幻影ヲ駆ケル太陽

評価/★☆☆☆☆(20点)

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対消滅とはなんだったのか・・・

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は『魔法少女リリカルなのはシリーズ』を手掛けた草川啓造の魔法少女ものだ。

基本的なストーリーはファンタジー。
母親が好きだったタロット占いが好きな主人公、母親が亡くなって以来、
叔父の家に寄宿しアルバイトとして占い師をしながら学校に通っていた
そんなある日、叔父の娘である「フユナ」の様子がおかしくなる、
その夜、主人公は謎の生物に襲われ・・・というところからストーリーが始まる

序盤で感じるのは「あ~狙ってるな~」という印象だろう
いかにも朝の少女向けアニメのような可愛らしくキャラクターデザインで
見た目的には「明るい魔法少女もの」のように見える。
だが、1話の段階から「陰鬱」とした雰囲気が漂いまくっており、
そんな雰囲気の中で叔父の娘である「フユナ」が死ぬようなグロい描写がある。
更に1話の段階から説明のない設定や伏線を大量に入れ、キャラクターもかなり多く出る

いわゆるギャップを狙っている作品だ。
「魔法少女まどか☆マギカ」のような可愛らしい外見でいかにもな魔法少女アニメに見えて
内容は陰鬱としたシリアスでグロ描写が多いという
魔法少女まどか☆マギカを意識しているのが分かりやすい作品なのだが、
あの作品に比べると1話の段階では「雰囲気作り」が出来ておらず、
序盤の段階でつめ込まれた設定やキャラクターは受け止めにくく、
かわいいキャラクターデザインでシリアスという点は新鮮味を感じにくい

更に設定もつめ込まれたわりにはあっさりと説明されてしまう。
こういったアニメの場合「徐々に分かる」のが面白さの1つでもあると思うのだが、
色々とあっさりと説明されてしまい、そういう面白さがない。
重要な設定や伏線、シリアスな内容を主人公に明かすタイミングが異常に早く、カタルシスがない。

キャラクターの魅力も「分かりやすい大阪弁キャラ」「分かりやすいツンキャラ」
「分かりやすい百合キャラ」と非常に分かりやすいキャラクター設定だ。
メインとなる4人の魔法少女の「変身シーン」もこういった魔法少女ものでは重要なのだが、
変身前の洋服と変身後の洋服が変わらず変身後の姿もあっさりとしており
はっきり言ってしまえば「地味」だ。
深夜アニメならではの「一瞬の裸」というようなものもなく、地味だ。

戦闘シーンも見た目的には派手なのだが「動き」の面での面白さはほぼ無く、
演出面での派手さはあり、それぞれのキャラクターの技はかっこいいのだが
その技を「動き」の面で活かされない。
これが深夜アニメではなく少女向けのアニメならシンプルな動きでも納得できるのだが、
どうも「あっさり」とした戦闘シーンは深夜アニメ向きではない。
あっさりとした中にも静止した1枚絵としてのかっこよさはあるのだが・・・

ストーリー自体も「予想通り」かつ「無難」な展開が多い、
この作品における敵、ダエモニアは人間の嫉妬や怒りなどの負の感情にタロットカードが取り付く。
取り付かれた人間は「ダエモニア」という化け物に変わってしまい、
己の欲望のままに破壊や殺戮行動を繰り返す。
「ダエモニア」になった人間はタロットカードを破壊され死ぬことにしか救いがない。

序盤の段階でその設定はあっさり説明され、主人公は少し葛藤するがすぐに乗り越え
中盤までは「ダエモニア」になった敵をひたすら倒す。
主人公は「ダエモニア」の声がきくことが出来るという設定があるのだが、
聞けるだけで特に救えるわけではなく倒すのみ。
ただ逆にあっさり目だった序盤と違い中盤からは徐々に面白くなってくる
「ダエモニア」がどうやって生まれるのか、キャラクターたちの過去など話自体は悪くない。

しかし、面白くなりそうなのに面白くなりきらず、キャラ描写を深めるストーリーが本筋に絡んでいない。
中盤で人間が「ダエモニア」を利用しているような描写があるのだが、
そんな面白くなりそうな伏線なのにその伏線は活かされない。
出したはいいがきちんと掘り下げられないパターンが非常に多く、思わせぶりな描写で終わってしまう。
回収しない伏線や使われない設定が多く、無難な話の中でキャラクター描写を深めていく。
1クールで収める気がない、2期を想定した設定や伏線なのは分かるが
活かされない設定や伏線にもやもやしてしまう。

特に「対消滅」と「主人公の母親」については掘り下げ不足だ。
ダエモニアは22枚のタロットカードを元にしており、
主人公たちも同じ22枚のカードを元にした力を使っている。
今まで倒してきたダエモニアは22枚の分身であり、元のカードを倒さないと意味が無い。
しかし、元のカードを倒すと同じ種類のタロットカードを力にしている人物が死ぬ。

そんな設定が中盤で明らかになり、かなり絶望的な状況に中盤になる。
主人公と仲良くなったキャラクターと同じタロットカードのダエモニアが現れ、戦いの末に消滅する
戦わなければ人類が危ない、しかし、戦えば仲間か自分が死ぬ。
この中盤の展開はそれまでの無難かつ地味なストーリー展開からようやく抜け出し、
絶望的な状況の中で主人公がどうやって闘うのか、
どういうストーリーのなるのかという期待感が生まれた。

しかし、それは全て期待感で終わった。
死んだはずの登場人物は「死んでいない」という展開になり、
死んだはずのキャラクターが死んでおらず主人公の元に帰ってきた理由も明かされず勢いでごまかす。
好意的に解釈するならパワーアップして「融合」したのだろうが、
融合したらどうなるのか、どう言った末に融合したのか、
詳しい説明がなく勢いでごまかすためあくまで好意的に解釈するしか無い。
好意的に解釈しない場合は「対消滅」とはなんだったのかというご都合主義にしか見えない

主人公の重大な秘密がいきなり明らかになり、敵の目的も終盤でようやく明らかになるが
それまでの話の流れに沿わない「突拍子もない」内容に思えてしまう。
話の流れが結局「2期を想定した」ストーリー展開になってしまっているため
色々と解決していない部部分や意味不明になっている部分が多く、
せっかく「絶望的」な状況になってもあっさりと解決してしまったり、
せっかく「シリアス」な状況になってもシリアスになりきれなかったり、
せっかく「衝撃的なシーン」を描いても中途半端な描写しかしなかったりと
色々と中途半端になってしまっているのは残念だ。

全体的に見て2期があることを前提にしたストーリーになってしまっていることが残念な作品だ。
もっと早い段階で対消滅の危険性を示唆し、ダエモニアと闘う重さを序盤から出せば違っただろう
ダエモニアになった人間は救えず殺すのみ、更に殺しても仲間か自分が死ぬという展開を
早い段階から見せて、そこから対消滅の真実などを明かせば全体のストーリーの面白さや緊張感が違ったはずだ。
物語序盤から中盤まで結局は「雑魚戦」しかしていなかったことで
ストーリー全体の面白さが伝わりにくくなり、希薄になってしまった。

序盤から中盤が薄いせいで終盤のストーリー展開は詰め込みすぎで展開としてあまりにも雑だ
終盤で対消滅でキャラクターが悩んでいるのに仲間の「ダエモニア化」する、
このキャラクターが自分の意志で負の感情にまけダエモニアになるならまだ理解できるが
敵から強制的にという展開もいまいち飲み込みにくく、
更に同時に仲間の一人の能力が消えるという状況にもなる、
主人公を1人で戦わせるという状況にしたいのは分かるが状況づくりが下手で盛り上がりに欠け、
更にそこに「主人公の秘密」まで追加されるのでますますゴチャゴチャしてしまっている

1話から3話で主人公の変身と従姉妹の話、4話から7話まで仲間の「ダエモニア化」、
8話~13話までを対消滅とヒロインの出生の秘密というような構成ならもっと見れたストーリーだった。
3つのストーリーを終盤に一気に詰め込んでしまったせいで
結果として雑で強引な展開に見えてしまうストーリーになってしまっている。

結局のところ倒すべき22枚のうち消えたのは2枚のみ、
いろいろな謎や伏線を残して2期!という感じにしたかったのかもしれないが、
色々な要素を中途半端にしか描写しない上に最後に詰め込みまくるせいで
名作にも駄作にも慣れなかった作品というような印象だ。

2期を前提したのかもしれないが、売り上げ的には1巻辺り1000枚以下で
2巻以降は600,500と更に下降気味でいわゆる爆死だ。
原作がある作品でないため原作の売り上げ次第ということもないので、
2期の可能性はかなり低いだろう。

面白くなりそうな要素は多かっただけに残念な作品だ