「名探偵コナン 戦慄の楽譜」レビュー

スポンサーリンク
映画
スポンサーリンク

評価 ★★★☆☆(36点) 全115分

あらすじ 高名な元ピアニストの堂本一揮によって創設された堂本音楽アカデミーの練習室が爆発し、アカデミーの1期生が2名死亡、バイオリニストの河辺奏子が重傷を負った。引用- Wikipedia

スポンサーリンク

コナン映画のお約束無視!

本作品は名探偵コナンの映画作品、コナンとしては12作品目となる。
読売テレビ開局50周年・小学館週刊少年サンデー創刊通算50年記念と
W50周年記念作品となっている。
監督は山本泰一郎、製作はトムス・エンタテインメント

静寂からの爆破


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

冒頭からコナン映画らしさ全開だ。
堂本音楽アカデミーで生徒たちがそれぞれの楽器を奏でる。
美しい曲が鳴り響く中で「爆発」が起きる(笑)

犯人と思わしき人物は
「恨むなら自分の才能を、全ては静かな夜のために」
という謎の言葉を放つ。

犯人の目的は何なのか?という期待感をきちんと冒頭から感じさせてくれる。
そんな事件をコナンは単独で調査を開始し…という所から物語が始まる。


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

この作品の蘭はきちんとヒロインをしている。
昨今はヒロインと言うよりも戦闘要員として起用されることも多く、
お約束のようにピンチに自分から飛び込んでいったりするものの、
今作の蘭は可愛い。

新一をコンサートに誘う際の電話は恋する女子そのものであり、
断れるやいなや不機嫌になり幼馴染としての魅力を全開にする。
この頃まで「毛利蘭」というキャラクターがきちんとヒロインとして
物語の中で使われていることをひしひしと感じさせてくれる。

きちんと「可愛らしい」ヒロインとして描写されている。
喧嘩しつつもいつも仲直りしている二人の、
歯がゆい感じの関係性も青臭く、最近のコナン映画では感じさせない甘酸っぱさだ。

音楽


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

この作品は冒頭から最後まで音楽に非常にこだわっている作品だ。
作中では有名なクラシック曲も多用しており
「アメイジング・グレイス」や「アヴェ・マリア」など
聞いたことのある楽曲を多く採用し、
ピアノ、歌声、パイプオルガンなど「音響」にかなりこだわっている。

劇場のスピーカーで聞けばかなり迫力のある音だっただろう。
演奏シーンの作画も「クラシックのコンサート」の描写も繊細に描かれており、
作中もっとも盛り上がるシーンだ。
しかし、忘れてはいけない。コナンは別に音楽アニメではない(苦笑)

終盤のコンサートシーンも無駄に長く、
大人でさえ退屈に感じるのだから子供はもっと退屈に感じるだろう。
確かに音の迫力やコンサートの描写は頑張っているのは分かるのだが、
それが、作品の面白さに繋がっているとは言い難い。
子供向けというコナンにおいてはやや冗長すぎるコンサートシーンだ。

秋庭怜子


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

今作はコナンと映画オリジナルキャラである「秋庭怜子」の絡みが非常に多い。
ソプラノ歌手である彼女はなぜか、真犯人に狙われており、
それに巻き込まれて「少年探偵団の元太」の声が一時的に出なくなってしまったり、
コナンが彼女を守る中で銃撃されたりと、彼女を中心にストーリーが進む。
なぜ彼女が狙われるのか、真犯人が次々と関係者を爆殺するのはなぜなのか?

ただ、淡々と事件が起きて行く感じが非常に強く、
被害者たちも声すら上げずに死んでいく。
コナンの目の前で連続殺人が起こるわけではなく、
コナンが居ない場所で連続殺人を犯している。

話も微妙にわかりづらく、警察による捜査で
「被害者たちは過去にこういう事件を起こしていました」
と、淡々と犯人の動機につながるような事件が説明されてしまう。

秋庭怜子というキャラを徹底的に掘り下げた結果、
他の映画オリジナルのキャラの掘り下げや出番が殆どなくなってしまっており、
しかも、彼女は別に殺されるわけでもなければ加害者でもない。
コナンが執拗に彼女に執着するせいで他のキャラの出番が薄れてしまっている。

音痴だが絶対音感の名探偵


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

この作品はTVでも「検証」されたある意味で伝説的なシーンが有る。
コナンと秋庭怜子は犯人に襲われ川に流される。
遠く離れた「受話器」で彼らは助けを求めることになる。

サッカーボールで受話器を外す。
これに関してはコナンの超絶シュートなら全く問題ない部分だ。
しかし、その後が更に問題だ。
秋庭怜子とコナンが「プッシュホンの音」を発声することで電話を掛ける(笑)
これは実際TVでも検証され、可能であることが一応は立証されている。

だが、コナンは音痴という設定がある。
しかしながら「絶対音感」でもある。もうめちゃくちゃである。
音痴なのに絶対音感を持っているからプッシュホンの音を聞いて
真似できるらしいのだが、ならなぜ彼は他人が歌う歌を耳コピして
歌うことができないのだろうか。

絶対音感で音痴という設定はまだしも、そんな設定があるのに
「正確なプッシュホンの音」は発声できてしまうのは
やや設定的に矛盾を感じる部分だ。
そもそも、いくらプロが正確な音を伝えるといっても
コナンは発声に関しては素人のはずだ。

やや強引な方法でのピンチの切り抜けは違和感が強い。

アクションなし


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

今作のコナンはほとんど「アクションシーン」と呼べるものがない。
コナンと言えばスケボーだったり、爆破され倒壊した建物からの脱出劇だったり、
犯人やその一味とのバトルだったりと、映画としての見どころや
盛り上がりどころを作るために「アクションシーン」はつきものだ。

だが、今作にはそんなアクションシーンが殆どない。
犯人が爆弾を使うからこそ派手に見えるシーンは多いものの、
爆破に関しても別に建物が倒壊するレベルの爆破ではない。

そのアクションシーンに比例するように「コンサートシーン」があるものの、
特にそこに面白さはない。これがのだめカンタービレなどの
音楽アニメなら分かるが、名探偵コナンというミステリー映画にコンサートシーンの
出来栄えを求めても仕方ない。

めんどくせぇ…


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

今作の犯人はめちゃくちゃめんどくさい事をしている。
犯人は「パイプオルガン」の特定の音が出る管に爆弾と
連動する仕掛けを仕組んでいる。
その仕掛けがばれないように音の違和感をすぐに察する「絶対音感」をもつ
関係者をコンサートに来れないようにわざわざしている。

会場の柱の数の分だけ仕掛けられた爆弾は、その特定の音がなると爆破する。
コンサートの演奏が終わると同時に会場も爆破し、
自分とともに客も楽器も演者も巻き込んで自殺を企てている。
とんでもない迷惑者だ。

しかも「絶対音感」という特性をもつ人が多い業界で、
絶対音感の人にはバレやすい仕掛けをする。
そんな仕掛けを遂行するのが邪魔だからと絶対音感の人を排除しようと
老体にムチを打ち頑張る(苦笑)

自らの仕事にかけるプライドや生きがい、そういったものに絶望をし、
会場ごと自爆しようとした犯人の気持ちはわからなくはないものの、
あまりにもめんどくさいうえに迷惑極まりない。
演者はともかく、会場に訪れている客は無関係なはずだ。

「秋庭怜子」は犯人にとって巻き込みたくない人物だからこそ、
怪我や喉を壊すことでコンサート会場に訪れないようにしようとしたのは分かるが、
会場の仕掛けはもっとシンプルにすることはできなかったのだろうか。

それが犯人のこだわりであることも分かるのだが、
そんなめんどくさいこだわりを見せておきながらも
「手元」には一斉に爆破させるスイッチも持っている。
もう最初からそれだけで良かったのではないだろうか(苦笑)

これで最終的に犯人が捕まったあとに何らかの要因で爆弾が爆発してしまい、
蘭がピンチになって…といういつもの展開があれば、
もう1盛り上がり生まれたかもしれないが、終わり方もあっさりしてしまっている。

結局、会場が破壊されるほどの爆破は起こらず、
コナン映画でおなじみの「蘭」のピンチや建物の倒壊もなく、
盛り上がりきらずに終わってしまう作品だった。

スポンサーリンク

総評:こじんまり


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

全体的に見てストーリー自体はそこまで悪くはないものの
「映画」としての盛り上がりに欠ける作品だ。
アクションシーンを削りまくった代わりに「コンサート」シーンを入れているが、
それが「コナン映画」としての面白さにつながっているわけでもない。

中途半端な爆破だけで映画として派手なシーンがほとんどなく、
淡々と話しを勧めている感じが強い。
「曲」のこだわりがしっかりある作品であり、コナンの絶対音感と音痴の
合わせ技な設定から生まれる「迷」シーンとともに印象に残るものの、
「コナン映画」としての面白さは薄い。

これがTVSPならばこれくらいで十分かもしれないが、
映画としては盛り上がりに欠ける部分が多く、
12年続いたコナン映画が培ってきた「お約束」も
爆発以外はほとんど盛り込まれていない。

蘭と新一のエピソードや、要素要素は決して悪くないが、
それがこじんまりとまとまってしまっている感じの作品だった。

個人的な感想:欠点


画像引用元:名探偵コナン 戦慄の楽譜 予告編より
(C)2008 名探偵コナン製作委員会

再レビューにあたり7年ぶりに見返した作品だったが、
7年前よりも微妙に感じた作品だった。
それなりに印象が残っており、話の内容も大体覚えていたが、
それだけに見返したときのインパクトがより薄く、
この作品の欠点をより感じてしまった。

50年記念作品と銘打っているわりにはそんな記念館のない、
盛り上がらない作品だ。

コメント