「アラーニェの虫籠」レビュー

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映画
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評価 ★★☆☆☆(23点) 全75分

あらすじ いわくつきのウワサが絶えない巨大集合住宅。気弱な女子大生りんはある夜引用- Wikipedia

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ホラー映画の芋煮会

本作品は劇場オリジナルアニメ作品。監督は坂本サク。
坂本サクが監督、アニメーション制作、脚本、音楽を全て一人でやっている。

作画枚数の少なさ


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

見出して感じるのは作画枚数の少なさだ。
一人で制作されていることもあり、作画枚数の限界があるのだろう。
そう感じさせるほどややカクカクとした動きは、
普通のアニメに比べてあきらかに作画枚数が少ない。

だが、それをごまかすために派手なエフェクト、独特のカメラワークという
演出で作画枚数の少なさを逆手に取った雰囲気作りに生かしており、
この作品が「ホラー」というジャンルだからこそ、
このやや低予算さを感じさせる作画枚数の少なさが逆に悪くない。

ある意味、ホラーというジャンルだからこそ許される低予算さだ。
他のジャンルならカクカクした動きは悪目立ちするだけだが、
ホラーというジャンルならカクカクした動きで恐怖を煽ることができる。

妙に揺れまくるカメラワークはやや見ていて目に悪いものの、
ホラーだからこそ許される。

工場跡地


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

主人公は工場跡地に作られたマンションに済んでいる。
激安の家賃に騙されて契約した彼女ではあるものの、
巨大な住宅地に済んでいる人は少なく、怪しすぎる人しか居ない。
ろくにメンテナンスもされてなさそうなサビだらけで、
電気もチカチカしており、常に何かが揺れるような音が鳴り響く。

絶対に住みたくないと思わせるマンションだ(笑)
何かをつぶやき腕をかきむしる女、乳母車を押す謎の女、怪しげな男、
まともな住人が居ない。謎の惨殺事件もマンションの周囲では起こっており、
家賃が2万4千円でも高いと感じるほどの怖すぎるマンションだ。

主人公は主人公で何かしらの薬を飲んでいる。
何の薬なのかはわからず、もしかしたら主人公が見てる光景は
薬か病気による幻覚なのでは?と感じさせるミスリードなのかもしれないが、
まともキャラは一人も居ないと思ってもらっていい


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

主人公には謎の蠱が見えるようになる。
救急車で運ばれる老婆の腕を食い破る蠱、蠱を食い破る蠱、
彼女の回りで謎の蠱が人間を襲っている。
それはどうやら「心霊蠱」と呼ばれるものらしい。
古来よりそれは存在し、「見えるもの」と「見えない」ものがいる。

それを見た多くの人が亡くなっている。
怪奇の数々、謎の事件の多くは蠱の仕業なのか?という予感を感じさせる。
不気味な存在や幽霊や怪物が出てくるホラーも多い。
この作品は「蠱」がそれなのか?と見てる側に感じさせる。
貞子で言えば貞子みたいなものだ(笑)

だが、そうかとおもえば謎の男が凶器をもって主人公を追いかけ回す。
正体不明の謎の男が凶器を持って追いかけ回すのも、
これまたホラー映画のお約束であり、
13日の金曜日のジェイソンみたいなものだ。

貞子なんだかジェイソンなんだか、蠱なんだか、とにかくよくわからない。
話が進めば進むほど色々なホラー作品の要素をごった煮にしたような感覚になり、
ホラーなのに、そういうホラーあるあるな要素が出てくるたびに
なんだか笑ってしまう。正直、まったくもって怖くない(苦笑)

「蠱」なら「蠱」で「蠱」の気持ち悪さや怖さを増長させる何かがあれば
それがこの作品の怖さになり、面白さにもなるが、
「蠱」かと思ったら「ジェイソン」で、そうかと思えば不気味な女の声まで
聞こえ始めて、もうごちゃごちゃだ。

謎の男から逃げて、逃げた先で誰かに後ろから襲われたはずなのに、
主人公は自分の部屋で目を覚ます。
ラリった主人公が見た夢なのか現実なのかわからないという演出が、
余計にこの作品のごちゃごちゃ感を強めてしまっている

テンポ


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

テンポも悪い、恐怖を煽るため、色々な要素を見せるためなのは分かるが
「だらー」っとどうでもいいシーンが間延びして流れることが多く、
そこに何らかの意味があるようで無いため、余計にテンポの悪さを感じる。
尺としては75分の作品だが、もっと長く感じてしまうほど
ダラダラとしてテンポの悪さはホラーというジャンルでは厳しい。

75分の中に詰め込んでる要素も非常に多い。
蠱だったり、40年前に流行った謎の奇病だったり、救済人と呼ばれる存在だったり
呪術師だったり、戦時中に行われていた人体実験だったりと、
もうこれだけの要素が75分の中に詰め込まれている。
正直詰め込み過ぎである。

75分という尺が故に出てきてもあっさりと死ぬキャラクターが非常に多く、
そのあっけなさが怖いというよりは、「はぇー」というような
呆気に取られるような感じだ。

真実?


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

主人公が色々と逃げ惑う中で色々な真実が明らかになってくる。
戦時中に行われていた人体実験のせいで死なない兵士が生まれており、
それが次々と人を襲っていた。虫は彼らから抽出されたものであり、
虫を抽出された人は死なない兵士へと変わり無差別に人を襲っていた。
設定や要素自体は非常にごちゃごちゃしているのだが真実は非常にシンプルだ。

だが、ここでまた主人公の夢か現実かわからないような描写が入る。
乳母車を押す女に首は刺されるわ、謎の少女に突き落とされるわ、
目が冷めたら全身拘束されちゃって虫に侵食されている。
最終的には主人公は謎パワーに目覚め背中から羽を生やしたかと思えば爆発する。

終盤は話にまるでついていけなくなり、
実は主人公が昏睡状態だったことも分かるが、昏睡状態から
目が冷めたかと思えば町は「巨大な虫」が飛び回っていて終わる。

もはや意味不明だ(苦笑)
一体全体何がどういうことで、どれがどういうことだったのか。
何度も見返すことで分かる部分があるのかもしれないが、
何度も見返す面白さがないため、何とも言えない感覚だけが強く残ってしまう

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総評:ごちゃごちゃホラー


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

全体的に見て一人で制作したことは分かる部分は多いものの、
演出面でそれを隠すための工夫が随所に見られ、ホラーあるある的な
シーンの連続は面白く、全く怖くないが色々なホラー映画を同時に見てるような
謎の楽しさは存在する作品だ。

だが、映像面はともかくストーリーがあまりにもごちゃごちゃだ。
色々な要素が盛り込まれすぎており、それをきちんと説明するわけでもなく、
見てる側に「解釈」を任せるようなストーリーの描写は、
やや投げっぱなしな感じすらうけてしまう内容であり、
もう少し要素を削れなかったのか?と思ってしまう部分があまりにも多い。

ホラーなのにまるで怖くないのも致命的だ。
主人公が気を失って場面が変わることが多く、そのせいで
恐怖感が長続きせず、恐怖を煽るようなシーンのあとは
ダラーッとしたシーンが続いてしまう。

結局、主人公が見ていた夢なのかそうでなかったのか、
どこからが夢でどこからが夢でなかったのかという曖昧な感じは
ホラーらしいラストとも言えるのだが、どうにも端切れの悪さだけが残ってしまう。
おそらくこういった話の好みもあるかもしれないが、
正直見終わったあとの消化不良感は拭い去ることができない作品だった

個人的な感想:うーん


引用元:© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム

序盤から中盤までの色々なホラー作品を彷彿とさせる部分は割と面白かったが、
結局それをまとめきれておらず、投げっぱなしにしてしまった感じが強い。
監督の好きな要素は分かるが、それを受け手側が処理しきれない。
私がそこまでホラー作品を好きでないからというのもあるかもしれないが、
監督の見せたい部分を作品としてうまく受け手に伝わりやすい描写にはなっていない

あえてそうしてる部分もあるのは分かるが、
個人的にはもう少しスッキリとした部分が欲しかったと感じてしまう作品だった。
好きな人というか、監督と同じ趣味の方には楽しめる作品かもしれない

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