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「農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。」レビュー

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評価 ☆☆☆☆☆(6点) 全12話

TVアニメ「農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。」PV第2弾

あらすじ 超一流の農民を目指し、農民関連のスキルのレベル上げに奔走する主人公のアル・ウェインは、ある時遂に全ての農民スキルのレベルを10にすることに成功する。引用- Wikipedia

脳内野菜畑

原作は「小説家になろう」で連載されていたライトノベル作品。
監督はながはまのりひこ、制作は studio A-CAT

野菜

1話冒頭からガクッとさせられる。
なにやら強そうな冒険者たちが「Sランク」のドラゴンと戦っている。
そのドラゴンはなぜかフルCGで描かれている。
冒険者たちの作画とまるで合っていないドラゴンのCGっぽさ全開の描写は、
どこか別の海外ゲームから引っ張ってきたのか?と思うほどだ。

そんなファンタジーな世界で主人公は農民だ。
この世界ではまるでゲーム画面のような「ステータス」表示で
自分の力を知ることができ、それぞれに「スキル」がある。
これで「ゲームの中の世界です」なら納得できるが、別にそういう設定はない。
なろう系作品のお約束設定を何の説明もなく見せられる。

主人公はそんな世界で「農民」として暮らしているが、
農民スキルだけ上げまくった結果、
普通なら攻撃力が500や1000で強い世界なのに
「7万」を超えるほど意味不明な数値になっている。

タイトル通り農民として生活していただけで強くなったのが主人公だ。
農民として生活しているうちに何故か強くなり、
Sランクのドラゴンも人参を投げただけで倒せるようになっている。

もはや意味不明だ。
本来はその「なぜか」の部分が重要なのに、この作品は
「なぜか」という言葉を都合良く使い、
主人公の強さの裏付けをろくにしないまま主人公を最強にしている。

怒涛の展開

冒頭のドラゴンのCG描写でお察しレベルだが作画のレベルも低い。
StuduioA-CATは「賢者の弟子を名乗る賢者」もひどかったが、
今作でも作画の酷さを場面場面でいちいち感じさせてくれる。
「街」の描写にも低クォリティのCGを使ったりと、
StuduioA-CATご自慰万の低クォリティのCGをたっぷりと味わえる。

ろくに特徴のないキャラクターデザインからは一切やる気を感じず、
ストーリーも「ご都合主義」まみれのストーリーで一切盛り上がらない。
何故か農民として生活してたら最強になり、通りがかったドラゴンを倒し、
街でおそわれている女の子を倒したら実は「お姫様」で、
お姫様から王室につかえないか?と誘われる。

この間、わずか8分ほどだ(苦笑)
怒涛の展開で話を勧めており、見ている側の感情や理解がまるで追いつかない。
1話から主人公のご都合主義全開の設定を見せられ、
ドラゴンを倒し、姫様を助け、魔族と戦いと怒涛の展開だ。

一応、戦闘は農民らしい技を使うものの、
長々と説明してもそれが面白いわけでもない、
日常シーンの作画も戦闘シーン自体のクォリティが死んでいるため、
そんな作画のクォリティでは盛り上がるものも盛り上がらない。

主人公もそうだが、他のキャラのキャラクターデザインも
どこかで見たことのあるようなデザインでバタ臭い作画で描かれている。
特に主人公など「農民」のはずなのに農作業中に
目に髪が入りそうな髪型をしている。

農民でありながら凄まじい力を持つ主人公は
お姫様にそんな力を買われ、農地をあげるかわりに
「冒険者」としてギルドでクエストを受けてもらうことになる。
いつものやつだ。

農民設定

1話の中盤くらいまでは主人公は「農民馬鹿」的な感じで
王宮に努めたりするよりも農業に徹したいと、
1度は1万坪の土地すら断っていたのだが、
なんか知らないが1万坪の土地を貰い受けた上に冒険者の真似事もし始める。

1話から怒涛の展開だが更に2話でも怒涛の展開だ。
主人公が7万というチート級の攻撃力を持っているのに、
2話では「攻撃力23万」の邪竜が出てくる。
ドラゴンボールもびっくりなインフレ具合だ(苦笑)

もはやこの数値に意味はあるのか?農民という設定に意味はあるのか?と
序盤から初期設定の意味がどんどん薄れていくのを感じさせてくれる。
そんな23万の邪竜との戦いも酷い。

1話こそ農民っぽい技で戦っていたのだが、3話以降はほとんど使わない。
「俺は農民だー!」と邪竜に殴りかかることしかしていない。
23万の攻撃力を持つ邪竜と7万の攻撃力を持つ農民な主人公、
インフレこそしているものの状況的には盛り上がりそうなものだ

しかし、一切盛り上がらない。
攻撃力は23万でも防御力は5万くらいなのか普通に攻撃は通り、
呑気に会話しながら、まるでPS2のようなCGで描かれた邪竜のせいもあって
20年前のRPGのような戦闘シーンを見せられる。

この作品、攻撃力だけは数値化してくれるのだが、
その他の数値は基本的に明らかに成らないことが多く、
7万の攻撃力を持つ主人公の攻撃が23万の攻撃力を持つ邪竜に通ったり、
23万の攻撃力を防御していた主人公に
邪竜に乗っ取られたギルドのお姉さんのナイフがささったりする。

ガバガバだ。
数値化したのはいいが、その数値のせいで設定という農作物が
虫に食われ穴があきまくっている。
1話では「にんじん」でドラゴンを倒したりしているが、
人参の強度は一体どうなっているのだろうか。

ちなみに邪竜に乗っ取られたギルドのお姉さんに
攻撃力7万の主人公は容赦なく攻撃している(笑)
邪竜に乗っ取られているとはいえお姉さんの防御力はいくつなのだろうか?
エフェクトだよりでろくに動かない戦闘シーンには
何の面白みもないが、ツッコミどころまみれの戦闘シーンは逆に面白い。

繰り返し

邪竜につきまとわれていた少女を助けたり、
勇者の末裔の少女を助けたり、王女の政略結婚を阻止したり。
序盤から中盤までヒロインが何かしらのトラブルを抱えていて解決し、
解決したあとに主人公に「ほ」の字になるという展開が続く。

シリアスな話は底が知れるものの、農民であることを利用した
農民ギャグはこの作品らしいB級感があり悪くないが、
基本的には似たような展開の繰り返しだ。
終盤のエピソード含め、基本的に「女」が絡むストーリーしかなく、
似たような展開をただひたすら繰り返し見てるような気分になる。

終盤には主人公の過去が明らかになる。
主人公がなぜ好意を寄せられている他の女性の好意を受けないのか、
彼がなぜ「農民」にこだわるのかという過去のエピソードは悪くなく、
彼のチートじみた力の伏線にもなっている。

このエピソードがもっと序盤に描かれていれば
色々と印象は変わったかもしれない。
ただ「餓死」したはずの少女なのに全然餓死したように見えないのは
さすがは「studio A-CAT」クォリティだ。

真実

終盤で一気に話が進む、死んでいたと思っていた人物が実はいきており、
主人公は衝撃を受ける。主人公が強くなった理由も一応明かされる。
しかし、終盤と言っても最終話だ。
これで2期の告知があったり分割2クールの作品ならまだしも、
この作品はそういった告知もなく1クールの作品だ。

恐ろしいまでに中途半端なところで物語が終わる。
区切りのいいラストとはいえず、
続きを匂わせるだけ匂わせて終わったらラストは
続きが見たいとすら思わず、何もかもが中途半端だ。

ここから「邪神」や「善神」にかかわるストーリーが
本格的に進んでいくのかもしれないが、
1クールのアニメを作る上でのストーリー構成ができておらず、
最終話の作画のクォリティの酷さもすごい。

終盤の1番盛り上がるはずの戦闘シーンでさえひどく、
最初から最後まで制作側の「やる気」というのを
一切感じない作品だった。

総評:肥やしにもならない

全体的にみてひどい作品だ。
「なぜか」農民なのに強くなってしまった主人公という設定自体を
使いこなせておらず、ステータスなど力を数値化したはいいものの、
序盤からインフレしまくっており、力の数値化も序盤以外ほぼみられない。

行き当たりばったりかつ、ヒロインを助けて惚れさせるという
同じような展開を繰り返しまくりながら、
特に魅力のない主人公とヒロインを描きつつ、
クォリティの低い戦闘シーンには笑いすら起きない。

1クールのストーリー構成というのもできておらず、
何もかもが中途半端で続きを匂わせるだけ匂わせて終わるラストは
1クールというアニメにおけるストーリーの区切りすらできていない。

ギャグ部分は好みがあるだろうが悪くないと感じる部分も多く、
もう少し作品全体として「農民」という要素を使いながら、
ギャグに徹底すれば色々と違ったかもしれないが、
中途半端なシリアス要素が足が引っ張ってしまった感覚だ。

作画やCG、戦闘シーンの演出、
アニメーションにおけるクォリティも本当にひどく、
制作側のやる気の無さをひたすら味わう作品だった。

個人的な感想:硬すぎる

ドラゴンを倒すときには人参を使ったり、
大根で剣を受け止めたりしていたが、あれらの人参や大根は
どんな硬さをしているのだろうか…

コミカライズはまだ続いているものの原作は全5巻で完結しており、
余計なヒロインのエピソードなどを除けば
1クールで完結できそうな感じはあるのだが、
そういったことはこの作品ではしていない。

俺たちの戦いはこれからだみたいな感じで終わっているが、
モヤモヤとした要素の数々は不快感すら残す後味を
生んでしまっている作品だった。

「農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。」は面白い?つまらない?

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