「名探偵コナン 水平線上の陰謀」レビュー

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映画
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評価 ★★★☆☆(57点) 全107分

あらすじ 15年前、北大西洋の海上で貨物船・第一八代丸が氷山に激突して沈没する事故が発生し、沖田船長と三等航海士の2人が死亡した。引用- Wikipedia

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コナン映画なのに本格ミステリー?!

本作品は名探偵コナンの映画作品、コナンとしては9作品目の作品だ。
監督は山本泰一郎、製作はトムス・エンタテインメント。

ミステリー


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

この作品は冒頭からきちんと事件が起き「ミステリー」な感じを匂わせている。
15年前に起きた氷山へ激突し沈没した船の事件を見せつつ、
コナンたちが豪華客船に乗ってるシーンへと切り替わる。
そんな豪華客船で「怪しい人物」が明らかに誰かを殺そうとしている。
この怪しい人物の顔がしっかりと映し出されているのがこの作品の面白い所だ。

この作品は「古畑任三郎」や「コロンボ」と同じ手法を取っている。
難しい言葉でいうと「倒叙」式と言われるストーリーの形式であり、
本来なら物語の終盤で分かる「犯人」が最初に見てる側には分かる。
犯人の犯行もしっかりと視聴者には見せたあとに、
そんな視聴者たちが見た事件の全貌を「探偵」が解いていく形だ。

本来「名探偵コナン」という作品は「倒叙式」ではない。
誰が犯人かもわからず、探偵であるコナンが推理シーンで犯人を明らかにすることで
分かる形になっているのが名探偵コナンという作品の仕組みだ。

そんなコナンが倒叙式になっている。
「ベイカー街の亡霊」も同じ手法を取っていたが、
あの作品はゲームの中に舞台がすぐに移ってしまうため倒叙式の良さは
あまり感じなかったが、この作品はまさに倒叙式なストーリーの見せ方だ。

犯人がコナンの周りをうろつき、怪しい行動をし実際に殺人を犯す。
コナンがどうやってそんな彼の犯罪を推理するのか。
ミステリーとしての面白さをきちんと序盤から感じさせてくれる。

伏線


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

この作品はきちんとした「ミステリー」をやろうとしている。
作品数が重なるごとに「アクション」に重きを置くコナン映画も多い中で、
この作品は名探偵コナンと言う作品をきちんとサスペンス・ミステリー作品として
芯の捉えることで、そこの面白さをしっかり出そうとしている。

序盤から非常に細かい伏線がはられている。
犯人の行動、少年探偵団たちの子供らしい考えからの行動、
蘭と新一の「かくれんぼ」の思い出。

1度見た後に見返すとこの作品の伏線の貼り方のうまさに気づく。
「犯人とすれ違う毛利小五郎」の反応が真犯人へ繋がるようになってるとは
誰も気づかないだろう。

豪華客船という海上の檻で起こる殺人事件。
ミステリーにおける「クローズドサークル」でこの作品は描かれる。

的外れの推理


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

毛利小五郎といえば「的外れ」の推理だ。
素っ頓狂ともいえる的外れの推理を行うのはお決まりであり、
その的外れの推理をコナンが正すことで「名探偵毛利小五郎」を作り上げている。
この作品でも「毛利小五郎」は推理を大勢の前に披露する、
証拠も特になく、決めつけただけの推理は的外れだ。

多くの「コナンファン」にとって、このシーンはいつもの「毛利小五郎」の
お決まりのシーンであり、見てる人とにとってはお約束のシーンに勘違いさせる。
この作品における「毛利小五郎」はいつものコナンの腹話術の人形ではない。
彼が「探偵」としてきちんと活躍している作品だ。

ミステリーにおける「ミスリード」をこの作品は用いてる。
お約束を使うことで見てる側を勘違いさせることで
「本当の犯人」を隠している。
倒叙式にすることで本作品における「真犯人」を隠す通すことを
この作品は目的としており、だからミステリーとして面白い。

コナンが披露した推理が「間違っていた」というのがこの作品のミソだ。
コナンの推理の方向性と、毛利小五郎の推理の方向性が違い、
だからこそコナンがミスをし、毛利小五郎が真実にたどり着く。
視聴者もコナンも「真犯人」のミスリードに騙される。

毛利小五郎


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

毛利小五郎が犯人に真実を告げる。映画だからこその描写であり、
普段は操り人形である「毛利小五郎」を前半はいつもと同じように描写し、
後半はいつもと違う麺を描写することで「毛利小五郎」という
キャラクターの魅力を掘り下げている作品だ。

ただ事件の「トリック」自体は冷静に考えるとツッコミどころも多い。

「犯人と被害者がもみ合ってる中で見えないように
 犯人に見えないように真犯人が後ろから刺す」

というのはかなり無理がある状況だ(笑)
投げナイフやサイレンサー付きのピストルで陰からこっそり撃つならわかるが、
もみ合ってるさなかでバレずに後ろから刺すというのは色々と無理がある。
「毛利小五郎」を活躍させるということに主軸をおいたストーリーであり、
ややご都合主義は気になるものの、細かい部分を気にしなければ楽しめる。


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

ある意味でこの作品の最大の汚点が「蘭」だ。
蘭は爆破され今にも沈没しそうな「船」に避難しなければならない状況で、
「落とし物」を取りに行く。

子どもたちが作った大切なものであることは分かるのだが、
救助活動が行われ、船から乗客も船員も必死に脱出している中で、
自らは落とし物を取りに行く。
はっきり言って迷惑極まりない行為だ。これが現実の事故ならば
叩かれまくりな行動だ。

「蘭がピンチになる」というのは映画ではお約束なシーンだ。
そんなピンチな蘭を新一が助ける。これが「コナン映画」では
お決まりなシーンではあるものの、強引にピンチな状況を作り出してしまい、
蘭の身勝手な行動が引っかかってしまう人は引っかかるだろう。

かくれんぼ、子どもたちからの贈り物、新一と蘭の思い出という
序盤からの伏線はきちんといかされているものの、
それでももう少し自然な「蘭のピンチ」にならなかったのか?と感じてしまう。

蘭が大切にした「子どもたちからの贈り物」がコナンを助ける。という
シーン自体は悪くないからこそ落し物を探しに行って蘭がピンチになるのではなく
真犯人にとって都合の悪いところを見てしまい昏倒させられたり、
やり方は色々あっただけにもったいないところだ。

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総評:きちんとミステリー


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

全体的にコナン映画としてはきちんと「ミステリー」をやろうとしている作品だ。
倒叙式、クローズドサークル、ミスリードというミステリーの要素を
「名探偵コナン」という作品に織り込むことによって、
見ている側もコナンすらも騙すようなストーリーになっている。

犯人の犯罪を堂々と視聴者に魅せつけ、見ている側に「犯人」を認識させ
その認識を終盤で見事に裏切る展開の面白さは倒叙式とミスリードを
うまく使っており、映画だからこその毛利小五郎のキャラクター描写がいきており、
名探偵コナンという作品が好きな人も特にそうでない人も、
きちんと楽しめる作品になっている。

ただ唯一「蘭のピンチ」の状況の強引さだけが引っかかる作品だ。
あの蘭のピンチにもう少し見ていて納得できれば、この作品の評価を
もう少し高くできるのだが、面白いのに惜しい作品になってしまった。

個人的な感想:コナン映画のお約束


引用元:名探偵コナン 水平線上の陰謀 予告編より
(C)2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・
小学館プロダクション・東宝・TMS

この作品はコナン映画のお約束が足を引っ張ってしまっている。
爆破のシーンもお約束ではあるものの、過去作に比べて見応えがあるのか?
といえばそうでもなく、派手さもない。
しかも、爆破、蘭のピンチというコナン映画のお約束は守ってるのに、
「スケボー」がないのも個人的には不満な部分だ。

ただ、気になる部分はあるもののきちんとミステリーをしている作品だ。

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