ドラえもん のび太のひみつ道具博物館

評価/★★★★★(85点)

ドラえもん のび太のひみつ道具博物館  評価

104分
監督/寺本幸代

あらすじ

昼寝中に怪盗DXと名乗る人物に首の鈴を盗まれてしまったドラえもん。のび太がシャーロック・ホームズセットを使って調査した処、あらゆるひみつ道具が展示されている未来の博物館「ひみつ道具博物館」にヒントがあることが分かる。鈴を探すために博物館に訪れたドラえもんたちは、案内役のクルトと共に博物館をみてまわることにする。そんな折、博物館に予告状が届いた。果たして怪盗DXの正体とその目的とは?

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未来のひみつ道具の秘密、知ってますか?

本作品は映画ドラえもんシリーズ通算第33作品目の作品、
わさび版ドラえもんとしては第8作目にあたる。
テレビ朝日開局55周年記念作品として作られている

見出して感じるのは作画の素晴らしさだろう。
特に「背景」の描写は本当に素晴らしく、
妙に高いレベルで描かれる「のび太の家」や部屋、
細部にまで描き込まれた背景描写が「映画」としての制作側の作りこみの熱の入り方を
序盤早々に感じることができる。
そして、今回の映画は「コメディタッチ」に仕上がっている

冒頭からギャグなのび太の夢、あっさりと「スズ」を盗まれるドラえもんのリアクション、
高いレベルの作画でコミカルに動きまわり、表情がくるくると変わるシーンの数々は
大人が見ても思わず「クスクス」っと笑ってしまうシーンになっている
ギャグとしてのアニメにおける演出や描写がしっかりとしており、
そこに「ドラえもん」や「のび太」のキャラクターを活かした動きの数々が
純粋にアニメーションとして笑えるシーンになっている

スズを盗まれたドラえもんをいじるシーンなど
大人の私でもちょっと爆笑してしまった(笑)
テンポよく、コミカルに、そしてスズを無くしたことによる副作用で
「ネコ化」するドラえもんなど大人でも笑ってしまうギャグシーンになっており、
それが全編にわたって散りばめられており、何回も、本当に何回も笑ってしまう
実際に劇場には行っていないが、子供の笑い声が劇場には常に響いていただろう
それほど「ギャグ」としてのクォリティが高い

そして物語の舞台が「未来」な所も素晴らしい。
ドラえもんの映画といえばタイムマシンで過去に戻ったり、宇宙に行ったり
ファンタジーな世界観に行ったりすることが多かった
だが、今回は「未来」だ。
私の記憶が確かならば未来が舞台の作品はこの作品が初めてなはずだ。
(ミニドラSOSなどの番外編を除く)

だからこそ新鮮であり、だからこそ面白い。
新ドラえもんの映画はリメイクが多く、オリジナルはハズレが多い。
だが、この作品は「オリジナル」でありながら、
ドラえもんらしさを画面いっぱいに感じることができる。

ストーリーが分かりやすいのも素晴らしい。
ドラえもんのスズが盗まれ、未来の道具で名探偵なったのび太と
未来の「ひみつ道具博物館」に行くことになる。
分かりやすいがゆえにストレートに面白く、
そのストレートなストーリーを素晴らしい作画と素晴らしい演出で
より「真っ直ぐ」に見ている側に面白さが伝わる

特に「未来感」の描写は大人が見てもワクワク感じが止まらない。
未来の招待状の仕組み、空飛ぶ車が飛び交う未来、
そして一体いくつあるんだと思わず画面の隅から隅まで見てしまうひみつ道具の数々、
シーンが切り替わるたびに画面狭しとひみつ道具が描写される
きせかえカメラ、ぬけ穴ボールペン、雲固めガス、花咲か灰、ガリバートンネルetc…

子供の頃に見た「ひみつ道具」がどこかにきっと描かれている、
子供も「子供の頃にドラえもんを見た」大人も味わえるシーンの数々は
ワクワクが止まらない。

特に私が好きなのは初期型のどこでもドアの大きさだ。
ひみつ道具はドラえもんの中では既に「完成」されたものとして描写されている
だが、この作品ではその「ひみつ道具」がまだ未完成の道具が多く描写されており、
タケコプターの製作過程、ひみつ道具の素材など
今までに描かれなかった未完成の未来のひみつ道具の描写が
純粋な面白さを生んでいる

今までのドラえもんでは描かれなかった「新しい」ドラえもんの面白さが
この作品にはぎゅっと詰まっている
ドラえもんにおける「ひみつ道具」というオリジナルの面白さをストレートに描き
子供も大人も同じように「ひみつ道具」のワクワク感じを楽しむことができる

私個人の話でしか無いが21エモンの「ゴンスケ」が出てきた時は
本当に声に出して「懐かしい」と言ってしまった
セル画からデジタルになってもあのなんともいえないデザインと味わい、
そしてあの声とセリフに思わず声が漏れてしまった。
「ゴンスケ」や「ひみつ道具」、
この作品には制作側の「ドラえもん」に対する愛情とこだわりを
しっかりと感じることができる。

そして「ドラえもん」が鈴に拘る理由。
ドラえもんとのび太のほっこりするエピソードがさりげなく挟まれることで
「鈴」にこだわるドラえもん。
原作に対するリスペクトやドラえもんに対する「深い愛情」を
オリジナル作品でありながら感じることができる。

特に戦闘シーンは笑うのを通り越して感動すら覚えてしまった。
映画版ドラえもんでは空気砲などで戦うシーンも見られる
だが、やはりドラえもんは子供向け映画だ。
この作品における「戦闘シーン」の描き方は確かに戦闘シーンなのだが
きちんと「コミカル」にギャグテイストで描かれており、
更に「ひみつ道具」を複数使う事できっちりと迫力が出ている
あのひみつ道具にこんな使い方があったのかと思わず唸ってしまう戦闘シーンだ

ストーリー的にも今回「悪」が居ない。
敵と呼べる存在はもちろんいるものの、それは敵なだけで悪ではない
ドラえもんの鈴を盗んだり、ひみつ道具を盗んだりしたものの
「ある理由」から盗んでおり、鈴を盗んだ犯人も「予想を裏切る」犯人だ。
子供だまし的なミステリーであることは否めないものの、
逆に子供だましだからこそ大人でも「お、そうきたか」というような楽しみ方ができる

全体的に見て素晴らしいドラえもん映画だ。
今までのドラえもん映画のように「壮大」な世界観に寄る壮大なストーリーではない
だが、旧ドラえもんとの差別化という意味で
きっちりと「子供」も「大人」も笑って楽しめるテイストに仕上げており、
ギャグだけではなく「未来の道具」をたくさん出し、
出すだけではなく物語の中できっちりと生かすことで
ドラえもん本来が持つ「未来の道具」の面白さをしっかりと感じることができる

また戦闘シーンやストーリーもあくまでギャグでスッキリと仕上げており
起承転結がしっかりしているストーリー構成は見ていて心地よく、
見終わった後に満足感を得られる作品だ

私はこの作品で「ドラえもん」のアニメの未来を感じることができた
旧ドラえもんを見た人ならば、やはりどこか新ドラえもんに対して否定的だろう
私もその感覚は強い。

だが、この作品はイイ意味で「ドラえもん」らしいドラえもんを新しい形で描いており
旧ドラえもんでは味わえなかった面白さがあり、ドラえもんらしい面白さもある。
否定的だった私もこの作品を見たことで
新ドラえもんに対しての拒絶感がかなり薄まった

私と同じように否定的な人は是非身て欲しい。
懐かしの道具が出れば出るほど、ギャグシーンが描かれれば描かれるほど
その否定感は薄まっていくはずだ。
昔ドラえもんを楽しんだ大人も今ドラえもんを楽しんでいる子供も
同じように笑って楽しめる。

特に終盤のアクションシーンと伏線を活かした展開は素晴らしかった。
個人的には「ドラえもん」はつくづく二頭身がよく似合うと実感したが(笑う)
動きまくりの戦闘シーンはドラゴンボールもびっくりなアクションになっており、
最後に思わず「ほっこり」と少しだけ涙腺を刺激されて終わる
本当に素敵なドラえもん映画だ