映画

「はたらく細胞!! 最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」レビュー

2.0
映画
スポンサーリンク

評価 21点 全112分

あらすじ ある時、白血球(好中球)と赤血球は、迷子の乳酸菌を保護した一般細胞と出会う。引用- Wikipedia

乳酸菌とってるぅ~?…そこじゃねェんだわ

本作品は「はたらく細胞」の先行上映作品。
ちょっとややこしいのだが、劇場版アニメとして作られたのではなく、
あくまで2021年から放映される2期の内容の一部を「先行上映」として
劇場で放映するという形のものだ。
監督は小倉宏文、制作はdavid production

上映注意


画像引用元:(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

本編が始まる前に「血小板ちゃん」たちによる上映注意が描かれる。
お仕事のお休みの日に映画館に行くというミニエピソードになっており、
相変わらずの可愛らしさの前に「体内の映画館ってどういうことだ?」という
ツッコミなど野暮だ。

ただ、そこから流れるOPが意味不明だ。
曲は1期と同じものだ、映像も私の記憶が正しければほぼ同じだ。
この作品は前述したように2期の一部エピソードの先行上映するという趣のはずだ。
それなのに1期とほぼ同じOPが流れる。

この時点で「手抜き」を感じてしまう。
もともと2期の内容を劇場で先行上映するというのも意味不明ではあるものの、
地上波でやる前に2期の内容の一部と新しいOPをスクリーンで
楽しめればファンは満足のはずだ。

しかし、1期のOPを流すのは意味不明でしか無い。
手抜き以外で説明できるならばしてほしい。

一般細胞


画像引用元:『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』本予告より
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

今作で話の主軸が「一般細胞」と、
そんな彼が出会った菌のお話が主軸になっている。
それだけに「赤血球」などの登場シーンが露骨に減っているのは
やや気になるところであり、本来は主人公の一人のはずの赤血球が
ぽっとでの一般細胞に出番を食われすぎているのは残念でしか無い。

これがTVアニメの中の一部ならば気にならないかもしれないが、
わざわざ「映画」として見せるのに主人公の一人の出番が少ないというのは
よくわからず、一般細胞というどうでもいいキャラの役目を
赤血球がやってもよかったのでは?と感じてしまう。

「映画」でやることを意識したストーリー構成になっていない。
あくまで本当に2期のエピソードを抜き出し上映したに過ぎない作品だと
色々な部分で感じてしまう。

乳酸菌


画像引用元:『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』本予告より
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

一般細胞が出会った菌は悪い菌ではない。「乳酸菌」だ。
この作品は細胞や細菌を擬人化し、体内で何が起きているのかを
描いている作品だ。そんな作品で今回は「乳酸菌の役目」を描いている(笑)

子供の乳酸菌を仲間の乳酸菌の場所に返していきながら、
乳酸菌が普段体内でどんな役に立っているかをこの作品らしく描いており、
「プリン体」がそのまま「プリン」だったりする絵的なわかりやすさと、
時折入る解説のおかげで乳酸菌の役目がわかりやすく描かれている。

ピロリ菌と戦い、プリン体を食べ、免疫力を高める。
この作品を見た後に確実に「ヤクルト」を飲みたくなるほどの
乳酸菌の活躍の描写は子供も大人も理解しやすい描写だ。

説明


画像引用元:『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』本予告より
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

ただ、その反面であまりにも説明が多い。
この作品はもともと説明が多い作品だ。
色々な菌や細胞の説明をしないといけないため、そこは仕方ないのだが、
この作品はそんな説明を繰り返してしまう。

「体内の中には100兆個の菌がいるんです」

と赤血球や血小板ちゃんたちに説明した後に場面展開したら
白血球が「体内には100兆個の菌がいるからな」と繰り返したりする。
わざわざそこを繰り返す意味はなく、無駄な尺稼ぎにしかなっていない。
同じ説明を2回も3回もしたりするのはテンポが悪くなっている原因でもあり、
正直見ていて退屈に感じてしまうようなシーンも多い。

「学べて楽しい」はずの作品だったのに、そこの楽しさが少ない。
説明は最低限で、擬人化したキャラの動きやセリフで見せるのがこの作品のはずだ。
1期では全く気にならなかった「説明」が気になって仕方ないほど、
欠点になってしまっている。

特に今作では「止め絵」で画面の動きが止まった状態で
説明することが多く、そのせいで余計にテンポを悪くさせている。
1期と2期で監督が変わったせいで、
このあたりの描写の仕方の捉え方が変わってしまい、
説明がくどくなってしまってる部分が多い。

がん細胞


画像引用元:『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』本予告より
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

最強の敵、再び。とある通り、今作では「彼」が復活する。
彼が復活し、再戦するという展開自体は面白く、
既存のキャラクターたちの掛け合いも笑えるのだが、
ここでも間延びしている。

何度も似たようなシーンを繰り返し、
その繰り返し自体をキャラに突っ込ませているのだが、
それならば短い尺でそれを何度も繰り返して突っ込んで初めて成立するギャグだ。
しかし「だらー」っと描いてしまったせいで間延びし、ギャグが死んでいる。

強化されたガン細胞の姿自体は素晴らしく戦闘シーンも非常によく動くものの、
よく動く止まりだ。1期の段階と作画のレベルが変わってる感じはなく、
劇場でやるからと意識されてるわけでもない。
本当に劇場で見る意味がない作品だ。

総評:残念


画像引用元:『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』本予告より
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

全体的に見てがっかりした作品だ。
2時間という尺を使い余しまくってグダグダでテンポの悪いストーリー構成は、
これを一体2期では何話としてやるんだろう?と疑問に感じるほどの
間延びっぷりであり、締まりのない作品には本当にあくびが出てしまった。

これがTVアニメで3話の60分尺でやるならば面白かっただろう。
しかし、2時間という尺でそれを薄めてやってしまったせいで、
薄めるための手段が透けて見えるほどの呆れ果てる作品になってる。
説明を重複し、止め絵とナレーションで引き伸ばすなんていう手段を
「はたらく細胞」という作品で見たくなかった。

今作で出る乳酸菌のデザインやストーリーの内容自体は悪くないのに
そんなストーリーを最大限に活かしきれていない。
本当に、本当に残念な作品だ。

個人的な感想:よっぽどのファン以外は…


画像引用元:『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』本予告より
(C)清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

先行上映というふうに言ってはいるが2時間も尺のある映画館でやる作品だ。
地上波とは違い「お金」をもらって見てもらうのだから、
映画として見れる作品に仕上げなければいけないはずなのだが、
そういう配慮はない。

はたらく細胞という作品が本当に好きで内容とかはともかく
スクリーンで味わいたい。そういう人は楽しめるかもしれないが、
そういう人以外にはおすすめできない作品だ。

2期は果たして大丈夫なんだろうか…

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください