「日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ」レビュー

映画

評価 ★★☆☆☆(25点) 全150分

あらすじ

2020年7月にNetflixで配信開始し、反響を呼んだこのアニメシリーズを湯浅監督自身の手で再編集、再構築した 引用- Wikipedia

ツッコミ所3割減

本作品は日本沈没2020の総集編映画作品。
Netflixで配信された日本沈没2020を劇場版として150分に編集している。
(編集前の映像は全10話で250分程の作品のため約100分カットしている)
監督は湯浅政明、制作はサイエンスSARU

追加シーン


画像引用元:『日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ- 』予告より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

この作品はあくまで「総集編」だ。
シズマヌキボウとサブタイトルはついているものの、
Netflixから特に新規映像や追加されたシーンはない。

そのため本編を見た人にとっては逆に
「あの作品のどこがカットされてるんだろうか?」
というのも注目ポイントになっている。

序盤は細かいシーンはカットされているが、大筋はカットされていない。
物語の導入である「震度7」を超える地震が日本を襲う。
主人公たちの家族が次々と震災に巻き込まれる中で、
ようやく再開を果たす。

この作品はnetflixで日本沈没2020を見た人に向けた作品ではない。
だからこそ限られた尺の中で物語の「導入」をしっかりと描いており、
大災害の起きた日本の描写という本作品で唯一といっていいほど
面白いと感じられる序盤はしっかりと描かれている。

最も、こんな大災害が起きてる中で電力も絶対に不足してるのに
「イルミネーション」を大量に飾り付けてて
家族と再会しようとする父親だったり、急にこんな
状況なのに記念写真を取ろうと言い出す母親だったり、
色々と突っ込みどころはある。

こんなに大災害起きてるのに「電波」が通じてるのも笑えてしまう。
日本がどんどんどんどん沈没しているという状況なのに、
常にネットは4Gで繋がり、電波はバリ3だ(笑)

改めて見返すと突っ込みどころが際立ちまくる。
Netlifx版では見逃していた、気づかなかった「アラ」が
改めて見返すことで気づいてしまう。

終盤の展開を知っていると序盤で
「西」へいくか「東」へいくかという選択肢を誤ってしまったことにも
嘆かざる得ない。
震源は沖縄であり、東のほうが安全だという意見よりも
「エストニア」の友人の意見を信じてしまう主人公たち(笑)

序盤で明らかにカットされているのは
「主人公の足の怪我」だ。Netflix版では時折きにするようなシーンが有り、
早く直せよと突っ込みたくなっていたが、
これは終盤の展開のための露骨な伏線になっている。

足の怪我を気にする素振りを見せないことで、
ツッコミどころをなくしている。

山芋大爆発


画像引用元:『日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ- 』予告より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

今作の代名詞とも言える「山芋をほってたら父親が爆発」するシーン。
山芋が埋まっている場所を掘っていたら
不発弾にあたってしまい大爆発をおこし父親が死んでしまう。
展開がわかっているせいでほってる最中から笑ってしまったが、
何度見てもツッコミどころがすごい。

父親は「山芋」をほっている。不発弾があるなんてことは知らない。
それなのに彼は金属のようなものにスコップがあたった瞬間に
「嘘だろ…?」と口にする。
歴戦の兵士かなにかでスコップがあたった感触で
不発弾と分かったのかもしれないが、普通なら「ん?」というような
疑問くらいで終わるはずだ。

それなのに彼は不発弾にあたってしまったことが分かったかのように
「嘘だろ…?」と口にする(笑)
そもそも日本で不発弾が眠ってるとわかれば迅速に軍によって処理される。

しかし、この作品の世界では
「不発弾が埋まっている可能性があります」という
看板は設置するのに処理はされていない。
お父さんが爆発した後にOPが流れるストーリー構成も謎だ。

際立つツッコミどころ

逆にカットすればいいのにと思っていた
「父親」が死んだことで逆ギレしまくって
喧嘩するシーンなどはあるのは謎でしか無い。

途中で仲間に加わった女性キャラが通りがかりに
男性二人に襲われそうになり、返り討ちにする。
震災という極限状態だからこその犯罪行為の苛烈さのような
ものを描きたいのは分かるが、倒した男性のメガネを、
仲間の割れた眼鏡と交換する。

これでメガネ自体が本当にぼろぼろだったり、
なくしてしまっているならば「替わり」になるかもしれないが、
絶対に度数が会っていないメガネより少し割れている自分のメガネのほうが
絶対にマシだ。

細かいシーンがカットされているせいで展開が早まっており、
そのせいでお父さんの山芋爆破や、仲間のお姉さんのガス死などの
「唐突さ」がより際立っている。
Netflix版もあっけなかったが、よりあっけないものになっている。

Netflix版の欠点が編集されたせいでより強調されている。
死のあっけなさ、主人公の情緒不安定ぶり、細かいツッコミどころ。
そういった部分がより際立っている。

大麻


画像引用元:『日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ- 』予告より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

中盤で主人公たちは大麻を育てているカルト宗教団体の施設に行く。
Netflix版を見ていた方ならばご存知「大麻カレー」のシーンだ。
母を亡くしたメインキャラの一人がその施設のカレーを食べて

「母さんのカレーみたいだ…」

と涙を流すシーンだ。
母親が作ったカレーの味と似ているカレーを食べ、
母を思い出して泣く。
これだけだと突っ込みどころのないようなシーンではあるものの、
このシーンの問題点は食べたカレーに「大麻」が入っている所だ。

他のキャラがカレーの味に若干の違和感をおぼえるほど
「大麻」が入っており、涙を流した彼の母が
日常的に大麻カレーを作っていたのか?と
ツッコミどころにもなっていた。

しかし、今作の総集編では他のキャラが「味に違和感」を
覚えるシーンがカットされている(笑)。
Netflix版を見てない人にとっては大麻入りカレーであることは
わからないようになっており、
うまく突っ込みどころを隠すためのカットをしている。

と思ったのだが、それ以外のシーンでも「大麻」要素がカットされている。
Netflixは海外のサイトであり色々と表現の規制が緩い。
しかし、この作品は劇場で公開することもあり
コンプライアンス的に「大麻」がまずかったのだろう(苦笑)

結果的に大麻要素を排除したおかげでツッコミどころも
減っているのは皮肉的だ。

作画


画像引用元:『日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ- 』予告より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

あくまで総集編であり作り直しでないことは分かるが、
Netflix版と同様に終盤の作画はひどい。
キャラクターの顔の不安定さも変わらず、
せっかく映画として総集編ではあるものの上映するのだから
終盤の作画の修正くらいはしてほしかったと思ってしまう。

「編集」も終盤になるとやや雑になり、
シーンとシーンのつながりが甘いことが多い。
暗転するシーンやぶつ切りになっている部分も多く、
話が進めば進むほど編集の雑さも際立ってしまっている。

特にラスト付近の展開は編集の雑さも相まって
もともとから急展開だった展開が更に急展開になっており、
色々な出来事が一気におこって終わる印象になってしまっている。

総評:編集した意味


画像引用元:『日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ- 』予告より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

全体的に見てNetflix版に比べると道中のシーンや細かいシーンなど
100分近くカッとされているおかげで見やすい作品にはなっている。
相変わらず突っ込みどころはそのままではあるものの、
カットしたからこそ突っ込みどころになっていない部分もあり、
そういった意味では「編集した意味」があった作品かもしれない。

総集編ではあるものの基本的なストーリーは
しっかりと分かるようになっており、
終盤になるとややぶつ切り感のある編集になってるのは
やや残念ではあるものの、Netflix版に比べると見やすい作品だ。

ただ、カットしたせいでテンポが上がった分、
欠点もより目立つようになっており、
主人公の情緒不安定ぶりや、唐突すぎる展開の数々、
「その展開は必要だったのか?」と思う部分など、
150分に濃縮されたぶん、欠点も際立ってしまっている。

それでも250分のNetflix版よりはこの作品のメッセージ性が
ストレートに伝わりやすくなっており、
もし、どっちかを見る機会があるならば
こちらの総集編のほうがこの作品の面白さは感じられるかもしれない。

個人的な感想:やっぱり…


画像引用元:『日本沈没2020 劇場編集版 -シズマヌキボウ- 』予告より
(C)“JAPAN SINKS : 2020”Project Partners

この作品をしっかりと見るのは2回目だが、
見れば見るほど突っ込みどころが気になる作品だ。
ただ、制作側もそれを分かっていて、その突っ込みどころを
隠すようなカットをしている部分も多く、
特に「主人公の足の怪我」に関しては終盤までほぼ映らない。

2回見たことでより細かい部分が気になり、
お父さんの山芋爆発など気になるところは残っているものの、
Netflix版よりも見やすい。

わざわざ総集編として映画にした意味はあったと思う一方で、
Netflixとの契約の都合なのか、この作品はどこも配信していない。
ちなみにこのレビューの執筆時点でレンタルもしていない。
この作品を見るためにはBDを買うしかない(苦笑)

ちなみにAmazonで「6,606円」だ。
Netflixは一ヶ月、様々な作品が見れて「990円」だ。

わざわざ編集されたこの作品を見るために6,606円見る数奇な人が
私以外にどれだけ居るのか疑問である。

「」おもしろい?つまらない?

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