パロルのみらい島

2016年6月29日

評価/★★★★☆(61点)

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懐かしの80年代NHKアニメが今蘇る

本作品はアニメミライ2014の中の1本。
制作は「シンエイ動画」、監督は「今井一暁」

基本的なストーリーはファンタジー。
島に住む主人公たちは「島の外には行くな」と大人たちから教育されている
そんな彼らの島に「1枚の写真」が流れ着く、そこに映るきれいな花火に魅入られた彼らは
船で島の外に行くことに・・・
というところからストーリーが始まる

見出して感じるのは懐かしさだろう。
80年台~90年代のアニメによくあった「謎の生物」が主人公であり、
その頃のNHKや海外のアニメのような雰囲気のある作品だ
ガンバの冒険、名探偵ホームズなどの懐かしいキャラクターだ
こういった感じのキャラクターが主人公の作品は最近見ないだけに
不思議な新鮮さすら生まれている

だが、ストーリー的には序盤から異常にテンポが早い。
キャラクターたちの台詞も気持ち早口に喋っており慌ただしい感じが出ており、
明らかに「尺が足りない」という制作の声が聞こえてくるようだ
本来はNHKアニメのように4クールなどのがっつりとした尺で描けるような内容だろう

島に出てはいけないと言われているのに花火が見たいがために船で旅に出る3人、
その冒険模様は「ダイジェスト」で描かれてしまう
本来、この冒険模様だけで何話も作れるはずだ。
それだけにダイジェストチックな話になっているのは残念で仕方ない

コミカルな動きでドタバタとキャラクターが動きまわるシーンは面白く、
子供向けアニメらしいギャグや演出、キャラクターの飛び跳ねるような動きの数々、
そして主人公たちが「人間の島」にたどり着いてからの展開など
「NHKアニメ」っぽい王道な展開が素直に面白い。

はっきりいってこの作品は子供向けだ。
本来の視聴者はアニメミライの短編作品を見に来る大人ではなく、
幼稚園~小学生までの子供向けの作品だ。
だからこそ「大人目線」でみると展開の早さや強引なストーリー展開などの欠点が目立つが、
「子供目線」でみると純粋に「ワクワク」できる「冒険譚」だ

そしてきっちりと「主人公」の成長が描かれる。
30分という短い尺の中で「気弱」で「でもでもだって」が口癖な主人公が
流されるままに島の外に出て、人間に出会い、悪い人間から仲間を救う。
この王道なストーリー展開と王道な主人公の成長が
子供の頃にこの作品を見たかったと感じさせる内容に仕上がっていた

全体的に大人向けではないものの、「80年台のNHKアニメ」のテイストを
あえて2014年のアニメとして制作したことは賞賛したい
はっきりいってこの作品が深夜に流されても絶対に売れないだろう
NHKで放送されても売れる作品になるかはわからない。
だが、アニメミライという「短編アニメのオムニバス」を公開する企画だからこそ
この作品が2014年のアニメとして作られたと考えると素直にうれしくなる。

本来の「アニメ」、本来の「子供向けのアニメ」はこういう作品だったな~と
見れば見るほどヒシヒシと思い出すような感覚だ
確かにアニメの製作数は増えたが、子供向けのアニメの製作数は昔より減った
こういう「子供向け」と割り切った「子供にこそストレート」に伝わる作品、
1年に1本で原点回帰のように見たくなるようなテイストの作品だ

アニメミライという企画の試みにおいてこの作品は
あえてそれに逆らうような「古い」作品だ。
だが、あえて古い作品の良さをリメイクすることで、
最近の作品にはない古い作品の良さを再認識させられるような気持ちのいい作品だった

制作の「シンエイ動画」らしい作品とも言える。
いや、むしろ「シンエイ動画」だからこその作品だ
今も昔も「子供向け」の作品を作っているシンエイ動画だからこそ
私達が子供の頃見ていたアニメを作っていたシンエイ動画だからこそ、
作品のテイストは古いのに受ける刺激は新鮮な作品を作れたのかもしれない。
シンエイ動画という制作会社の力強さを感じる作品だ