ「主人公」の成長が際立つ。
主人公である桂木桂馬は現実ではなくゲームの世界に生きる男だ、
そんな彼だからこそ数々のヒロインをゲームと同じように落としてきた

しかし、そんな彼でも現実に生きる1人の人間として数々のヒロインを落とす中で
少なからず変化があった。
それは自分のことを忘れてしまったヒロインの態度やヒロインの変化を目の当たりにして
言葉には出さない気持ちの変化が少しずつ起こっていた

そして、それは一人のヒロインによって決定的なものになる。
過去に攻略した「ちひろ」は元々はモブキャラだ、
彼女も再攻略の対象になり主人公である桂木桂馬は攻略する。
だが、桂木桂馬はそこまでの攻略をしかけていない、
過去の記憶があるかどうかの反応を見るくらいだ

しかし、彼女は過去の記憶が無い状態で、それでも桂木桂馬の事を好きになっている
それは純粋な桂木桂馬に対する好意であり、
桂木桂馬に攻略されなくても、自分の中に女神が居なくても
ちひろは桂馬のことを好きになっている。
ただ、「桂木桂馬」はそんなことに気づいていない。

彼がそれに気づくのはキスの寸前だ。
彼女の中に女神が居ると思い、女神を出すためにキスをする。
そのためにキスをしようとした寸前に彼女の中には女神が居ない、
彼女が桂馬との記憶が無いのにもかかわらず自分のことを好きになったことに気づく

彼は攻略の対象を切り替えるために彼女を突き放そうとするが、
彼女の純粋過ぎる真っ直ぐな思いに彼は簡単に突き放せない
好きになるきっかけも理由もないのに彼女は彼を好きになっていた
そんな純粋過ぎる思いにゲームの世界に生きる彼は受け止めきれない
そして受け止めてしまえば「かのん」や「世界」を救えない

このストーリー展開の切なさは見ていて辛くなる切なさだ。
魅力のあるヒロインだからこそ、好感の持てる主人公だからこそ
この切ないストーリー展開と辛い心理描写は、視聴者にも同じような苦しみを覚えさせる。
そして、その苦しさをきちんと「主人公」も感じて落ち込む

ただのモブキャラでしか無かった彼女が「主人公」という大きな立ち位置の存在に
これほどまで影響を与えた作品は他にはないだろう。
切なすぎるゆえに主人公を嫌いになってしまう方も居るかもしれないが、
彼にはそうしなければならない理由もある、だが、だからこそ切ない。
本当に素晴らしいストーリー展開だ。

その後のストーリー展開も素晴らしく切ない描写の中で明るい描写に展開し
だが明るい描写の中に主人公の傷ついた心をも描写し、
それを少しだけフォローをするような描写に変わる。
目まぐるしく話しの雰囲気が変わり、ヒロインの可愛さが際だち、主人公が少し成長する。

更に終盤、「ちひろ」は主人公の事情を少しだけ知る。
彼が何かのための多くのヒロインを落としていること、
そして今は友人である「あゆみ」にも手を出そうとしていること。
ちひろは振られた立場から「彼」を少しだけ手助けする、これがまた切なさを後押ししている。

最後の彼女のセリフと表情を見た「主人公」と「視聴者」の気持ちは不思議なシンクロを産んでいる
モブキャラでしかなかったちひろがもう一人の主人公となり、
ゲーマーでしか無かった主人公が1人の人間として傷つき、
彼がベンチで1人涙をこぼし、ちひろが涙を流すシーンはそれまでの切なさが一気に滲み出るようだった

全体的に見て1期や2期と同じような面白さがあるわけではない
だが3期はそれまでの24話以上の積み重ねがあるからこそのストーリーの面白さだ。
一人ひとりのヒロインの魅力、時間制限のある攻略、同時攻略、
何の関係もないヒロインを攻略してしまった主人公の苦悩と
魅力のあるキャラクターだからこそ主人公と視聴者の気持ちがシンクロし、
心が締め付けられるようなストーリー展開を生んでいる。
久しぶりにキャラクターの可愛さとストーリーの面白さが
見事に融合したラブコメだったとひしひしと感じる作品だ。

もちろん欠点はある。
序盤の作画の不安定さやカットされたヒロインたち、
更には今回切羽詰った攻略模様のため1期や2期のような遊びの回がなく
そのせいで主人公の酷さが際立ってしまう。
ストーリー展開がかなり早いため各ヒロインを作業的に攻略している感じが強く残ってしまった
攻略した後のフォローもなく、女神出ました!で終わってしまっている感じもある

だが、作業的に攻略していたからこそ「ちひろ」の存在が光り、
彼女の言葉や行動が「主人公」に突き刺さり、主人公が傷つき少しだけ成長した。
3期は1話から最終話まで始めてみて、3期全体のストーリー展開が生きてくる内容だ

1期や2期、更にはOVAか原作を見ないと3期の話がついていけないという点も残念なところではある。
カットされたヒロインやOVAや原作を見ていないと1話からついていけなくなる展開も
1クールという限られた尺の3期単体としては評価できるのだが、
やはり説明不足な点は目立ってしまう。
特に結や月夜などのキャラは攻略ストーリーがカットされているのに
再攻略の対象になっているので感情移入しきれない欠点も生まれている。

しかし、それらの欠点を覆い隠すほどストーリー展開が素晴らしかった。
1期や2期のマンネリを打破した状況、更にそこから
「次々とヒロインを落としてキスしていく主人公」という
捉え方によっては女の子を騙してる主人公に対する「報い」のようなものもあり、
そんな主人公だからこそヒロインの魅力が際立っていた。
特に「ちひろ」はこれほどまで魅力のあるキャラクターになるとは
1期の段階では想像もつかなかったキャラクターだろう。

4期はあるのだろうか???
原作の方では4期でやるなら「過去編」と呼ばれるストーリーに入っていくようだが
これが調べた限りでは評判が良くないのが若干気になる所だ(苦笑)
更に言えばそろそろ桂木桂馬の「エンディング」が見えてもいい頃なのだが
この点も原作を連載しているのがサンデーというのが非常に気になる。
ついでに言えば売上もかなり厳しい・・・

ここまでやったのだからアニメできちんと「神のみぞ知るセカイ」のエンディングを見せてほしい。
2期ではそう感じなかったが、
3期ではそう感じるほど作品としての面白さが一気に上がった作品だ
というよりも、ちひろが何らかの形で報われてくれることを願いたい。
あのままだと本当にせつなすぎる・・・。

ちひろのためにも4期があることを切に願いたい。

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