評価 ★★☆☆☆(35点) 全88分
あらすじ ハロウィンで賑わう渋谷駅周辺に突如として「帳」が降ろされ、大勢の一般人が閉じ込められた。 引用- Wikipedia
公式雑MAD映画
本作品は呪術廻戦の2期の特別編集版及び3期の先行上映映画。
監督は御所園翔太 、制作はMAPPA
おま環?
まず最初に、これは私が見に行った映画の環境の問題だったのかもしれないが、
一部音声が聞き取りづらい部分があった。
映画.comなどでも同じような感想の人がいたため、
私が見に行った映画館だけの問題ではないかもしれないが、
主人公である「虎杖悠仁」の声の一部が聞き取りづらい。
TVアニメで同じシーンを見たときも若干の聞き取りづらさがある
部分のセリフであり、それが映画という環境になったがゆえに
余計に聞き取りづらくなってるのかもしれないが、
宿儺のせいで大量に人を殺した虎杖悠仁が嗚咽しているシーンのセリフは
特に聞き取りづらいものがあった。
劇場版での音声の調整というのは当然していると思うが、
しきれていない感も否めない。
ダイジェスト
この作品は2期の総集編+3期の先行上映になる。
3期の部分は2話あたりまでで40分ほどあるため、
その40分を引いたものが2期の総集編で使える尺だ。
そんな尺が40分くらいしかない。
映画全体としては90分ほどでOPやEDを除くと、
ちょうど半々くらいの配分になっているものの、
先行上映部分は2話分なのに対し、総集編部分は23話ある(苦笑)
当然、かなりのダイジェストで進めなければ話にならず、
冒頭で1分ほどで五条先生が封印される(笑)
この作品を見に行くにあたって2期を見ていない、原作すら読んでいない
という人は少ないだろうが、総集編としての機能性はほぼ失われており、
この作品だけで2期のストーリーを味わうことは不可能に近い。
同じようなスタイルで「鬼滅の刃」が総集編+先行上映をやっていたが、
鬼滅の刃の場合は2期の部分を全部やって3期の先行上映をやるわけではなく、
2期の終盤の数話+3期の先行上映という形になっているため、
総集編ではないものの作品としてはかなり見やすくなっていた。
しかし、この作品は総集編的な意味合いをもたせようとしたのか、
詰め込むだけ詰め込んでしまっており、
ナナミンも釘崎も戦闘が始まって3分くらいで死ぬ。
ものすごい勢いで渋谷事変が進んでいく様をただただ見ている感じが強く、
あの感動をもう1度!というような感覚にはならないのが残念なところだ。
痒いところに手が届かない
呪術廻戦はTVアニメの段階で凄まじい作画を見せつけており、
TVアニメでやるのがもったいないくらいのクオリティだった。
だからこそ、そんな作画を、アニメーションを劇場という大きなスクリーンと
迫力のあるスピーカーで楽しむことが出来る。そんな期待感があった。
だが、この作品はどうにも痒いところに手が届かない。
戦闘シーン自体も最初から最後まできちんと魅せてくれることは少なく、
ダイジェストでサクサクと進んでしまい、せっかくの戦闘シーンを
きちんと見ることができない。
2期の序盤のメカ丸戦を劇場で見ることを期待していたのだが、丸々カットだ。
ありとあらゆる戦闘シーンがカットか、瞬間的にしか序盤は描写されない。
伏黒甚爾のシーンは2期での盛り上がりどころの1つなのだが、
ほとんどカットされてダイジェスト的に僅かにしか描写されず、
宿儺と漏瑚もわずかしか描写されない。
劇場で見たかった部分が余り描写されないのは非常にもったいない。
摩虎羅
まともに描かれるのは摩虎羅戦からだが、
摩虎羅戦自体もカットが多く、真人戦はしっかりと描かれるものの、
これもカットが多く、東堂が来てからの戦闘シーンは
「高田ちゃん」のBGMが丸々カットされている。
色々とがっかりな部分が多く、
これならば鬼滅の刃と同じような形でやったほうが見たい部分をしっかりと見れる。
あくまでも総集編ではなく特別編集版なのはわかるが、
それを踏まえても見たいシーンを素直に見せてくれず、
せっかくの劇場のスクリーンを活かしきれていない。
この特別編集版の部分だけなら映画館に行く必要性はなかったと
私は感じてしまった。
死滅回遊
ただ死滅回遊編の部分は別だ、乙骨裕太という
前日譚である「呪術廻戦0」の主人公が登場することで、
物語の盛り上がりどころも生まれており、戦闘シーン、
そして作品としての雰囲気もガラッと変わる。
使われてる色自体も変化が見られ、死滅回遊編からどっしりと
重たい雰囲気が更に漂っている印象だ。
アニメーションに関しても、2期は「高速戦闘」を主体とするものが多かったが、
乙骨裕太と虎杖悠仁の戦いは単純な高速戦闘ではなく、
スローを多用しながら高速戦闘を描くことで抑揚が生まれている。
その結果、ケレンミが生まれ、キャラクターが何をやっているか
わからないというような戦闘シーンは減っている印象だ。
圧倒的な乙骨裕太の存在、そして死滅回遊編から登場する
「禪院直哉」の存在感は素晴らしく、必然的に3期の、
死滅回遊への期待感を強めてくれる先行上映になっている。
総評:なんで戦ってるん?
全体的に見て1本の映画としての満足感は薄い作品だ。
わずか45分で2期の内容、2期の戦闘シーンだけを
ぎゅっと詰め込んでいるのはわかるものの、ただただ
キャラ同士が戦っているシーンをダイジェストで見せられても、
盛り上がるものも盛り上がらない上に短い。
2期や原作の記憶、知識やストーリーやキャラをきちんと把握してないと
「こいつとこいつはなんで戦ってるんだっけ?」となるほど
ストーリーというものをほとんどカットしてしまっており、
総集編としての意味合いは薄い、ただの公式MAD映像だ。
そんな公式MADを劇場という場所で味わえるというのは
この手の作品の醍醐味では有るものの、
その醍醐味も「見たいシーン」を素直に見せてくれない歯がゆさが残り、
よっぽどのファンでない限りは映画館で見ることはおすすめしにくい。
先行上映版の部分は面白かったものの、
わざわざ映画館に行く意味をこの作品には見いだせずに終わってしまった。
個人的な感想:総集編は難しい
総集編映画は最近、色々なアニメがやっているものの非常に難しい。
1クールないし2クールの尺をどう映画の尺に収めるのかは
センスが出る部分で、そこが面白い総集編とそうでない総集編の
違いにもなってくる。
この作品は総集編とは銘打っていないのはわかるものの、
それでももう少しやり方があったのでは?と感じてしまい、
映画を見ながら何度も首をひねってしまった。
この作品単体の評価としては低めになってしまったものの、
3期には期待したいところだ。



