魔法科高校の劣等生

2014年11月29日

評価/★★★☆☆(59点)

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鳥だ!飛行機だ!いや・・・お兄様だっ!!

原作はライトノベルな本作品。
アニメーション制作はマッドハウス、監督は境界線上のホライゾンなどで有名な小野学。

見だして感じるのは「いかにもな厨二病ラノベ」の世界観だろう。
「魔法」が現実の技術として体系化された世界、第三次世界大戦が勃発した後の世界、
主人公が右手を銃のように構え撃つと大爆発が起こるなど、
冒頭の説明から見ている側に「ぞくぞく」っとした中二病感を味わせてくれる。

更にそんな中二病感を味わせてくれると同時にヒロインの「兄愛」も描かれる。
最近のアニメで久しぶりに兄のことを「お兄さま」と呼ぶ妹を久しぶりに見た(笑)
主人公とその妹の会話はもう常に「お兄さまラブ」な会話であり、
本人たちは至って真面目に会話しているのだが、
行き過ぎた「お兄さまラブ」な会話がギャグにしか聞こえない(笑)

そう、この作品の「会話」は至ってまじめにファンタジーラノベ的な会話なのだが
なぜか「ギャグ」のように聞こえる。
見ている側に設定の解説をしないというのは本来、欠点でしか無いはずなのだが
主人公が説明していない「謎の設定」を持つキャラクターに驚く反応などがなぜか笑えてしまう。
なぜ笑えてしまうのか明確な理由を文章にできないのは自分の文才を嘆くしか無いが、
ともかく何故か、何故か笑えてしまう。

「なんだその設定w」というようなバカにした笑いではない。
あからさまな設定、あからさまな台詞、あからさまなキャラクターの反応、
もう少し過剰に描いてしまえばわざとらしさすら感じてしまうようなギリギリのラインで
そのギリギリのラインを超えないように描写されているため
見ていると「脇腹」をそぉ~っとくすぐられるような感覚になる。

そしてセクシー要素、これすらもギャグに見えてしまう時がある。
なぜか下着姿でないと妹の魔法の調整ができなかったり、
なぜか画面いっぱいに太ももが描写されたり、妙にセクシーなカメラアングルだったりと
わざとらしさすら感じる「セクシーシーン」の数々はもちろんセクシーではあるのだが、
同時に笑えてしまうため「いやらしさ」を感じるのに「いやらしくない」
ある意味でこの作品らしいセクシーシーンだ

更に主人公の規格外すぎる強さ。
この作品はいわゆる「 俺TUEEEEE」な主人公だ、そんな数ある「俺TUEEEEE」な主人公の中でも
この作品における主人公の強さはおかしい(苦笑)
もはや設定数値を間違えたとしか思えないような圧倒的強さは、
彼の同級生の強さを「1」とするなら主人公は「1万」のようなバランスだ。
明らかにパワーバランスがおかしく、圧倒的だ。

ちょっと例えは悪いがドラゴンボールで言うなら、
孫悟空がつねに「超サイヤ人3」に対し、孫悟空と戦うのは常に「ヤムチャ」レベルだ(苦笑)
彼の前に強い敵が現れても「ナッパ」レベルの強さでしか無い。
更に強い敵が現れてもせいぜい「フリーザ」レベルだ

基礎能力だけでも規格外に強いのにもかかわらず、
この作品の主人公は「敵の魔法」が発動する前に「キャンセル」させる魔法を持っている。
つまり敵は魔法を発動できない(苦笑)
もはや魔法バトルが基本の作品において相手に魔法を発動させないようにするというのは反則だ。
それだけでも反則なのに「忍術」を体得しているため、体術での戦闘も強い。

だからこそ序盤は主人公は中々戦わない(苦笑)
正確には戦闘自体は行っているが、数秒の戦闘しか行わず中々戦闘を見せてくれない。
序盤から主人公の「潜在能力」を見ている側に強く感じさせるのに、
それをあえて100%見せないことで見ている側にあえてフラストレーションを貯める
主人公が思う存分戦いたいところを見たい!と見ている側に最大限に感じさせた後に
ようやく「待ってました!」と言わんばかりに主人公が戦う。

非常に尺の使い方が上手い。
1クールのアニメだったらスローテンポはストーリー展開は退屈に感じてしまうかもしれない
1クールのアニメだったらここまで丁寧に主人公の強さを見せられなかったかもしれない
2クールという尺だからこそ主人公の力をきちんと描き、
同時にその力の「描写」のタイミングを考えることでフラストレーションの増加と解消が素晴らしく
フラストレーションが増加している間は「ギャグのようなセリフ回し」のおかげで
退屈することはない。

そして見ている側のフラストレーションが限界に達しそうなところで
主人公である「お兄さま」の圧倒的な戦闘シーンが存分に描写される
ただ、圧倒的過ぎて戦闘シーンと呼べない感じにもなっている
前述した魔法キャンセルの技のせいで基本、戦闘が戦闘になっておらず、
言い方を変えれば「主人公に寄る一方的な暴力」だ

あまりにも圧倒的すぎる戦闘シーンはかっこいいという感情ではなく、
もはや「笑い」しか起こらない。
話が進めば進むほど激化する戦闘の中で主人公の技も派手に、威力も強くなっていくことで、
どんどんと規格外な強さを特に修行などもしないで見せてくれる。

強さの引き出しがあまりにも多くて逆に
「この主人公はどこまで強いのだろうか?」という他の作品では味わえない面白さが出てくる
登場キャラクターのパワーバランスが1話の段階から崩壊しているため、
キャラクターのパワーインフレによるダレや主人公が必ず勝つような流れになる
ご都合主義のような感覚を感じない。

最初から主人公が最強、他のキャラは普通かそれより少し上という扱いであるため
主人公がどんなに強くなってもパワーインフレという言葉が出てこず、
むしろ強ければ強いほど、相手を圧倒すれば圧倒するほど心地よささえ感じ、
主人公が勝つ=ご都合主義ではなく、主人公が勝つ=当然という図式が成り立っており
普通のバトル物では欠点になる部分をあえて過剰に押し出すことで
この作品ならではの魅力に変えている。

だからこそ主人公が「血」を流しただけで見ている側が驚く。
バトル物なのだから血を流して当たり前なのだが、
それまで最強すぎる彼の戦闘ぶりを見ていただけに少し流血しただけで衝撃だ
苦戦する戦闘の描写もあの「最強主人公」が苦戦するから面白く、
反則みたいな方法で勝ってしまうため最終的には笑ってしまう(笑)

ただストーリー展開はゆっくりだ。
ゆっくりとしたストーリー展開だからこそ「主人公」の力の描写や
キャラクターの魅力がきっちりと描かれており、
主人公の「規格外のパワー」が「魅力」に感じられるような内容に仕上がっている

しかし、それを描写することに集中するあまりストーリー展開が遅い。
全24話の中で入学編、九校戦、横浜総乱戦と3つのストーリーを展開してるが
この中で入学編はまだキャラクターの新鮮さや主人公の力の描写の爽快さで楽しめるが
中盤の九校戦は正直言ってグダグダになってしまっている部分が多い。

九校戦は主人公の学校と他校との大会が描かれるのだが、
魔法の説明台詞やサブキャラクターが新たに追加されたことで
本筋のストーリーが中々進まずにゆっくりとしたテンポになってしまっている
前述した「主人公の戦闘シーン」も大会の前半は主人公が大会に選手として出ていないため
フラストレーションがどんどん溜まっていき、サブキャラの活躍ばかり描かれてしまうことで
余計にこの九校戦はグダグダっとした印象がつきやすい。

逆にもう少ししっかりと大会の模様が描かれていれば印象は違ったかもしれないが
大会の模様は基本的にダイジェスト的に描かれるのに
説明台詞やキャラクター同士の会話が多いためダレを感じやすい。
本筋自体も大会を描いてはいるが妨害工作など地味な展開も多い。
この九校戦は主人公以外のキャラクターの掘り下げに使われるストーリーなのは分かるが、
キャラクターが多いために掘り下げも中途半端になってしまっており、
印象に残るシーンが少ない。

この九校戦編から唐突に一気にサブキャラが増えたせいで
一人ひとりのキャラクターの印象も薄くなってしまい、キャラの名前を覚えきるのが難しくなる
結局、九校戦編の後半からは主人公が大会に参加することで
余計に前半のサブキャラの活躍の印象も薄まってしまった

さらに言えば基本的に敵側の「目的」が浅いパターンが多く、
敵がいろいろと策略を巡らせて主人公の周囲や主人公自身に危害を加えようとしても
結局のところ、最終的に主人公と戦った瞬間に負けが確定してしまっており、
目的もどうにも浅いため敵の雑魚感が半端なくなってしまっている。

更に話が進めば進むほどキャラクターも増えるのだが、
ギャグマンガのごとく「使い捨て」になってしまっているキャラクターも多く、
その割には1つの話の中で動くキャラクターが多い。
役割が同じようなキャラクターも多く、もう少しキャラクターを削れるはずだ
似たようなキャラクターが多いのにキャラ数が多く捌ききれていないのは欠点だ

ただ終盤、色々な欠点が全て吹き飛ぶ「設定」が描写される。
主人公はこれまで負けなしであり、圧倒的に敵を倒してきた
パワーバランスとしては前述したとおりだが、そのパワーバランスが更に崩れる
実は主人公は「力を封印」された状態であることが発覚し、その封印が解かれる(笑)
今までの力で十分すぎるほど敵を圧倒していたのにもかかわらず、更に力が上がる。
もはやゲームで言うならチートだ(苦笑)

今までのフラストレーションやなかなか戦わない上に戦闘シーンの短い主人公だったが
終盤で力を開放されたことにより、何でもありな状態で夢想しまくる。
もはや攻撃ではなく相手を「消滅」させる魔法や、死んだ人間を生きかえらせる「蘇生魔法」、
ちょっとやりすぎて笑ってしまう描写の数々は終盤にして主人公の「俺TUEE!」な描写が極まっている。
見終わった事に、この作品は「さすがはお兄様です」という感想しか残らないような
ある意味で清々しく貫ききった作品とも言えるだろう

全体的に「俺TUEEE」な作品が好きな方にはこれほど楽しめる作品はないだろう
1話から最強、終盤で最強状態から更に覚醒し神にも等しい存在になり敵を圧倒する。
主人公の強さを描写するためだけのストーリー、主人公の強さを表現するためだけのキャラ、
全ては主人公の「強さ」を伝えるための要因に過ぎず、
最初から最後まで「主人公の凄さ」を味わうためだけの作品だ(笑)

それが心地よくもある。
爽快感すら感じさせるほどの圧倒的な戦闘描写で描かれる戦闘シーンはスピード感があり、
大胆なカメラアングルで映されるシーンの数々は迫力がある。
これが中途半端な戦闘シーンだったら、ただでさえギャグに見えてしまう主人公の強さが
本当にギャグになってしまう
きっちりとした戦闘シーンの描写があったからこそ「主人公の強さ」を
ストレートに感じることができる。
アニメーションとしての面白さもきっちりとある作品だ。

そして同時に「キャラクター」の魅力。
主人公はもちろんだが、その妹の過剰なまでの兄愛は
グダグダっとしてしまうストーリー展開の中で程良い清涼剤になっており、
更に他のメインキャラクターも「恋愛事情」が以外にも面白く、
以外なキャラ同士の恋愛への展開や主人公との関係の変化は
見ていて素直に面白いポイントだ

ただ、メイン以外のサブキャラクターは似たようなキャラクターが多く
そのサブキャラクターの数が無駄に多いせいで話のテンポがグダグダになってしまっており、
中盤などサブキャラクターが登場するシーンが多いだけに正直テンポが悪すぎる。
2クールという尺を「主人公の強さ」をじっくりと描写するために使うのは
この作品において大事な部分ではあるのだが、
その反面でじっくりと描きすぎて人によっては飽きてしまうかもしれない。

更にいうと主人公が強すぎるため「敵」に歯ごたえがなさすぎる。
せっかく力を開放した主人公にふさわしい相手がおらず、
戦闘シーンはたしかに爽快感があるのだが、見応えがない。
そのせいで話が進めば進むほど主人公の力の描写は派手になるが、
戦闘シーンにおける「緊迫感」を一切感じなくなってしまうのは欠点だ
主人公が負けるはずがないから仕方なくはあるのだが・・・

色々と評価するべきポイントは多くある反面で欠点も非常に目立っている作品だ
原作からカットしたエピソードも多いようなので無理に入学編、九校戦、横浜総乱戦と
3つのストーリーを描かなくても良かったのではないだろうか?
淡々とストーリーを進めてしまうためもう少し丁寧に描いて欲しい部分も多く、
急に時間が進んでキャラクターの役職が変わったりと変化についていけない部分も多く
その割にはストーリー展開が遅いため、話が進めば進むほど欠点が目立ってしまった作品だ

売り上げ的に見れば2期は十分できるレベルなので2期があるならば色々と期待したい。
ストーリー的にもまだまだ未完なので、まだまだ序章だろう。
2期があれば1期の欠点を覆されるかもしれない。

個人的には早見沙織さん演ずる妹の兄愛のシーンでいちいち爆笑してしまった
ファンタジーアニメとしては色々欠点も目立っているのだが、
ギャグアニメとして捉えると個人的に物凄いツボに入った作品
2期があるならばどんなお兄様の活躍が見れるのか・・・楽しみで仕方がない(笑)