評価 ☆☆☆☆☆(8点) 全25話
あらすじ 「抜けさせてもらう!」―― 赤魔道士のユークはそう啖呵を切って、5年間在籍したAランクのパーティ「サンダーパイク」を離脱した。彼は、他のメンバーから過小評価、否、バカにされていたことに耐えきれず、ついにその地位を捨てたのだ。 引用- Wikipedia
指パッチン太郎
原作は小説家になろうな本作品。
監督は小野勝巳 、制作はBN Pictures
配信
この作品の設定は興味深いものがある。
いわゆるファンタジーな世界でダンジョンを攻略する冒険者がいる。
それだけなら数万作品の類似作品があるのだが、
そんなダンジョン攻略の模様を「配信」している。
配信で映えることで人気も上がり、スポンサーなどもつく。
だが、主人公は配信映えしないサポートだ。
そんなサポートをパーティーメンバーは評価してくれず、
使えないと評価されている主人公は自らAランクパーティーを離脱することになる。
追放ではなく自らでていくというのは斬新ではあるものの
「戻ってきてもお前の席ねぇからな!」
などと聞いたことがあるようなセリフを吐くパーティーメンバーや、
明らかにこのあと彼らが困ることになるんだろうなと想像できてしまう
安易さがある。
気持ち悪い
Aランクパーティーだったサンダーパイクを抜けた
Bランクな主人公、求人広告を出し、次のパーティーを探そうとした瞬間、
かつての教え子と再開し、3人の美少女パーティーに参加することになる。
もう安易さの極みだ。
再会してすぐに3人の美少女は顔を赤らめており、
そんなDランクな教え子パーティーでイキる。見ていていて非常に痛々しい。
というより気持ち悪いという感覚がつきまとう。
その原因は主人公だ。
決めセリフというか「かっこつける」瞬間が多く、
クセなのか指パッチンをしまくる。
例えば1話ではダンジョンに入る前に緊張している3人に対して
「みんな楽しもう!」という言葉をかけたあと
何故か指パッチンをする。
意味がわからない。その指パッチンに何の意味があるのか。
そのことについて2クール架けて説明してほしいと思うほどに
意味のない指パッチンがでてくるたびにイラっとした気持ちが生まれ、
嫌悪感も湧き上がる。
Aランクのパーティーメンバーは彼の指パッチンが
嫌すぎて雑に扱っていたという理由があっても
納得できるほど、この指パッチンがかっこわるいうえに気持ち悪い。
かっこよくない男がカッコつけてる姿ほど痛々しいものはないのと同じで、
この作品の主人公がまさにそれだ。
3人のヒロインの前でイキりまくり、自らの凄さをひけらかす。
そんな凄さに3人のヒロインは当然顔を赤らめ、
いかに主人公がすごいのかを解説してくれる。
そんな称賛の言葉を素直には受け取らず、照れ隠しと言わんばかりに、
無駄にヒロインの頭を撫でる。
ストレートに気持ち悪い。
これもモテない男が勘違いしてよくやりがちな行動だ。
そんな勘違い非モテ男な主人公を3人のヒロインが称賛し
褒めまくる姿がひたすら描かれる。
非常に厳しい。
主人公には気持ち悪いという特徴があるものの、
3人のヒロインは無個性の極みでしか無く、
1話から掴みが悪い。
いつもの
当然、主人公お荷物と判断した元パーテイーは苦戦を強いられ瓦解する。
いつものやつだ、何のひねりもない。
一方で主人公は3人のヒロインにすごいすごいとひたすら称賛される。
どこぞのキャバクラでも覗いてるような感覚だ。
更に配信でも人気になっていき、主人公はAランクに昇格する。
そんな主人公の昇格に引っ張られて3人のヒロインもCランクになる。
ただただ主人公におんぶにだっこな状況で楽だ。
同伴で高級寿司を食べられるキャバ嬢のごとく、
主人公の金魚のフンをしているだけでヒロインたちも出世していく。
主人公が凄いだけなのにヒロインのランクも上がり、
主人公が活躍しただけなのにスポンサーも付き、
ブランド装備品までゲットする。
パパ活でもしているかのようだ。
元パーテイーメンバーもあせり、主人公を連れ戻そうとするものの
「もう遅い」という展開だ。
もうテンプレ過ぎて何の面白みもない。
ご都合主義
主人公も最強の無敗というわけでもなく、
序盤には強敵も現れる。
戦闘シーンのクォリティ自体はそれなりに高いものの、
バフ魔法がかかるとまるでゲームのように文字で出てくる演出は
ドクドクのダサさがある。
元パーティーがどんどんと没落していく中で、
主人公たちは四人で住む家も手に入れる。
主人公の夢は無色の闇という謎の多いダンジョンを
攻略することでもある。
そんな攻略を餌に元パーティーが
主人公を引き抜こうとするものの、主人公は頑なに断り、
そうかと思えば無色の闇の攻略依頼が国から届く。
主人公にとって都合のいい展開、都合のいい女、
都合のいい仕事が降って湧いてくる。
おそらく指パッチンすることで
主人公の運を上げる魔法が発動しているのだろう。
難関ダンジョンに挑む前には使える女忍者が
一時的にパーティーに入ることになる。
いわゆるシーフのような役目であり、
斥候として大活躍だ。わざわざそういう人物を探すこともなく、降って湧いてくる。
あまりにも都合がいい。
没落
元パーティーは配信中に暴言を吐いてしまう。
ダークエルフに対する差別発言は炎上し、問題になり、
謝罪配信したとしても、国外追放までされる可能性もある。
配信という設定が活かされている部分は面白いものの、
元パーティーのリーダーが謎の人物に
そそのかされるというお決まりの展開を見せられる。
やってることに新鮮味というものがなく、
キャラクターに魅力があるわけでもない。
主人公は非モテダサ男、ヒロインはそんなダサ男の金と力に惚れたキャバ嬢だ。
元パーティーメンバーもいつまでも学ばず、
どうにか主人公に元パーティーに戻ってきてもらおうと画策するだけで、
特に魅力があるわけでもない、
無色の闇というダンジョン自体に謎も多く、不思議な空間が広がり、
まるで別の世界につながるような事象もおこる。
不死者の王という神のような存在もおり、
主人公は呪いを受けたりするものの、それが面白みになるわけでもない。
元パーティーメンバーは隷属の首輪を主人公たちに付け、
無理やり従わせようとするものの、そんな悪巧みは失敗し、
元パーティーメンバーはモンスターに囲まれてしまう。
結果的に元パーティーメンバーでも主人公に対して好意を
持っていたヒロインだけは助けるという徹底ぶりであり、
他のメンバーはほぼ死亡してしまう。
特に元パーティーのリーダーへの扱いは鬼畜だ。
確かに主人公たちにひどい行いばかりをしてきており、
報いを受けたと言えばそれまでだが、
無限に再生する魔物になった元パーティーのリーダーであり、
幼馴染に無限の苦しみを与える(苦笑)
死ぬまで解けない魔法で死ぬまで苦痛与える。
無限に回復し、無限に苦しみ続けるという魔法を
主人公は元幼馴染にかけてしまう。あまりにも鬼畜だ。
しかも、ダンジョンに置き去りにしてしまう。一生そのままだ。
ハーレム
序盤を過ぎるとヒロインの一人が特に
主人公と恋愛関係に発展したわけでもないのに
「僕はもうリュークのものだから」と主人公が
そんなことをいってないのに自ら所有物宣言するのも
心底気持ち悪く、キャラクターに血が通ってない。
主人公の指パッチンと「慎重に楽しもう!」という決めゼリフも、
普通のダンジョン攻略ならまだしも、
元パーティーメンバーの救出という一刻を争う状況でも
楽しもうとしてるのは謎であり、締まるものも締まらない。
話が進むほどヒロインも増えていき、
女忍者や元パーティーメンバーの魔法使いも仲間になる。
ただのハーレム要員だ。
中盤になると新ダンジョンが現れ、そこに挑戦することになる。
「よし!慎重に楽しもう!」とまた言い出すものの
何故か指パッチンをしない。
そもそも、この主人公が慎重に物事を進めている感も薄い。
新ダンジョン
新ダンジョンの中で謎の少女に出会い、
中盤からダンジョンの秘密を探るような物語になっていく。
そうかとおもえば主人公のハーレムの一人に
婚姻話が持ち上がる。それを防ぐために主人公と結婚する。
堂々と主人公はヒロインを「所有物」にする。
気持ち悪い上に心底どうでもいい話だ。
そんな話よりもダンジョンは実は異世界であり、
異世界が侵食してきており、主人公たちの世界も淘汰の危機にあるという
話のほうがまだ興味深い。
ダンジョンの中で出会った少女から秘密を知り、
主人公たちは世界を守るためにダンジョンを攻略することになる。
なお、主人公は出会ったばかりの少女でさえ頭を撫でる。
中盤を過ぎても気持ち悪さは相変わらずだ。
そんな気持ち悪い主人公が勇者になり、
世界を救う魔法を使うものの、2週間の時間のズレが生まれてしまう。
その間に主人公の女どもが別の男に狙われる。
世界規模の話をしたあとにみみっちぃ女の話をされても
盛り上がりに欠け、面白みにもかける。
奪われた女を10分くらいで取り戻し、万事解決だ。
話がずーっと浅い。主人公は貴族になり、
女性だらけのパーティーは7人組になる。
同時にヒロインたちを守るためにヒロインたちは主人公の
「所有物」という名の妻になる。もう勝手にやってくれという感情しか生まれない。
これで好きだから結婚するという話ならまだしも、
女性がモノのように扱われる国だからこそ守るために
主人公の所有物にするために結婚するという
言い訳じみた結婚だからこそ、より気持ち悪さが増している。
無色の闇
新ダンジョンの異変は無色の闇であることが
明らかになり、終盤は無色の闇を
再び攻略することになる。
だが特殊な空間を通らなければならず、
その空間を通るためには抗体のようなものが必要だ。
ちなみに主人公には抗体がある。
そんな抗体を仲間であるヒロインたちにも移すことになる。
また言い訳だ、結婚してる上にヒロインたちは
明らかに主人公が好きなのに、抗体を移すという
言い訳を使ってキスをする。
最初から最後までこの独特の気持ち悪さがブレないのは、
芯が通っているともいえるのたが、
最後まで受け入れがたい作品だ。
無色の闇というダンジョンやダンジョン自体の正体なども
色々と明らかになり、話としては区切りがいいところで
2クール終わっている、それなのに2期が決定している(苦笑)
連続2クールも意味不明だったが、
ここから2期をやるのもいまいちよく分からず、
2期が放送されてもみたいとは思えない作品だった
総評 気持ち悪い勘違いモテ男な主人公
全体的に見て非常に厳しい作品だった。
作画のクォリティはそれなりに高いものの、
ストーリーを綴るキャラクターの描写の気持ち悪さが
最後まで抜けず、1話から最終話まで
主人公に対する嫌悪感が抜けない。
決まりセリフと指パッチンはカッコ悪いのに何度も
何度もパッチンパッチンとしており、
そんな主人公にとって都合のいい展開がどんどん起こる。
自分を正当に評価パーティーをやめたら、
自分を崇め奉る三人の美少女のパーティーに入り、
どんどんランクも上がり、美女も増えていき、
主人公の地位もどんどん上がっていく。
ご都合主義の塊だ。
ダンジョンの秘密や配信システムなど一部面白いところはあるものの、
そんな設定をつづるキャラクターに血が通っておらず、
気持ちの悪い主人公と、そんな主人公の所有物なヒロインに
一切、愛着がわかないまま終わってしまった作品だった。
個人的な感想:2クールは厳しい
これで1クールならいつものということで
呑み込めたかもしれないが、2クールというのはかなり厳しかった。
なかなか終わらず、長い2クールを気持ちの悪い主人公と過ごすのは
さすがに厳しく、なんとか完走はできたものの、
2期が1クールだろうが2クールだろうが、これ以上は付き合いきれない。
なぜこの作品が一気に2クールで、なおかつ2期も決まっているのか。
そちらのほうが作品の内容よりも気になってしまう作品だった
「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」に似てるアニメレビュー
