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「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」レビュー

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評価 ★★★☆☆(57点) 全106分
ノーゲーム・ノーライフ ゼロ

あらすじ それは一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる《盤上の世界(ディス・ボード)》が創造されるはるか以前の出来事。
引用- Wikipedia

外伝は本編をよくやりこんでから。

本作品はノーゲーム・ノーライフの劇場アニメ作品
監督はいしづかあつこ、制作はマッドハウス
TVアニメの「前日談」的な位置づけの作品であり、
TVアニメで描かれるより「6000年前」の出来事を描いている

見出して感じるのはスクリーンをきちんと意識した構図だろう。
映画という大きなスクリーンを端から端まできっちりと使い、
戦闘シーンは画面狭しとキャラクターが激しく動き回り
「見応え」のある画作りがされている。

ストーリー的には「人類種」ことイマニティが、
過去の大戦でなぜ生き残る事が出来たのか?というストーリーになっている。
TVアニメでは明かされていない設定と内容をあえて
映画でまとめて描いており、
本編の主人公である「空と白」は当然ながら出ないが似ている人物は出る

そんな空に似ているイマニティであるリクが主人公だ。
彼はイマニティのリーダーであり、
生き残りである2000人の人間種を生き残らせるために奮闘しているが、
本編でも描かれたとおりイマニティには特別な力はなく、
外には「死の灰」が降り注いでいる。

そんな彼の前に白に似ている「エクスマキナ」の
シュヴィが現れることで物語が動き出す。
彼女の目的は「心」と言うものの理解である。
それがこの作品における「エロ」と「ギャグ」につながっている(笑)

この作品の世界観は非常に緊迫しており、シリアスなムードが漂っている。
だが、機械であるがゆえの勘違いと不器用さが、周囲の誤解を生み、
その誤解がうまくギャグにつながっており、
「機械」であるがゆえの性への抵抗のなさが妙なエロさにつながっており、
素直にかわいいキャラクターだ。

ただ早い段階で機械であるはずのシュヴィに心がやどりだしてしまい、
1時間40分ほどの尺ではあるものの、前半40分近くたっぷりと
「リク」と「シュヴィ」の関係性の構築が描かれる。
そのせいか後半からの1時間ややダイジェストチックだ。

ストーリー中盤の「リクのプロポーズ」や「シュヴィの罪の告白」など、
かなり唐突であり、二人の仲が深まったのは理解できるのだが、
展開がサクサクと進みすぎていきなり恋愛感情がまれてるのがやや腑に落ちず、
もう少し丁寧に描けば納得できる展開なのだが、
ダイジェストチックに描いているからこそ唐突感が強まってしまっている。

話が進めば進むほどダイジェスト感は強まっていき、やや置いてけぼりになる。
TVアニメや原作を見ていればある程度の予備知識があるが、
正直、TVアニメだけでは知識が足りず追いつかない。
ある程度「原作を読んでいる」前提でストーリーを進めてしまっている部分が強く
逆に読んでいないと端折りすぎてダイジェストになっている部分の
細かい設定や内容が「ふわっと」しか理解できず、どうにも展開についていきづらい

主人公たちが戦争に勝つための手段も基本的には各種族間を走り回り、
スパイ行為や情報の撹乱をすることで立ち回る。つまり「地味」である。
ナレーションベースで戦争の流れがざっくりと解説されてしまい、
盛り上がりに欠け、ナレーションベースで進めてしまってるがゆえに
原作未読者以外の感情移入がやや追いつかない。

キャラ描写に関しても声優の演技に頼ってる部分も大きい。
特にヒロインを演ずる「茅野愛衣」さんの演技力があるからこそ、
ヒロインの結末で涙腺を刺激される方も多いだろう。
主人公を演ずる「松岡禎丞」さんの演技も素晴らしく、
彼の最後の願いの際の演技はさすがとしか良いようがない。

だが、そこに至るまでの細かい部分がふわっとしてしまっているため、
声優さんの演技にごまかされて感動できる部分もあるものの、
原作を読んでいないときちんと感動しきれず、
どうにも尺が足りていないというのをひしひしと感じてしまう作品だった。

総評

全体的に惜しい作品だ。
ストーリー自体は起承転結すっきりとしており、
伏線をうまく活かしたストーリー構成になっており、
何の力も持たない人間と心を持たない機械の少女の出会いから、
戦争の集結までのストーリー展開はきれいに描けている。

映画の最後がきちんとTVアニメにつながっていることを
感じさせる構成も素晴らしく、
「ノーゲーム・ノーライフ」ファンならば見て損はない作品だ。

だが、明らかに尺が足りておらず終盤になればなるほど
詰め込んでいる感じが強い反面で、
終盤になればなるほど「感動」できる部分も多い。
詰め込まずに描けていれば素直に感動できたであろう部分が
盛り上がりきれないストーリー構成になっているのは残念だ

原作を読んでいないといまいち理解しにくく飲み込めない部分もあり、
映画全体に細かい引っ掛かり所が生まれてしまっており、
1時間40分という尺に収める上では仕方なかったのかもしれないが、
それだけに惜しいと感じてしまう作品だった。

個人的な感想

個人的にはTVアニメのノーゲーム・ノーライフは好きだったために、
もう少しTVアニメのようなゲームが描かれるかと思ったのだが、
ゲームの描写が殆どないのはちょっと残念だった。
原作を読んだあとに見ればもっと楽しめるのかもしれない。

売上的には悪くなかったようなので2期を強く期待したい所だ。

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