クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!

2016年1月18日

評価/★★☆☆☆(30点)

クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ! 評価

96分
監督/ムトウユージ
声優/矢島晶子,ならはしみき,藤原啓治,こおろぎさとみ,真柴摩利ほか

あらすじ
よしなが先生、まつざか先生、上尾先生の三人は居酒屋で話をしていた。まつざか先生は幼稚園のお遊戯会の出し物としてサンバを踊ろうと提案するが、他の二人は難色を示す。やがて三人は解散してそれぞれの家路に着いたが、人気のない夜道を一人歩いていたよしなが先生は途中で何者かにつけられていると感じ走り出す。そして踏切を渡ったところで、自分そっくりの人間に襲われてしまう。

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映画クレヨンしんちゃん新機軸かとおもいきや・・・

本作品はクレヨンしんちゃんとしては14作品目の作品。
監督はムトウユージ、脚本は僧侶になった脚本家が手がけた(笑)
後に僧侶になったのではなく、僧侶になった後にこの映画の脚本を書いている
この映画の終盤の内容と同じく意味不明な状況だ

基本的なストーリーは・・・コメディではない、ホラーだ。
しんのすけが通う幼稚園の先生達が居酒屋で話をしていた。
今度のお遊戯会ではサンバを踊ろうと提案する松坂先生だが、よしなが先生は否定する
その帰り、よしなが先生は何者かにつけられ走りだす、逃げ切ったと安心した所、
自分と瓜二つの人間に襲われる・・・
しんのすけは翌日、ノリノリなサンバを踊るよしなが先生と会う
という所からストーリーは始まる。

もう冒頭からホラーテイスト満載だ。
あらすじで説明した「よしなが先生」が襲われるシーンなど、
大人が見てもびくっ!っとなるほど怖いシーンが多く子供が見たら確実に泣く。

テレビアニメ版のクレヨンしんちゃんを見ていたことのある人は
時々「ホラーテイスト」の話があるのはご存知だろう。
あのホラーテイストな話は子供の頃に見た人は確実に記憶に残るほど怖さを感じたが、
あれは普段のクレヨンしんちゃんあってこそのホラー話だ。

身近な人がそっくりな偽物に入れ替わり、本物はいなくなってしまう。
ホラーな話ではよく見かける話だが、
子ども向けアニメの映画で冒頭からシリアスに物語が展開してしまう。
緊張感や緊迫感が凄まじく大人でも「え・・・これ子供向けだよね・・・」と、
考えながらも地味に怖さが伝わってくる。
これが子供なら若干トラウマになるほどの怖さだ

背景が真っ赤に染まったり、
生々しい鶏肉を1匹、風間くんのママが包丁で捌き、
口が裂け、まるで口裂け女のようになり捌いた鶏肉を丸呑みにするというシーンも有り
劇場というスクリーンで見たらもはやトラウマといより
ちびってしまう子も居るのではと感じるほど怖い

体がグニャグニャっと曲がるシーンや定規が頭に突き刺さったり、
逆にあえて描写しないことで恐怖を煽るシーンも有り、
ホラーテイストの演出は素晴らしいものがある。

ただ、ホラー作品と考えると序盤から中盤までの怖すぎる演出とストーリー展開は
逆に大人ならばかなり期待感をそそられる。
徐々に壊れていく日常、自分の周りの人間は本当に本物なのか疑心暗鬼になったり
自分が本物なのかという不安に狩られたり、同僚がニセモノだとわかって恐怖を感じたり
この現象はなんなのか、この後どうストーリーを展開するのか。
大人でも予想外に感じる展開も多く、子ども向けとは言い難いが
大人なら確実に面白いと感じられる展開だ

街の人間が全て入れ替わり、誰も通らない車道を車で走り抜け、山道を走り抜ける最中
日頃明るいクレヨンしんちゃんの登場キャラがトチ狂ったように襲い掛かってくる
普段のギャップが凄いため、崩壊する顔面の描写などが本当に怖く
本当にゾンビ映画さながらの展開だ
更にバイオ研究などという言葉も出てきて「おいおい、どうなるんだよw」と
映画の終わり30分前までしっかりとストーリーを楽しまさせる。

しかし・・・その全てを台無しにする黒幕。
敵の目的は世界征服などではなく、ただサンバ踊りたいだけという意味不明な目的、
バイオテクノロジーの科学者がなぜサンバを踊りたいのかなどのバックボーンは一切描かれず、
今作のヒロインである「ジャッキー」の掘り下げも甘すぎて魅力がなく、
肝心のボスとの勝負がヒロインとボスのサンバの踊り対決という意味不明さ。

ボスとヒロインの関係などもざっくりで、過去描写があればもう少し納得できるかもしれないが
唐突に「幸運のサンバホイッスル」などのアイテムが出きたりと展開に脈絡がない。
踊りに関しても何かしらの演出があれば面白いと感じるかもしれないが
何の工夫もなくただ腰ふるだけ。
最後は春日部市民全員でサンバを踊りつつエンドロールという滅茶苦茶な展開だ
それまで暗かったため無理矢理明るくしたかったのかもしれないが、
それまでのストーリー展開にくらべ、あまりにも雑でつまらない
中盤までの期待感を大きく裏切るな展開になってしまっており、
中盤まであれだけ丁寧な展開だったのに終盤の展開は意味不明だ

全体的に見て中盤までなら、
クレヨンしんちゃんらしい明るさはなく子供を見放したストーリーの内容になっているが
ホラーテイストの作品として優秀で大人ならば楽しめるポイントが多い。
しかしながら、興味をそそられた大人を終盤で見事に裏切る。
中盤までのストーリーが面白いだけに余計に喪失感は大きい

最後までホラーテイストを貫けば名作になったかもしれない。
明るさを一切排除した中盤までの内容のまま終盤まで怖さを感じる内容で
オチあたりでありがちではあるが、生き残った野原一家は本当に本物なのか
というような展開があれば、強烈なインパクトを残せた作品になっただろう

終盤で脚本家が変わったか、さじを投げて別の人が書いたとしか思えない
繋がりの無さは本当に理解しかねる。
なぜ最後までホラーテイストを貫かなかったのか・・・
もったいないと感じる部分が多いだけに惜しまれる作品だ。

ただ、本作品は大人が集まったときに何か見るDVDを探してる方におすすめしたい。
「クレヨンしんちゃん?子ども向けのギャグものだろ?」と思いつつ
大人が何人か酒を飲みながら見始めれば、前半のホラーの怖さで
「おいおい、これ子ども向けだろ?!怖すぎるだろ?!」となりつつ、
中盤までの展開で手に汗を握る。
そして終盤の展開は酒を飲みまくって酒の力を借りれば笑いながら吹き飛ばせるだろう。

子供向けと考えるとトラウマにしかならない内容だけに
子供と一緒に見る作品をお探しの方は止めておいたほうがいい。
見終わった後に、両親が本物か疑ったり、
こんにゃくが食べられなくなったりするだろう(苦笑)

クレヨンしんちゃんのホラーな話は記憶に残っている人も多いため
こういった内容の映画を作るという意欲と中盤までの展開は評価したいが、
最後までそれを貫き通せなかったのが本当に残念な作品だ。

余談だが本作品のamazonの評価欄で
「私もサンバを踊りたくなりました」という感想を書いている人がいたが
一体どんな思考でそんな感想になったのだろうか・・・w